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  朝の香り





AA169局はやってくるか?(笑 


 最終日は時間が限られている。飛行機の関係上、残された運用時間は10:30までだ。朝、6時半には運用地に向かって行動開始である。昨日、半崎では日没の19:30まで頑張っていたが、その時刻、例えば東京では既に日没から30分近く経っているわけで、その分こちらは日の出が遅いことになる。沖永良部島では7時前ですら、まだ日の出から1時間ちょっと経過しただけだ。だからこの時間、まだ島のそこここには朝の香りが漂っているのである。さすがに、山岳移動の香りまでは漂ってこないのだが・・・(笑。

運用ロケである、空港北側の小さな浜辺へ向かって島の大地を、車を走らせていく。サトウキビ畑には、朝の光が斜めに射し込んでいる。向こうには、まだこれから陽が昇るにつれて青々と輝き出すであろう海が、すべてを包容するかのように穏やかに見え隠れしていた。


運用最終日のテーマといえば、「AA169局はやってくるか?」、ということだ。AA169局というのは、イワテAA169局のことだが、もちろん、AA169局はなんらあずかり知らない、当局の一方的なテーマだ。このテーマを掲げて、もう5年になる(笑。もちろん、AA169局とは普段から、メールなりSNSなりで何か連絡を取り合っているということは一切ない。だから当局の「毎年一方的シリーズ」なのである。

770DXを車のルーフに設置、ワッチモードに入る。昨日のコンディションはかなりイマイチだったが、救いとしては、今回移動では7エリアが比較的多く入感していることだ。奥州市のいわてDE69局とも久しぶりにQSOできている。もっとも、相対的にほかの地区が雨で調子悪すぎるだけなのかもしれない。

770DXは前述の通り、空間ノイズを表現できる、面白いリグだ。アンテナが拾うノイズやら、信号やらの微小な変化を忠実に再現する。これはおそらく、アンテナのマッチングが優れているせいだろう。DD23局がこだわっただけある。昨日、半崎では、無信号時0.5程度のSだったが、今日この場所の空間ノイズはさらに低く、ほぼゼロだ。ゼロまでくれば、鬼に金棒、期待が膨らむ。

しかし、違法はガンガンに入感してくるのだが、肝心の合法局はさっぱりだ。ようやく、7:45になって、トウキョウAD879/7局が薄く入感してきた程度だ。ん~、これはなかなか手ごわいコンディションか?その後は、再びAD879局、更には、1エリアからとうきょうMS25局、さいたまUG100局が51~52程度で、時間を空けつつ入感してくるのだが、なぜかどの局もこちらからいくら呼びかけても一向に通じない。一体どうしたことか。他の局長さんが聞こえてくるということもない。実に怪しいコンディションだ。

770DXで呼びかけて、応答がないというのも初めての経験だ。これまでは常に一発必中、相手がいくら弱い信号でも、こちらからコールすれば必ず応答が入ってきていた。聞こえてくる局がほとんどないことと、聞こえてきても同じ局の信号がかなり間が空くことを考えるとやはり電離層の状態のせいか???念のため、バッテリーの電圧を測ってみると、昨日の使い古しながら、きっちり12.01Vある・・・。





これは最終日のテーマは完遂がきわめて怪しくなってきた。しかし、7エリアのAD879局が聞こえてきたということは一縷の望みがある。仮にコンディションが上がっても、7エリア以北は聞こえてこないことなどよくあることだ。しかも、AA169局とは、2年前のトカラ列島の時のように、まるで出来すぎのようなドラマが起こることもある。

車のリヤゲートで作った小蔭にイスを並べて、空虚なワッチ時間がしばらく続く。道路方向に沿って、そよそよと適度な風が吹いており、車の外の方が涼しいのだ。


小蔭でスタンバイを続けていると、「コンディションはどうですか~」と突然声をかけてくださる方がおられる。その用語からして明らかに同業さん、コミュニケーションは手っ取り早い(笑。
「いやぁ、今日は全然だめですね。7エリアと1エリアがちょっと聞こえてきたぐらいです。」
「そーですか。昨日もコンディションは全然だめだったからねー。」
昨日といえば当局は半崎にQRVしていた時だ。やはりコンディションは悪かったのか。

息子さんか従業員と思しき青年を連れた、作業服姿のこの方は鹿児島から仕事で来島されているようで、昨日(日曜日)は島のどこかでワイヤーを張られて18メガにQRVされていたらしい。CB機を見ると妙な顔をされるアマ局も時々おられるが、この方は結構慣れているようで、アマつながりで「かごしまSS167局もよく知ってますよ~」とのことだ。


 ワッチを続けていると、ATR42が突然頭をかすめていった 



AD879局の最初の入感から待つこと約2時間、9:36、とうとうイワテDE69局のCQが入感してくる。41~51。必死にコールするが、向こうには届いていない。そして、9:40、アルファアアルファの局長さんをとらえる。その後信号が上がって51、イワテAA169局であることがはっきり分かる。待ってました!と、こちらからコールして、51が返ってきたのだが、尻切れ気味だ。ん~微妙だ。AA169局はすぐに、ならAI46局とのQSOに移ったようで、交信内容がよく聞こえてくる。今度は52まで上がっている。一回目が尻切れ気味だったので、「二回目いけますかー?」と声をかけてみるが、残念ながら応答はない。その後は全く聞こえなくなってしまった。

どうもAA169からはQSOのレポートが上がっていないので、交信は成立していなかったようだ(残念。この時AA169局と、DE69局が輻輳して入ってきていたので、ひょっとしたらDE69局が送ってくれた「51」なのかもしれない。まあ、今年のテーマはこれで終わったが、こんなことはよくあることでしょう(笑。

その後しずおかDD23局が出てこられてQSO?するが、こちらにはピーク56の強力入感、しかし、向こうには全く飛んでいないようで、「ポータブル6の局長さんいましたか~」が返ってきた程度だ(笑。後から確認すると「31~41ぐらいで信号らしきものは感じた」、とのことである。DD23局によると、沖縄方向向けパスでは、大きなレベル差が生じることが時々ある、とのことのようだ。

それにしても、沖永良部島、真っ青な海と空、とても癒される空間であった。
188QSO、各局TNX!!

(2021/07/17)






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