2025五島列島
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【柏崎灯台にQRV】
辞本涯の地
最強ポイントの一つとして勝手に挙げていた柏崎灯台はどうなのか?
日曜日の夕方QRVしてみる。ここは三井楽と呼ばれる、島の北西部に突き出た半島になっている地域だ。柏崎灯台はその半島の頂点にあるような形になる。したがって、南側を除いて、ほぼほぼ周りは海ということになる。
一方、その半島の西側の頂点には、長崎鼻という岬がありそこから海岸線沿いに、てっぺんの柏崎の方まで走っているのが、オレンジロードと呼ばれる道路だ。西側はすぐ海なので、夕日が美しいとされる道だが、そうでなくとも実に風光明媚な路だ。
外見的にはアスファルトが名前の通りオレンジ色で、車一台分程度の幅しかないので一見サイクリング道路のように見えるが、実際には車でも走行可能だ。
まずは長崎鼻灯台下で、コンディションチェックを図ってみる。(=右、上写真) どうやら近距離が出ているようで、4エリアや5エリアが入感しているようだ。近距離Esなので、どれも強力、えひめZR75局とは57/57、山口県からはWA201局やST702局とつながるが、いずれも57~58だ。
オレンジロードを、ゆっくりと、更に進んでいく。雰囲気を堪能するために、「ゆっくりと」、というのがポイントだ(笑。柏崎までは数キロあるが、それにしても、どこを切り取っても絵になる光景だ。
柏崎灯台が見えるところまで来ると、景色に吸い込まれるように、ハイカーが一人歩いていく。まるでドラマのワンシーンだ(爆。(=
本運用記1ページ目
冒頭写真)
ハイカーの方は何を考えながら歩いておられるのか?いや、頭は空っぽにして歩いておられるに違いない。
この柏崎には、「辞本涯」の碑が建っている。(=右、中写真) 空海の遣唐を顕彰するものだ。遣唐使が日本を離れるとき、最後の寄港地となったのがここ柏崎なのだという。辞本涯とは、日本の最果ての地を去るという意味らしい。
1200年以上前に、風任せの木造船で中国に渡るというのは、命がけを通り越して、必死の覚悟がなければできなかったのは言うまでもない。遣唐使は約200年間続いたが、実際、この地まではやってきたものの、どうしても出航する勇気が出ず、風などの悪条件を口実に、京に引き返して行った遣唐大使もいるのだという。
防波堤の上に01Xを展開してみる。今から日没まではじっくりと運用だ。しかし、オレンジロードでのんびり景色を堪能している間に、コンディションは急降下していったようだ。
かろうじて、山口県からやまぐちLX16局の信号だけが飛んでくる。結果的には、これが近距離の最後のあがきだったようだ。その後は全く復活することもなく、最強ロケの証明はできずじまいだ。QSOは1局のみで撃沈、コンディションは、それほどお手柔らかには相手にしてくれないのだ。
それでもこの時間、夕日の向こうからそよそよと渡ってくる風だけは、優しく頬を過ぎていた。
© Nagoya YK221/なごやYK221