2024運用記
仙台(前編)
宮城県仙台市・福島県相馬市


 【寺岡の静かな森の中に建つ「とんがりタワー」: 前回から気になってました(笑】 





再び仙台へ



前回の春オン運用(以下「3月運用」)では、東京FMのFM電波が仙台まで届いていることを再確認しようというのが主なテーマだった。「再確認」というのは、2018年の栗駒運用の帰りに、東京FMをキャッチしていたからだ。結果の詳細は、3月の運用記に記している通りだが、仙台ヒルズゴルフ俱楽部の裏側の東北道上で一応再確認はできた。

ただし、3月運用では、簡単に確認できるだろうと少々甘く見て向かったこともあり、「なとらじ」(名取市のコミュニティFM局)という思わぬ伏兵の出現もあり、なかなかガツンとくる入感を確認できてはいない。更に、パティスリー「Soin」に向かう途中(笑、市内寺岡地区でも、東京FMとおぼしき入感をたまたま確認したものの、確かなことは言えないので、なんとなくもやもやしたままではある。

そこで、今度は、少しだけ(あくまで少しだけ)気合を入れて、もう一度確認に伺ってみようという魂胆だ。「まだ、やるんかい?」という声も聞こえてきますが・・・。

今度は「少しだけ」気合を入れるために、3月運用の結果、引き続き気がかりな点と、その時出た問題点を次のように簡単に整理してみた。


引き続き気がかりな点:
1)2022年のSV運用で確認できた、村田ポイントでの東京FMが、3月運用では東京FMが受からずに、代わりに、同SV運用時には確認できなかった、J-WAVEが確認できたこと。つまり、2022年のSV時は、J-WAVEと東京FMの入感を勘違いしたのではないかという疑念。(「村田ポイント」については、3月運用を参照)

2)仙台市北部の寺岡地区で、東京FMとも思われる怪しい信号の入感を、走行中にスポット的に確認したものの、本当にそこまで東京FMが飛んでいるのか???

3)仮に、上記2)が本当だとして、その寺岡地区での入感スポットと、東京タワーを結ぶと、3月運用で最後に確認できた東北道上での入感ポイントが経路上にあること。(⇒3月運用記の写真を下に再掲)

4)東北道沿いの中山台近辺での怪しい入感は、東京FMだったのかどうか?これらの入感ポイント(=3月運用記後編 図表1の①と②)は、結果的に、上記3)と同様、東京タワーから寺岡への経路上にある。

5)J-WAVEは、村田ポイントより北では確認できなかったので、なんとかその先まで確認できないか。

6)回折波などよりよほど気になった、寺岡地区のタワーと音楽堂(笑。


 
   3月運用記後編の図表1と写真


問題点:
A)80.0MHzの東京FMの確認は、80.1MHzのなとらじのかぶりの影響が出る場合が多く、東京FMが微弱信号の場合は、うまく確認できる場所が物理的に相当限定される。(かぶりの影響は、当局のカーラジオを基準にしているので、ラジオにより差があると思われる、念のため。)

B)81.3MHzの J-WAVEについては、村田地区から北へ上がれば上がるほど、同じ周波数である気仙沼からのエフエム仙台(Date fm)の中継局の電波が強くなるので、どこへ行ってもほとんど確認不可能。



そこで今回は?


B)については、もちろんダメ元でJ-WAVEも確認してみるが、今回はJ-WAVEと同じスカイツリー発射であるAMラジオ局のTBSラジオ、文化放送、ニッポン放送のFM補完放送で入感をトライする。3局のFM補完放送の周波数は、それぞれ90.5MHz、91.6MHz、93.0MHzで、ネット上などの情報によれば、アンテナは3局の共用、出力7KW、最大ERP57KWで、J-WAVEと同じだ。J-WAVE自体は「聞こえない」としても、3局のうちどれか聞こえてくれば、J-WAVEも「聞こえている」と推量することにする。

A)については、東京タワー発射のAMラジオ局のFM補完放送はなく、有効な手立てはないので、基本的には調査場所における「なとらじ」の入感の仕方次第という運に頼るしかないが、一応、同じ東京タワー発射のもうひとつのFM局であるInterFM897(89.7MHz)でも試してみることにする。ただし、InterFM897(interfm)は関東一円で聞こえるものの、もともとのサービスエリアは東京特別区と横浜程度で、基本的には広いエリアは想定されていない。したがって、アンテナは東京タワーの特別展望台(トップデッキ)より下にあり、東京FMより100m以上地上高が低いうえに、東京FMの最大ERP125KWに比べて、13KWとかなり低い。したがって、仙台で受かる望みは全くない・・・と行く前から思われたが、・・・結果的には驚きの展開が・・・(笑。

