【女神山山頂より】





東京FMはどうやって仙台まで飛んでいるのか?



今回は運用というより、「FM電波探査シリーズ」(笑)で、25年6月の村田運用(以下「6月運用」)の続きである。なぜFM電波探査シリーズなのか、ここではこれまでの経緯や用語の解説はすべて割愛するが、参考となる運用記については参照先を記します。

6月運用では村田ポイントと村田Kポイントでの電波受信の再確認と、そこに至る経路上の場所、具体的には丸森エリアA(宮城県丸森町)や丸森エリアB(同)、大河原エリア(宮城県大河原町)での再確認が中心だった。

なぜ再確認したのかと言えば、村田ポイントという一つのスポットで、発射地点が異なる東京FM(東京タワー)とJ-WAVE(スカイツリー)がなぜ強く入感するのかの解明の一助になるのではないかと思ったからである。結果的には、村田ポイントに至る前の丸森エリアAで、すでに両局の電波が同じ場所で強く飛んできていることが分かった。

また、丸森エリアBでは、24年の確認ではガツンと電波を受信することができなかったが(24年仙台運用記中編参照)、6月運用では福田堂(ふくでんどう)という場所を新たに追加することによって、このエリアでもガッツリと受信することができた。

いずれにせよ、東京側から見て第二回折エリアである、女神山-一貫森稜線を過ぎてからも、仙台市内で十分受信可能なほど回折波は強く飛んでいることは再確認できた。

今回はもう一度仙台南吉成地区や、寺岡地区に行こうかと迷ったものの、6月運用記で最後に引き合いに出した、女神山-一貫森稜線がやはり気になる。6月運用ではそこから飛んでくる波ばかりが気になったので、今度は逆に稜線側から村田や仙台方向を見たらどうなるのか、ということと、回折ポイントであるこの稜線自体で電波を受けてみたら、どのように聞こえるのかというのが気になったからである。もっとも、この稜線の中腹には林道が走っており、その林道上では23年3月の日山運用で、連続的に受信Sは確認している。(日山運用記図1参照) ただ稜線上まで上がれば当然ながら、全く問題なしにFBに東京FMやJ-WAVEがガツンと聞こえてくるはずだ。

そこで、今回の企画は(笑、1)まず女神山(福島県川俣町)に登って、そこから稜線上を「580m峰」や、「523m峰」を回って、一貫森まで行って、稜線上の電波の入感状況をつぶさに観察し、2)一貫森から林道に下りてもう一度林道上での入感状況を確認しながら女神山の登山口まで周回してこようという計画だ。ただ、女神山-一貫森間の稜線上にはいわゆるハイキング道はなく、すべて藪こぎになるらしいので、周回するかどうかは女神山に登ってから判断しようという計画だ。


   図表1  【出典:地理院地図Vectorより加工して作成】


 左: 村田ポイント(宮城県村田町)からみた稜線。東京方向には、この稜線だけが見える。
 右: 口太山(女神山の南南東)から見た稜線。(24年口太山運用記より)
 




伝搬経路はミエル化できるのか?



朝、女神山山頂まで上がってくると、正面には雪を抱いた安達太良山が、壮大に広がっている。

快晴の下、今日も、高村智恵子が毎日見ていたという「ほんとの空」が浮かんでいるようだ。そしてその壮大な景色は右方向、こちらも雪化粧した吾妻山連峰の方まで続いている。

女神山というのは、流麗な山名だが、川俣町によれば、名前の由来は「小手姫」(おてひめ)に由来するという。川俣町や旧月舘町一帯は、昔は小手郷と呼ばれていたらしい。そこにいらっしゃる姫ということだろうか。

小手姫は崇峻天皇の妃で、蘇我馬子の乱の後、東北に落ち延びた息子の後を追ってこの地まで来たという。しかし、息子とは会うことができないまま土地の人々に養蚕と絹織物の技術を教えながら、その一生をこの地で過ごしたといわれる。遺体はこの山に葬られたといわれ、小手姫を供養する山から女神山と呼ばれたらしい。壱貫森にしろ女神山にしろ、歴史を感じさせる地名だ。


まずは東京から、村田町や仙台への伝搬ルートの全体像を目視で確認だ。

さっそく足元の一貫森までの稜線を観察してみる。想像以上に木々の枝が多く丸々とは見えないが、580m峰から523m峰、一貫森まで稜線が良く把握できる。むむ~、なるほど、現物はこんな感じか!

