2024飛島
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  【トビシマカンゾウ】




荒崎にて(1)


 フェリーが島の勝浦港に着くころにはすっかり晴れ上がった。もちろん港と言っても、フェリー一隻だけが着岸できるような桟橋である。

天気もいいので、上陸して真っ先に向かったのは、トビシマカンゾウが咲く荒崎という場所だ。飛島は南北に細長く海底が隆起してできたような島で、科学的には正しくないのかもしれないが、島全体が河岸段丘の「丘」の部分のようなイメージで、荒崎はその丘のもう一段下の、海へ向かって階段状になったステージ部分のような感じだ。

森林となっている「丘」側から緩い坂を下っていくと、まずは土が堆積した野原と、その先に岩場となっている階段状の部分が見えてくる。

同じ日本海に浮かぶ島として、佐渡島がトビシマカンゾウで有名な割には、飛島のトビシマカンゾウはあまり知られていない。当局の半分以上の目的は、名前の由来にもなっているこの島でトビシマカンゾウを観ることである。ただ、深く事前に調べているわけではないが、少なくともこの花が「咲き乱れている」写真というものはWEB上では見たことがない。果たしてどんなものなのだろうか・・・・。

なんと、緩い坂の途中から、一段低い「ステージ」側を見渡せる場所に出てくると、黄色い花があちこちに咲き乱れているではないか。ちらほらとしか咲いていないのだろうという予想を見事に裏切ってくれた。


丘を下りきって、短い木道を渡ると、すぐに海岸が広がる。透き通った水のすぐ向こうには、大きな岩の塊のような島が、突き出ている。日差しがふんだんに降り注いでいる今日の海はしかも穏やかだ。

お~、こんな景色の中で無線ができるとは・・・・(笑。まずは感謝。

幸福感に浸りながら、ひとつ深呼吸して、さっそく87RでCQを出してみる。タイミングよくちょうど昼休みの真っ最中、12:30になろうかという頃合いだ。


電波のお空の方は、例年のこの時期のようにはコンディションは上がっていないようだ。今年はあまりよくない、とは聞いていたが、これが今年の平均的な状況なのかもしれない。

それでもポツリ、ポツリと入感がある。まずは、いつもの通り?九州のイワテB73局からだが、つづいて入ってくるのはやまぐちSH33局、ヤマグチWM201局、ヤマグチTS118局などの4エリア勢だ。そしてJR6のオキナワMO583局などとつながっていく。やはり角度的には浅い反射で、4エリアから先が、ようやくつながっているような感じである。それでも時々信号は強く跳ね上がる。

「今日は酒田で温泉にでも入るんですか?」と言われる、なごやCE79局とも久々のQSOだ。今日は3エリア、和歌山まで移動されているようである。


  緩やかな坂道を下っていくと、トビシマカンゾウの群落が目に飛び込んでくる






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