[母島沖港に到着]




母島のQRVポイント

渡航前の運用ロケの事前調査では、なかなかいいQRVポイントは見いだせなかった。これは母島が基本的に南北に細長く、北(本州方向)に電波を飛ばそうとすると、水際を活用できる場所がほとんど全くないためである。しかも山が海上に隆起したような地形なので、平坦な場所はほぼゼロ、陸地からやろうとすれば山や森林に阻害されるからだ。

母島には最高峰「乳房山」(標高462.6m)があり、ここからやるのは面白そうだが、山頂までアクセスに2時間はかかるので時間がもったいない。目を付けたQRVポイントは3か所のみ、①北側にわずかに開けた、島の北端にほど近い「北港」、②理論的に360°視界が開けている可能性が高いヘリポート、そして、③唯一効果的に水際を活用できそうな、港の防波堤の突端にある灯台下である。

夕方とりあえず、沖港からQRV 

宿にチェックイン後、とりあえず港(沖港)の中にある小型の防波堤に陣取り夕方のワッチだ。ここにはウミガメの保護施設があり、産卵用に専用の砂浜が設けられており、港内でさらに波の影響を和らげるためか、小さな防波堤が作られている。これがちょうど水の中に突き出た感じで、無線的にはFBそうだ(笑。

コンディションは上がったり下がったりだろうか、特段強く入感してくる局もないが、落ちきることもないようだ。そんな中、サイタマKM117局だけが安定して飛ばしてこられる。「所沢から!」という勢いのある声を聞いただけで、どこの誰だかすぐにわかるのだが、今年は「山の方でもよろしく~」というのを言い忘れてしまった。後からブログ(「山岳移動の香り」)を拝見すると、雲取山から下山された後だったようで、大変お疲れ様である。




北港はどうか?





[北港: 北北西の狭い角度にだけ開ける。こんな秘境にもカップルが一組だけ、シュノーケリングにやってくる。]


北港は島の北端にある「港」だ。ただし、「港」とはかなり誤解を呼ぶ呼び方で、岬が形成する天然の細長い湾に、石積みの小さな堤が突き出ているだけだ。周囲に人家はまるでなく、山間の小さな入り江だ。もっともこの周りだけでなく、人が住んでいるのは沖港周辺だけなので、島全体が人跡未踏のようなイメージである。集落がある沖港から10㎞ほどの距離だが、ここまでの道のりは、群馬か長野の山奥の林道を走っているような感じで、アップダウンも激しい。

これまで10年以上沖縄の離島をいろいろと巡ってきたが、この北港ほど秘境感を感じる場所はない。それでも戦前まではここには集落があり、450人以上が生活していたというのだから驚きだ。郵便局や小学校、旅館もあったというのは、今では想像もつかないが、この入り江に突き出た小さな堤は、そのころの名残なのかもしれない。

ここにQRVする理由は何かと言えば、前述したとおり、北に開けた唯一の水際であるからだ。ただし、細長い入り江の奥なので発砲できる角度は限られている。一方でもう一つの狙いはバズーカ効果を期待してのことだ。入り江の両側に迫った陸地が電波を集中的に一方向に飛ばす(もしくは聞こえる)のではないかという期待である。う~ん、なんとなく宇宙戦艦ヤマトの波動砲のようなイメージだ(笑。

果たして、QRVしてみると、三重、京都、石川あたりと結ぶ回線が異様に強力だ。「シガ」局には普段あまり出会わないが、しがAU58局も入感してくる。とりわけ、きょうとON36局、イシカワTB306局が、安定してず~っと54ぐらいで入感してくる(笑。果たして地理的に、バズーカの方向性がこれで合っているのか???それは不明である。(平面図では、三重、滋賀、福井を結ぶ線が、入り江が開けている延長線上の模様) もっとも単に石川、京都辺りが単に調子よかっただけかもしれませんが~(笑。更に面白いのは、この日志摩市移動のミエAA469局の波が、入り江の中の微妙な位置取りの違いで大きく入感が変わったことだ。

まあ、せっかくなので、これらは「バズーカ効果だった」と日記には書いておこう(爆。

 
左)、中)北港: 確かに秘境だが、東屋やテーブル、ベンチもあり、無線的にはFBな場所だ。
         87Rで歩き回ってバズーカ効果を確認(笑。
右)沖港のある集落から北港への途中には、「新夕日ヶ丘」と呼ばれる夕日の鑑賞スポットもある。
 




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 2018母島
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