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 SV2024八丈島



  【海が・・・見える。Ⅳ】




ピアノ協奏曲第2番第1楽章


 さあ、いよいよSV本番だ。青ヶ島でQRVできなかったのは残念だが、代わりに八丈富士山頂部からのQRVだ。

八丈富士は、文字通り、富士山と同様に火山の火口部全体が頂上のような格好になる。その火口部の中で最も高い場所がいわゆる「山頂」となり、標高は854.3mである。「山頂」は火口の南側、5時方向に位置している。火口はてっぺん部分をぐるりと周回できるようになっており、この周回路は最も低い場所で標高811mほどなので、周回路全体でみても山頂との標高差は最大40m強しかない。中腹から上がってきた登山道は、この周回路の最も低い場所に連結される形になっており、この部分は「分岐点」と呼ばれている。通常は景色を眺めながら歩くので、火口部の周回には1時間ほど要するとされている。

火口から見て北方向が本州方向になるので、無線の運用場所としては最も高い場所である「山頂」より、北西側の火口の縁が最も飛び受けがよいだろうというのが当局の見立てだ。北西部は山頂とほぼ高さが変わらないことと、火口部の直径は南北に500m程度あるので、「山頂」からだと北方向は反対側の火口の縁が壁のようになるからだ。特に特小などの、周波数が高くて出力が小さい無線機は影響が大きいと思われる。

山頂は、本当は外から見るとこんな感じのはずですが・・・。
SV終了後の翌朝、帰るときに初めて見える(笑。
中腹に見える横筋は鉢巻道路。




今日も中腹の登山口から、すでにあたりは真っ白な霧に包まれたままだ。「分岐点」に着いてみると、本来は見えるであろう火口の内側どころか、辺りは霧雨でほとんど何も見えない。しかも、台風並みの暴風状態だ。八丈島に来てからというもの、八丈富士はいつも雲の中で、山の上半分は見たことがなかった。だから山頂の霧雨と風は十分想定していたが、ここまで風がすごいとは・・・。

風は西側から吹き付けてくるので、QRVポイントを火口の北東側、2時方向に変更してQRVを開始する。北西側に回ったのでは、西からの強風をもろに受けるためである。とはいっても、火口部はどこも木など生えている場所はなく、身を隠すものは一切ない。周回路は人一人がやっと地面を踏めるだけの幅しかない。ちょっと気を許すと風で体を持っていかれて斜面を転げ落ちそうな危険な状況だ。わずかに腰のあたりまで、崖が上にせり出した場所を見つけてQRV??開始である。

今日は87Rをメインと予備の2台、NTS115(+外部スピーカ)、LCR、特小2台を持ち込んでいるが、当然115など出せるはずはない。11mは87Rでの一本勝負である。アンテナはたちまち水滴だらけになり、風でしなりまくる(笑。風に逆らわず、うまく吹き流すように斜めにもっていくしかない。


6:00、一声を出してみると、CT73局はすでにQRVされているようで、さっそくお声がけをいただく。しかしおられるのは山頂ではなく中腹のようだ。

「今日は雨風凄そうなんで、山頂に上がるのはやめときましたょ。」(CT73局)

・・・・うん~・・・それは大正解だ(笑。さすがに、八丈富士で何度もQRVされているだけに、山頂の状況はよくお察しがつくようだ。そういえば、夜中に寝ている時から風雨の音が激しかったような・・・? 起きたときは雨は降っていなかったので、気のせいかもしれないが。

加えて、関係ない話だが、今日は朝起きてからずっ~と、頭の中でラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が鳴りっぱなしだ。全く訳が分からない状況だ(笑。


八丈島に難点があるとすれば、それは意外と携帯の圏外が多いことだ。最近は本格的な登山が必要な山奥に行っても、携帯が通じることが少なくないが、それに比べるとかなり不便だ。八丈富士も然りで、鉢巻道路も含めて中腹あたりから上はすべて圏外になる。したがって、登山を開始する前から、外部とは連絡が取れない状況だ。ナガノNP152局さんとは、遠距離での交信実験を約束していたので、彼の局は既に南アルプスで山登りの最中のはずだ。ここで引き下がるわけにはいかない。

ラフマニノフや暴風で頭はまともに働いていないようだが、SVだけあって、伊豆半島の要所要所には各局QRVされていることぐらいは分かる。滝知山(熱海市)や仁科峠(伊豆市)など、お馴染みの場所と一応問題なく繋がっていく。滝知山のかながわYS41局とは、特小でもM5/M5だ。

金峰山(山梨/長野県境)には今日はサイタマMS118局が登られている。今日はあまり感心している余裕はないが、相変わらずFBな場所から出られるお方だ。群馬県の赤城山には、トチギHB328局がQRVされているようで、52で聞こえてくるが、交信のタイミングが合わない。赤城山は、関東平野向けには抜群の飛び受けをするが、それが太平洋まで続いているようだ。それにしても、赤城山が聞こえてくるとは思ってもみず。しかも山頂ではなく中腹のようだ。(380Km程度)


富士山地区にも、宝永山や富士宮口5合目など、こちらも主だった場所に各局QRVされている。

当局のブログでは、いつも「某KM117局」として登場する、全然「某」ではないサイタマKM117局は、今日は宝永山からだ。運用記にはいつも登場されているKM117局だが、実際にはお空では意外と話をさせていただくチャンスがない。久々のQSOは新鮮だ(笑。富士山頂の山小屋のあまりの混みように、SVは山頂運用は諦めて宝永山からのQRVとされたようだ。さすがに宝永山、57/57と超強力である。

長者峰からは、アイチTR168局にお声がけをいただく。かぶりでロケの確認に苦労したが、どうやら当局が知っている長野県平谷村のあの長者峰(高峰)のようだ。標高は1,500mくらいしかないはずだが、場所によっては本州の奥地まで飛んでいるようである。


暴風(雨)で、カメラはもちろんリュックから出すことはできない。
辛うじてウェイストバッグのコンデジで、隙を見て(笑)何枚か撮影できた内の一枚。

画面左側が火口、右が山の斜面で文字通り崖っぷち運用(笑。黒い筋が周回路で、風は左から吹き付けている。





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