目には見えないが(笑、村田ポイントや仙台市内の寺岡ポイントへの電波はこの空間を通っているはずだ。仙台や村田への最短ルート通過場所は、上の図表1のとおりである。

電波が飛んでくる東京方向はどうか?こちら方向から見ると常に逆光になるが、今日も八溝山を頂点とする八溝山塊が、半ばシルエット状になって良く見えている。肉眼ではかなり小さいが、間には大きな丘陵や山は見当たらず、ほぼ平面のように見えるので、いつものことながらいかにも回折波がよく飛んできそうに感じる。

 左: 足元の稜線。右端580m峰、中間に523m峰、左端に一貫森が把握できる。
 中: 電波が到来してくる、八溝山塊。中央、八溝山。(画角50㎜(フルサイズ、以下同様)) 
    八溝山山頂まで90.3Km。
    東京タワー、スカイツリーから八溝山(山頂)までは、それぞれ148.8Km、141.6Km。
 右: 八溝山塊(画角240㎜)。八溝山との間の地面は多少凸凹があるものの、平板に見える。
    いかにも回折波が支障なく飛んできそうだ(笑。
  




次に、到達先方向である、丸森エリアAやB、村田ポイント、仙台市方向はどうか?ズームで寄ってみると、これまで調査中に出会った民家や高圧線鉄塔、アンテナ用タワーなど、何となく心当たりのありそうな場所がいくつも散見できるが、詳しい解析は帰宅後に行ってみる。


下の写真が解析結果だ。仙台方向へのルートの全体像と、それを丸森エリアAと丸森エリアBの右端~福田堂の部分を拡大したものである。(それぞれ拡大写真1拡大写真2) なお、全体像の概観写真は普通の風景写真のように見えるが、レンズは240㎜を使用しているので注意が必要だ。

意外と、これまでに確認に回った場所が良く見えている(笑。例えば、拡大写真1の民家Aは、「丸森A、ポイント⑤」の真下で、白い横筋はガードレールで6月運用記のポイント⑤の写真に写っているガードレールの通りだ。(民家は道路の一段下にある)また、拡大写真2の民家Bは、24年の仙台運用記中編で、「この道のどんづまりは一軒の民家になっており、庭先に進入するわけにはいかないので、その手前でUターン」とコメントしている民家だ。


  電波の進行方向概観

拡大写真1: 丸森エリアA

・道路Dのガードレールが見える。丸数字は、右図の確認ポイントの番号の場所。(以下同様)
・民家Aまで、距離22.9Km。
・ちなみに6月運用記のポイント⑤の写真には、こちら側(女神山から一貫森)が写っています。

 

拡大写真2: 丸森エリアB右端~福田堂

・24年の仙台運用では、民家Bの前で引き返した。ポイント⑤で東京FMが41から51だったのは、
 今となっては不思議な気もするが、コンディションによって異なるのかもしれない。民家Bまで27.8Km、
 福田堂まで28.1Km。
・タワーは無線アンテナ用タワーのようだが、詳細不明。場所は、仙台市太白区坪沼大八上。
 標高260m、距離は58.0Km。
・南吉成5号緑地(仙台市青葉区)まで、68.0Km。





24年4月の仙台運用(後編)では、仙台市南吉成地区αやβで、東京タワー発射の東京FMやinterfm、スカイツリー発射のTBSラジオなどのFM補完局、千葉のBAYFMなどをガツンと確認することができた。

上の写真や、カシミールによれば、女神山山頂からは、そのαやβのすぐ近くの「南吉成5号緑地」(名称はグーグルマップによる)や「日本山妙法寺仙台仏舎利塔」(同)などがあるエリアは見通しだ。(更に葛岡霊園の一部も女神山からは見通し。) 位置関係は、下の図表2のようになる。これらの場所は、6月運用終了時に、次回は確認に回ろうと考えていた場所だ。

少なくとも、この二つの場所は、女神山からは光学的見通しなので、電波的にはもちろん見通しだ。(電波的=地球の等価半径を4/3倍とした場合、光学的=カシミールのデフォルト設定の1.156倍) したがって、この二点は女神山を経由するとすれば、東京から八溝山塊とこの女神山の二点回折で電波が達することになるが、実際の最短経路は、女神山よりかなり東側を通過している。したがって、スカイツリー発射の電波は補足できないものと推定されるが・・・、行ってみないと分かりません(笑。

余談だが、この南吉成5号緑地や、仏舎利塔の近くにはそれぞれ無線のアンテナタワーが設置されているようだ(用途は不明)。このFM探査シリーズで、当局はいろいろな場所に確認に回っているが、行き着いた先々の目的地に主に中継用と思われるアンテナタワーが設置されている場合が多い。つまり、プロ用のアンテナはそれなりに計算された効率の良い場所に立っているということだ(当たり前ですが)。


  図表2 【出典:地理院地図Vectorより加工して作成】



一方、24年の仙台運用で東京FMなどを受信していた南吉成α、β地区から東京タワーへの最短経路は、福田堂(宮城県丸森町大張大蔵)のほぼ真上を経由し、八溝山山頂近辺を通過している。

