2024運用記
磯笛公園
千葉県南房総市


 【穏やかな青: 磯笛公園より野島崎灯台】 





海べりで


野島崎にほど近い海辺に立つと、ほぼ完ぺきな青空が広がっている。

海も優しい。・・・


春から夏にかけての日本の一大風物詩といえば、なんといっても某KM117局がボランティアで武甲山の山頂に水を担ぎ上げるという水歩荷をされることだが、今年は既にひと月前に完了されている。毎年頭が下がる。当局はといえば、「男は黙ってサッポロ・・・・・一番」とか、わけのわからないことを言っている間に、季節は足早に過ぎ去ろうとしている。これではいけない。

ということで、今日は初夏へ向かうひと時を自分なりに噛みしめるため(笑、海べりで灯台をながめながら115を聴いてみようという魂胆である。

ちなみに、116は「電話の新設や移転のご相談」なので聞いているだけではダメで話さないといけません(謎。


もっとも、聴くのは115というより、前回の相馬港運用で試聴していたスピーカーの音の出具合をもう少し確認してみようという目論見である。前回は入感局が3局だけだったので、もっと試聴してみる必要がある。

そして、せっかく房総半島の突端まで来たので、帰りは道すがら、船橋市の三山地区にある三山送信所に立ち寄って、どんな雰囲気なのか現地・現物確認してみることにする。こちらは前回の「仙台運用」に関連したミッションとなる。



本日のロケ


ここは、「磯笛公園」という公園になっておりベンチや芝生エリアなどもあるのだが、さらに水際に近い草地にリグをセット、レジャーシートに寝転びながら、半分意識を失いつつワッチに励もう?という作戦である。

「昼寝ワッチ作戦」開始早々、いつものようにB73局がトップで入ってくるようだ。今日はいつにもまして強いようで、57~59を振ってくる。つられて、なんとはなしにCQを出してみると、北からは、イワテIW123局からコールが入ってくる。IW123局とは久々の交信だ。

今日は、南からの入感を予想してロケ選定しているのだが、聞いているとどうも電離層的には北が調子いいらしい。当局は、基本的にはグランドウェーブ派なので、今年のEsの状況は全く把握していないが、通常今の時期はまだ南からの入感が多いのでは???・・・と思っていたがそうでもないようだ。

それにしても、アバシリやトカチ、ソウヤ、サッポロといった北海道方面、そして岩手、青森地区がよく入ってくる。しかも、みなさん55程度以上が多い。このロケは北側がどちらかというと山になっており、北からの入感は想定していないので、北向けのロケだったらもっと強く入ってくるのだろう。岩手からは、久々に、いわてDS94局も入感してくる。「久々」といっても、当局が運用していないだけの話ですが。


このロケは珍しく、7Ch特有のノイズがほとんどなく、全く普通に「使える」状態だ。「7Ch応援団」の当局としては、滅多にないチャンス、これはCQを出さざるを得ない。とはいえこっちは良くても、まさか聞いている局長さんはいないだろう・・・と思いきや、瞬く間に応答が返ってくる。いわてCB75局だ。まさか、誰か聞いておられるとは・・・。続いてアオモリGK828局からもコールが入ってくる(笑。

今日は交信より、ワッチが主なので、入感局が多いのは好都合だ。いろいろな信号を聴いてみると、スピーカーの音のチューニング的には、もう少し背板の錘を軽めにしてもよさそうな感じだ。今回は無線的明瞭度狙いで、低域方向の量感を絞っているが、もう少し増やしてもよさそうである。まあ、あまり追求しても意味はありませんが。




時には謎解きを



前回の運用では、仙台で東京FMの受信確認をすることが目的で、仙台市内の南吉成地区でガツンと確認することができた。その際、東京FM同様に、千葉のFM局であるBAYFMも56~57と比較的強く入感してきていた。

その時はすぐには回折経路が頭には浮かばなかったが、帰宅後に確認してみると、難台山と蓬田岳(よもぎだだけ)付近の無名峰の肩、そして口太山を経由する伝搬経路であるようだ。難台山は標高553mで、茨城県石岡市と笠間市の境、蓬田岳付近の無名峰は標高845.5mで福島県須賀川市、口太山は標高842mで、福島県川俣町と二本松市の境にある山である。

送信場所である船橋市の三山送信所から、これら3点回折で仙台の南吉成まで到達しているようだ。BAYFM受信時は、また当局がいつものように魔法使いサリーちゃん的なことでもしたのかと思ったのだが(謎、以外にもそれほどのこともなく、伝搬経路の見通し図等を改めてみてみると、経験則からしてもいかにも飛んできてもおかしくない断面ではある。(=下図)

