10 11 D



  岬の先端へ





田皆岬 


 灯台を訪れる人の気持ちは何かといえば、水平線まで青く続く、無限とも思われる海に向かって解放感に浸ることにあるように思われる。だから、灯台が遠くに見える景色が目に入り始めた瞬間、誰しもがある種の期待に心踊らされるのかもしれない。





田皆岬へは、少し丘を下りそして少し丘を登る。その向こうにはまた空とは違った濃紺の海が見え隠れする。その丘までの途中には、さとうきびや、たばこの畑が続くのである。こんなところで?たばこの葉に出くわすとは思わなかったが、沖永良部島では、結構栽培されているようで、そこここに畑が見受けられる。


田皆岬は、島の西側面の北端に位置する岬だ。灯台から、ゆっくり岬へと緩やかな斜面を下っていくと、断崖絶壁の草地が待っている。(=冒頭写真) 向こう側に見える海の青と、草地の緑が絶妙なコントラストだ。

仲泊海浜公園の白砂のビーチの方から、伊延港の方向に向かった海岸線も美しい。(=右写真) 前述の通り、仲泊海浜公園は、QRV予定ポイントの一つだったのだが、キャンプ場も併設されているこのビーチは、コロナ禍のせいか、車でアクセスする道が閉鎖されたままだった。


広場のような、この開放的な場所で、87Rを点灯してみる。もっとも、開放的過ぎて、周りじゅうそこかしこ、単純に気付かずに歩いていくだけで断崖絶壁の奈落の底だ。サスペンス劇場のラストシーンが何本も取れそうな場所である(笑。


足下では水の色が宝石のようだ。こんな風光明媚な場所で、QRVさせてもらってよいのだろうか。しかも誰一人やってくることもない。

最初に87Rに飛び込んできたのは、にいがたNG37局だ。続いてフクシマSP302局、そしてとちぎ4862局とは本日二回目のQSOである。岬なので、水の近くであることには変わりはないのだが、やはり浜辺などの水際ほどは電波は強くはならない。不思議なもので、断崖絶壁の間際にいるより、少し岬の陸側に入ったほうが、感度が上がるようである。

足下の海が深々と青い。QSOはそこそこに切り上げ、しばし、この癒しの光景を満喫してみることにしよう。








前ページ  次ページ     



© Nagoya YK221

 2021 沖永良部島