福田堂は八溝山から電波的見通しなので、東京タワーから南吉成α、βへは八溝山と福田堂で回折し、最後に蕃山の東側山裾を回り込んで到達している可能性がある(笑。福田堂(山頂)からは、蕃山山頂及び東側裾野の途中までは電波的見通しになっており、伝搬経路上の温度、湿度などの大気のコンディション(修正屈折率の状況)によっては蕃山裾野へは強い回折波となり、福田堂から見通し限界のぎりぎり外にあるα、βまで届く可能性が高いと思われるからだ。(図表3)

福田堂では、6月運用で、東京FMの電波がFBに到達しているのを確認しているので、仙台市内の南吉成地区に電波が飛んできていても何ら不思議ではない。なお、β地区では千葉のBAYFM(千葉県船橋市三山送信所発射)も聞こえるが、こちらは24年の磯笛公園運用記で記した通り、口太山(福島県川俣町・二本松市境)から電波的見通しとなっている。


話は若干福田堂ルートの方にそれてしまったが、上の写真の通り、八溝山方向からの電波が足元の稜線を通過し、これまで確認にあたってきた丸森Aや丸森Bエリアを通過し、村田ポイントや蕃山、仙台市内方向へと向かっていく通り道は視覚的に確認できた。電波はもちろん目には見えないが、少しはミエル化ができたか???(笑。


     図表3: ピンクは福田堂(山頂)からの電波的見通し範囲。
          黄色ラインは東京タワーへのライン。




肝心のFM波の受信の方はどうなのか??


女神山山頂では、東京FM、J-WAVEともに東京で聞いているのと全く変わりない強さだ。QSBがかかることもない。これは想定通り、当然だ。ただ東京FMと同じ東京タワー発射のinterfmは、56~57程度だが、こちらは若干QSBがかかるようだ。J-WAVEと同じスカイツリー発射のTBSや文化放送は、J-WAVEと同じく59クラスで雑音が混じることもないが、同じ59ながらやはりJ-WAVEほどは強くないようだ。千葉のBAYFMと同じアンテナから発射されるNHK千葉は、BAYFMと全く同じレベルの入感で57程度か。

ところで、本日の受信は、山の上なので車で上がれるわけではないので、使用している受信機はLCRのDJ-PV1D(アルインコ)、アンテナはSRH-140D(第一電波工業)である。口太山運用時と全く同じである。

  リグは両手で保持すべし!(笑
受信については、今回はすべてアンテナ水平受けで確認している。体の前面にリグのアンテナが突き出るようにリグを構えると、アンテナの指す方向が電波の到来方向になるので、実にわかりやすい。(=指向性の最弱ポイントを用いる)

目線の高さまで上げればちょうど銃で狙いを定めるのと同じようにもなるので、かなり正確に方向を定めることができるようだ。ただし、注意点としては、少なくとも、このリグとアンテナとボディ(姿勢)の組み合わせだと、右手片手でリグを保持した時は、アンテナの約20°左方向が最弱になり、アンテナの向いている先は指向性が最弱にはならない。逆に左手で保持すると、アンテナの右20°方向が指向性が最弱になる。両手で保持すると、ドンピシャ、アンテナトップ方向が最弱になるので、両手で構えることが重要だ(笑。両手で構えると、RDF(Radio Direction Finder)として使えるぐらいかなり正確でシャープだ。

例えば、銃で狙いを定めるように八溝山にアンテナトップを向けると、J-WAVEはほとんど聞こえなくなる。その代わり10°もずらすと、59にすぐ復帰する。最弱になる角度はかなり角度が狭い範囲だ。

しかも今日の81.3MHzは、やはりかなり面白い。ちょうど八溝山方向にアンテナを向けた時だけ、つまり、J-WAVEが最弱になるときだけ、エフエム仙台(Date fm)の気仙沼中継局の電波が聞こえてくる。しかも52とか53ではなく、59だ(笑。したがって、体の向きを20°くらいずらすだけで、ちょうどチャンネルを切り替えるようにJ-WAVEとエフエム仙台をいったりきたりすることが可能だ。

Date fmの気仙沼中継局は、長の森山(宮城県気仙沼市本吉町)で、女神山からは33.5°方向、スカイツリーは約197°方向なので、一直線に近いことを考えると、Date fmもかなり強く飛んできていると考えられる。しかしJ-WAVEが最弱になる角度以外では全く聞こえないので、いわゆるFMの潰し合いでは、J-WAVEの方が圧倒していることになる。

それにしても、気仙沼中継局は3エレ八木と聞いており、当然気仙沼方向を向いているはずなので、こちらの女神山方向は完全なバックになる。以前から、あちこちに出向いた時に、その割には反対方向にもよく飛んでいるなぁと思っているのだが、この情報自体が誤っているのか?・・・不思議なところだ。



藪漕ぎはどうなった???


