[穏やかな海。御岳山頂より諏訪之瀬島]





山頂展望所


山をやられる方はよくご存じのように、最高標高が一番低い都道府県は千葉県で、その次が沖縄県だ。千葉県が408m、沖縄県が526mである。この悪石島の最高標高点は「御岳」山頂の563mである。人口80人足らずのこんな小さな島一つで、千葉や沖縄の最高地点より高い場所があるということである。いかにこの島が急峻であるか、少しイメージがわいてくる。

この島に限らず、トカラの島、いや日本の離島はすべて基本的に山が海に突き出たようなものばかりかもしれない。特にこの悪石島は道という道がほとんどすべて峠道、集落内もけっこう高低差があり、島にいるというより山岳の中にいると思った方が間違いがない。

御岳はそれほど海面からそそり立つ山なので、とても車で登れそうに見えないが、不思議と山頂の直下まで車で行くことができる。そこには無線中継局がある。

山頂の展望所に立ち、海を眺めると、穏やかな海の中に平島や諏訪之瀬島が浮かんで見える。昨日の朝、雨の中、港に迎えに来てくれた宿の主人が言っていた言葉が思い出される。

「天気が良くて穏やかな日は、湖面のように見えるんですよ。そこに、島が浮かんでいるような~。」

雨が降る中、本当にそうなんですよ、と言いたげだった、その言葉の意味がよく分かった。

眼下には、やすら浜港や大峰牧場が見えるが、これほど「眼下」という言葉がふさわしい場所は、少なくとも当局はほかに経験したことがない。


(左)面白いところに道が・・・。この道の画面右側にはヘリポートがある。(ノンゼ岬への道より撮影)
(中)御岳山頂より、やすら浜港と集落(稜線の向こうの丘の上)。足元から真っ逆さまだ。
(右)御岳山頂より。こちら側も足元真っ逆さまな大峰牧場(手前)の向こうに、諏訪之瀬島が浮かぶ。湖面のように静かな海が色鮮やかだ。



しかし、いくらコンディションが落ちているからと言って、悠長に散歩している暇はない。

「離島運用」、「最終日」、「月曜日の朝」、とくれば基本的にAA169局である(笑。そう、イワテAA169局さんだ。当局が勝手に毎年離島運用シリーズの最終日のテーマにさせてもらっている局長さんだ。昨年のJD1母島運用では残念ながら最終日につながることはできなかった。

今年も性懲りもなく書かせていただこうと、こちらは朝から準備万端だ。AA169局さんにとってはさぞ迷惑かもしれないが、昨年の秋オンで栗駒からGWでつながったとき、特にお叱りは頂戴しなかったように思われるので、勝手に良しとしよう(笑。ただ、残念ながら今日は今までのところ、もちろん入感はない。違法すらかすりもしないので無理もない。

展望所から車に戻ってコンディションをチェックしてみると、なんとなく上がってきそうな気配だ。これはまずい。お昼休み運用は、早い局は11時頃から出られる局もあるので、早いところQRVポイントに戻って、体制を整える必要がある。しかも、運用時間は限られている。お昼を摂るために、12時までには宿に戻らねばならない。

お昼運用対応のロケは、ノンゼ岬ではなく、林道大峰牧場線のU字カーブの一角だ。ここは、さっき通ってきたときに発見したお気に入りの場所だ。海の向こうに、諏訪之瀬島が望める、ビューポイントでもある。まだ「月曜日の朝」は終わったわけではない。AA169局も聞こえてくるかもしれない。





左に平島。中央に臥蛇島(がじゃじま、無人島)、右には小臥蛇島(こがじゃじま、無人島)が霞んで見える。




前ページ  次ページ    


(QSO局は最終ページにまとめて掲載しています。)


© Nagoya YK221

 2019 トカラ列島 宝島・悪石島
 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  D