2024運用記
仙台(後編)
宮城県仙台市・福島県相馬市


 【寺岡の街に朝日が昇る: 右側は寺岡の森と「とんがりタワー」。 「朝日」地区より(笑。】 





  
<中編>からのつづき



今日も驚きの展開が続いていく・・・(笑: 朝から7割達成?


本日(4/29)の調査エリアは、「落合エリア」、「中山台・南中山エリア」、そして最後に「寺岡・朝日エリア」である。エリアの位置関係は、地図5の通りで、仙台市中心街からは、西から北方向ということになる。感覚的なスケール感としては、仙台駅から寺岡ラインの終点(=赤線が終わっている場所)までが、約10Km、JR仙山線の陸前落合駅までが8Km強といった感じだ。


 地図5 【出典:地理院地図タイル 地理院地図Vectorより作図】




まずは「落合エリア」に向かうべく、車を西へと走らせていく。時刻はまだ5時半過ぎだ(笑。

まだ調査エリアではないので、ラジオは80.0MHzで、なんとなくついている状態だ。しかし走っていると、なんといきなりかなりの勢いで入感がある。あれれ、なとらじか???と路肩に車を停めてしばし観測してみる。しかし、どうも東京FMっぽい。おとなりにワンクリックでチューニングしてみると、なとらじは全く別番組を放送中だ(笑。しかし、この道路は県道ながら片側二車線の幹線道路で、いつまでも停車しているわけにはいかない。道路の反対側には路地がありそうなので、先でUターンして、コンビニの裏手に周って、辺りをウロウロしながらチェックにかかってみる。

すると・・・やはり東京FMに間違いない。地図6の赤破線のα領域(南吉成地区)だ。ゆっくりと動き回ってみると、県道上に関していえば、破線のエリアぐらいの範囲は聞こえるようだ。県道から一歩入ったポイントでは58ぐらいで入ってくる。強力入感だ。(他にもっと強い場所がある可能性あり)

しかしこんな早いタイミングで、東京FMをガツンと捕まえられるとは思ってもみず。

折しも時刻は6時ちょうど。東京FMのコマーシャルの後、時報とともに「One Morning」が始まった。この番組は、同じJFN系列のDate fm(エフエム仙台)も同時に流しているので、77.1と80.0を切り替えても、同じ番組が流れてくるということになる。

今朝の東京FMは、2~3分程度の長いQSBの周期に乗っているようで、58~59の時間が長いものの、落ちるときは52程度まで落ちるようだ。このポイントのすぐ北側までは、3月の運用時も調査しているが、なとらじのかぶりのせいか、東京FMが弱かったせいか、その時は電波はキャッチできなかった。

今日、寺岡地区での受信確認はまだこれからだが、一応仙台中心部で東京FMを確認するという目標は、早くも7割方(笑)達成できた。それにしても、偶然80.0を聴いていたのはラッキーだった。


 地図6 【出典:地理院地図タイル 地理院地図Vectorより作図】



今度は落合エリアで想定外が・・・


  図表1
落合エリアで、予めマークしていったのは、地図6の①~⑥のポイント周辺だ。このエリアは図表1をみてもわかるように、山間の谷間に近く、ほとんど入感は期待できない。それでもここを選んでいる理由は、蕃山と権現森はほとんどアクセスできる道路がないので、ここを逃すと調査エリアが茂庭台から中山台へと、一気に飛んでしまうからである。

調査の順番は、丸数字の通りで、まずは①を東側から攻めてみる。このあたり、というより仙台一帯は、どこへ行っても気仙沼のDate fmが入ってくるので、81.3は使えない。スカイツリー波に関してはTBSなどのFM補完放送局ねらいである。


前述の通り、このエリアでの入感は期待できないが、①の手前に着いて、ゆっくりと車を進めていると・・・・・なんと、FM補完局が入感してくるではないか。なぜ、こんな渓のようなところで??? クエスチョンマークが頭の中を飛びまくる。東京方面からすると、ここは蕃山の著しい陰、電波の進行方向に関しては、権現森の山裾が目の前まで迫っているという「谷」である。

もちろん、頭の中では、蕃山はせいぜい標高数百メートルの山なので、実際には回折角度などは大したことないことなどは分かっている。しかし、この見た目の飛び受けの印象と入感とのギャップが、山岳回折波の一番楽しい部分でもあるのだ。

入感場所はと記したスポットで、進行方向左側はすぐに広瀬川、すぐ右側は仙山線の線路が道路より一段高い場所を走っている。入感はTBSが相変わらず一番強く55、文化放送が52~53、ニッポン放送が51だ。東京タワー系と異なり、やはりスカイツリー系はQSBがかからない。また、周波数が高いせいか、RSの割には、ノイズが少なくラジオは聴きやすい。

