[朝9:20分、中禅寺湖は未だ逆光の中だ。]


MF33局

2011年の秋オン、朝一の火打山(新潟県)山頂からCQを出すと、とうきょうMF33局から応答が返ってくる。日光白根山移動だ。まるで待ち構えておられたかのようである。もう4年前のことである。

まことに残念なことだが、とうきょうMF33局さんは昨年(2014年)暮れ、早世されてしまった。日光白根山といえば、MF33局さんが良く使われた移動場所だ。実際は、「よく使われた」というより、そこに居られたMF33局さんとのQSOの印象が強いせいかもしれない。当局自身は白根山での運用は初めてだが、今回は早世されたMF33局を偲ぶ意味も込めての運用である。

MF33局さんは、どちらかというと寡黙な方で、自ら進んで長時間CQを出されたりする方ではなかった。じっとワッチされていて、思いがけないタイミングでお呼びいただくことが多かった。しかも誰にも彼にもお声掛けされるのではなかったと思うが、気のせいか、なぜか当局がCQを出しているときはよくコールを頂いたように思う。お空の上での最後のQSOという意味では、昨年(2014年)のGW一斉OADで、当局が岩手県新山に、MF33局が同じく五葉山に移動された時に交信したのが最後になる。みちのくロールコールで、思いがけず臨時キー局を任され、若干戸惑いながら運用されていた雰囲気が伝わって来ていたのが印象に残っている。

MF33局は、日光白根山、乗鞍や木曽御嶽に特小臨時レピータを上げられるなど、自らが無線を楽しむというより裏方作業を好んでやられた方でもある。



イベントデーらしい?!


 

8:30分過ぎ、かつてMF33局が運用していたであろう、その山頂に立ち、ICB-R5の電源を投入する。白根山の山頂の周囲には、少しだけ下れば、グランド?と見紛えるほどのかなり広いスペースがある。しかし、「1mでも高い場所でやりたい」というのが、CBerの人情で、登山者の邪魔にならない2、3mほど山頂より降りた岩場でQRVだ。

ざっとチャンネルを見渡してみると、ほぼ全チャンネル埋まっている。なんと、7Chまで(笑。イベントデーですら7Chなど使われるのは、めったにない。QRV開始が8時半過ぎと、ちょうどよい頃間だからかも知れない。しかし、5Chより低チャンネル側は、海外ノイズ&ホニャラ系QSOの信号がかなり強い。6Ch、1Chは日曜日にもかかわらず、違法系のダミ声が強力入感だ。これはなかなか手強そうなコンディションだ。

しかし、最近はイベントデーでも爆発的に運用局が多いということは余り経験しておらず?、むしろさびしい場合が多かったので、全チャンネルが埋まっているというのはうれしい悲鳴である。しかも、イベントデーだけあって、低地から高山まで、各局さまざまな場所からQRVされているようだ。無論、この、さまざまな場所と次々にQSOできるというのが、イベントデーの醍醐味のひとつでもある。

日光白根山は、360°視界を遮るものは何ひとつないので、飛び受けは抜群だ。自宅庭先など、低地局へのつながりも確保できるのが強みである。特に関東平野の北部に聳えるだけに、埼玉、茨城、千葉、東京など全く標高のない場所ともよくつながる。日本では、この日光白根山より高い山は、これより北には存在しないのである。イベントデーの場合、ひょっとして誰かとつながるかも、と、普段は有り得ない自宅の庭先でリグのスイッチを入れてみるということがある。そういう期待があるとすれば、このロケはそれに応えることも可能だ。


山頂にて


   
左:山頂横のサブピーク。右後ろは男体山。
中・右:山頂直下の岩場でQRV。
   



ギフYN104局@乗鞍

山岳移動局とのQSOは更に強力だ。神奈川方面では、経ヶ岳や蛭ヶ岳などの丹沢方面、おなじみの城山湖などに移動局が出ており、55~57のレポートが返ってくる。鎌倉の六国見山にはヨコハマAA815局が移動されている。標高が殆ど無い六国見山ですら53で届いているようである。当局はといえば、リグはR5で、おなじみの通りメーターの振れは異様に渋い(笑。S4以降はどうにも振れないような感じだ。メータS4で耳S7くらいの感覚である。

北側7エリア側はどうか?磐梯山にはサイタマYB101局が運用されている。山頂ではなく中腹から運用されているようだが、距離もさほど無いだけに54/56と強力だ。こちらは快晴無風で絶好の無線日和なのだが、磐梯山の方はかなりガスっているようで、視界が100m程度しか効かないようである。日光は上空真上はこの上なく空は青く、中禅寺湖方面の東に残った白い雲を反射した光だけが、白く輝いている。久々の、爽やかな秋晴れだ。

