2024運用記
泉ヶ岳(前編)
宮城県仙台市・村田町


 【A地点(村田ポイント)にて】 





やっぱり、うっかり八兵衛だ!



サラリーマンを長くやっていると、他社の人たちと、打ち合わせや会食、懇親会等で話をする機会も相当蓄積してくる。転勤族の方々と、今まで生活した中でどの場所が一番よかったか?といった話にはよくなるのだが、一番人気が高い(評判が良い)のは、仙台と福岡だ。だいたいこの二つの街が挙がってくることが多い。三番目ぐらいに札幌か?仙台はプライベートの生活や仕事をする上での環境が総合的に良いとのことだし、福岡は加えて、人々の人情味が厚いということを挙げられる方もいる。札幌は、どちらかというと血気盛んな若い層に人気が高いようだ。

先月の運用記では、主にJ-WAVEを中心に、福島県国見町や宮城県白石市での電波の回折状況の確認について記したが、今回は、仙台市内まで足を延ばして、残された調査課題?である、東京FMの再確認である。すなわち、2018年の栗駒運用時の帰りに確認した、仙台ヒルズゴルフ倶楽部近辺での、東京FMの回折波の受信を再確認してみることが今回のメインだ。ただし、オンエアデーであるので、泉ヶ岳の中腹(仙台市泉区)まで上がって、一応11mとLCRをついでに運用しようというもくろみである。


ミッション内容と履行結果は、以下の通りだが、その前に、先月(2024年2月)の「天井山運用」(以下、「先月の運用」)での認識の訂正からだ。先月の運用記「後編」では、白石市のポイント⑮と、中在家と呼ばれる地区で、「59でJ-WAVEを受信」としたが、これは誤りで、受信したのはJ-WAVEと同じ81.3MHzの、エフエム仙台(Date fm)の気仙沼にある中継局を受信していた模様だ。(先月の運用記も追記して補正)

先月運用時もJ-WAVEと同じ周波数である81.3MHzの中継局の存在は認識していたが、まさか気仙沼から飛んでくるとは端から思いもせず、Date fmとの比較チェックを現地で怠ったのが原因だ。実際、丘陵の反対側の国見町までは、J-WAVEは確実に飛んできているので、先入観が働いてしまったようだ。それにしても、うっかりにもほどがある。

ということで、結果的に「全国おとな電話相談室」に電話して、無着茶先生に59の理由を聞く必要もなくなったと、一瞬喜んだのだが、むしろ「気仙沼」はJ-WAVE以上に謎を深めたようにも思える。このことについては、誤りに気付いた経緯も含めて後述する。

なお、今回の運用記でも、先月の運用記の定義にならって、「前回の運用(記)」は2023年3月の春オン運用(記)を、「前々回の運用(記)」は2022年7月の屏風岳運用(記)を指す。


まずは、今回のミッションを次のように整理したうえで、現地に赴いてみる。

★ミッション1:
 宮城県村田町の「A地点」(以下「村田ポイント」)での、東京FMの再々確認。

★ミッション2:
 東京タワー⇒村田ポイント回線の延長上での、受信確認パート1。(茂庭台地区)

★ミッション3:
 泉ヶ岳中腹での、11mとLCR運用。

★ミッション4:
 東京タワー⇒村田ポイント回線の延長上での、受信確認パート2。(錦ヶ丘地区)

★ミッション5:
 東北自動車道周辺での受信確認。(中山台、南吉成、権現森地区)

★ミッション6:
 パティスリー「ソワン」に立ち寄る。(寺岡地区)

★ミッション7:
 仙台ヒルズゴルフ倶楽部周辺の、東北自動車道での受信再確認。

★ミッション8:
 常磐自動車道上での回折波探索。

下の地図1は、ミッションごとのマクロの位置関係を示したもので、赤線が東京タワー⇒村田ポイント回線の延長線、青線が東北自動車である。

 
  地図1
  赤線:東京タワー⇒村田ポイント回線の延長
  青線:東北自動車道
 



★ミッション1: 村田町では驚きの結果が待っていた?(笑



地図2は、「前回の運用」で使用した地図を拡大して再掲したものだ。赤エリアは、福島県での回折場所と仮定される、一貫森・女神山地区(福島県川俣町)からの見通し範囲である。「A地点」は前々回の運用で、東京FMを再確認できた場所である。

