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  子供たちが遊ぶ (ワンジョビーチ)




パレットの中から 


 昨日、ここに来た時は、雨が落ちてきそうな天気で、空の色を反映した水面もどちらかというと色も沈みがちだったが、今日は鮮やかな水色が広がっている。そして、ところどころ水深が異なるせいか、青色が紫に近かったり、黄緑に近かったり、絵の具のパレットのような彩だ。今日は土曜日とあって、スポーツクラブか何かの子供たちが海水浴に訪れている。

まずは、87R片手に水際まで下りていって、コンディションチェックだ。朝方の勢いはどこへやら、チャンネル内は静かなようだ。試しに飛ばしてみるCQにも応答はない。それをいいことに、気はそぞろ、ついついパステルのような、海の美しさに目がいってしまう。



87Rのアンテナを波打ち際で思いっきり展開して運用していると、子供たちが「何をしてるんですか~」、と明るく声をかけてくれる。それ以前に、単に通り過ぎる子供たちでさえ、「こんにちは~」と、元気よく挨拶してくれるのだ。こんな怪しいおっさんにも声をかけてくれるとは・・・(笑。沖縄の野甫島でも、小笠原の母島でも同じように挨拶がしっかりしていたが、子供たちへの教育が行き届いているのか???この国の未来も安泰なのかもしれない(笑。

ただ、会話を交わしてみると、見たこともないギラついた長いアンテナには興味をひかれるものの、電波を飛ばして遠くと交信するという無線には、特段興味はないようだ。



最初にここに来た時に出ていたジリジリとしたノイズも、今日は出ていないようで、防波壁に置いた770DXも心地よい音をだしている。ただ、コンディションは天気とは裏腹にパッとしない。先ほどから、ポータブル4の局長さんだけがちょくちょくコールしてくれているようなのだが、信号が薄すぎてコールサインが取り切れない。しかし、しぶとくワッチに専念してみると、コールされているのは、やまぐちLX16局のようだ。上がった瞬間になんとかQSOを終える。

そのほかには何も聞こえてこないのだが、めげずに87RでCQを出していると、えひめCA34局のコールが突然入ってくる。あわてて防波壁から波打ち際まで駆け下りると、さすがに信号は上がるようで、RS54、昨日に比べれば明瞭すぎるほどの入感だ。

CA34局とは、昨日もQSOできていたのだが、51/51ながら、かなり厳しい交信だった。実は、運用中にCA34局の声が、QRMやノイズの隙間に断片的に幾度か聞こえていたので、こちらからコールサインで直接呼び出させていただいたものだ。直接コールサインで呼ばれるのは想定外だと思うのだが、それでもちゃんとピックアップしてくれるのがCA34局、即座にコンディションを把握して、かなり長めにレポートを送ってくれているのが入感してくる。こちらは、応答は返ってこないものと思っていたので、そこはさすがの運用テクニックだ。

それにしても、防波壁の上から眺めているだけでも、ビーチが美しく光り輝いて見える。とても癒される光景である。こうした場所は、少し手をかければ、もっと大きな観光資源になりはするのだろうが、町にはあまりそのような積極的な意向は見受けられない。実際、翌日の日曜日にも訪れてみたが、相変わらず島外からの人はほとんど見かけることはなく、遊んでいるのも地元の人たちがちらほらいるだけだ。このまま、あまりメジャーにならないままの方が、むしろ良いのかもしれない。






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