樹氷の世界

一年が経つのは早いもので、某AE126局と、潮見の森でサブプライムローン問題について熱い議論を戦わせていたのはちょうど一年前だった(爆)。
7日の日曜日はあいにく小用のため、あえて移動局の少ない土曜日に久々の移動をかけることになる。「今年一番の冷え込み」という天気予報も顧みず、茶臼山に移動を試みる。茶臼山は当局にとっては、某NP152局と、偶然最初に出会った思い出深い運用地でもある(笑)。

峠道を登って1,000m近辺までさしかかると、うっすらとした積雪(氷)路面になる。朝日が低い角度でさしこむと、木々の枝枝に反射した光がまぶしく映る。旧茶臼山有料道路に出ても、空気中の水分や、雪が付着した一面真白な山の世界が広がっている。表示はマイナス5℃。この手の警告は単なる脅しに終わるケースが多いが、路面はところどころの積雪で真面目に凍結している。

ナチュラル4輪ドリフト&前輪空転をかませながら、茶臼山中腹に到達する。タイヤはまだノーマルで、スタッドレスに履き替えるのに出遅れたようだ。

到着時、中腹の気温はマイナス7℃。あたりを歩いて様子を確認すると、気温が低いだけでなく、風が強い・・・。天気予報通り、北から寒気が流れ込んでいるせいか、西北から突風混じりの強風が吹いている。スキーなら話は別だが、これは運用するにはつら過ぎる。車に戻り、心地よくヒーターの効いた車内でぬくもりながら、しばらく運用場所をどうしようか考える。山頂か?中腹か?それとも、このまま車内で昼寝か?(笑)。この強風だと山頂の状況はどうなっているか分からない。一瞬悩むが山頂運用はあきらめ、駐車場から少しだけ登った中腹地点からオンエアすることにする。強風に乗って雪雲が次から次へと流れ去っていく灰色の曇天の中、あたり一面見事に真っ白に染まった樹氷が、唯一清々しく感じられる。


中腹のベンチに陣取り、9時過ぎにメインリグの707とPR-900で、CQ&ワッチを開始する。「応答局なんてあるわけないよな~」と思いつつ、ワッチ&CQを続ける。下界の天気は分からないが、少なくとも茶臼山周辺の景色を眺めているだけで、まさしく絶望的に思われた。こんなくそ寒い、強風の中運用する奇特な方などいるはずもない。

テーブルとイスは一件何の変哲もなく見えるが、表面は完全に凍結しており、ステンレスの鍋や、コーヒーカップは、置いたとたん、するすると勝手に動き出してテーブルの反対の端からすぐに落ちそうになる。コーヒー用の水もしばらく放置しただけで、いとも簡単に凍ってしまう。マイナス4~5℃程度でこんなに速く凍るもんか?と疑問に思う。

CQを出し始めて1時間15分が過ぎる。ようやく本日の1局目、パーソナルでアイチHZ76局(愛知県刈谷市)とつながる。2エリアは幸いパーソナルが盛んだ。常置場所からとのことで、パーソナルならこうして移動局でなくともつながる。HZ76局にピックアップしてもらうまでは、こちらの体も凍死する寸前だったが、QSOをしていると、ようやく身体に血が回り始めた。HZ76局は昼ごろにもCBの方で出られるかも、ということで、なんとかこちらもそれくらいまでは頑張ろうかとも思う。




空からの手紙

時々かなりの量が舞い降りてくる雪は、みな丸い形をしていて、耳を澄ますとサラサラとかすかにウェアにあたる音が聞こえる。テーブルに舞降りた雪は、発泡スチロールなどよりはるかに軽く、ちょっとした空気の動きで、またあらたな場所へと移動していった。


テーブルに座ってひたすら3Chをワッチしていたが、じっとしていると、そのまま凍ったお地蔵さんになってしまう。時々、あたりを歩き回って体を動かしていると、離れたリグから、なんとCQの声が力強く響いてくる!急いでリグに戻ると、なごやAD144局の声だった。なんと、うれしい事に2局目(爆)。岐阜県土岐市三国山からということで、メインはアマ運用のようだが、運用前に取り急ぎ、CBでCQを出されたとのこと。AD144局とは久々のQSOだ。バンドは朝から海外局がにぎやかだったが、この頃はまだそれほどうるさくなく、AD144局の信号も強力だった。

イベントデーでもない限り土日の運用では出足が遅いのが常だが、そろそろ各局動き出したか?パーソナルでは、岐阜県垂井町のながおかHR420局とつながる。関が原近くの垂井町までどういう伝播経路かわからないが、M5/M5での交信である。HR420局も固定からで、今日はパーソナルを持ってきてよかったと再度実感する。固定ということで、伝わってくるその暖かそうな雰囲気がなんとも別世界のように思われる。


掛川市粟ヶ岳より

11時過ぎからは積極的にCQを出してみるものの、どれも空振りなので、必然的にワッチ時間が長くなる。海外局の混信もピークで、3Ch、2Chはエコー局やら南方系の言葉やら、ヒュルルンというノイズが非常にうるさい。そんな中、久々に3ChにシズオカAD964 局のCQが入感してくる。掛川市のアワガタケ移動とのことで、標高500mちょっとの山のようだがよく飛んでくる。

