[群青の海の向こうに慶良間諸島― 渡名喜島大本田展望台近くより]
群青
小さい頃、「ぐんじょういろ」が好きだった。その深い青。子供向けのクレヨンや絵の具なので、あくまで「ぐんじょういろ」と書いてあるだけで、漢字や意味はもちろん分からないのだがその言葉の響きとともにお気に入りの色だった。しかし本当の群青といえる色に出会ったのは、2007年に沖縄運用を開始した時かもしれない。石垣島から波照間島へ渡る船の上からみた海の青色だ。人生未だかつて見たことのない、明るくそして深い青紫の海。そこに船が引いた波が鮮やかに真っ白に浮かび上がっていた。群青は英語では偶然にも「ウルトラマリン」。言葉の由来とは異なるが、まさしく超越した海の色だ。
今年の沖縄運用ロケは、渡名喜島(島尻郡渡名喜村)と久米島(同久米島町)である。那覇から西へ約60~100kmほどの離島だ。比較的近いのは、座間味の島々や粟国島といった位置関係にある。
渡名喜島は特に離島の趣が強く人口も400人ほど、面積も日本で二番目に小さい自治体らしい。アクセスは那覇からのフェリーしかない。車が通れない、狭く入り組んだ白砂の道や赤瓦の民家といった沖縄の原風景の雰囲気がまだ残っている島である。観光客はほとんどなく、宿も民宿が3~4軒ある程度である。
長澤まさみさん主演の映画「群青」(2009年公開)では、ここ渡名喜島がロケ地になっている。映画の設定上は石垣島の近くということになっているが、石垣島のある八重山とは全くかけ離れた場所である。監督の中川陽介さんは、映画のイメージに合うロケ地を求めて、沖縄の離島という離島を尋ね歩いたがどうしても、イメージにあう沖縄の原風景を残した島がなかったそうで、ダメ元で訪れたここ渡名喜島でようやくそれにめぐり会えたそうだ。
久米島は対照的にダイビングなどのウォータースポーツ、レジャー目的のリゾート的色彩が(やや)強い。ここでの運用目的は、なんと言っても「はての浜」で『CB無線を運用すること』だ。『』がついているのは、この天国のような場所で運用すること自体が目的だからである。仮につながらなくても全然かまわないのである。はての浜とは、名前こそ「浜」だが、久米島の東に浮かぶ、延々7kmに及ぶ白砂だけでできたれっきとした「島」である。久米島からツアーボートに乗らないと上陸できない。白砂だけでできているので、南の海に浮かぶ、いわば天国に一番近い場所的存在だ。そんな場所でCB運用ができたなら、どんなに心地よいことだろうか。
スケジュール的には那覇からフェリーで渡名喜島に渡り運用(一泊)、翌日渡名喜島から再びフェリーで久米島に渡って運用というスケジュールである。したがって、運用ロケ的には、陸地のほかにマリタイムモービル運用(MM)が2回含まれることになる(合計約4時間)。はたしてMM
からもつながるのか?こちらも楽しみなところだ。
6月20日(金)朝7:00、今年も沖縄運用がスタートした。
ロケーション:
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