[ノンゼ岬の周りは辺り一面牧場。雨の中、牛さんが「オマエは何しにやってきた」と言いに来る。(フロントグラス越しに撮影)]





悪石島 ノンゼ岬


朝7時、「としま2」は予定通り悪石島に到着した。岸壁には宿のご主人が軽ワゴンで出迎えに来てくれている。今日も相変わらず雨だ。

岸壁から集落に向かう道は、すぐに峠道になる。車はどんどん高度を上げていく。海面はもう、はるか下のほうだ。天気を気の毒に思ったのか、宿の主人が言う。

「今日はあいにくの天気ですねぇ~。天気が良くて穏やかな日は、湖面のように見えるんですよ。そこに、島が浮かんでいるような~。」

主人がそう言うのだから、確かにそうなんだろう。しかし、この灰色の世界ではなかなか想像がつかない。

悪石島は基本的に「山」なので、QRVできるポイントは限定される。集落や港は急峻な山の西側にあるので、QRVには不向き、運用ロケとしては東の海に開けた「ノンゼ岬」が唯一のQRV予定ポイントだ。

ノンゼ岬は、海岸近くまで、崖のような山が屏風のように西側に迫っており、本州方向からの電波を反射させてくれそうだ。また西方向からの不要な電波を遮断してくれる?だろう。東から北は全くのオープンなので、これ以上の運用ポイントはない。ただ、本当の水際まで下りるには、この道路終点から歩いて2、3分、さらに下に降りる必要がある。もちろん雨の中そんなところへ行く気にはなれない。

 

コンディションはどうなんだろう?

雨のQRVは覚悟だが、ハンドルに手を置いたまましばし考えてみる・・・。外に出てやるのは簡単だが、メモ帳など出せないので、ログが取れない。リアハッチを開けて屋根代わりにやる方法もある。悩んだ末出した答えは、単純だが(笑、車の窓を10㎝ぐらいおろして、87Rのアンテナを運転席から突き出して座ったままQRVする方法だ。雨の中でのQRVでは、各局さんよくやられているかもしれない、何の変哲もない手法だが、当局は普段は雨の中でやるほど根性はないので、全くの初体験だ。飛び受けが心配だが、ここまで来て指をくわえているわけにもいかない。

窓の隙間から雨が吹き込まないように車の向きを微妙に調整(笑、さっそくワッチにかかってみる・・・・。87Rから漏れ来るモニター音はいつも通り、むしろノイズ加減から、コンディションも上がっているようだ。CQを出してみると、なんなく応答が入ってくる。

アンテナカバーをしていても、飛び受けにはほとんど影響しない、ということは聞いてはいたが、確かに本当だ(笑。今日は初日の宝島運用とは違って、アンテナカバーはすぐにびしょ濡れ、濡れ方は半端ではない。こんなので本当に飛ぶのだろうか?という疑問が湧くが、しかし、いくつかQSOを重ねるうち、そんな疑問はすぐに吹き飛んでいった。

入感は強くもないが弱くもない。比較的安定している。こちらからは平均すると53ぐらいで飛んでいっているような感じだ。アンテナの根元から下は車内にあるのに、よくもまぁ飛ぶもんである(笑 しかし、1時間に30QSOもしていると、さすがにこの姿勢はつらい(笑。

昼食から戻って午後もこの姿勢でQRVだ(笑。さすがに日曜日とあって、QRV局が多いせいか、午前中に引き続き各局さんが入感してくる。所沢のサイタマKM117局さんからも「安定して入ってますよ~!」と、コールが入ってくる。KM117局さんから最初にコールが入ってきたのは、午後運用開始直後の20分ほど前だ。2回目のコールで、あちらのコンディションを伝えてくれる。実にありがたい。ひょっとして、87R、このスタイルの方が飛び受けがいいのか???(笑。


後日しずおかDDD23局より、トカラでのQSO動画集をいただいたが、KM117局さんのコメント通り、結果的にこの日朝から昼過ぎの時間帯が、トカラ滞在中4日間の中でもっともコンディションが安定していたようだ。DD23局は4日間にわたり、当局の信号をモニターされており、要所要所でQSOや入感具合を動画に収められているのである。全く感謝に堪えない。しかし、そんなコンディションの時に、車の中からアンテナを突き出してやっていたというのは、皮肉なものだ。


左)ノンゼ岬より北方向。晴れていれば風光明媚なんでしょうが・・・。
中、右)夕方、雨が止まった時に、車外運用(笑。SR-01は標柱の上だ。向こうには諏訪之瀬島が見える。





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