[幻のパティスリー ]



グラン・ジュテ

昨年の秋オンは暴風雨の中、秋田駒ケ岳でのQRVだった。無線は散々だったが、温泉の方は乳頭温泉郷でずいぶんといい思いをした(笑。今年は昨年のリベンジで再び秋駒でもよいのだが、今年は違った温泉に行きたいという理由から、少し場所を変えて、栗駒での運用を計画してみる。ということで、秋オンは栗駒&須川高原温泉だ。

栗駒山は、山域的には宮城、秋田、岩手の三県にまたがり、山頂的には岩手県一関市と宮城県栗原市の境にある。高山植物や紅葉が見頃の季節には人がごった返すほどの人気の山だ。標高は1,627m程で、子供からシニアまで手軽に登れる山だ。山頂へは東西南北から2時間~ 6時間程度のいろいろなコースのバリエーションがあるが、当局が選ぶのは言うまでもなく最も時間が短いお手軽コースだ。山頂での運用時間をMaxにするためである。時間が短いコースは、栗原市側からの中央コースと、岩手県須川温泉側からの須川コースだが、登山口そのものになる須川温泉で存分に温泉を楽しむため、須川コースのチョイスである。

土曜日の昼下がり、まずは須川温泉栗駒山荘の露天風呂に浸かってみる。標高は既に1,000m以上だ・・・

長辺20mはあろうかと思うほどの長方形の風呂から、西側にでんと広がる山並みの景色が、20mの間口一杯、全く障害物なしに目の前に広がる。一時間近く、高原の風情とともに心地よい露天風呂を堪能していると、時間の経過とともに、吹き抜けていく白いガスが視界を遮る時間が徐々に短くなっていく。見下ろすように広がった風景の中に、鳥海山のシルエットが垣間見える時間が少しずつ長くなってきた。

さあ、いよいよ明日は秋オン、栗駒運用だ・・・・・・・・・・とその前に・・・・・。

本来移動運用記であるはずなのに、なぜこうもケーキが登場するのか???その理由は「今回も」定かではない(笑。

チーズケーキは素材の持つ味わいが十分に生かされた、濃厚ながら軽やかな味わいだ。左はザッハトルテ。店にはほかに、イチゴのショートやモンブランなどの定番アイテムが並ぶ。
マドレーヌやレモンケーキ等の焼き菓子系もおいしい。
 


「グラン・ジュテ」は栗駒山への途中、旧一迫町(=いちはさまちょう、現栗原市)にある小さなパティスリーだ。周りは見事な田んぼばかりの田園地帯にある。周りの風景の、いい意味での「田舎度」の度合いは昨年4月の岩船山運用記で紹介したエド オータヤ以上か?それにしてもなぜ鉄道も駅も何もない集落にこのようなしゃれたお店が存在するのか???・・・思考を迷宮へと追い込んでくれる(笑。ちなみに、「グラン・ジュテ」というのは、バレエ用語で飛躍や大跳躍の動作を指すらしい。

一週間丹精を込めて作品を作っているせいか、開店するのは週にたったの二日間という、いわば幻のパティスリーだ。今日はその二日間、金・土のうちの貴重な一日だ。


栗駒山荘の露天風呂から上がってくると、青空も見えだした。さあ、いよいよ明日は秋オン、栗駒運用だ。明日は晴れるのか?


 
(左)須川温泉登山口:
栗駒山荘の露天風呂から上がると、青空が広がり始める。手前は須川温泉旅館、その向こうに見えるのが栗駒山。

(右)夜のビジターセンター:
駐車場は真っ暗なわけでもなく、空は薄くかかったガスが切れることはないが、それでも、星が良く見える。




2018 秋オン本番



[登山道途中: 秋の入口]




岩木山 GT-06


須川温泉からのコースは山頂まで3.7Kmほど、標高差も500mちょっとしかないので誰でも気軽に登れるコースだ。当局もいつになく、カメラを首からぶら下げて、写真をパチパチ取りながらのんびりと登ってみることにする。このコースは最も景観が良いコースの一つらしい。

