2024運用記
SR-01X
茨城県土浦市


  【SR-01X角型ハンドル仕様TYPE I。 後ろは筑波山】 





8年前の衝撃



今さら当局が記すまでもないが、2016年、CB界に衝撃的なニュースが走った。新しいスプリアス基準に則った技適機をメーカーが新たに開発、製造して販売するというのである。いわゆるCB機の新技適問題に悩まされていたCBerたちに一気に解決解をあたえるものだった。それまではフクオカAB182局さんなどのご尽力により、昔販売された製品を「新技適化」するプロジェクトなどは行われてきたが、メーカー製の新造機が世の中に出てくるというのは、最後のCB機である87Rが2006年頃に生産を終了して以来初めての事だった。CBerは色めきだった。

かくして、期待を一身に背負って登場したのがサイエンテックス社のSR-01である。その性能は期待に全く背くこともなく、評判は上々だった。登場以降、何ロットにもわたって生産され続けたことは、その証だろう。一時は、CB機のデファクトスタンダードになるのではないかと思われたくらいだ。

特に、飛びの良さは、他のリグより一つ頭が出ているというのが当局の印象だが、他のユーザーの方々もほぼ同じ意見のようなので間違いないところだろう。飛びの良さについては、大型のローディングコイルによるアンテナの出来、筐体とのマッチング、強力な「プラス変調」などが作用していると思われる。

当局的に一番うれしいのは、その音の出方だ。ICB-770ばりの図太い受信音で、音量も十分である。ただし、当局の持っているのは1stロットで、後期ロットではAFの総合的なゲインを落としているようなので、聞こえ方はかなり差が出ているのかもしれない。(初期ロットの仕様には、AF最大1.2Wの表記があったが、01Xにはない。)


サイエンテックス社は、その後JCBT-17Aなどを発売しているが、01が登場してもう8年になる。その01の「後継」として今年(24年)登場したのが、01Xである。受注開始して即売り切れになったようなので、依然01人気は高いようである。ただ、新しい回路や機能が加わっているわけではなくデザインや、仕様もほぼ一緒なので、01の後継ロット的な見方をした方が良いと思われる。

メーカーはいよいよ8月下旬からディリバリーを開始したようで、当局のところにも最終週に納品された。


TYPE I
TYPE IIもあるでヨ。
ハンドルは更に大型化(笑。

ちなみに、『ハヤシもあるでヨ』は、オリエンタルカレー(謎。




何か変わったところはあるのか?



ということで、今日は外出ついでに少し足を延ばして、少し標高のある所で、この01Xと01を比較試聴してみようという魂胆だ。ただ、外出ついでなのであまり時間はない、ちょこっと試聴するだけである。場所は、茨城県土浦市朝日峠のハンググライダー離陸場跡だ。

比較試聴なので、念のため繰り返しになるが、当局の01は1stロットである。

まず、すぐに気付くのは音量差である。01ではボリューム位置10時程度で十二分な音量となるが、01Xで同じ音量を得るには2時から3時方向まで回す必要がある。設定しているボリュームの変化特性が異なるようで、01はAカーブ特性のように10時位置からググっと音量が上がってくるので、急激にガツンとくる感じだ。10時程度でほぼ十分になるので、これまでも12時以降にボリュームを回した試しは一度もない。一方01Xは、聴感的にはBカーブ特性のような印象で、ボリュームを回していっても角度ほどにはなかなか音量は上がってこない感じだ。ボリュームを上げてもなかなか信号が大きく聞こえないとなると、感度が悪いと錯覚しがちだが、実際には感度は同じだ。


 













比較試聴中の01と01X



音質的には、01は中域の低域方向側のスペクトラム重視、01Xは相対的に中域側重視の音づくりのようで、01は図太い聞こえ方になるのに対し、01Xはあたかも選択度が向上したかのように輪郭がくっきりして音の明瞭度が上がる。ボリューム位置は感度とは関係ないが、当局的には、01の方がオペレーション的には楽である。ただ、前述の通り、01は後期ロットではゲインを下げているようなので、後期ロットをお使いの方は、01Xはなんら違和感なく使えるのかもしれない。

01が出た当初、ボリュームミニマムでも、サーという音がかなり聞こえる、との批判があった。ボリュームはボリュームでもデジタル処理をコントロールするためのボリュームなので、従来のボリュームのように抵抗値で直接音量をコントロールしているわけではないからだ。

絞り切っても音が聞こえてくるのには当局も最初は戸惑ったが、しかし慣れてしまうとどうということはない。ひょっとしたら、このボリュームミニマム時の「サ―音」を抑えるべく、後期ロットからAFの総合的なゲインを落としているのかもしれないが、この1stロットの、ボリュームを回すとすぐにガツンとくる音の出方の方が個人的には好きである。このサー音は、もちろん01Xでも抑えられているので、01の初期ロットと比較するとかなりの差が出ることになる。なお、この「サー音」はRF起因のものではないので、RF上の問題は全くない。

受信音の再生については、内蔵スピーカーの口径はΦ77mm、89dBで、01とスペックは同じだ。ただし、「89dB」は最大出力時のSPLのようなので、一般的な2.83V入力時の数値とは異なるので注意が必要だ。(細かいことを言うと、もし01Xが01初期ロットよりAF最大出力が小さいとすれば、スペックが同じ89dBというのは妙な気もするが。)