まず、春オン運用の前のあさイチの仕事は、前々回の運用で入感を再確認しているこのA地点「村田ポイント」で、東京FMの再々確認=2度目の再確認を行うことだ。

これまでに何度か記しているように、このポイントは東北道上を走行中に東京FMを確認した時のポイントに最も近い場所として、「前々回の運用」時に再確認に訪れた場所で、東北自動車道の側道になる。このポイントが、一貫森地区からの数少ない見通し地区(赤エリア)の中心部に当たることは、後になって分かったことで、そのことが「前回の運用」の計画につながったという経緯がある。


  地図2



いつものように?、県道から東北道上の橋を渡って、側道へと近づいていく。橋を渡って左折してすぐのところ、民家の入り口の前が、前々回でいうところの57ポイントだ。もちろんラジオはかなり前から80.0MHzにすでに合わせてある。

ねんごろに、ポイントにそろ~りと到着してみる・・が・・・・うん・・・・、えェ~?、全然入感がないんですんが(爆。全く何も聞こえない!(おそらく、サイタマKM117局さんだったら「まったく何も聞こえま千円!」と発しているところだろう。)

そんな、ばかな・・・。

と、J-WAVEに切り替えてみると、ガンガンに入感してくるじゃぁ、あ~りませんか。

今回は「やはり入感とラブ・ストーリーと辞令は突然だ!」などと意味不明の事を言っている暇はない、これは絶対におかしい。「前々回」は、東京FMが57~58程度で入感するも、J-WAVEはかすりもしなかったからだ。それとも前々回の運用で、当局が二つの局を勘違いしたのか???いやいやそんなはずはない、ディスプレイのタッチパネル上に出てくる大きく周波数/局名が記載されたボタンをタッチして選局している。それも二度や三度ではない、五回も六回も切り替えながら確認していたはずだ。ん~、そんな馬鹿な!

Sは前々回の東京FMよりごく僅かに強いようで9に近い?S8だ(笑。誤差範囲だが。


  村田ポイント:左写真の橋の右側が県道。側道は草が刈りこまれたのか、前々回に比べかなり
        すっきりとしている。



それにしても、いったいどうなっているのか。回折波では、今まで聞こえていた波が、ある日突然聞こえなくなるというのは時々聞く話なので、東京FMが聞こえなくなるというのは理解はできる。問題は81.3MHzのJ-WAVEがなぜ突然聞こえるようになったのか、ということだ。

そこで、ハタと思いついたのが、気仙沼のDate fmの中継局だ。ここらあたりまで北上してくれば十分あり得る。さっそく、77.1MHzの本家本元の仙台のDate fmをチェックしてみるが、「J-WAVE」とは全くの別番組。したがって、聞こえてきているのは確かにJ-WAVEだ。(当局は、ラジオ受信時にカーナビの画面(車の位置)と一緒に動画を撮影しており、帰宅後に、念のためradikoでJ-WAVEの放送内容を再生チェックしたが、当たり前だが、全く同じだった。)

一般的にはコミュニティFM局がJ-WAVEのコンテンツを流している時は多々あるが、コミュニティFM局を含め、ここらあたり、というか東北地方で他に81.3という周波数を使っているのは、エフエム青森のむつ中継局ぐらいだ(笑)・・・少なくとも当局の周波数リストでは。

11mの移動運用は泉ヶ岳中腹(仙台市泉区)を予定しており、その前に、茂庭台エリアでの回折波チェックもあるので、あまり考え込んでいる暇はない。帰りに時間があったら戻ってくることにして、とりあえず、入感状況の確認だ。

