2024運用記
口太山・吾妻小富士
福島県川俣町・二本松市・福島市


  【口太山山頂】 





酷く暑いですね!



地球温暖化のせいか、年々夏が暑くなる。昔のことを言っても始まらないが、昔は30℃というのが一つの節目で、30℃を超えると「酷く暑い」というイメージだったが、今や35℃超が当たり前の世界だ。

新聞報道によると、40年前に比べ、海水浴客は十分の一に減ったらしい。ピーク時の1985年には3790万人だった海水浴客は、2022年は360万人になったという。

そりゃそうでしょう(笑。

海水浴といってもずっと海に入っているわけにはいかないから、今となっては浜辺で肌をさらして寝転がっているだけで自殺行為になりかねない。昔は女性でもサンオイルなるものを塗りたくって、肌をわざわざ焼いていたというのはにわかには信じがたいが、遠い昔の話と笑って片付けるわけにはいかない。「昔」との間隔が、最近は指数関数的に短くなっているように感じるからだ。このままいったら5年後は一体どうなるのか??・・・40℃超が当たり前の世界になっているのかもしれない。気がかかりだが、とりあえず今日のところは高いところへ涼みに行って頭を冷やしてみよう。

ということで、今回の目的地は福島県の吾妻小富士だ。ただ、福島のこのあたりへ行こうと思うと、どうしても気になるのが、口太山(くちぶとやま)である。そこで、午前中に口太山山頂に寄り道して、昼から福島市内の紺野果樹園で桃を調達(笑、そして磐梯吾妻スカイライン経由で吾妻小富士(標高1,707m)に涼みに向かおうというのが本日の全体の計画だ。



口太山ですか?


なぜいきなり「口太山」が出てくるのか?・・・その理由の詳細については、今年の仙台運用記後編磯笛公園の運用記を参照いただくこととして、手短に言うと、千葉のFM放送局であるBAYFMを仙台市内の南吉成地区で確認した際、後から伝搬経路を確認したところ、経路上に口太山がありそれが電波伝搬に関与していそうなことが分かったからである。つまり、千葉県船橋市の三山送信所からのFM電波は、この口太山山頂付近を回り込んでいるはずなので、一度口太山で実際にここまで電波が来ているのか確認してみようということである。

口太山は伝搬経路上にあるのは事実なので、そういう意味では回折しているには違いないが、別にそこに行ったからといって何があるというわけではない。しかし、何事においても現地・現物で確認することが重要なので(笑、実際にちゃんと飛んできているのか、飛んできているとすればどのように飛んできているのか、確認してみようという寸法だ。


  左):中央、口太山。午後、磐梯吾妻スカイラインより撮影。画面左が北方向。
     下に見えるのは、福島市松川町の辺り。
  右):左写真の拡大。口太山山頂まで32Km強の距離。




口太山は、福島県川俣町と二本松市の境にある山だ。位置関係としては、福島市を基準にすると、福島市の南東側に接しているのが川俣町で、福島市と川俣町の南側に接しているのが二本松市である。

福島市というと県庁所在地なので、福島県の真ん中あたりにあるように誤解されがちだが、実際には県の北端に近い場所にあり、事実宮城県とも県境で接している。距離的には口太山から南吉成までは約77Kmほどである。(三山から口太山までは約219Km)

ちなみに、なぜそのような北端に県庁所在地があるのかというと、廃藩置県後にできた旧福島県は現在の中通りに相当する部分で、その後明治9年に会津や浜通り地区を合併する形で現在の福島県になっているかららしい。旧福島県の役所があったのが、当時の福島町だ。同じ中通りの郡山はもっと県の中心には近いが、当時はまだ発展途上で、養蚕業が盛んで経済的にも発展していた福島町がその後もずっと県庁所在地になったのだという。(以上、「NHK福島NEWS WEB」による(笑。)


まずは、いつも通り、旧船引町方面から国道349号線を川俣町方向に向かって北上する。これまでの運用記で記している通り、この国道を走っているだけでも数か所で東京FM等の回折波を確認できる。

最初に、(株)ミツバ福島工場手前のいつものポイントでしばし路肩に停車。今日は、東京FMは58程度でかなり強い。いつもは55程度なので、やはり電波は生き物、その日のコンディションによって入感度合いが結構異なるようだ。



いよいよ口太山に登ってみる


「登ってみる」と言っても、駐車場から頂上まで20分もかからないので(笑、お散歩にも満たない距離だ。

口太山の南側は、公園のようになっており、夏無沼キャンプ場(なつなしぬまきゃんぷじょう)がある。キャンプ場にはバンガローもあるようなので、家族やグループで夏場に遊びにくるにはよい場所なのかもしれない。沼はどちらかというとため池のような感じであまり開けたイメージはないが、駐車場の隣には大きな「原っぱ」があり、こちらは開放的だ。今日は特に、夏の日差しが草原いっぱいに降り注いで、緑が鮮やかに輝いている。