登山道は、木道といい、階段といい、よく整備されている。横から朝日が差し込む木道の先には、真正面にこれから登る栗駒が横たわっている。透明な光で満たされた高原は、清々しさでいっぱいになる。ゆるい登りと相まって、ハイクが十分に楽しめるので、人気がある山なのはうなずける。道のわきにはまだまだたくさんのりんどうが朝露に濡れて紫色を輝かせ、木々には赤く実が熟し始めている。山頂部へ近づくと色づき始めた草木の多さが、つい30分前とは違った季節の変化を実感させてくれる。そして特徴的なのは、登山道中腹まですぐ脇に迫り続ける温泉の煙と、硫黄臭だ。

8時前、山頂から静かな8チャンネルでCQを出してみる。誰もいないかと思いきや、各局既に待機中だったようで、数局から応答をいただく。しまった、ひょっとして8ChはEs待機か、と思ったときは既に時遅しか?OADとあって、ほかにも結構な局長さんがすでに待機中のような空気感だ(笑。

栗駒は宮城と岩手の県境なので、うまい具合に両県の局長さんがよく聞こえてくる。岩手側では、お馴染みのいわてDS94局からもコールいただく。そしてこのロケは、福島や青森、秋田の局長さんとも問題なくつながるのがメリットかもしれない。福島からは、お盆の時、1エリアで八間山からつながった、フクシマSP302局からコールをいただく。一か月ぶりのQSOだ。

昨年同様、青森県岩木山山頂ではアオモリAA113局が運用されている。なにやら今年はGT-06をご持参とのことで、待機局としばらくQSOの後、3ChにQSYして交信実験に入ってみる。GT-06は当局も持っているのでよくわかるが、どうも変調をうまくかけないと相手が聞きづらいらしい。しかし、AA113局から届く信号は全く問題なく、変調も極めて普通だ。RSは51だが、小出力機に特徴的な、500mW機をミニチュアにしたような、非常にコンパクトにまとまった音だ。変調のかけ方を工夫されているのかも知れない。岩木山とは感覚的に距離は200㎞ぐらいだろうが、玩トラでもそれぐらいは問題なく届くということだ。AA113局とは特小でも交信、マイクは別仕立てのようで、DJ-R20Dの変調音もなかなか深くてFBだ。


AA169局はやってきます・・・ょ(笑

「今日はみちのくロールコールがありますよ」、という情報は最初につながったミヤギIT03局からもらっていた。CBの部は9時からのようで、「みやぎコール」のグループとして参加させていただく(笑。ロールコールは、CBから特小、そしてDCRへと続く。高いところにいるので、宮城、青森、岩手、そして福島県内からチェックインされている局長さんがたくさん聞こえてくる。7エリアの住人ではないが、これだけ運用局が多いのは実にうれしい限りだ。

すべてのRCが終了後、DCRの部でキー局を務められていたイワテAD03局さんが、ロールコールを振り返られる。4年前もしくはそれ以前の7エリアの状況を考えると時代が変わったように実に7エリアもゴージャスになってきたといわれる。「4年前」とは当局がイワテAA169局さんのところにお邪魔し、AD03局などとともにアイボール会を開いた時のことだ。その時に比べ、今は運用局の数が相当に増えてきたことは、感慨深いものがあるのだろう。当局的にも、2011年に早池峰山からQRVしたときにつながったのが6~7局のみだった時の感覚は、今となってはずいぶんと遠い世界になったような気がする。AD03局もその時つながった内の1局だ。

本当はまだ7年しか経っていないのだが、7エリアでそんな昔?の話ができるのも、早池峰山山頂で全く偶然アイボールしたAA169局さんが、その後のきっかけを作ってくれたからかも知れない。だから、7エリアまで来て絶対に忘れてはならないのは、イワテAA169局さんとつながることだ。

AA169局さんは、DCRでのロールコールチェックインでこちらにもよく聞こえていたが、終了後、11mでCQを出していると、果たしてコールが入ってくる。種山高原なので、入感は強力だ。Esの離島運用では、運用記で3年連続『AA169局はやってくるか?』と勝手なタイトルをつけている当局だが、今日はグランドウェーブなので間違いなくやって来る(笑。その代り今日はどこらあたりから出てこられるか、興味があったのだが、種山高原であることは、既にDCRで判明している。ただし、さすがはAA169局、岩手山に二週連続して登られていたようで、本来なら昨日は山小屋泊で、今日のOADは岩手山から出られる予定だったようだ。天気予報が思わしくなかったので下山されて移動場所を変更されたようである。(残念!)