前々回同様、ここから車を坂道の下方(南南西方向)にゆっくり進めながら、Sの状況を確認してみる。300mぐらいに渡って、52~56程度の間をゆれながら入感してくる。このことは、ちょうど「赤エリア」の範囲内でのみ聞こえてきていることになるので、ホントかウソか分からないが、十分理解はできる。また、この入感の仕方は、感覚的には前々回の東京FMと極めて類似している。ただし、前々回は「村田ジャンクション」の標識近辺で、56程度振ってきたのが、今回は53程度で、強くなる場所が前々回とは微妙に異なるようだ。

東京FMではなかったが、とりあえず回折波は確認できたので、次の確認エリアへ移動だ。


 村田ポイントより、南方向。もう少し、左側を撮影しておけば、カシミールのように一貫森-女神山のラインが
 見えたはずですが・・・残念。



★ミッション2: 想定外の問題が・・・!


今回の確認の全体の目標としては、仙台ヒルズゴルフ倶楽部近郊(以下「仙台ヒルズポイント」)での東京FMの確認だが、そのエリアと村田ポイントとの間での確認が、このミッション2とミッション4ということになる。つまり、村田ポイント近辺を通過した回折波が、仙台ヒルズポイントに達する前の回折波を捕えようというものだ。

確認ポイントとして予め目を付けたのは、仙台市太白区にある茂庭台と呼ばれる住宅街のエリアだ。なぜここなのかというと、東京タワーと村田ポイントのラインの延長線上にできるだけ近く、比較的周囲より高い場所だからだ。村田ポイントからの延長ラインは、実際にはもう少し西側を通過しており、この近くにある萱ヶ崎山や西風蕃山などがアバウトにそのライン上にあることにあり、おそらくそれらの山頂にあがれば、普通のラジオでもキャッチできる可能性大と推測されるが、車では行くことができない。

茂庭台は、山を切り崩して住宅街を造成したような場所で、最高点は標高209m程度ある。村田ポイントが標高約139mなので、標高だけ取ればそこより高い場所ということになる。

この街は人工的に造成しただけあって、外周を馬蹄形のように道路が取り囲んでおり、馬蹄形の中の区画もきっちり整理されている。この外周の道路を下から時計回りに少しづつ高度を上げていくと・・・、徐々に信号が入感し始める。

しかし、ぬか喜びする以前に、この入感の仕方は回折波としては違和感がある。信号の輪郭の上がり加減からすると、近場からの電波っぽい。おそらく、東京FMではなく名取市にあるコミュニティーFM局「エフエムなとり」(=「なとらじ801」)の信号だ。

このFM局の周波数は80.1MHzで、80.0ではないが、かぶりで80MHzでも聞こえてきてしまうのだ。茂庭台の最高点ではRS54~55位だ。かぶりの変調音なので、きたない信号だが、これぐらいのS強度だと内容はすべてわかる。

しかし、これには参った。これでは、80.0MHzの確認どころではない。仮に東京FMが弱々しく飛んで来ていたとしても、潰されてしまう。もともと「なとらじ」は名取市周辺のみをサービスエリアとして想定しているのだろうが、ある程度高い場所に上がると聞こえてきてしまうようだ。出力はコミュニティFMとして標準的な、上限の20W、アンテナは名取市役所のようだ。

さらに悪いことに、81.3MHzのDate fm(気仙沼)もここでは58で聞こえてくる(笑。なんともはや~、である。

これでは調査にならないので、志半ばにして、茂庭台を去ることになるが(笑、このあとも81.3のDate fmはほぼどこへ行っても入感してくることになる。「なとらじ」の方は、さすがに出力が低いだけに、仙台市の西側地区では聞こえてくる場所は限定的だ。ただし、出力が小さいだけに、かぶって聞こえてきたときに、微妙な入感になり、これはこれで東京FMとの入感の違いが判らなくなるという大きな問題点がつきまとうことが分かってきた。

