[海と空は限りなく青い。平島(右)、妹島(左奥)。]
展望台の時間
沖港の一部は海浜公園になっており、そこから階段を少し登った小高い丘には、展望台もある。ここには草葺きの屋根の東屋があり、高台なので風がそよそよと吹いてきて、寝そべっていると非常に気持ち良い場所だ。土曜日も日曜日も昼下がりはここで過ごすことになる。小笠原は南の島なので、沖縄と同様暑いイメージがあるが、実はこの時期はカラッとしており、日陰にいれば汗をかくことはない。日向にいたとしても東京のように汗だくになるようなことはないのである。気温は高くとも、大変過ごしやすいのだ。
快晴の昼下がりはコンディションが上がらないのが普通だ。87Rはボリュームを10まで回しても、きれいさっぱり、何も聞こえてこない。これくらい何も聞こえてこないと逆に気持ちがいいくらいだ(笑。それでもどこかの局とは宝くじがあたるように回線がつながる時があるらしく、土曜日の昼下がり、一瞬だけチバCB750局が入感してくる。それが電波の不思議なところだ。
今年は小笠原が1968年に日本に返還されてから、ちょうど50周年にあたる。まさしく、この50年前の6月26日、日本に還ってきたのである。この週末は返還50周年の祝賀式典が執り行わる予定であり、小池都知事も父島、母島に来られるらしい。日本の領土が50年前に還ってきたわけだが、小笠原に最初に定住し始めた住人は、実は欧米人だ。江戸時代後期のことである。アジアでは大英帝国が覇権を強めようとしていた時代だ。太平洋では既にイギリスなどが捕鯨活動を行っていたので、小笠原はその補給等の役割も期待されるようになっていた。1853年ペリーも浦賀に来航する前に、父島に寄港している。明治新政府になってから、危機感を覚えた政府が手早く調査団を派遣すると、イギリスも軍艦を派遣して対抗するなど、きな臭い時間も続いた。日本の領土であることを各国に公式に通告し、領土として確定したのは、明治9年(1876年)になってからである。政府の対応が遅れていたら、今でもイギリスかどこかの島になっていたかもしれない。戦後は戦後で1968年まで米国に占領されていた時間が続く。その間、当然ながら学校も米国人による英語で教育が行われており、地元の60代以上の方は英語が堪能な方が多いようだ。
日曜日は母島で式典が行われていたようでこの展望台でQRVしていると、都知事を乗せているとおぼしき、ははじま丸が、たくさん漁船を従えて出港していく。祝賀ムード満載だ。
|
|||
左) 都知事を乗せた?ははじま丸が出港していく。 中) 透き通った水の向こうは、平島その奥に姉島。妹島も見える(左奥の島影)。 右) 向島の前を海上保安庁の巡視艇が通過していく。 |
ベスポジ?
[底抜けの空。午後三時、灯台下で闘いがはじまる]
6月のこの時期、10年も南の離島で集中的にEsをやっていると、コンディションの上り口がだんだんとわかるようになってくる。フルタイム運用ながら、おかげさまで手を抜けるところは手を抜けるようになってきた。無駄なCQを出さずに済むのである。3日間も南国の日向で移動運用するには体力の温存も意外と重要で、展望台でワッチしながら横になっているのもそれが目的だ。こういう時のワッチは、入感があるかないかというよりもむしろ、どういうノイズがどのくらいのレベルで聞こえてきているかということを感じ取る方が重要だ。うっかりこの兆候を見逃すと、昨年根室から運用した時のように痛い目に会いかねない。
土曜日の14時過ぎ、展望台で87Rを聞いていると、どうも漏れくるノイズが怪しくなってきたような「気配」だ。15時前というのは、夕方のオープンにはまだ早すぎる時間のはずだが、ここで東屋を離れQRVポイントとして事前に目を付けておいたベスポジ?に移動だ。ベスポジとは港の防波堤にある灯台下である。ここは本土がある北側が水(=港)になり、背面が防波堤の壁になるのでリフレクター効果も期待できそうだ(そんなものあるのかどうか不明(笑)
まだ3時前だが、案の定、SR-01をセッティングして15分もしないうちに、合法局が入感し始める。出だしはきょうとON36局だ。二時間近く前一瞬強く入感してきたチバCB750局も今度は安定して聞こえてくる。今度はこちらからは56で飛んでいるようだ。愛知県稲沢市からは、迷友、ではなかった、盟友アイチAE126局からもコールをいただく。迷友なので、お空での会話はほとんど一年ぶりだ(笑。
午前中、こちらから呼んでも届かなかったきょうとKP127局とも無事つながる。同様に午前中ダメだったなごやCE79局は、亀山市からQRVのようだ。午前中は確か、和歌山県、と聞こえていたが、すでに帰りの途中らしい。「午前中はこちらからは全然飛んでいきませんでしたね~」とのことのようで、聞こえてくる割には飛んでいかなかったコンディションのようである。いつもの八王子からはとうきょう13131局、立川からはとうきょうMS25局も聞こえてくる。両局ともコンディションが上がった時は必ず呼んでいただける局長さんで、いつも呼んでいただけるのはありがたい・・・・・感謝。
|
|||
左) 展望台からみた「ベスポジ」。灯台下は海に突き出てFBそう。画面左手前方向が電波が到来する本土方向。 右) 灯台下にSR-01をセッティング。予想通り、モニター開始15分もすると、入感が始まる。 |
© Nagoya YK221