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   利尻の夜空





急行利尻 


 午前1時すぎ、利尻が見える展望場所に立ってみる。落ちてくるような満天の星に遭遇したのは2年前の焼尻・天売島運用時だ。その時は天空を通過していく宇宙ステーションのようなものまではっきりと見えたのだが、今日はあいにく極くうすーく、ガスがかかっているのか、掃くほどにとまではいかないが、それでも、感動するに十二分な数の星が瞬いている。

ゆっくりと星空を鑑賞していると、あっという間に2時になってしまうのだが、このころにはすでに北東の空が白みだしてくるのである。北緯45度を越えたこのあたりでは、午後7時半に陽が沈んだと思ったら、午前2時には明るくなり始めるのである。

オロロンライン沿いには、ご丁寧に「北緯45度通過点」のモニュメントもあり、否応なしに越えたかどうかは確認できるのである。

白みだした北東の方向はガスがないのか、それでもいくつもの星が太陽の光に抗するようにまだ元気に輝いている。


極く緩やかに、光を増していく空を眺めていると、ふと、学生時代に北海道をウロウロしていたころの、急行利尻から見た「午前3時の朝」の光景が記憶に蘇る。列車に揺られながら刻々と変わっていく、あまりに早い夜明けの光の変位が、強く印象に残っているのである。同じく東京出身の友人も、何も言わずに窓外を眺めていた。二人で静かに感動していたのである。

急行「利尻」は、かつて札幌から稚内まで走っていた、夜行の急行列車である。稚内着は朝6時ちょうどだったと記憶している。3時頃というと、どのあたりを走っていたのだろうか。


2:30にもなると、足元には何の灯りがなくても辺りを歩き回るのには何ら不自由もしないほどに、明るくなってくる。利尻にかかっている雲もほどけていく方向のようなので、やはり今日も晴れ??、感謝だ。



    移ろいゆく光と星: 1:52、2:28







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