2010沖縄
7月2日、夕日が沈む。北港より。
本場で沖漁を聞く!
夕闇を残して陽は沈んでいった。
15時頃に、DD23局と繋がった後は、合法局の入感は全くない。ノイズを聞いている限りはそれほどコンディションは悪くないと思われたが、CQはことごとく空振りだった。日が暮れ始めると、三々五々、やってきた島の人たちが岸壁から釣り糸をたらしていた。
19:30分、沖漁(沖縄漁業無線)を聞く。今回の移動にはIC-703を持参していた。持ってきたメインの目的は、アマチュア無線ではなく、沖漁を聞くためである。(「協会資料」:周波数&時間表)以前から沖漁は時々聞いていたが、今年は移動に備えてコンディションの把握のために、5月終わりから、ずっと朝晩聞いていた。沖縄の漁業無線は、カバー範囲が相当広い。離島も含めていくつか海岸局がある。普段東京で聞いていると、定時放送が終わった後も、県内共通波である350.5では、遅いときは夜1時過ぎまで漁船の交信が5~6局常に入ってくる。まぐろが釣れたー、とか、方言でよく分からない部分も多いが、毎日聞いているうちに、すっかり沖漁ファンになってしまっていた(笑)。Max10分間の定時放送の最後に、「各船メッセージをどうぞ」、というと「おーきなわ、ぎょぎょうーっ」と漁船のほうから呼びかけたりで、なんとなく滑稽でおもしろい。そこで、本場の現地で信号を聞いてみようと、703を持ってきたのである。もちろん、どうしようなく暇なときは、アマ機としても使える(笑)という魂胆である。
19:47 背景にはまだ夕映えの明るさが残る
今日は、気象情報の後に、キロ当たり幾らとか、市況情報を流している。南大東島にも海岸局があるので(内容は沖縄本島からの衛星中継)、もちろん信号は9+である。SSB25WとDSB1Wでの同時放送だが、さすがに距離が近いだけに、AMのほうが忠実度が高い。東京で聞いているときは、もちろん、強度、了解度ともSSBの方が上だ。DSBというと、アマをやっていると、キャリアが抑圧されたDSBをすぐに思い浮かべるが、漁業無線は全搬送波で、いわゆるAMと全く同じだ。単側波帯と違って、両側波帯の電話はキャリアがあってもなくても、A3Eなので、電波形式では区別がつかない。
20:20に沖漁の放送も終わり、350.5をしばらくウォッチしてみるが、出漁の時間ではないのか、残念ながら漁船からの交信は聞こえてこない。ついでに(笑)15mも短時間聞いてみるが、ほとんど聞こえる局がない。つながったのは8エリア、7エリアのみでやはり浅い反射の距離だけだ。8エリアの局長さんに聞いてみると、夕方からかなりコンディションが悪いとのことで、これは27メガもコンディションが戻ることはないだろうと思われた。
車の外にでて、ルーフの707でのワッチに戻る。ワッチといっても、うろうろしながら星空を眺めているだけだが。街灯も全くないので、星があふれんばかりに見える。
そのときつかつかと、屈強そうな若いオニイサンが車を降りて、まっすぐこちらに近づいてくる。「あれ~、何か言われるのかな~」と思っていると、オニイサンは、外見に似合わず、きわめて低姿勢だった。
「あの~…、このとなりで、釣り、しても…いいですかね?」
「どうぞ、どうぞ、全然OKですよ。」少々拍子抜けしたが、声が上ずっている(笑)。
「でもー、これ、釣竿ですよね。いいんですか?」
「あっ、これっ、アンテナです。釣竿をアンテナ代わりにしてるんですよ。無線やってたんで。」
オニイサンは、半分、解せない顔のまま、ゆっくりと隣に陣取って、釣りを始めた。車の脇に立っている6.3mの釣り竿が、どうも誤解を呼んだらしい(笑)。
オニイサンはベストポジションで、釣りをしたかったのだ(爆)。
それにしても、星がきれいだ。
コンデジで適当に撮っても星が写る(笑)
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