左)茂庭台最高点付近 
中)、右)想定パスは茂庭台の西側なので、こんな場所も探索してみますが・・・聞こえてくるのは、なとらじとDate FMのみ。



想定外の問題がでてきたが、11mの運用があるので、一路スプリングバレー仙台泉スキー場に向かってみる。

泉ヶ岳へと運転しながらつらつらと考えていたのが、先月運用の白石地区での81.3MHzの59だ。あの時は、気仙沼など全くの想定外だったので、眼中にはなかったが、今日茂庭台ではかなり強く入ってきたし、それ以前に村田ポイントを出た段階で標高が少し上がると場所によっては入感があるのだ。ひょっとして、白石まで飛んでいる???可能性がある。

そこで、帰宅してから、先月撮影していた動画と番組表をチェックしてみると、受信していたのはやはりJ-WAVEではなく、Date fm(エフエム仙台)の番組だ。エフエム仙台はJFN加盟局なので、自局製作番組以外は基本東京FMと同じ番組なので、J-WAVEとは簡単に区別がつく。それにしても「こいつは、うっかりだぁ~」では、すまないくらいの初歩的な勘違いだったが、そこでむしろ謎が深まってしまった。

先月運用時は「気仙沼」ぐらいの認識しかなかったが、調べてみると送信所(中継局)は標高486mの「長の森山」山頂、出力100W、3エレ八木のようだ。気仙沼はご存じの通り、岩手県側に食い込んだ、宮城県では海岸側の最も北の場所、一方、白石は内陸側南端の県境で福島県と接する場所なので、電波は南北を突っ切るような形になる。(実際、エフエム仙台も白石は別エリアの認識で?、白石市内向けには市内北東部に別途出力1Wの中継局を持っている。)

中央左下のアンテナタワーがある場所が、
ポイント21。画面左側が白石側。
気仙沼は中継局なので出力はアマチュア無線並みの低さだ。しかも先月運用のポイント⑮も、中在家ポイント(=ポイント23)も、電波の到来方向(気仙沼)から見ると、恐ろしくひどい山陰だ。(右に先月運用記の地図を再掲)

山陰なのでどこかで回折しているには違いないが、回折ポイントまでやってくるうえで、500m近い発信場所の標高がものを言うのか???それでも、周辺の平野部には他にいくらでも見通しがいい場所があるのに、なぜ山裾もしくは山中のそこだけ59なのか???どこでどうやって電波が急峻に回り込んでいるのか、かえって疑問は深まってしまった。やはり無着茶先生に聞いてみるしかないのか???

さらに、500mというと高い場所のようにも聞こえるが、少なくとも我々CBerがGW狙いで移動するのはもっと高い場所だ。実際、当局も通常運用するのは700m~800mから上で、500mを切ると、GWでは「かなり低い運用場所」というイメージしかない。

ちなみに、あらためて先月動画に記録していた受信内容を確認してみると、「白石市内県境エリア」に届いていた電波(ポイント⑫、⑭を含む)は、白石市内の東北道上を含め、すべてDate fmだった。一方、丘の反対側、国見町側のポイント⑳や21及び22の厚樫山は、すべてJ-WAVEである。(番組内容はもちろん、動画でもラジオ自体からそのように局名が流れてきている(笑)

ポイント⑳と21については、先月の運用記で地図上に番号は記していたものの運用記本文では触れていなかったが、RSは52と53程度である。

したがって、これまで想定されていた前提条件の一つである「スカイツリーから白石市内方向に回折波が飛んでいる」ということについては、国見町の白石の境までは確認できてしまっていることになるので、あくまで結果オーライだが(笑、この想定自体は正しいということになる。したがって、聞こえていた放送局に勘違いはあったものの、この想定及びそれに基づく仮説等については過去にさかのぼって追記・訂正はしていない。


いよいよ次はミッション3、一応OADなので、11mの運用だ。運用場所は、泉ヶ岳中腹にあるスプリングバレー仙台泉スキー場の駐車場だ。今日は、予報通り朝から天気が悪い。昼に向かってどんどん悪化するようなので、短時間勝負である。


  <後編につづく>


 (2024/03/24)






ひとつ前の運用記  次の運用記  HOME




© Nagoya YK221/なごやYK221