頂上まで上がってくると、「口太山山頂」と白字で刻まれた大きな標柱が目に入ってくる。山頂はベンチもあり結構な広さがあるのだが、周囲は密集した木々が壁のように取り囲んでいる。磯笛公園運用記で記した通り、電波を受信していた仙台市の南吉成地区は、その一角だけこの山頂から「見える」はずだが、残念ながら北側は特に木の枝が密集していて見渡すことは不可能のようだ。

その代わり、去年の春オン以来幾度となく運用記に登場している、「千貫森」や、「一貫森」、「女神山」などの登場人物の方々はよく見える。遠くから全体像を見ることはあまりないので、折角なのでこれらの方々を紹介しておくと、実際には下のような場所になります(笑。




左: これまでの運用記で登場している、三山の遠望。

中: 千貫森地区。千貫森まで約11km。左奥は福島市中心街。

右: 天井山地区。丸数字は天井山運用記前編で使用した、右図の番号。
   「天井山山頂」=2/24日運用場所。



ところで、天井山運用記前編で記した通り、千貫森には「UFOふれあい館」や「UFOコンタクトデッキ」など、UFOに関連した施設がある。千貫森地区は現在では福島市の一部だが、昔は「飯野町」で、旧飯野町がUFOを町おこしの一つの題材にしていたようだ。

町おこしに使われるくらいだから、昔からUFO的な超常現象が何度も起こっているのかもしれないが、千貫森の近くには、岩之倉文殊尊というお堂がある。

この文殊尊の起源は、明治の初期にこの岩山の辺りにたびたび奇雲が現れ、陽の光に輝いた異影が現れたことに由来するものだという。この光り輝いた人形(ひとがた)を、現地の信心深い人々は文殊菩薩がこの世に出現したと解釈したようだ。まるで、「ファティマの奇跡」につながった、一連の聖母マリアの出現の、日本のミニチュア版のような話だ。

ファティマの奇跡は、1917年のポルトガルでの話だが、こちらは明治2年にお堂?が建てられているようなので、こちらの方が50年程度早い。ファティマの場合は聖母マリアから預言があったことでつとに知れ渡ることになったが、こうした超常現象は大小さまざま、今でも世界中のそこかしこで起こり続けているのかもしれない。(ファティマの奇跡についてはこちらを参照ください)




OADがスタート・・・・・せずに、RCがスタートですか?







試聴開始


LCRを取り出し、さっそくFM波の入感状況のチェックだ。今年の運用記はなぜか「FM波を追っかけるシリーズ」(笑)のようになってしまっているが、いつもは入感の確認は当局のカーラジオがレファレンスになっている。ただ、今日は山頂には車で上がれないので、今回に関してはLCR(DJ-PV1D)のFMラジオ機能によるチェックということになる。したがって、耳S強度などは、今回に関しては、ほかの運用記のS値と絶対比較することはできない、念のため。なお、使用するアンテナは、第一電波のSRH140Dである。

果たして千葉のBAYFMはちゃんと聞こえてくるのか??

山頂は一応標高842mほどあるので、暑いといった感じはしない。のんびり一時間以上に渡っていろいろな局の入感状況を観察してみる。LCRには、デフォールトで局名が予めインプットされているが、同じ周波数で周囲のコミュニティFM局や地方局などが入ってくる場合が多いので、局名の見極めが重要だ。

まとめてみると概略は以下のような感じだ。


■ 東京周辺の主要FM局については、東京FM58~59、J-WAVEは59、BAYFMは58~59、FM横浜58、ナックファイブ57~58。

■ NHK千葉FMはBAYFMと同じく58~59。

■ 上記の中では、J-WAVEが頭一つ出て強い。

■ J-WAVEと同じくスカイツリー波のFM補完局(TBS、文化放送、ニッポン放送)は56~58。

■ 上記の数字は、すべて水平偏波受け(アンテナ水平状態)でのべスポジでのS値。

■ アンテナ水平受けでは、QSBはほとんど出ないが、垂直偏波受け(アンテナ垂直状態)では3~5分程度の周期のQSBを感じる。QSBで下がったときは、Sがピーク値から5から6程度マイナスになる。

■ 水平偏波受けでは、アンテナの指向性がかなり出て、最大値方向と最小値方向はS6~7ぐらいの大きな落差が生じる。

■ 最大値方向の指向性は、山頂にある方角付き山名案内板が正しいとすれば、電波の発信方向の想定とかなり一致する。


上記の通り、BAYFMが確認できたことに加え、仙台の南吉成地区では確認できなかったNHK千葉FMは、今日に関しては、ここまではなんらBAYFM と変わりなく飛んできている。

まあ、船橋の送信アンテナは両局共用なので、当然そうあるべきですが(笑。こうなると、やはり仙台ではなぜBAYFMが聞こえて NHK千葉FMだけ聞こえなかったのか、不思議なところだ。


リグ関係で印象的なのは、アンテナの受信偏波面と指向性による差が、予想外に大きいことだ。波長に対して全然寸足らずの割には上出来だが、その適度な寸足らず具合が、余計に差を分かりやすくしているのかもしれない。さらに、地面との容量的結合の関係か、リグを手持ちの時の方が、単独で置いた場合より圧倒的に信号は強くなる。

