2024飛島 |
島にて |
その男子は、島に一つの小・中学校の唯一の生徒だ。次の春で中学を卒業する。一人しかいない生徒である彼は、教師を相手に広い体育館で卓球やバドミントンをする。校舎内には、かつて児童・生徒が持ち回りで番について、文房具などを販売していた購買コーナーが今でもひっそりと残る。
歳を重ねたある老漁師は、遠洋まで出かけるほどかつて盛んだった頃の島の漁業を懐かしく語り、今では細々と一人で漁を続けてきた相棒である自分の漁船をとうとう手放す決意をする。その漁船は漁師というアイデンティティの象徴のように見える。
島でただ一人の神主となった男性は、いくつかある集落の神事を掛け持ちせざるを得なくなった今日この頃である。かつては、それぞれの集落の神主が、それぞれに祭礼を行っていた。
一方で、過疎化する地方の離島の暮らしをなんとか盛り上げようと、一部の若い?人たちが島へ移住し、合同会社を立ち上げ、島の観光などを盛り上げたいと抱負を語る。
『島にて』(2020年公開)はドキュメンタリー映画だが、ことさら何かを悲愴的に訴えようというドキュメント映画ではない。事実を淡々と追っていく。
日本海に浮かぶ飛島は、山形県酒田市の中心部から西北に40Kmほどの距離にある島である。山形県といっても、緯度的には秋田との県境の延長上に相当する。
飛島での運用を計画し始めたのは、もう7、8年前のことである。離島運用という意味では、当局が出かけるのは年に1回程度の話だし、これまではどうしても他に優先したい島があったので、飛島での運用はようやく実現したという形になる。
その間、たまたまこの島を題材にして作られた映画が『島にて』である。当局が観たのは、公開されてから大分経ってからのことだが、映画の存在を初めて知った時の印象は、全国区ではほぼ無名のこんな小さな島が、いったい一本の映画の題材になるのだろうか?という疑問だった。
島の実住人口は140人ほどとも言われる。現在ではもう少し少ないのかもしれない。「実住人口」というのは、高齢の一部の人たちは、住民票はそのまま、酒田などの陸地側の施設などに入所しているからである。高齢化と過疎化は、ほんの一部の都市部を除いてほとんどすべての日本の地域が抱える課題だが、限界集落化していく山奥にある集落とひとつ異なるのは、ここは海上の島ということであり、かつ、そこには230人乗りのフェリーが毎日1便、土日には2便通ってくることが約束されているという点だ。必要な時には一度に大勢の人数が、いつでも確実にコミュートできるという安心感は、何物にも代えがたい。実際、島には海水浴場もあるし、旅館や民宿も少なくない。夏の間は、帰省の人も含めて、かなり賑わうようだ。
この歳になって初めて夜行高速バスとやらに乗り、朝、酒田港の岸壁に到着する。新宿発のこのバス、東京や上野駅を経由し、終着のバス停が飛島行きのフェリー乗り場の真ん前と、極めて便利なバスだ(笑。岸壁にはすでに9:30分発のフェリー「とびしま」が待ち構えていた。
87Rでバンド内をチェックしてみると、全Chすべて静かだ。しかしCQを出してみると、JD1父島のサガミFJ1300局から応答が返ってくる。今朝、通じるのはこのFJ1300局だけのようだ。
飛島は前述の通り、緯度的には山形と秋田の県境の緯度、つまり鳥海山と同じぐらいの緯度なので、電波的には局数の多い1エリアや2エリア、あるいは8エリアとEsをやるにはかなり厳しい、どちらかというと中途半端な位置にある。
果たしてどのような飛び受けをするのか?
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