『いつも、しょうもないタイトルで勝手に記事を書かせてもらってすみません』、と詫びつつ、今年のJD1母島運用では残念ながらつながらなかったことや、栗駒山の紅葉の話などで盛り上がり、ついついロングQSOになる(笑。AA169局とQSOせずには帰れないので、これでいつでも下山して温泉に浸かれる(笑。今日は本チャンの須川高原温泉の大露天風呂が待っている(笑。

 
   


ビヨンド・ザ・アベレージ

温泉を気持ちよく終えればあとは帰るだけだ。しかし、今日はまだタスクが一つ残されている。まずはその前に、栗原市を通過中に「あ、安部礼司」を聴取だ。「あ、安部礼司」はTOKYO FMをキーステーションに日曜日の夕方放送されているFM番組だ。忘れたり、用事がなければたいていは聞いている番組ではある。ただ、日曜のこの時間は忘れることが多いのが実態だ(笑。番組によれば、内容は『ごくごく普通のサラリーマン・安部礼司がトレンドの荒波に揉まれる姿と、それでも前向きに生きる姿を描いた勇気と成長のコメディである。』

残されたタスクとは、東京へ戻る道すがら、80MHzのTOKYO FMを聴取するという簡単なタスクだ。しかし、ここはまだ栗原市内なので当然ながら、地元のFM局の周波数である。あくまでタスクは80.00MHzである(笑。

安部礼司と言えば、「大日本ジェネラル」である。(以下の内容は、こちらを参照ください) 電機メーカー傘下の大日本ジェネラルの開発部なら新しい技適のCBトランシーバーを作ってくれるかもしれない(笑。(大日本ジェネラルとは、安部礼司が勤める、もちろん架空の会社である) 当局の会社では、出張や顧客訪問、来客、社内打ち合わせ、会食など、個々人のすべてのスケジュールは部内誰でも見られるDB上で管理されている。この予定表の出先として、以前、「大日本ジェネラル(神田神保町)」と書いたりしていたが、ほかの人たちからは、(当然?)完全に無視されてしまった(笑。(カッコ内は、出先の場所を指す)姫川皐月や鞠谷アンジュにでも会いに行くつもりか?と、愛想をつかされたに違いない。大日本ジェネラルの他には「うっかり八兵衛」や「風車の弥七」などと、会食場所として書いていたのだが、これも反応はない。以前NHKで放映されていたギャグ番組、「サラリーマンネオ」的世界が好きな当局にとっては、社内でなかなか冗談が通じないのは残念ではある。誰か突っ込んできてもおかしくはないのだが(笑。当局はどちらかというと上司の部類なので、大場嘉門のように「大バカモン」と怒るような上司もいないのである。ちなみに、念のため後で調べてみたら、「うっかり八兵衛」というのは飲食店として実在するらしい(笑。

去年の冬には「午後の紅茶(南阿蘇村)」とも書いていたが、これも全く無視された格好だ。出先として「午後の紅茶」もへったくれもないもんだ。さすがにこちらは反応あるかとおもいきや、こちらも反応なし。この場合の午後の紅茶とは、熊本県の南阿蘇鉄道の見晴台駅を舞台としたTVCMだ。駅のホームで上白石萌歌さん演じる女子高生がヘッドホーンで音楽を聴きながら、列車から降りてくる彼氏?を待っているシーンが出てくるCMである。もちろん当局の「CM」はこちらの業界関係とは全く関係ないことは言うまでもない(笑。


TOKYO FM 59!

・・・・・と、そんなどうでもよい話はさておき、東北道に乗り仙台が近づいてくるといよいよタスクの始まりだ。タスクとは前述の通り、TOKYO FMすなわち80MHzを聞くこと、である。つまり、東北道上でTOKYO FMがどこまで、言い換えると、どこから、聞こえるかということをチェックすることだ。車を運転しながら、数時間の間ほとんどホワイトノイズを聞き続けるという、結構つらい作業だ(笑。最初に聞こえてきたのは、①仙台ヒルズゴルフクラブ近辺だ。もっともCDを聞いていてFMのスイッチを入れるタイミングが遅かったので、これより遠くでも聞こえる場所があるのかも知れない。続いて、良く聞こえたのは、②山形自動車との分岐となる村田ジャンクション手前300m~400m程度の下り坂の場所だ。こちらはなんと59でバッチリ聞こえる。もちろんまだ宮城県内である。続いてよく聞こえたのは、③福島県に入る直前(つまりまだ宮城県内)の、国見サービスエリア手前の坂を登りきる直前の場所あたりだ。こちらも耳S57から58だ。いずれもピンポイントでの入感である。