2ChでCQを出していると、明るくはつらつとしたYLステーションの声が響いてくる。ギフYN104局からのコールで、今日は昨年の秋オンで当局が運用していた乗鞍岳に移動されているようである。彼女の声は8Chだけの無線の世界に華やかさを添える。ひとたびCQを出せば、今日もそのたびパイルアップになるはずだ(笑。


紅葉は始まった・・・

それにしても、快晴・無風、絶好の無線日和だ。遠く地平線の上に浮かぶ雲の形や、微妙にモヤリとした間に漂う空気感は、わずかに夏の名残を感じさせるが、真上の底抜けの青さは、完全に秋空を思わせる。再び視線を下ろすと、西側の稜線の向こうには尾瀬岩鞍スキー場のゲレンデがくっきりと確認できるし、南西には榛名山も良く見える。朝登ってくる途中、標高2,250m程度の弥陀が池の辺りでは既に木々が色づき始めていた。標高がもっと低い登山口でさえ朝方は5℃前後まで下がっていたから、中腹では紅葉が始まっているのも当然なのかもしれない。

日光白根山は丸沼スキー場のロープウェイを経由しても登ってこられる。山頂駅から山頂までの標準コースタイムは2時間40分だが(実際はそんなにかからないと思うが)、山頂の方はロープウェイが動き出してからというもの、ハイカーが引きも切らない。記念写真撮影の順番待ちが続いている(笑。


尾瀬岩鞍スキー場
かつてのスキー場銀座の一角。
弥陀ヶ池
中腹ではすでに紅葉が始まって
いる。
五色沼
こちらも中腹にあり、色づき始めている
のがわかる。



関東平野&みかも山

場所が高いだけに、R5の横で待ち受け中のデジ簡には、ひっきりなしにどなたかの局が入感してくる。しかし今日はCBメインの運用方針で、CBも信号が途切れることがないので、デジ簡に出たくても出ている暇が無いというのが実態である。それでも隙をみつけてCQを出してみると、ミエAM210局につながる。仕事で1エリアに居られるようで、今日は仕事の合間にQRVされているようで、東北道の佐野SAからのコールだ。AM210局にはその後、更なる移動先である鹿沼市から、今度はCBでコールを頂く。関東平野なら一円、山陰でもない限り、だいたいどこへ行っても追うようにつながることは間違いなさそうである(笑。

そもそも関東平野のように地面が平らであることは、飛び受けに絶大なる効果を発揮するように思われる。丘陵などの起伏が無ければ、見通しになり易いのだから、飛び受けがよくなるのは当然なのかもしれないが、単にそれだけではないように思われる。先に記したように、日光白根山から関東一円の庭先ともQSO可能という点などもそうだが、例えば栃木県佐野市のみかも山などは、標高が229mしかない割には異様と思えるほど飛び受けがよい。みかも山は、標高は229mでも、マクロでみると板状の平地にひょこりと孤峰のように突き出ているような地形だ。「地面」が平らな海上伝播では、「標高」が全く無い船の上からでも、相当飛びが延びることは周知の事実だが(=実際、その昔、500mW機は海上使用が禁止されていた)、みかも山の場合それに標高がプラスアルファされているようなものなのかもしれない。

みかも山といえば、さいたまBB85局さんが良く使われるロケで、当局もよくQSOさせていただいたり、QSOをワッチしていたりするのだが、神奈川県相模原市の城山湖などと平気でつながったりするのである。さらに、秩父多摩の低山地域などでの運用では、みかも山とのQSOはほとんどがお互い58~59+に跳ね上がるのだが、実は他の標高のある山岳域とのQSOでもみかも山ほど強くは飛んでこないのである。そこがみかも山というロケの不思議なところである。

今日はみかも山にはトチギAK829局が移動されており、59+のレポートを頂く。AK829局の信号もS7だ。R5がS7まで振れることは超至近距離でもない限り、めったに無く、実際結果的にはこの日QSOした中で最高の「振れ」だった(笑。昼過ぎにはみかも山の主、さいたまBB85局も出てこられるが、こちらも頂いたレポートは「59+40dB近く」である(笑。

4年前の秋オン、ここに居られたMF33局とは南ア聖岳での運用時の話などを伺っていた。南ア方面は、今日は赤石岳にチバCH47局が、北岳にはカナガワZX9局が移動されている。SV並みの高山移動状況である。北アの南に連なる木曽御嶽中腹にはなごやCE79局が運用されている。「1エリア向けのポイント」で運用されているとのことで、RS51/55で岐阜県との県境近くから日光までFBに飛んでくる。ここは2エリアメンバーにはお馴染みの運用ロケだが、やはりFBな運用場所であることを改めて感じさせてくれる。