ところで、いつも「(謎」が謎のまま終わっているので、たまには謎解きをすると、サリーちゃんには親友のよし子ちゃんがいて、よし子ちゃんのやんちゃな三つ子の弟が、「トン吉」「チン平」「カン太」である。つまり、三人合わせて「トンチンカン」ということである。

更にどうでもいい話として、サリーちゃんがらみで最近使われなくなった表現としては、「頭がカブになっている」という表現がある。これは朝の寝ぐせなどで後部の頭髪が思いっきり跳ね上がっている様子を表すものだ。カブはサリーちゃんの弟で、その常に一定の形状で表現される髪型からくるものだ(爆。


サリーちゃんはさておき、この経路、最後は福島県の口太山での回折となるわけだが、驚いたことに、たまたま受信していたポイント周辺の、南吉成地区のみが口太山から見通しになっていることが分かった。口太山は女神山よりもっと南にあり、経路上にたくさん横たわる山々や丘陵を考えると、ここだけ「見える」というのはほとんど奇跡に近い(笑。しかも、そこでたまたま受信していたとは・・・(笑。おそらく、南吉成地区の方々も、口太山から見えることは全く想像もつかないだろう。

こうしてみると、南吉成地区はやはり、東京、千葉の異なる三つの送信所からの電波が入ってくるという、仙台市内の平地としては稀有の場所なのかもしれない。FM局にすると、東京FM、interfm、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、BAYFMの6局ということになる。周波数が重なってしまうJ-WAVEと、NHK千葉FMが確認できなかったのは残念だ(笑。前回運用記で記したように、やはり「定点観測」してみる価値はありそうだ(笑。

口太山は、2月の天井山運用記のミッション1などで東京FMなどの受信確認を記している、「口太山トンネル」や旧東和町役場のすぐ近くだ。

そちらはそちらで、八溝山系の回折波だが、改めて地図をよくよく見てみると茨城北部や福島の阿武隈高地には標高的に回折に適したような山がたくさんあるようだ。というのも、特に、回折波に屈折指数の逆転層が絡んでくる場合には、通常500mぐらい以下、高くてもせいぜい1,000mぐらいの表層大気の状態が重要だからである。


左): 難台山(左端)から南吉成(右端)への見通し断面。

右): 参考として、前回運用記で使用した地図。βエリアが受信していたエリアで、下写真の「受信ポイント」がβエリア。(出典:地理院地図タイルを加工して作成)
左): 仙台側での、口太山からの光学的見通し範囲(ピンク色)。(カシミールのデフォールト気差設定)
吉成から南吉成にかけての一部のみが見通しとなっている。

右) 同上、電波的見通し範囲。(標準大気、地球の等価半径4/3倍)
電波的には、標準大気でも受信ポイントは「見通し」となる。

いずれにしても、見通し範囲はかなり限定されており、ここでたまたま受信していたのは奇跡的か??(笑。




OADがスタート・・・・・する代わりに、ソウルフードに出会っちゃいましたですかぁ?







こちらの謎解きは未完のまま


一応、海べりで初夏へ向かうひと時を噛みしめることができた(かもしれない)ので、折角なので、予定通り帰りに船橋市の三山に寄って、仙台まで飛ばしてきていたBAYFMのアンテナを眺めてみることにしよう。眺めに行ったところで全く意味はなく、今度は逆に大いなる、人生の時間の無駄遣いですが(笑。

・・・と、その前に・・・。三山へ行く前に、館山自動車道の市原サービスエリアに立ち寄って、お土産物を見分してみよう。いつも旅の行く先々、どんなものが売られているのか、どこへ行っても見ているだけで楽しい。

千葉県といえばなんといっても落花生だが、卵や蜂蜜の産地でもあるので、やはり土産物はこれらに由来した菓子類がほとんどだ。「菓子類」というのはどこへ行っても余り変わり映えしないのだが・・・・・・。なんと一番目立つ場所に「アラビヤン焼そば」が「おみやげ」として売られているではあ~りませんかぁ。通常の食品としてではなく、あくまで「お土産用」としてのバラ売りだ。かなり目立つように置いてあるので、それだけお土産として「推し」ということか???

