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  朝の香りII





南の島で 


 鹿児島を飛び立ったATR72は、巡航高度の1万フィート(約3,000m)から徐々に高度を下げていく。やがて灰白色の雲に突入していくと、海面が見える頃には窓を水滴が後ろへと流れている。飛行機は北へと延びる滑走路を南から進入していくようだ。

今日は、徳之島は雨だ。「今日は」というより、この時期梅雨前線は南西諸島のうちでも奄美から沖縄に至る地域の真上を通って東西に延びながら、日本列島の南側に停滞しているのである。前線が南北にどれくらいずれるかによって、その日の天気が大きく左右される。これがこの時期の徳之島運用での難しいところである。19年のトカラ列島でも、昨年の沖永良部島運用でもかなり雨にやられている。

「どう逆立ちしても天気はどーにもならん、4日間もいればなんとかなるだろう」と、いつものアバウトな気分で、迎えに来てくれたレンタカー会社の車に乗り込むのだが、その瞬間土砂降りがはじまった(笑。

「午前中まで晴れてたんですけどね~」という地元のレンタカー会社のおばさんの言葉が更に追い打ちをかける。慰めのつもりだったのだろうが、全然慰めになってないんですが・・・(笑。

今回使用するリグは、予告編でも記したとおり、しずおかDD23 局所有の新技適機、NASA7208DXである。雨は想定内なので、87Rでは運用できる準備はしてきているが、問題は、せっかくDD23局が貸し出してくれた7208DXを使える時間がどれくらいあるかということだ。大切なリグ、水しぶき一滴と言えども、濡らすわけにはいかない。少しでも濡れるリスクがあれば出すわけにいかない。しかし、雨の様子を見ていると、どう見てもこの先一週間ぐらいずっとこのまま降り続きそうにしか思われない。この先一体どうなるのか???


徳之島は、行政上は徳之島町、天城町(あまぎまち)、伊仙町(いせんちょう)の三つからなる島だ。三町合わせて人口は2万人以上いるので、物理的には離島だが、いつもの離島ほどの「人里離れ感」はない。しかし、それは単に相対的な話だ。島の面積は日本の島では14番目の広さらしいし、人が住んでいるのは主に海岸沿いなので、特別天然記念物アマミノクロウサギに代表されるように、島の中心部の山岳域を中心にまだまだ神秘的で豊かな自然がたくさん残っている。島の北部・中部地域が『奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島』として、世界自然遺産に登録されているのがなによりその証だ。

島の地形は昨年の沖永良部島同様カルスト地形で、基本海辺は岩場や断崖が多いが、沖永良部島と違って海水浴に好適なビーチも少なくない。いつもながら、その美しい浜辺で、癒されながら気持ちよく運用することができるのか???


 




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 2022 徳之島