ちなみに、東京FMは出力10KWなので、アンテナで二けたレベルのゲインを稼いでいることになる。アンテナの基本は、トップが333mHのスーパーターンスタイルアンテナ6段とその下に2エレメント双ループアンテナ2段1列4面だが、ビームのコントロールのためか、北面(=北方向)の双ループアンテナはスタックしていないようである。いずれにしても、FM局としては、異例とも思えるような強力な送出能力である。



今回は、驚きの連続??・・・(爆


入感の調査といっても、やみくもに当たるわけにはいかないので、今回は3本のラインを想定し、その3本のライン上にある福島県以北のポイントについて、南から順に、つまり確実な順に確認していこうという作戦だ。最後の楽しみに、一番北にある寺岡地区での確認をとっておくことにする(笑。

3本のラインのうち、ひとつは今回の最終確認目標である、寺岡地区と東京タワーを結ぶライン(以下「寺岡ライン」)となるが、もうひとつは、スカイツリーと村田ポイントを結んだラインでこれを更に延長したライン(以下「ST村田ライン」)である。残りの一つは、入感を「予想する」ラインで、スカイツリーと女神山山頂を結んだ延長上の最強?ライン(以下「ST女神ライン」)である。

これらのラインは3本とも、八溝山エリアと福島県川俣町の女神山周辺を経由するラインとなる。特に、スカイツリーは東京タワーより東側にあるため、ST村田ラインについては、純粋に八溝と女神山の2点回折のみで宮城県の村田ポイントに到達していると想定される。(八溝側ポイントと女神山の経路上の2点間は光学的見通し)

寺岡ラインについては、厳密には八溝エリア内で2点回折していると思われるが、マクロにこれを1点とみなすと、こちらも八溝と女神山周辺の2点回折のみで仙台市の西側エリアに着弾していると思われる。

ST女神ラインは「予想ライン」で、意図的にスカイツリーと女神山山頂を経由するラインを想定し、これを仙台市方向まで延長したラインだ。理論的には山頂を経由するラインの方が入感が強くなる可能性は高いと思われるので、この予想が正しいことが確認できれば、この二点での回折がより確からしくなると同時に、回折領域内での他のラインとの微細な違いによる影響を考えるうえで参考情報になると思われる。(寺岡ラインは微妙に山頂からはずれており、ST村田ラインは近くの580m峰での回折と思われる)

これらのライン例を図示すると、下のようになる。もっとも、地図上の大圏コース(最短距離)は、地球をあるモデルに従って数学的に計算していることや、電波は散乱や反射の影響があること、また、地形(山の斜面の長さなど)の影響などにより、必ずしも実際の電波が届いている経路と一致するわけではない。

 左から、「寺岡・朝日エリア」、女神山周辺、八溝エリア 【出典:地理院地図 地理院地図Vectorより作図】



確認エリアは、南から、「丸森エリアA、B」(宮城県丸森町)、「村田エリアA、B、C」(宮城県村田町)、「村田ポイント」(宮城県村田町)、「茂庭台エリア」(仙台市太白区)、「落合エリア」(仙台市青葉区)、「中山台・南中山エリア」(仙台市中山台、南中山)、「寺岡・朝日エリア」(仙台市泉区)である。

確認「エリア」については、基本的には下図のように、女神山からの見通しがよくなる、いかにも飛んできそうな(笑)山の上や高台(=下記図形上の「崖の上」)の地区に狙いを定めるわけだが、実際にはそんなに都合よく、山の上や高台に確認できるような道路が走っている訳もなく、確認「ポイント」としては山腹の林道であったり、「落合エリア」のように、山間の谷の県道上であったりする。特に蕃山(仙台市青葉区)のあたりは、図からも分かるように女神山から見通しとなっているので、最も気になるエリアだが、これまでに記している通り、このあたりの山岳域は基本的に山の上近辺まで近寄れる道路がない。


   寺岡ライン、女神山から北側の見通しと各確認エリアの相関。
   (左端:女神山、右端:寺岡地区)



結果的に、今回の確認調査ではinterfm以外にも驚きの連続となった(笑。やはり電波は生き物であることを再認識させられた。改めてグランドウェーブの奥深さを感じる。


  
<中編につづく>



 (2024/05/2)


   丸森エリアAにて受信中の様子





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