帰宅してから計測してみると、①の位置は仙台市中心部から北西方向に8Km ほどの距離の場所で、電波の発信源である東京タワーからは309Km 程の距離だ。②は同様に290Km 、③は261Km程度で当然すべて見通し外である。電波の伝播経路はほぼ同じで、八溝山の西肩、標高700~850m程度の山脈が回折ポイントと推定される。特に①と②は、ほぼ一致しており、八溝山山頂から3Km 程度西に続く標高750~790m程度の稜線を回折ポイントとしているようである。もっとも①と②は宮城側にももう一つ回折ポイントがあると思われる。ラジオを複数台用意して、東京スカイツリー発射のJ-Waveなどと同時に比較してみるのも面白いかもしれない。

 
(左):①の伝播経路。(右)②の伝播経路。どちらもほぼ同じ経路で、八溝山の西肩稜線を通過する。   



36QSO 各局TNX!!                    ('18/9)





運用データ

■運用日時・運用場所:
 
 ・2018年9月16日(日) 7:50~13:00
  ・宮城県栗原市・岩手県一関市 
    栗駒山山頂(標高1,627m)
  

■使用&装備リグ:
  CB : ICB-87R(SONY)、ICB-707(SONY)
  DCR: IC-DPR5(ICOM)+1/4λホイップ
  特小: DJ-R20D(Alinco)

■使用電源
  リチウムイオン電池10.8V/3.0Ahほか

(左):登山道から見た栗駒山


QSO局
36QSO TNX!!  
(敬称略)

9月16日(日) 7:50~13:00  
みやぎIT03/宮城県石巻市上品山 59+/59 ミヤギNE410/宮城県松島町白坂山 59/58
アオモリAA113/青森県岩木山山頂 54/M5 みやぎKK33/宮城県大崎市 51/52
フクシマSP302/福島県二本松市麓山 57/56 いわてDS94/岩手県寺沢高原 51/M5
いわてDE56/岩手県奥州市音羽山 54/52 アオモリAA113/青森県岩木山山頂(GT-06) 51/M5
イワテKA215/青森県岩木山山頂 53/52  イワテKA215/青森県岩木山山頂(特小) M5/M5 
アオモリAA113/青森県岩木山山頂(特小)  M5/M5  みやぎHO43/宮城県大崎市  53/53 
イバラキAA818/宮城県蔵王駐車場  51/51  イワテGS320/岩手県花巻市(DCR)  M5/M5 
イワテRK109/岩手県遠野市寺沢高原(みちのくRC)  56/55  みやぎCB46/宮城県登米市草飼山  56/55 
イワテAB335/青森県八幡平  53/55  イワテSD545/岩手県奥州市月山キャンプ場  59/57 
いわてTX88/岩手県一関市天狗岩山  54/54  イワテTK174/遠野市寺沢高原(みちのくRC特小) M5/M5
ふくしまFD55/福島県二本松市麓山  53/53  ソウマYK115/宮城県丸森町天明山  55/56 
イバラキAA818/宮城蔵王山頂  56/53  やまぐちLX16/山口県岩国市  52/52 
やまぐちAN77/山口県  51/51  イワテAD03/遠野市寺沢高原(みちのくRC DCR)  B3/59
イワテAA169/岩手県種山高原  57/57 イワテB73/青森県岩木山中腹  52/52 
みやぎHO43/宮城県大崎市(RJ-330)  51/M5  アキタCL824/秋田県寒風山(DCR)  M5/M5 
ふくしまAB34/東北道宮城県モービル(DCR)  M5/M5  いわてAD03/遠野市寺沢高原  59/55 
イワテRK109/遠野市寺沢高原  59/54  イワテRC129/遠野市寺沢高原  59/54 
アキタST250/秋田県由利本荘市  51/41  イワテDK801/岩手県大船渡市今出山  51/51 
*Bは傘マークプラス、バーの本数。


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2018運用記
栗駒山(秋オン)
宮城県栗原市・岩手県一関市