[またしても抽象画?]




座間味島から


小笠原のコンディションは分かりやすく、上がるのは朝方と夕方で昔ながらの典型的なEsパターンである。日曜日は、上がった時間はすべて港のベスポジ、すなわち灯台下で運用だ。

朝のピークを逃すまじ!、とパイルの中各局さんと交信を続けていると、ミエAC129局からコールが入ってくる。いつもなら四日市からガツーんと入感してくるAC129局だが、今日は51、いつになく入感が弱い。「アキシマ」から運用されているとのことだ。・・・生まれも育ちも東京多摩地区の当局にとって、アキシマといえば「昭島」しかあり得ない。思わず昭島ですか?と確認してしまったが確かにそのようだ。漢字が伝わるわけがないが、妙な納得感だ(笑。昭島というと、多摩川あたりから出られているのか?それにしても、四日市港はおそろしい、いつもと強度が全然違う。

一般的に内陸の局と、海に近い局では入感の強さが異なる。海のない長野県は何をかいわんやである。内陸からやっているだけでハンデを負っていると思われるが、これはなかなか理論的に証明がむずかしい。

ありがたいことに更にパイルは続くが、今度はすでに交信を終えていた静岡の某局よりひと言、弾丸のようにQSPが入ってくる・・・「沖縄が呼んでますよっ!!」。パイルのQSOの間壁を縫って完璧にQSPを入れてくるところはさすがスゴ技だ。「おきなわステぇーショーぉ~ン」と、しばらくこちらからコールしてみるが何も聞こえてこない。交信に戻って2、3局続けていると、今度は当局の耳にもちゃんとコールが聞こえてきた。座間味島のおきなわZA35局だ。縦回線の本土向けとは違って、真横の回線は意外にもQSBもほとんどなく54と強力だ。本土より強い。

渡航前に、あらかじめ日本の主要な場所との距離は頭に入れておいたのだが、実は、母島からの大圏距離は、東京より沖縄の方がずっと遠いのである。東京とは1,000㎞強、那覇とは1,450km程度なので、1.4倍も違うのである。ZA35局は、座間味と言われているので、那覇よりもう少し遠いことになる。そもそも小笠原に移動することは滅多にない・・・、というか初めてなので、ここから沖縄とできるというのは貴重な体験だ。

左)707でワッチに入る。丘の中腹に見えるのが展望台だ。

右)偏光フィルターを持って来ていないので写りずらいが、すぐ足元にも熱帯魚?がいっぱいだ。





子どもたちは皆元気!





灯台下の防波堤には釣り人のほかに、小中学生の子供たちも遊びにやってくる。服を着たまま防波堤から海に飛び込んで遊ぶのだ。ここまで歓声が良く聞こえてくる。何度も飛び込んでは上がってくるのだが、実に楽しそうだ。自然が相手の遊び場で、都会の子供たちよりのびのびとしている。昨日は、自転車に乗った女の子が一人、当局のすぐ脇までやってきて、「何してるんですか?」と、語りかけてくる。島へやってくるビジターへのご愛嬌の一環もあるかもしれないが、半ば興味ありげだ。

子供たちはあいさつもしっかりしていて、皆元気一杯だ。子どもたちの会話を聞くにつけ、もし唯一違和感を感じるとすれば、方言と言うものが全く聞かれないことだ。東京から1,000㎞も離れている南の離島にいることを、全く感じさせないのである。・・・もちろん、確かにここは東京都なのではあるが(笑。

夕方のQRVは、なかなか安定しない。電波が「飛んで」しまうようだ。「飛ぶ」というのは、遠くへ飛んでいくという意味ではなく、途中で飛ぶように途切れて断片的になってしまうということである。

7エリア、ミヤギNE410局がさきほどから聞こえ始めていたが、未だ41ぐらいで非常に弱い。やはり途中で「飛んで」しまい、安定しない。これでは呼んでも無駄だ。しかし、5分10分とワッチしながら待っていると、時間とともに右肩上がりに信号が上昇してくる。いけそうなところで呼びかけてみる・・・52/53。QSO成立、多賀城市からオンエアされているようだ。この時間7エリアからの入感はNE410局だけだ。7エリアはもともと局数がそれほど多くはないので、どこでどなたが活動されているかはだいたい把握している。たとえばイワテTK174局などは、いつもQSO時に一関市から、と、だいたい付け加えてくれる。いつも通りなら釜石から運用していると思われるDS94局も、今日は夕方の出足早々に一瞬強く入感してきたがそれっきりすっ飛んだままだ。

母島には夜のとばりが下り始めた。NE410局は、「そろそろQRTします」と宣言された後も、各局からのコールに応えられている。つくばKB927局も時間とともに、信号強度が増してくる。その割りに他のエリアからの入感が変わらないのも電波の不思議なところかもしれない。


西の空に星が瞬きはじめる。
SR-01で一日を終える。





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(QSO局は最終ページにまとめて掲載しています。)


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 2018母島
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