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  ここでこうしているのもいいけれど、向こうにはなにがあるんだろう。                 (苫前町)




海の向こう 


 昨日の夜、旭川空港に降り立った後、アイチAC556局とつながっていた。時間は20時10分過ぎだ。こんな時間でも運用されているのかと思いつつ、しばらくワッチしていても、なぜか聞こえてきたのはAC556局一局のみだった。電波は気まぐれだ。

今日(7/24日)は焼尻・天売に渡る前に、まずは陸地側の苫前から運用開始だ。苫前は焼尻・天売に渡る羽幌町のフェリーターミナルから10㎞ほど南の位置だ。東京地区ではこのところずっと青空を拝めていなかったが、ここ北海道では朝から青空が広がっている。例年とは逆だ。

海岸の防波壁に陣取り、ワッチを開始してみる。朝6時、北方向の雲の隙間には利尻岳が頭だけ見せている。目の前、向こうの沖合には、朝日を浴びて焼尻・天売島が浮かんでいる。今回のメインリグは、NTS115。COVID-19の影響でこれまで運用はままならず、本格的な運用は今回が初めてとなる。

コンディションが上がってきたのは、9時を過ぎてからだ。まずはフクシマTT244局のコールが聞こえてくる。といっても、羽幌のフェリーターミナルには、イワテB73局が運用されているようで、彼の方はとっくにQSOを開始していたのであるが(笑・・・。聞いているとあちらの方が、当局のいる場所より、S3は強いのだ(笑。ひょっとしてNTS115のせい?とあらぬ疑いをかけてみるが、もちろんそんなことはなく、87Rでも当方には全く同じ入感度合いだ。

NTS115はチャネルセレクターを右に回していくと8Chになるのは普通のリグと一緒だが、そこから8Chの先、右隣は「A」となりこちらは27,005KHzの受信専用周波数だ。つまり違法の入感度合いと合法の8Chを一ひねりで比較して聞けるようになっている。右端のB Chは漁業無線の受信専用周波数で、こちらもDXの伝搬状況を確認するには有用だ。ちなみに左に回していって1chの次は再び8Ch、そして左端は「C」Ch(28,305KHz受信専用)となる。1Chと8Chが隣同士で使えるというのも、なかなか便利ではある。

フェリーターミナルとのロケの差は如何ともしがたいのか?なんとか打開しようと、87Rを持って防波壁から浜辺の波打ち際まで攻め込んで(笑)ワッチしてみる。やはり波打ち際の方がS2くらい上のようだ。防波壁との距離はわずか20m程度だが、それが水による違いというものだ。こうなると、NTS115や荷物一式、すべて波打ち際に移動だ。

潮はちょうど満ちてくる潮加減で、一旦陣取った場所は、すぐに後退をよぎなくされる。しかし、こうして波と戯れながらQRVするというのもなかなか乙なものだ(笑。


 水平線上の雲の向こう、利尻富士が頭だけ覗かせる。(左)
 8の隣はAチャンネル。(右)



潮の満ち引きという観点で行くと、潮が満ちてくる時間帯はDXが好調になり、その逆の潮が引いていく時間帯は、貧コンになる場合が多い、というのが当局のこれまでの経験則だ。そのルール通り?どんどんコンディションは上がってくる。各局53から55程度の入感だ。しかもQSBもほとんどなく安定している。好調なのは1~2エリアといった感じか?岐阜県高山市からは久しぶりのQSOとなるヒダタカヤマKI107局が聞こえてくる。盟友しずおかDD23局も、自作新技適機「CBにゃん」(笑)で、8エリア各局と交信されているのが力強く聞こえてくる。今日は富士宮市の展望台から、水平偏波でやられているようだ。

7Chからは珍しくCQが聞こえてくる。既に別Chで交信を終えていた、とうきょうMS25局さんだ。信号もS5~6程度と強力だ。自称「7Ch応援団」の当局としては見過ごすわけにはいかない。再びお声がけしてみると「普段使えないチャンネルですが、いや~、たまにクリアーに聞こえるときがあるんですよ!!」、とはご本人の弁だ。

コンディションが良いので、各局を聞きながらNTS115の各機能をチェックしてみる。まず、一番気になるのはやはりAF音だ。AFの増幅度合いが小さいのは周知のとおりで、それは何とかなるのだが、問題は少し信号入力が大きくなるとたちまち音がひずみだす点だ。普通の信号を、ボリュームを上げて大きくしていっても同じように歪む。ということは、元から増幅される前の検波信号にひずみが含まれているということか??このひずみを最小にしようとすると、ボリュームを交信できる程度の最小限にせざるを得ず、従って、強信号と弱信号の差が分かりづらいということになる。つまり耳Sだけで信号強度を判断しようとすると、ボリュームが絞ってあるので、強信号でもSのレポートが下がってしまうことになりかねない。

また、8Chと27005が隣同士で比較ワッチが簡単に行えるのは前述の通りだが、27005の違法局は入力が大きく、8Chの合法局は入力が小さいのが常だ。つまり合法局と違法局では入力レベル差がかなりあるので、8Chのボリューム位置で「A」Chに回すと、途端に大きくひずんだ音が出てくるということになる。

このひずみは、帯域幅を絞っていくとある程度緩和されるが、いずれにしてもダイナミックレンジが狭すぎるように思われる。もっとも、もちろん他の個体と比べたことはないので、当局の個体だけの問題なのかもしれないが??(笑。しかし、あばたもえくぼ、それでもこのリグを使い続けたいと思わせるところがこのリグの魅力なのかもしれない。


左天売島、右焼尻島




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