この入感スポットは、偶然にも寺岡ラインの真下だ。スカイツリーとこのスポットを結ぶ経路は、女神山地区では女神山のかなり東側を通るはずだが、寺岡ラインの真下ということは、女神山地区(もしくは蕃山)の回折エリアには何か秘密があるのかもしれない(笑。

ST女神ラインやST村田ラインは、これよりもっと西にあり、②~④も周囲を含めていろいろ確認してみるが、結果的にさらなる入感はない。(⑤、⑥は手を抜いて調査を割愛)


   スポットBの位置と景色。右写真画面右側すぐを、仙山線が走る。



再び南吉成地区に戻ってみる



落合エリアの次は、中山台・南中山エリアである。このエリアの主な確認目的は、3月に東京FMか、なとらじか不明の信号を受信していたので(=地図7のCなど)、それをはっきりさせることと、3月運用時に最後に確認できた高速道上の区間に近い部分、すなわち仙台ヒルズゴルフ倶楽部の北側周辺(=南中山地区)を確認することだ。

ただ、今朝がた中山台の南側にあたる、南吉成でFBに東京FMが受信できたので、もういちど受信確認をすべく、まずは南吉成地区に向かってみる。

地図7が詳細図だ。ポイントAに行ってみると、受信はできるものの、今度は信号が上がってきても、朝方のようには強くはならない。せいぜい53ぐらいか(笑。やはり、電波は生き物、時間が変わって今の大気の状態を反映しているようだ。

そこで、このポイントのすぐ北側は、高台になっているので、少し高度を取ってみる。

すると、地図上「β」と記したエリアでは、再びFBに入感してくる。実は、この道路は、3月の運用時も怪しい信号を感じたので、4、5回行き来して、確認していた場所だ。その時は、東京FMが弱かったのか、なとらじのかぶりもあり、なかなか確証を得られる信号は受信できなかった場所だ。


 地図7 【出典:地理院地図タイル 地理院地図Vectorより作図】



ここでの東京FMの受信レベルは59と強力、地表面表層の気温は少し上がってきているはずだが、QSBはほとんどかからない。バンドエッジにわずかにかかってくる、なとらじのかぶりを気にしなければ、快適に東京FMを楽しむことができる。もっとも365日、24時間というわけにはいかないだろうが。

スカイツリー発射のFM補完局も聞こえてくる。エリア内では2、3点しか試していないが、少なくともTBSは55、文化放送は53、ニッポン放送も53までは確認できた。気仙沼のDate fmが強力入感しているので、J-WAVEは直接確認できないが、かなりの強さで裏で入感していると推定される。さらに、ここでは90.6MHzのIBC岩手放送のFM補完放送が、TBSより強く聞こえてくるので、TBSからワンクリック同士で、同じ番組が流れてくる。(岩手放送はTBS系列)

そして、なんとinterfmも52で聞こえてくるではないか。これはご立派!!(笑。ただ、このポイントは聞こえてくる領域が比較的広いので、interfm他、各局それぞれもっと強く聞こえる場所があるものと思われる。

そして、さらに想定外が・・・・。というより、このあたりでは常識で、当局だけが非常識なのか???

なんと、78.0MHzでは、千葉のBAYFMがきこえてくるではないか。しかも56程度と、結構強い。BAYFMについては、回折してきそうな山岳コースなどはすぐには頭に浮かんでこない。ビックリ仰天する前に、何か変なことでもしたのかと、いろいろチェックしてみるが、どうもそんなこともない。周波数の目盛りも、デジタル表示もきっちり「78.0MHz」だ。習志野や、袖ケ浦のイベントのローカル情報もしゃべっている。誰か近くで再送信でもしているのか???・・・電波法上有り得ませんが(笑。もっとも、仙台で千葉のFM局を再送信しても全く意味はない。(あとからradikoでも、正真正銘のBAYFMであることを確認。ちなみにBAYFMは、東京FMやJ-WAVEとサービスエリアがかぶる関係上、同じ番組を流すことがない独立系の局である。)


   左:β領域、南方向。奥に見える建物は、南吉成学校給食センター。
   右:β領域、北方向。左奥に見えるのは、西友の物流?センター。


「まあ、interfmが聞こえるので、BAYFMが聞こえてもおかしくないかな」、と簡単に思ってはいけない(笑。現に80.7の千葉のNHK FMは全く聞こえてこない。NHKとBAYFMは同じ船橋市三山の送信所で、少なくとも空中線電力は同じ5KWである。確か、福島市の「天井山山頂」では、2局とも聞こえてきていたはず・・・。