最近、テレビなどでよく取り上げられるようになってから当局も知ったのだが、アラビヤン焼そばと言えば、今では千葉県東部地域のソウルフードとして有名になっているらしい。特に旭市あたりでは焼きそばといえば、アラビヤン焼そばが常識らしく、スーパーなどでは山積みで売られているようだ。もっとも、よく売れているのは千葉県東部や、茨城県南部などに限定されるらしい。

生まれも育ちも東京多摩地区の当局が子供のころは、近所でも売っていたような気がするのだが・・・確かにいつの頃からか、全く見かけていない。そして、改めて考えてみると最大の謎は、なぜ「アラビヤン」なのか、ということだ。諸説あるようだが、確定的な定説はなく、いまだに謎解きは未完のようである。

ちなみに、このアラビヤン焼そば、例の「男は黙ってサッポロ・・・・・」の、サンヨー食品の販売製品だ。製造を担当する協力会社は、旭市にある(笑。



ランドマークとしてのタワー


三山送信所のタワーは想像通り住宅が密集する場所のど真ん中だ。しかも、周囲はどこも車一台分がやっとの細い道だらけである。アンテナ高は、前回運用記で記している通り、トップまでが地上高180m、地面の標高は26.6mしかないので、トップの標高は207m弱ということになる。さらにFM用送信アンテナは地上高160mより下の部分に設置されている。(アンテナはBAYFM/NHK FM共用)

う~ん、な~るほどぉ、ズームしてみるとよくわかる(笑。確かに双ループ4段4面で、背面(リフレクター)からλ/4浮いているようだ。ループは四角形で、いわゆる菱形配置タイプだ。


  トップは、地デジ用(紅白部)。FM用は2L型双ループ4段1列4面。浮いているのがよく分かる。 



双ループは放送局用途でよく使われるアンテナだが、身近にはあまり見かけない。ただ1波長乗せるループアンテナ自体は、アマチュアなどでもV/U用のデルタループやHFのキュビカルクワッドなどでお馴染みの形式だ。特にキュビカルクワッドは打ち上げ角が低く、3エレぐらいになるとHFではかなり巨大化するので、DXerの代名詞のような存在である。

双ループは、文字通りループを下側(水平偏波の場合)にもう一つ追加したもので、UHFなどでは4ループ(4L型)や6ループ(6L型)でも用いられる。λ/2ダイポールを並べるより、中央給電なので給電点が少なくなることと、ループが円でも横幅がλ/πなので、狭くできるメリットがあり、電波塔などに多面的に並べるには好適のアンテナだ。

一方FM放送の場合は、80MHzで波長は375㎝になるので、ループは四角形にしても一辺90㎝強ということになる。一般的に電波塔のトップは上へ行けば行くほど細くなるので、より高みを目指す場合はダイポールを十字型にクロスさせるターンスタイルアンテナの方が好適になる。このエレメントを蝙蝠の羽(バットウイング)の形のように扁平にしたものがスーパーターンスタイルアンテナで、東京FMは東京タワーのてっぺんから、このアンテナを6段スタックして使っている。(プラス、その下に双ループ)

電波塔のトップは一番目立つ部分でもあり、特に6段ともなると尚更だ。東京タワーはアナログテレビ時代から、トップはこのバットウイング形式のアンテナだったので(=NHKテレビ用)、むしろ一般的に電波塔というとこのアンテナのイメージが定着しているような気もする。当たり前だが、付いているアンテナが電波塔全体のイメージに大きく影響する。


三山送信所のトップは地デジの千葉テレビ用で、見る限り、アンテナは双ループ形式の3段4面配置のようだ。UHFなのでカバー付きでも小型で済むのでトップはスマートで、これはこれで塔の上から下の脚部まで均整がとれた美しさのように見える。

三山送信所は、住宅街のど真ん中に在りながら、どちらかというと周囲に溶け込んで調和しているような感じで、風景的にあまり違和感がないのが特徴的だ。ある意味、既にこの街を象徴するものになっているのかもしれない。


11QSO、各局TNX!!

 (2024/5/29)







運用データ


 
■運用日時・場所:
 
  ・2024年5月26日(日) 
    8:20~11:50 千葉県南房総市磯笛公園


 ■使用&装備リグ:
   CB : ICB-87R (SONY/ラジックス改新技適)
      NTS115(西無線研究所)

 ■使用&装備電源(CB機)
    リチウムイオンポリマー電池:
     11.1V/1.5Ah、11.1V/5.1Ah

 




QSO局
11QSO TNX!!
  
(敬称略)

2024年5月26日(日) 快晴     
イワテB73/6 57/57 イワテIW123/岩手 53/55
モリオカKO128/岩手県盛岡市 53/54 いわてCY16/岩手県 56/56
アオモリRD208/青森県下北半島  57/56  いわてDS94/岩手県  55/55 
いわてCB75/岩手県  53/52  アオモリGK828/青森県  55/58 
いわてCB75/岩手県  52/54  アキタSS229/秋田県  54/55 
ヨコハマGA422/北海道釧路港  54/55     
   





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