折角なので、87RとLCRでCQを飛ばしてみるが、誰もいないようだ。11mの8Chは最近は全く使わないので、かなり新鮮だ。ノイズ加減を聴いた限りでは、かなりコンディションはよさそうだが、どなたかのCQがわずかに聞こえてきただけだ。そりゃ、こんな年末の寒い朝に誰も運用していないでしょう(笑。

山頂に来ていろいろやっていると知らぬ間に3時間近くが経過している。稜線の藪はかなり濃そうなので、一貫森に到達するにはかなりの労力と時間が必要になりそうだ。・・・ということで、いとも簡単に周回は速攻で断念、その代わり女神山を下りて、一貫森の方へ回ってもう一度登り直してみることにする。


一貫森は、ハイキング等で訪れるような場所ではないが、頂上に無線の設備があるせいか、一応道らしきものは通じている。ただ、分かれ道のピンテ一つ(笑)を除き、案内表示等は一切なく、当然ながら歩く人はいないのだろう、道は深い枯れ葉にうずもれ、とげとげのある背丈ぐらいの植物があちこち立ちはだかっている。やはり、女神山から藪漕ぎはしなくて大正解だったようだ。

尖った頂上には無線設備があるだけで、他には何もない。妙にコリニアアンテナが目立っているだけだ・・・。山頂の全周、木々の枝が密集しているせいで、ほぼほぼ展望は効かない。523m峰方向の稜線はもちろん、女神山の全容も捕えることすら厳しい。

左: 山頂には無線設備があるのみ。機器の周波数表記以外、説明らしきものは一切ない。
   周波数表記(367MHz帯)からすると、「地域振興用」の割り当て周波数で、「伊達郡・安達郡地域商工振興協会」の
   移動局用基地局のようだ。モードはF2D/F3E、出力10W。 4ChのアナログMCAシステムなので、早晩デジタル
   もしくは、他の無線システムに置き換えられるだろう。パーソナル無線が懐かしい(笑。
   コリニアアンテナは日本アンテナ製、現在の品番ではHG-4001(利得5.15dBi)相当のもののようだ。
中: 頂上には一応、小さな山名表示板のみがある。
右: 登り口から見た一貫森。



さっそく、LCRでFMチェックだ。入感状況は女神山と基本的には一緒だが、エフエムヨコハマ(84.7MHz)は、女神山では58~59に対し、一貫森ではどこかのNHK中継局?に押されて入感なし、BAYFMも女神山の方が強い。

一方、東京FMは、同じ59ながら女神山よりも心なしか強いような印象を受ける。感覚的にはちょうど59と59オーバーの差ぐらいのようなイメージだ。これは、最弱方向の角度の範囲が女神山よりシャープに感じられることからもそう思われる。まあ、TT村田ラインはすぐ足の下を通っているという先入観があるので、単なる気のせいでしょう(笑。

RDF(笑)で東京FMの電波の方向を再確認していると、アンテナ先端がたまたま太陽とぴたりと一致するようだ。時は12時53分だ。後でこの時刻の太陽の位置を確認してみると、199°方向のようだ。(実際には東京タワーは約198°方向)


今回、女神山から蕃山の姿や南吉成地区を実際の眼で捉えることができた。こうして目の当たりにしてみると、やはり蕃山の裏側の谷にある落合エリアのスポットBに、スカイツリー波が落ちているというのはあらためて驚異的に思われる。(24年仙台運用記後編参照) 

このルート、もう一度確認してみると、スカイツリー側からいくと八溝山の山頂、福田堂の山頂至近、そして蕃山の山頂そのものを通過しているようなので、八溝山といい蕃山といい、山頂そのものを通過することがそのスポットだけ落ちてくることに関係がありそうな気はする(笑。蕃山山頂や、東側裾野にはやはり何か秘密があるのかもしれない(笑。


さあ、次回は再び仙台市内に戻って確認か???いつになるのか分かりませんが。


(2026/1/02)




本日のパティスリー: 洋菓子工房 Kanno  (福島県川俣町)

川俣町の国道から少し入ったところにあるKanno。非常にこじんまりとしたお店だが、クッキーやフィナンシェなどももちろんある。



運用データ

■運用日時・場所:
 ・2025年12月28日(日)  8:45~13:20
   福島県川俣町 女神山、一貫森山頂
  
■使用&装備リグ:
 ・ICB-87R (SONY) 
 ・DJ-PV1D (ALINCO)+SRH-140D (第一電波)

■使用&装備電源
 ・乾電池





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