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  水面を雲が動いていく





半崎にて 


 7/4日日曜日、これまで試したロケの中では最強と思われる伊延漁港で運用を開始する。しかし、コンディションはイマイチ、9、0、7、8エリアあたりの局長さんが、たまにちらほらと聞こえてくる程度だ。8エリア、ツクバKB927局は、今日は苫小牧におられるようだ。

日曜日なのだが、やはり、運用されているのは、前線から比較的離れた地区で、かつ雨に降られていないごく限定された局長さんだけだろうか。ニイガタAA462局が、BBの50mWで各局と交信されているのが、ずーっと聞こえてくるし(RSは最大56)、KB927局もたいしてQSBもかからずに、ずーっと聞こえているので(笑、おそらくコンディションの問題よりも雨の方の影響が大きいのだろう。

午後からは、「半崎」に移動してみる。半崎はワンジョビーチから3Kmほど西方向へ行った北側に面した海岸にあり、田皆岬と同様、海から隆起した岩が、高い崖となって岬を形成している場所だ。海へ突き出ているうえ、草原状になっているので、QRVするには、大変心地よい場所だ。

コンディションものらりくらり、聞こえてくる局もほとんどないので、折りたたみイスに770DXをセット、持久体制でワッチに入ってみる。もちろん、イスに座っていてもいいのだが、ここは草原なので、寝ころびワッチ体制も可能だ(笑。(実際そうしてましたが(笑。)

それにしても、ここも田皆岬同様、美しい場所だ。人工の構築物である柵などは一切なく、ありのままの状態なので、解放感も抜群である。その代り、迂闊に歩き回ると、奈落の底に落ちてしまうのも田皆岬と同じだ。


草の上で半分昼寝をしながらワッチをしていると、7エリアがほんの時たまか細く入感してくる。無信号時の770DXのSメーターは、0.5、この島に来てから最もノイズが少ない静かな場所だ。普通のリグで「ノイズのない静かな場所」でも、Sが1.5ぐらい振れてくるのが770DXである。それもノイズフロアではなく、きっちりとその場に放たれているノイズを指し示すのだ。恐ろしいリグである。Sが0.5ぐらいまで下がると、ほとんど鬼に金棒のように、弱い信号を拾うことができる。イワテRT221局(51/53)やあおもりCC39局(51/53)などとつながるが、通常のリグであれば31から41程度の厳しい入感かもしれない。飛びも強いので、聞こえてくる局に対してこちらから呼んで、とってもらえないということも全く発生しない。

寝ころんでいると少し雲が出だしたのか、次から次へと空を流れていく。そして海に目を下すと、その影となった色濃い部分が、形を変えながらすごいスピードで移っていくのである。




ツクバKB927局は午前中に引き続き苫小牧におられるようで、本日二回目のコールが入ってくる。突然また強力に入感してきたので?二回目のコールをしていただいたようだ。RSは51/55。3日間使い続けてきてわかってきたことだが、大体770DXからの飛びはS2程度受信を上回るようだ。

夕方からは、コンディションは更に落ち気味だ。最後のQSOは16:05分、しかし、あまりに気持ち良い場所なので、時間を延長してグレーラインまで粘ってみることにする。日没は19:25分頃だ。

こんな風光明媚な国立公園のど真ん中で、キャンプをしようという大胆な人間がいるらしく、日没の一時間くらい前からテントを二張、設営しはじめる。空は一層多くなった雲が、さまざまに形を変えながら、流れていく。手前の海にも、向こう側の田皆岬にも神々しい光を届け始めた。

グレーラインは一向に功を奏さなかったが(笑、都合6時間、この岬での時間はあっという間に過ぎていった。



 







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