各局をしばらく聞いてみるが、ほとんどQSBはかかっていないようだ。ただ、今朝の東京FMの聞こえ方などを総合すると、どうも経路上の大気の状態(温度、湿度、気圧等)により、屈折指数(修正屈折率指数)の逆転層ができていて、回折損失を相殺するような形で回折波が届いているようだ。もしそうだとすると、ここで一年中定点観測していれば(笑、信号強度(入感ゼロを含む)で、経路上の大気の状態の微妙な変化が分かるという面白い場所なのかもしれない。ただ、BAYFMが聞こえてきたところからすると、今日はがっつりと逆転層ができているのかもしない。

ちなみに、帰宅してから調べてみると、三山送信所はアンテナトップの地上高は180m(タワー自体は160mH)、アンテナトップは地デジテレビ用で、FMは160mより下のようだ。(NHKのWEBサイトによる) また、FM用アンテナはNHKとBAYFMの共用で、2素子双ループの4段1式、4面のようである。


一方、中山台・南中山エリアでは、結論としては、新しい情報につながる信号は、受信できなかった。3月運用で東京FMらしき怪しい信号を受信した、東北道沿いのスポット(下の地図8D)では、今回は入感は全くない。また、もうひとつのスポットCも今回は信号が弱すぎて、不明のままである。

なお、中山台のすぐ南側の吉成地区までは、なとらじのかぶりがかなり激しくなるものの、東京FMは結構な強さで確認できた。

  地図8:中山台・南中山エリア 
  【出典:地理院地図タイル 
  地理院地図Vectorより作図】
   南中山エリア、ポイント④の一角




やはり電波は奥が深い!



 
【寺岡の森に建つ、気になる寺岡音楽堂】




最後のダメ押し???: 来て良かった、寺岡(笑


さて、いよいよ次は最後まで残しておいた、寺岡・朝日エリアである。このエリアは地図9の通りだが、朝日地区(=ポイント③)には現在山を削って?大きな住宅地が造成されており、大部分はまだ整地された区画の状態だが、大きな住宅街ができつつある。住宅地には外周道路もできており、まだ山の状態のままとなっている、現時点での地理院地図(地図9)とは大きく異なる。


 地図9 【出典:地理院地図タイル 地理院地図Vectorより作図】



まずは、丘のふもとの②から攻めてみる。ここは、高度もなく参考程度のポイントだが、やはり何も入感はないようだ。

 朝日地区。中央、やや右に権現森。
ポイント③の朝日地区は、区画が行き届いており、すでに一部戸建ての入居が始まっているが、まだまだ何も建っていない場所が多いので、見通しは良好だ。このポイントは、ST女神回線の直下にあたり、地図9では重なり具合は分からないが、造成された住宅街のほぼ真ん中を斜めに突っ切っているはずだ。場所も高台なので、景色もよく権現森や蕃山の方向もよく見える。期待が高まるが、入感するポイントはなかなか見つからない。

辛うじて確認できたのは、住宅街の中ではなく外周道路上のスポットFGだ。地図上に記した丸印では広い領域のようになっているが、これは地理院地図には外周道路がまだ載っていないので、この辺りという意味である。

実際には、かなりのピンポイントでの入感で、しかもスポットFでやっと51程度、Gに至っては41で、聞こえるか聞こえないかぐらいのレベルである。もっとも、81.3のJ-WAVEは使えないので、これらはFM補完放送での確認で、いずれもTBS(90.5MHz)での入感である。文化放送やニッポン放送は聞こえない。

一応、通常はJ-WAVEよりかなり弱いFM補完放送が入感しているようなので、J-WAVEはもう少し強く入感しているのかもしれない。なお、Fのあたりでは、IBC岩手放送のFM補完放送も53程度で入感してくる。岩手放送の送信所は岩手県紫波町の新山である。

ST女神ラインは「最強ライン」としながらも、あまり最強でもないようだが、まあ一応TBSがきこえてきたのでよしとしよう(笑。

ポイント④は、山の裏側に当たるので、予想通り入感はない。⑤の柴山エリアは、寺岡ラインの延長上にあり、寺岡地区より標高が若干高いので可能性として選んだエリアだが、うろうろしてみたものの、結局電波を捕えることはできなかった。しかし、電波がどうこうというのがどうでもいいくらい、住宅街の街並みが美しいのが非常に印象的だ。

 左: 昼間の、寺岡の森と、頭を出すとんがりタワー。(朝日地区より)
 中: 外周道路上のスポットG
 右: 柴山地区の一角。綺麗な街並みが続く。



最後の最後に残しておいたポイント①はどうなのか???繰り返しになるが、ここは3月運用で怪しい電波をキャッチした場所だ。

ゆっくり車を進めながら確認してみると・・・、やはりここは東京FMが飛んで来ていたようで、スポットEで、東京FMを確認することができた。しかし、朝日地区のスポットFG同様、かなりシビヤーなピンポイントである。