もともとLCRなどのハンディ機のアンテナやリグは、手持ちで口元にリグを持ってきたときに一番飛び受けが良くなるように設計されていると言われているが、FMではLCRよりぐっと波長が長くなるので、手持ちの効果が余計に大きく出るようだ。更に、ちょうど山頂の電界強度も、差が現れるのに適当な強さ加減なのかもしれない。


左): BAYFMが最大となるアンテナ向き。
中): 東京FMが最大となるアンテナ向き。両局とも、かなり合致していそうな・・・(笑。
右): FM試験後は、11mを少し運用してみる。今日は久々に、ぐんまAD17局の新技適、87R改だ。
 



下りの方がよく聞こえます!(笑



山頂からの下りでもラジオを点けたまま観察してみる。アンテナは水平状態にして、歩きながらの受信である。すると・・・・、なんと山頂より明らかに信号は強い(笑。しかも東京方面発射の、東京FMやBAYFM/NHK千葉FM、J-WAVEなどすべての局だ。QSBも全く感じない。

山頂では、59の局でも場所を選ぶ必要があったが、下りでは山頂から10分程度の歩行距離・標高差に渡ってずっと安定して59である。中でもJ-WAVEは9+の感じだ。interfmについては、山頂ではどうやってもせいぜい52程度だったが、登山道では57まで強くなる。これなら、南吉成でもinterfmが聞こえたのは不思議ではない。

この登山道は山の南西側の斜面を登るような形なっており、仙台市南吉成と船橋市三山送信所の最短経路は、わずかに山頂をずれてこの南西側の山頂付近を通っている。地図上の最短経路と最高強度の場所が一致するのは事実だが、それは最短経路直下に当たるからというよりもむしろ、電波が飛んでくる南西側斜面で受けているということが大きいと思われる。というのは、スカイツリーや東京タワー発射の波も同様に斜面の方が強いからだ。

それでも、最高標高点より、標高が低い場所の方が強くなることは依然として興味深いところである。

最短経路(ピンク実線)は、わずかに山頂の西側。

山頂より南西側登山道(灰色破線)の方がよく聞こえます(笑.

【地図出典:地理院地図。地理院地図Vectorより加工して作成】





大分遅くなりましたが・・・



午後からは吾妻小富士で涼んでみる。といっても、口太山に予定より長くい過ぎたせいで、もう14時を回ってしまった。

口太山では11mで、コオリヤマRS015局とイワテB73局とつながっていた。当局は全く知らなかったが、なんでも今日はみちのくロールコールがあるらしい。キー局を務めるRS015局とB73局はその時はまだ着いたばかりのようで、これからロールコールの準備に入るところらしかった。

吾妻小富士は、例にもれず火口がお鉢めぐりができるようになっている。SVの時の八丈富士とは大違いで、こちらの周回路は広くて歩きやすい。観光客のみなさんも、サンダル履きの方が結構おられる(笑。

一角に立って、LCRをワッチしていると、みやぎCF06局のCQが入感してくる。仙台市宮城野区にQRVされているようだ。CF06局は、みちのくRCにもチェックインされていたようなので、一応、どんな塩梅なのか、確認してみる。

『もうロールコールは終盤、特小の部もそろそろ終わるころではないでしょうか』・・・ CF06局からの返答だ。

今日は涼みに来ただけなので、特小はもっていない。それに、ニュアンス的にはすでにすべて終わっていそうな雰囲気だ(笑。


静かに佇んでいると、山頂を吹き抜けていく風が実に心地良い。


天気は相変わらず爽快、時々ガスが吹き抜けていくが、下には福島市街もよく見えている。しばし、頭を冷やして、東京へともどろう。


7QSO、各局TNX!!

 (2024/8/24)






運用データ


 
■運用日時・場所:
 
  ・2024年8月18日(日) 福島県川俣町・二本松市・福島市
    9 :00 ~11:15 口太山山頂(標高842.3m)
    14:30 ~15:40 吾妻小富士山頂(標高1,707m)

 ■使用&装備リグ:
   CB : ICB-87R改 (SONY/S Denki新技適)
      DJ-PV1D (Alinco) + SRH140D (第一電波)

 ■使用&装備電源(CB機)
    リチウムイオンポリマー電池:
     11.1V/1.5Ah

 




QSO局
7QSO TNX!!
  
(敬称略)

2024年8月18日(日) 晴れ     
ふくしまSK50/福島県伊達市霊山 59/59 コオリヤマRS015/宮城県蔵王 53/52
イワテB73/宮城県蔵王 53/53 こおりやまJH39/福島県郡山市(28Km) 59/59
ふくしまSK50/福島県伊達市霊山(19Km)  59/59  とちぎAB21/栃木県八方ヶ原(102Km)  54/51 
みやぎCF06/宮城県仙台市宮城野区(89Km)  56/55 
   
距離表示があるのはLCRによる交信。みやぎCF06局のみ、吾妻小富士からの交信。




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