スピーカーの位置については、01ユーザーからは、天板ではなくリグの下面に付けてほしいとの要望が多かったように理解しているが、この点も全く設計変更なしで01と音穴の位置に至るまで全く一緒だ。

スピーカーの口径に加え、リグの筐体も大きいので、このリグに関しては外部スピーカーはほとんど不要だが、一応手持ちのスピーカーでも試してみる。外部スピーカーでは、インピーダンス違いのような、かなり違和感のある音が出てくるが(=01では全く問題なし)、この件についてはもう少し検証が必要だ。なお、メーカー推奨の外部スピーカーは第一電波のP811(8Ω)である。(当然それ以外のスピーカーでもケーブルは2m以内に収める必要がある)

サイエンテックスは、計測機器関連をてがけているだけに、スイッチ類のフィーリングは良好だ。01もそうだが、特にロータリースイッチの回転の感触は絶妙で、このフィーリングはどことなく高級感が漂う(笑。アッテネーターやフィルターは、スライドスイッチからトグルスイッチに変更になっているが、こちらも適度な硬さで好感が持てる。

マイクコネクターは4ピンに変更(左)
スライドスイッチは、トグルスイッチに(右)



Sメーターは好みが分かれる??


オペレーション時の外見上の大きな違いは、Sメーターの振れ方だ。これはメーカーも言っているように、01に比べかなり針のふれ方が穏やかな動きになっている。両方を見比べる限り、信号受信時のメーター指示値は一緒なので、S値の感度設定は同じなのだろうが、01では、「ボツボツ」といった音でも敏感に振れるのに対し、01Xの動きは一瞬の音ひとつひとつには反応せずに、かなり動きは緩慢だ。

受信Sより違和感が強いのは、モジュレーションメーター時の針の動きで、音の強弱に対し、どろーんと反応するようなイメージである。モジュレーションについては、個人的にはもう少し、ピクピクと反応してほしいところだが、これも人それぞれ好みの問題である。

アンテナについては、01の初期ロットは付け根のカシメ部が弱く、風がある時などは不安で使えない側面があったが、後期ロットからは改良されて問題は解消しており、01Xでもそれを踏襲している。アンテナのサイズは、径や基部を含めた長さなど、01と全く同一だ。大きく異なるのは、角度のロック機構で、01は回転式のノブでトルクをかけて固定したり緩めたりする方式だったが、01Xではこのノブは廃止されている。回転部は最初から適度な力で抑えられており、任意の角度を保持できる仕組みだ。これも好みの問題だが、心配性の当局などは、使っているうちに緩々になってしまうのではないかといった、余計な心配が湧いてくる(笑。


01初期ロットで問題となった、アンテナかしめ部(左)と、01Xのアンテナ基部(右)



初Es(笑



折角なので、CQを飛ばしてみると、つくばGT38局から応答がある。近場の子授け地蔵におられるようで、S7と強力だ。一応、01と01Xの両方で送信を試してみると、『強度はS7で一緒、二番目のリグ(=01X)の方がかなり変調が深い』、・・・との初期的回答だったが(笑、後からもう一度やってみると『変調もほぼ同じ』、との回答だった。初期的回答は、リグに何を使用しているか一切言わずにQSOしてから回答をもらったもので、二回目は、使用リグを明かしてから、再度回答をいただいたものだが、心理的な影響というよりもむしろ、実際ほとんど区別がつかないくらい同じのようだ。まあ、リグの中身もマイクも同じなので、当然ですが。もっとも、距離が近いので強すぎてよくわからない、というのが実態かもしれない。

引き続き8Chをワッチしながら比較試聴をしていると、カワサキCH101局のCQが飛んでくる。「3ChにQSYしてCQを出します」と言われているので、神奈川からと思い、3ChでのんびりQSOしていたら、なんと石垣島だった(笑。かくして、01Xの栄えあるEsQSO第一号は、カワサキCH101局となった。

SR-01Xは、SR-01が新しくなったというより、01のブラック塗装版といった感じで、これまでのロットを引き継いだようなリグだ。とりたてて何か新しく設計変更しているわけではないので当然ではある。ただ基本回路設計から8年経過しており、その間に西無線研究所からNTS115なども世の中に出ている。115は、例えばIFシフトによるフィルターなど、非常によく設計されたリグで、CB機としては当局的にはRFはほぼ完ぺきな印象だ。SR-01もベースの回路設計からフルモデルチェンジし、さらにグレードアップした新しいリグの出現を期待したい。


3QSO、各局TNX!!

 (2024/9/8)






運用データ


 
■運用日時・場所:
 
  ・2024年9月7日(土) 茨城県土浦市朝日峠
    
ハンググライダー離陸場跡(標高289m)

 ■使用&装備リグ:
   CB : SR-01X (サイエンテックス)
      SR-01 (サイエンテックス)

 ■使用&装備電源(CB機)
    リチウムイオンポリマー電池:
     11.1V/5.1Ah、11.1V/5.2Ah

 




QSO局
3QSO TNX!!
  
(敬称略)

2024年9月7日(土) 晴れ     
つくばGT38/茨城県つくば市子授け地蔵 57/57 ねやがわCZ18/ 52/52
カワサキCH101/沖縄県石垣島 53/53
   
注:SR-01Xでの交信。




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