霧が、きこえる・・・。




北海道の名付け親


SVは尻羽岬で運用だ。釧路から厚岸に向かっては内陸側を走る国道とは別に、海岸沿いを走る道道があり、「北太平洋シーサイドライン」と呼ばれている。尻羽岬に行くには、このシーサイドラインを経由することになる。シーサイドと言っても基本的に高台を走っているので、車のウインドウ越しに海が見え続けるわけではなく、漁村などの集落はそこからさらに支道で下っていくことになる。シーサイドラインを走っていると、集落が出てくるたびに、その下り口に小さなイラスト入りの看板とともに地名が現れるのだが、これがなかなか読むのが難しい(笑。アイヌ由来の言葉に無理やり漢字を当てはめてきた経緯もあり、北海道では難読の地名が多いのは周知のとおりだが、このあたりの地名は特に難読だ。 例えば、去来牛(さるきうし)や跡永賀(あとえか)などは、まだ当てずっぽうでも当たる可能性があるが、来止臥や賤夫向、老者舞などは、当てずっぽうの読み方すら思い浮かばない。(それぞれ、「きとうし」、「せきねっぷ」、「おしゃまっぷ」) しかしこうした形でもアイヌの言葉が失われることがなかったことは喜ぶべきことだろう。

SVから帰還して3日後の8月1日(水)、朝日新聞の天声人語が冒頭のタイトルで、松浦武四郎について語っている。なんともすばらしいタイミングだ(笑。北海道の名付け親については当局も不勉強で全く知らなかった。彼が最初に候補に挙げたのは、『日高見(ひたかみ)道、北加伊(ほっかい)道、海北道、海島道、東北道、千島道。』で、『このうち「北のアイヌの地」の意を込めた北加伊道が採られ、「北海道」と字が改められた』らしい。

三重県庁のホームページでも彼を紹介しており、アイヌ民族の人権と文化の擁護に尽力した姿等が簡潔にわかりやすくまとめられている。なぜ三重県庁なのかと言えば、松浦は現在の三重県松坂市出身だからだ。同ホームページによると、『武四郎が政府へ提出した(道名案の)上申書には、「カイ」とは「熱田大神宮縁起」の記述に出てくる「加伊」という名称とともに、アイヌの長老から聞いた話しに基づき、アイヌ民族を指す言葉が「カイ」であることが記されている。
つまり、「北加伊道」とは、北にあるアイヌの人びとが暮らす大地である、という先住の民であるアイヌ民族への思いを込めて考えられたものであった。』とある。わざわざ熱田大神宮縁起に言及しているのは、彼としてイチオシであった北加伊道の採用を促すためとも言われる。つまり本心は、あくまで「北にあるアイヌの人びとが暮らす大地」として名前に残したかったのである。

尻羽岬駐車場:
岬先端へは、右写真中央奥の方へ歩いていく
   


濃霧スタートのSV


6:00前、まずは尻羽岬駐車場でワッチを開始する。といっても、今朝もご多聞に漏れず、濃霧の中。昨年、今年と、朝方の霧には相当慣れてきた(と思い込んでいる)当局にとっても、思うように運用できないのはかなりこたえる。今日は特に霧の粒が大きめのようで(笑、アンテナカバー仕様で対応だ。しかし体が濡れるので車に戻っては時々出る、いつものゲリラ作戦である。

6:03分最初に飛び込んできた信号は、ふくしまAJ32局だ。千葉の局長さんとグランドウェーブでQSOされているようで、57まで上がっている。う~ん、強力だ。こりゃ今年のSVは楽勝か?と思われたが(笑、どっこい、呼びかけて間もなく、RS交換を完了するとストンと急落だ。ストンも何も、つい数十秒前まであれだけ強く入っていた信号が、サッパリポッキリ、信号のかけらさえ聞こえなくなる。2012年に与那国島から知床のいたばしAB303局さんとQSOした時と同じ感覚だ。あの時もQSO完了後に全くうんともすんとも言わなくなった。

ニイガタAA462局も同様で、強く入感してきた呼びかけに余裕で(笑)応じたまではいいものの、全く返事が返ってこない。これはなかなか今日は手ごわそうだ。信号が強いからと言って長しゃべりは禁物、「返しは数秒」で応じなければならない。ただエリア的には全国的に行けているようで、なんとか6まで届いてはいるようだ。

岬での運用は霧が晴れてからだ。岬の先端へは30分以上?歩く必要があるのだが、しかし濃霧は一向に薄くならない。普段は10時も過ぎればだんだん明るくなってくるのだが、今日はその兆候は全く見られない。・・・そう、「尻羽岬」にいるとはいえ、まだ駐車場にとどまっているのである。しかし、ゲリラで出るたびごとにこちらからの飛びが弱くなっているようで、8時台はとうとうゼロQSOだった(笑。入感は変わらないのだが・・・。ここに来てもう4時間以上、いったいいつになったら岬へ向かえるのか??


岬先端への道





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 SV2018
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