昨年は、日本の最南端、波照間島からのQSOに成功したので、今年は日本の最西端、与那国島より運用を計画してみる。最南端・最西端といっても離れている距離はおそらく100Kmほどで、要は両島とも日本列島の南西部の最果てということになる。
与那国島は、日本最西端の名の通り、八重山諸島でも、最も西に位置し、台湾まで111Kmの距離にある。石垣島からは120Km以上あるので、石垣島より台湾の方が近いことになる。ここからは、年に数回、台湾が見えるという。
ちなみに、与那国島は沖縄本島からは520Km、宮古島からでも230Kmも離れている。
良い地図が与那国島にありました(笑) |
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地図西崎(いりざき)展望台の床に描かれた地図。与那国島の位置がよくわかる。実際にはずっと 右上の方には、九州の方まで描かれている。 西表島の南の小さな島が日本最南端波照間島 ('07、'08運用) |
スケール付き(笑)沖縄本島まで520Kmとな。 |
7月3日(金)
高度24,000ft(7,300m)、7:20分那覇発、石垣島行きの737からは、昨年と同じような光景が窓外に広がっている。真っ青な海と空の中に、白い雲が、海に浮かぶ氷山のように後ろに流れていた。今日は若干雲が多いようだが、宮古島周辺の海も雲間から瑠璃色の顔をのぞかせていた。
石垣島では飛行機を乗り継ぎ、与那国島に向かう。乗り継ぎ時間は1時間半あるので、空港の駐車場に移動し、87Rでコンディションを伺ってみる。2mのアンテナを伸ばすと好奇の視線でみられるのは、どこでも一緒だ。駐車場にきたバイクのオジサンやら、タクシーのおじさんらの不思議そうな視線を浴びる。
スイッチをオン、ボリュームをゆっくり捻る。8chを聞いてみると静かなざわめきが感じ取れる。6、5、4・・・低チャンネルの方にロータリースイッチを回していくと、南方系の信号との混信の中、本州からの違法局が元気良く入感してくる。しばらく聞いて発信場所を確認してみると、開けているのは1エリア、栃木、茨城の北部あたりのようだ。QSBは弱く、S7~S9で強力に入感してくる。お~、これは乗り換え時間中にとりあえず石垣島からいけるかもしれない・・・、と8Chに戻り、CQを繰り出してみる。
先ほどは何も聞こえなかった、8Chは、既にホニャラ、ホニャラと南方系の信号が「キレイ」に入感してきているが、幸い信号も強くなく、交信間隔も短いので余り邪魔にはならない。CQを連発してみるが、さすがに平日の朝9時前とあって、応答局はない。しかし、CQを出しながら、この時当局には密かに自信があった・・・このコンディションなら応答はなくとも誰かが聞いていてくれているに違いない、と。(この予感は的中し、後刻、某局よりCBLレポートを頂いた。)
与那国への飛行機は30分遅れで石垣空港を飛び立った。飛行時間わずか25分なので、てっきりプロペラ機と思いきや、バスで案内された先の飛行機は150人乗りの737だった。しかも、文字通りの満席である。
飛行時間が短いので、巡航高度は8,000ft(2,400m)までしか上がらない。西表島の森林を間近に見下ろしながら通過すると、やがて、与那国島の北側にさしかかる。今日は東よりの風とあって、島を左に見ながら一旦北側を通過、左180度旋回で、ほぼ真東に伸びるランウェイ08に進入、着陸していく。
飛行機から降り立った人たちからは、心なしか、週末これから始まる与那国でのゆるやかな時間への浮き足立った気持ちが伝わってくるようだ。
与那国に降り立った人が多かったのは、「Dr.コトー」で有名になり過ぎたこともあるかもしれないが、理由はそれだけではないことが後で分かる。
宿にチェックインすると、気さくなおばさんが話しかけてくる。
「あなたも祭りにこられたの?」
「えっ、祭りなんかあるんですか?」
「いやー、国際カジキ釣り大会があって、3日間盛り上がるんだわ。」
空港で人が多かったのはそういうことか。そういえば港の中心部を通りかかったとき、広場で露店やら特設ステージの準備が始まっていた。
「釣り大会じゃなくて、無線をやりにきたんですよ。」
「無線?そういえばこの間も、無線をやるんで物干し竿をかしてくれって、言われてねぇ・・・」
それはアマチュア無線に違いないが、その気持ちはよく分かる。