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【ベンチの向こう: DONDON広場】
江上天主堂
当局は観光目的で来ているわけではないが、奈留島でどうしても外すことができないのは、江上天主堂だ。木造の様式的教会堂建築の典型として、現在では国の重要文化財となっている。
外観は淡いクリーム色に、青色の鎧戸がアクセントになっており、床は高床式となっている天主堂だ。高床式となっているのは、周囲の湧水の湿気から守るためらしい。
この天主堂は、江上集落の信徒さんたちが生活費を切り詰めて、お互いに費用を捻出することで建てられたものだという。(完成は1918年) ただ、江上集落は、奈留島の中でも中心地から結構離れた地区にある。そんな心の籠められた天主堂だが、最近は人口減などの影響もあり、ここでのミサは月一回、第三日曜日に行われるだけだという。
堂内を案内してもらうと、ちょうど午前中だったこともあり、祭壇の後ろの高窓から差し込んでくる光が、後光のように内部を照らすようで、実に神々しい。案内してくれた人の話によると、お祈りの時間や、午後の光の差し込み方も考えて建物の向きや窓などの設計が考えられている可能性があるという。(堂内見学は予約が必要)
外観的にも、朝の時間帯は、東端の屋根を縁取る板張り部分に十字が刻み込まれており、そこに差し込んだ光が壁に十字を描くようになっている。言葉は適切ではないかもしれないが、実に見事だ。
奈留島でもうひとつ目を付けていた運用場所は、島の東側海岸筋にある、DONDON広場という場所だ。ここは基本的に景色を眺める展望場所なので展望は開けており、日の出前の実際のロケチェックでも電波的にもかなりよさそうな雰囲気だった。
「みかんや食堂」の特製ちゃんぽんとノンアルビール(笑)で早めの昼飯を済ませ、昼からはDONDON広場で運用してみる。みかんや食堂は、映画版「孤独のグルメ」(2025年1月公開)で登場する食堂だ。
昼の時間帯なのでコンディションが落ちているかと思いきや1、2、3エリア辺りとつながるようだ。ミエAA469局とも1年ぶりのQSOだ。今回もガツンとくることはないが、それでもぽつりぽつりつながっていくのは、やはり昼休み時間帯の運用局の多さがものをいうようだ。もっとも、コンディションが全く落ちていないという条件が必要だが。
この広場、丘の上に、海に向かってベンチと小さなテーブルが置かれている。そのベンチやテーブルは、黄色や赤、緑など色とりどりに塗られており、そのデザインとともに設置した人のセンスを感じる。ベンチの前には花も植えられており、地元の方々の心意気や心遣いまでも伝わってくるようだ。
誰もやってこないことをいいことに、この素晴らしい場所でしばしQRVさせていただく。
今日は特に天気もよく、空も、もちろん海も明るい。目の前に広がるこの景色を眺めながらQRVするというのは本当に贅沢な時間だ。
左:夜明け前のDONDON広場の海景。海はいたって静穏だ。
いずれの写真も、左側手前、若松島、向こう側、中通島。
© Nagoya YK221/なごやYK221
2025五島列島