AD964局とも久々のQSOだ。最後に交信したのはいつだろう?と考えながら、混信がうるさい3Chから、5ChにQSYして交信を続ける。AD964局のおられるアワガタケの方は、日も差してぽかぽかとのことで、なんとサンダル履きでOKとのことだった。サンダルと言えば、当局の方は、さっきからつま先が気に懸かっていた。上半身はかなりの寒さに耐えられるように着込んでいたが、軽登山靴の中のつま先は異様に冷たくなっていた。(感覚があるだけ、まだましか?)もっとも、上半身も運用開始から3時間近く経過し、体の芯まで寒さが浸透してきていた。


AD964局は、「しずおかDD23局も、1時過ぎに富士山から出てこられる予定なので、そちらでもつながるといいですね~」と言われており、当局もその気になって、なんとか最低13時ぐらいまでは、がんばってみようと意を新たに(笑)する。


その後はもちろん入感局はない。しかし、お昼を回ってからは雪も降ることはなく、逆に、厚い雲の切れ間から、数十秒だけ日が差す瞬間が時々訪れる。そのときはめまぐるしく光の加減が変わる。気温は朝から全く変わらないので、午後になっても、木々の枝は見事に真っ白く凍りついたままだった。雲間からの光を浴びると、いっそうその枝々が純白に輝いて見えた。





DD23局@富士山2合目

カップラーメンを食べながら、707で3Chのワッチを続けていると、富士山2合目移動のしずおかDD23局と、シズオカAD964 局とのQSOが聞こえてくる。

「よっしゃっ!」と思いながら、とりあえずブレークをかけて、QSOに割り込ませてもらい、すかさず87Rのスイッチをオン。ベストポジションを探すべくあたりをうろつく。しかし、ロケによる変化は全くないようで、DD23局の信号はどこでも同じようにRS51で入感してくる。

当局側にはさっきまでうるさかった海外局の混信も無く、若干細い線ながら、DD23局の信号は、きれいに届いていた。場所探しの効果は、むしろ、シズオカAD964 局との方が大きく、さっきとは当局もAD964局もリグが異なるが、AD964 局は今回はRS56(当初52)で入感してくる。


DD23局とつながるのは、6月の波照間島(沖縄県)運用以来だ。3局でラグチューモードに入りたいところだが、どうもDD23局側には海外のカブリや、ラジコンノイズ等がきついようで、当局へのレポートはRS41である。4ChにQSYしても状況は余り変わらなかった。残念ながらショートQSOに終わるが、その後もいろいろリグの送信実験をされている研究熱心な様子が聞こえてきていた。


テーブルに戻ると、カップめんが風に吹き飛ばされ、反対側のテーブル下にひっくり返っていた(笑)。(=ちゃんと掃除しました。)予備で持参の2つ目のカップめんの封を切る。


幻のジョギングおじさん

一応公約を果たし、14時、運用場所から撤収して、車に戻る。ただ、この日中央高速を移動の途中で「タイミングが合えば・・・」とスケジュールを予定していたギフAA365局とはまだつながっていなかった。車の中でリアル板を確認するとパーキングエリアからQRVされるという。逆にこれはタイミングが良かったかもしれない。運用場所の中腹は、北側(中央高速側)は山でまったく開けていないからだ。当局も周遊道路をノーマルタイヤで移動、山の北側に回って、呼びかけてみるが残念ながらAA365局の入感はなかった。


道路脇で87R片手にCQを連発していると、向こうからジョギング姿のおじさんが走ってくる。こんな時にこんな場所で、なぜ?と、あっけに取られる間もなく、雪道を走り去っていった。


今日出会った人はこのジョギングおじさんとハイカー3人。茶臼山のスキー場オープンは12月20日。猫の額程ながら、スキー客で賑わう日も近いのか?

                                                          ('08/12)

茶臼山運用
運用データ
2008年12月6日(土) 9時05分頃~14:00分頃
リグ:
CB:ICB-707、ICB-87R、
パーソナル:信和PR-900 (アンテナ:λ/2スリーブ)

運用場所:
  愛知県豊根村茶臼山中腹(標高約1,310m)


ロケ:しらびそ高原
S社ブランド100円ショップ乾電池(4本100円)はグ~!
707はリチウムイオン電池(内蔵型)駆動、87Rは、100円ショップ乾電池駆動だった。
13時頃からのしずおかDD23局とシズオカAD964局とのQSO(2回目)は、87Rで実施した。QSOまでの間、87Rは朝から4時間、マイナス4度でテーブル上に放置状態だったが、100円ショップ乾電池運用でも、問題なく作動。この100円ショップ乾電池は、当局が実測した100円ショップものの中で一番成績のよかった、国内S社ブランドの乾電池である。この電池は、かなりコストパフォーマンスが高い。(リチウムイオン駆動はもちろん全く問題なし。)




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 茶臼山運用 (2008/12/6)