[1,460mポイントより。右後方に鴛泊が見える。]
8月4日(土)
今日は、利尻岳山頂からQRVだ。別にイベントデーでもないので、グランドウェーブで距離を稼ぐ必要は無いので、高いところに登る必然性はないのだが、ここまで来た以上利尻岳山頂からQRVせずにはいられない(笑。(実際には、山頂から道南のニセコや羊蹄山まで余裕で見通しである。)
利尻岳の登山ルートは鴛泊コースと沓形コースの二つで、それぞれ登山口と山頂との標高差は1,500mと1,300mである。休息なしのネットの標準コースタイムは鴛泊コースが6時間、沓形コースが5時間だ。沓形コースは危険箇所があるのと、登山道が鴛泊コースほど整備されていないので、経験者向きとされる。当局は「経験者」ではないが、山頂でのQRV時間をMaxにすることをモットーとしているので、少しでも到達時間が短い沓形コースを選ぶが、これが結果的には完全にミスチョイスだった(笑。
3時40分、山頂でのQRV時間を長く取る為早発ちだ。まだ暗闇の、岩が苔むす道を慎重に登っていく・・・。今日の装備は、途中でQRV&コンディションチェックしながら登るため、ザックのサイドポケットにRJ-410、メインリグはICB-87R、それにデジ簡(IC-DPR5)である。RJ-410は普段は使うことはないが、こういう時こそ出番である。
昨日の夜9時頃までは良く晴れて月も出ていたが、朝起きると完全にガスに覆われてしまっている。月はおろか空は全く見えない。天気は余り良くないようだ。それでもまだ雨が落ちてない分ましか?出だしの一時間、森林限界を超えない裾野部分では登山道は水で抉られ、しかもぐちゃぐちゃで泥だらけ、かなり歩きづらい。登りらしい登りに入ると今度は、登山道整備の為か、ヘリコプターから降ろされたと思われる、巨大な荷材のかたまりが、何箇所も、通行止めといわんばかりに完全に道を塞いでいる。いちいちこれを乗り越えて行かなければならない。
お空のコンディションのほうはどうか?6時を過ぎたあたりから、何度か410を取り出して、コンディションチェックをしてみる。この時間だとコンディションが上がっていても、QRVしている局長さんなどいないだろうなぁ、と思いつつCQも連発してみるが、もちろん応答はない。しかし、何度かチェックしていると、その度、気のせいか少しずつノイズレベルが上がってきているような感じがする。1,460mポイントの三眺山では、少し長めにQRVしてみるが、いくつかのチャンネルで南方系の海外局が入感してくる。5Chでは、英語局の信号が比較的強力だ。ただ、もう7時を回っているのだが、CQへの反応は全くない。「コンディション、悪くは無いんだけどなぁ。この410正常に動作してるのかな?」普段は全く使っていないだけに、余計な不安がよぎる(笑。
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茶色の斜面がザレ場。ここをトラバー スし反対側の稜線に出て、鴛泊コース と合流する。合流から頂上までは30分 もかからない。 |
沓形コースの危険箇所のひとつに、急傾斜のザレ場があり、ここをトラバース気味に渡っていくことになる。ここは一歩誤るととめどなく下まで転げ落ちていくことになる。ゆるくロープが一本「置いて」あるだけで、踏み後など全く無い。足を踏み出すとずぶずぶと赤茶けた軽砂の中に埋まって、下へ下へと滑り落ちていく。足場が全く確保できない。どこを選んでも状況は一緒で踏み跡などできるはずもない。しかもロープは張ってある訳ではないので、全く頼りにならない。ちょっと気を許せば間違いなく下まで転げ落ちる。よくこんな所を「登山道」にするもんだ?と、安全登山を家族に誓っている当局は慎重に慎重を期して渡る(笑。
山頂到着は9:25分、なんと5時間45分もかかってしまった。いくら足が遅い当局とはいえ、休息時間を入れても標準コースタイム(ネット)を上回ったことはいまだかつて無い。途中何度かQRVしていたが、その時間を入れても、これはかなりショックだ。なぜショックかといえば、足が遅いこともさることながら、山頂でのQRV時間がそれだけ短くなるからだ。後から山頂に上がってきた人の話では、鴛泊コースは良く整備されているようで、むしろこちらのほうがよほど時間は短縮できたはずだ。(登山者のおそらく99%は鴛泊コースと思われる。)これは完全にコースをミスチョイスった(笑。
リュックをおろして「AB303局さんやKM117局さんなら、4時間かからずに登ってこられるだろうな」、と自嘲しながら腰に手を当てて一呼吸、山頂はいわゆる山頂の標識は無く、「利尻山」と記した看板とともに祠が祭ってあるだけである。利尻岳は南峰と北峰に分かれており、お互い5分もかからない距離だが、崩落が激しい為南峰への立ち入りは禁じられており、2mほど標高が低いこちらの北峰が現在は山頂とされている。
© Nagoya YK221
利尻・礼文