ここら辺りでは、80.1ではなとらじが58程度でかなり強いのだが、幸い不思議なことにその割にはかぶりがほとんどない。強めにきれいに入感しているほうが、中途半端に入感しているよりも、むしろバンドエッジの切れがよくなるのかもしれない。ただし、やはり長周期のQSBがかかっているのか、信号が本当に東京FMなのか、慎重に確認を進めている間に、信号は落ちていった。ピークで52~53である。南吉成での入感状況から察して、今日は屈折指数の関係で、確認できるレベルまで上昇したと思われる。

この道路は、交通量が結構あり、結構みなさん飛ばしてくる(笑。もう少し観察していればすぐに上がってくると思われるが、長い間の路肩停車は迷惑がかかるので、いちおう「良し!」として、調査を終了することとした。

なお、このスポットEは寺岡の丘の森の裾の部分に当たり、地図9の通り、丘の森の中の道をたどっていって頂上にあるのが、3月運用記で記した気になるタワー、「とんがりタワー」である。そして、この森の丘の裾にあるのが、「寺岡音楽堂」(=上写真)である。こちらも相変わらず気になるが、勝手に立ち入るわけにはいかない(笑。


  スポットE(左、中)と、とんがりタワー



仙台良いとこ、一度はおいで・・・(笑



今回分かったことは、ST女神ラインという最強ラインを想定してみたが、際立った差異は認められなかったことと、東京タワーから寺岡に向かっては、ある程度の幅でパスがあるらしいことが確からしくなったことだ。

いずれにしても、一回や二回の調査・確認ぐらいのことでは、何も言えないので、さらなる調査と解析(笑)が必要である。回折波などは昔から学究上の論文はたくさん出ているので、理論的には解析され尽されているのだろうが、実際のところはどうなのかという飛び方に関しては、波長(周波数)はもちろん、地物などの反射や大気の屈折、回折場所の山や峰などの曲率半径など、すべて個別の話になるので、まだまだなかなか奥が深いなぁと思うのではある。たとえば、落合エリアのスポットBなどは、山裾に落ちてくるが故に、蕃山の回折場所は相当に「ナイフエッジ」状なのかもしれないし、南吉成のβエリアなどは、回折波が飛んでくるという事実そのものや、また飛んでくるが故に、屈折指数の変化を肌で感じられるといった場所なのかもしれない(あくまで推測ですが)といったことだ。

そういえば、FMというと、オーディオが全盛だったころ、「FMチューナー」というものがあって(笑、アンプやターンテーブル、スピーカーと同様、オーディオコンポーネンツの一部をなしていて、各社それなりに力をいれて製造していたものだった。(FM放送の週刊情報誌もありましたが。)

コンポーネンツの重要な一部を成していたのは、今では死語になった「エアチェック」をするためでもあったが、一部には、このチューナーと八木アンテナなどを使用して、自宅からDX受信を狙うマニアの方々もおられた。昔は普通に電気屋さんなどでも、FM専用の5エレくらいの八木は売っていた。例えば東京で、名古屋や京阪地区のFM局を狙ったり、東北の局を受信するというものだ。しかも、狙いは出力100Wクラス以下の中継局であったりする。

世の中は、今や「ラジオ」はラジオで聞くより、スマホやPCで聞く時代になってしまったが、そうしたマニアの方々はおそらくまだおられて、今でもきっとどこかでDXを狙われているに違いない。そうした方々は、スマホやPCでは絶対に分からないコンディションや季節の変化などを、いまだに肌で感じておられるのだろう。


仙台という街は、大変素晴らしい街で、近いうちにもう一度「運用」してみたいものである。


4QSO、各局TNX!!

 (2024/5/10)



  パティスリー「Soin」。イートインもできます。




運用データ


 
■運用日時・場所:
 
  ・2024年4月28日(日) 
    8:20~11:40 福島県相馬市相馬港

 ■使用&装備リグ:
   CB : ICB-87R (SONY/ラジックス改新技適)
      NTS115(西無線)
   LCR: DJ-PV1D (アルインコ) + SRH140D (第一電波)
 ■使用&装備電源(CB機)
    リチウムイオンポリマー電池:
     11.1V/1.5Ah、11.1V/5.1Ah

 




QSO局
4QSO TNX!!
  
(敬称略)

2024年4月28日(日) 快晴     
イワテC9/沖縄県 53/53 イワテB73/沖縄県 54/53
ぎふNX71/宮城県仙台市泉区泉ヶ岳(68Km) 54/52 みやぎDU79/宮城県山元町 56/56
   
注: 距離表示があるのはデジコミ(LCR)による交信



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