今日はいつもよりQRV時間が短かった割には、全体としては61QSOである。しかもデジ簡でのQSOはわずかに4局。久しぶりに、CBのバンド内の賑わいぶりにイベントデーらしさを感じた。


各局TNX!!
                                               ('15/9)

山の北側、丸沼(左)と菅沼。



運用データ

■運用日時・運用場所:
 
 2015年9月20日(日) 8:30~13:20
     日光白根山 山頂(標高2,578m)
    
 栃木県日光市

■使用&装備リグ:
  CB : ICB-R5(SONY)、ICB-87R(SONY)
  DCR: IC-DPR5(ICOM)+1/4λホイップ

■使用電源
  ・乾電池、リチウムイオン電池10.8V/1.6Ahほか


QSO局
61QSO TNX!!  
(敬称略)

9月20日(日)   
トチギXL250/栃木県小山市 53/55 かながわTM34/神奈川県経ヶ岳 53/56
ねりまTN39/埼玉県比企郡堂平山 51/51 かながわCE47/神奈川県相模原市城山湖 53/56
とちぎSA41/栃木県大田原市御亭山 51/55 ヨコハマAA815/神奈川県鎌倉市六国見山 52/53
とうきょうSS44/山梨県大菩薩妙見の頭 52/55 よこはまUQ3/神奈川県丹沢蛭ヶ岳 53/54
ギフYN104/長野県乗鞍岳  52/53  トチギYA306/栃木県真岡市  53/57 
サイタマYB101/福島県磐梯山中腹  54/56  カワサキKG403/神奈川県川崎市桝形山  54/55 
トウキョウAB923/東京都足立区舎人公園  41/53   サイタマAB960/埼玉県比企郡堂平山  54/58 
かながわZX9/山梨県南アルプス北岳  53/55  トチギJJ69/  41/M5 
トチギAK829/栃木県佐野市みかも山  57/59+  サイタマMS118/長野県上田市吾妻山  54/57 
とやまHT27/1  41/52 ぐんまHY64/群馬県沼田市森林公園21世紀の森  41/55 
おおさと59/山梨県北奥千丈岳  55/58  さいたまMK2/埼玉県比企郡堂平山  54/55 
ヨjコハマAD195/東京都八王子市景信山  54/59  チバJA304/千葉県幕張海浜公園  41/51 
ミトBB501/茨城県常陸大宮市尺上山  55/57  イバラギAO35/茨城県筑波山男体山  541/54 
とちぎR50/栃木県足利市大坊山  53/55 チバZZ664/千葉県市原市海釣り公園  52/M5 
さいたまOD49/  41/51  ヨコハマFUR98/長野県野辺山高原  51/52 
ふくしまFD55/福島県二本松市麓山  52/53  サガミFJ1300/神奈川県相模原市城山湖  52/54 
チバTS106/茨城県八溝山  51/52  ふくしまAC73/福島県北塩原村  52/53 
チバYN515/千葉県成田市  51/53  サイタマYB101/福島県磐梯山中腹(DCR)  M5/M5 
ぐんまJS76/群馬県館林市(DCR)  M5/M5  サガミFJ1300/神奈川県相模原市城山湖(DCR)  M5/M5 
ミエAM210/栃木県東北自動車道佐野SA(DCR)  M5/M5  あいちOT25/埼玉県飯能市多峯主山  52/53 
さいたまM56/埼玉県小川町  51/53  とっとりU42/神奈川県平塚市湘南平  53/54 
グンマMO919/群馬県安中市  41/53  チバAC471/東京都江東区若水海浜公園  41/51 
カナガワVT250/群馬県横手山  54/57  ナガノAA601/長野県茅野市北横岳  54/57 
なごやCE79/長野県王滝村御嶽中腹  51/55  イバラギAB110/茨城県常陸大宮市尺丈山  52/53 
よこはまBF35/神奈川県鎌倉市建長寺裏 52/53     
さいたまNS1/埼玉県熊谷市運動公園  51/54  サイタマAK120/埼玉県入間市  51/53 
グンマTY816/埼玉県比企郡堂平山  53/53  さいたまBX71/埼玉県越谷市  41/41 
さいたまBB85/栃木県佐野市みかも山  55/59+  ミエAM210/栃木県鹿沼市  54/56 
ムサシノAM634/東京都八王子市景信山(his 66H)  52/53  とうきょうMS25/東京都立川市昭和記念公園   41/53 
セタガヤCBR250/長野・群馬碓氷峠  52/53  チバNT312/千葉県野田市  51/54
ちばCH47/南アルプス赤石岳  54/59 トウキョウAB505/福島県吾妻小富士  52/53



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