星砂の浜
八重山まで来ると、基本的にウインドウが開ける確率が高いのは、朝8時から10時頃と夕方の5時頃から7時頃の間である。これは八重山での今までの運用経験に基づくものだ。由布島での運用を切り上げ、夕方のDXタイムに備えて早めに宿にチェックインする。宿は島の北部、上原港の西にある「星砂の浜」にある。たとえ夜中に開けた時でも、絶好のロケで運用できるよう、ビーチのすぐ真上に宿をとってある。(現実には夜中に運用することはあり得ないが(笑。) 実際チェックインしてみると、窓外の、テラスにおいてあるテーブルの上からでもQRVが可能な感じだ。
チェックイン後、さっそく87Rとポカリスエットのみの軽装備で、すぐ崖下のビーチへ運用に向かう。潮が引いて浅くなった浜辺には、足下まで鮮やかな青色の熱帯の小魚が群れている。
16時過ぎにQRVに入るが、ビュルルというノイズがいったりきたりと、時々5Chあたりで違法のカブリがかすかに入る程度だ。短い間隔でCQを出しながら待機を続ける。
17時を過ぎると、いよいよピュルピュル音が激しくなってくる。昼のQRV時と同じように、87RのSメーターが激しく上下し始める。
やがて、夕方運用の一発目になる、「アルファーナンシー」局がノイズの中、QSBで浮き沈みしながら当局を呼んでくれているのが聞こえてくる。アルファーナンシーと言えば、いわずと知れた、やまぐちAN77局だ。このQSBとコールサインの聞こえ方に、初めて波照間島からQSOに成功した時の記憶がよみがえる。あの時もAN77局だった・・・。
今度は鹿児島からカゴシマSS167局よりコールが入る。昼間もQSO頂いたが、今回はかなり安定しており、確かにQSBはあるものの、いつQSBの彼方に消え去ってしまうかも分からないAN77局とは全く違う聞こえ方だ。昼間のQSOで確認できなかったそのときのQTHを確認すると、日置市だったとのこと。今は鹿児島市内から出ておられると言う。2エリアからは、待望のシズオカAC703局とつながる。意外と広範囲に電波は落ちているようだ。
18:30近くになると、信号の強さが上昇してきて、聞こえてくる局の変調音が太くなってきたのが感じられる。アイチAE126局とは、そんな間隙をついてQSOを完了する。しかし、パラパラと入感してくるものの、激しいノイズの中、本州の局の信号はなかなか安定しない。ながのDG93局からも久しぶりのコールを頂くが、残念ながら尻切れになってしまう。QSBの山谷のタイミングの運と、信号強度のバランスがQSOが成立するか否かの境目になる。
一方、富士山5合目に運用場所を移した、しずおかDD23局との今日最後のQSOでは、高さがものを言うのか、ピーク56位までSメータが振ってくる。
時計は19時になろうとしていた。
その後はシズオカAD964局が入感するのみで、CQへの応答は完全に途絶えた。
鹿児島と本州の山口県以遠とは違う聞こえ方がするのは、2年前の与那国島運用でも強く感じたことだ。鹿児島をゴシック文字の聞こえ方とするなら、山口以遠はかすれた楷書体だ。聞こえ方でそんなことが分かるのかと言われてしまえばそれまでだが、鹿児島は1回反射、山口以遠は電離層での2回反射(または散乱)のように思われる。果たして、それだけの距離の違いで、そんな差があるのか、当局も疑問だ。
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魚色鮮やかな熱帯の魚が運用中の足もとまで寄ってくる。 |
絶好のロケーション今回お世話になったペンション「星砂の浜」。 |
夕暮れ19時過ぎのシズオカAD964局との交信を最後に、本土からの入感は途絶える。 (写真:19:17分) |
(QSO局は最終ページにまとめて掲載しています。)
© Nagoya YK221
2011沖縄