2010沖縄
海軍棒プール
まずは、最初の運用場所、島の東側にある「海軍棒プール」に、車を走らせる。南大東島も、離島の例にもれず、公共の交通機関は一切ない。自分でバイクなどを借りるしかないが、今回は荷物も重く、バイクの荷かごでは、収まりそうにないので、軽自動車を借りることにする。借りるといっても、いわゆるレンタカー会社があるわけではなく、観光スポットや島の車の修理屋さんが、所有している2、3台の車を貸している程度である。離島まで来て、車を借りるというのは少々味気ない気もするが、バイクではなく車を借りたのは、結果的に、後になって大正解だったことがわかる。
愛車「アルト」(笑)に乗って、最後の左カーブを曲がると、海軍棒プールの展望台が目に入る。「海軍棒プール」とは、渡航前の付け焼刃の知識によれば、明治時代に海軍が測量のために、この海岸に棒を立てたことに由来するらしい。「プール」といっても岩礁を掘って泳げるようにしただけのものである。島はさんご礁が隆起してできたものなので、周囲はすべて断崖絶壁で、泳げるような砂浜は全くないのである。
海が見える。最後の左カーブ。
時計の針は正午に近づいている。展望台に行って景色を堪能している暇はない。今日は金曜日だ。もう、各局、仕事の合間の「お昼のオンエアタイム」に入っているはずだ。はやるこころを抑えながら、荷物を解いて、ICB-707と87Rを取り出す。バッテリーをわしづかみにして、外部電源でとりあえず8Chを聞いてみる。ノイズの加減から、コンディションは悪くないことがわかる。
強い日差しの中、2~3分が過ぎる。下から波の音が聞こえる。
やがて、波の音以外何も聞こえない駐車スペースに合法局が響きはじめる。弱く浮き沈みしている。フクオカAB182局だ。
とりあえず合法局が聞こえてきたことにほっとしながら、こちらから何度かコールしてみるが、落ちている時間が長くレスポンスはない。トランシーバー二つを手に、迷わず、急坂を更に下りて、岩礁の水際に移動する。
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海軍棒(左)と展望台棒は再現したもの。 |
岩礁島に砂浜はない。砕ける波の音がときに、信号音をかき消す。 |
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