2014運用記
乗鞍岳(秋オン)
長野県松本市・岐阜県高山市



[ご来光:5:30、昇る朝陽が登山道を照らし始める。]



気軽に3,000m超へ

上:太陽が顔を出す。右側丸く見え
るのは蓼科山。
下:木曽御嶽

背中に背負ったリュック越しに時々地平線を振り返る。もう、朝陽が昇ってきはしまいかと、気がかりだ。すぐ歩を停めてはその度に、すでに赤らんでいる東の空を確認する。地平線近くの赤から高空の青へのグラデーションが見事だ。下界には灰白色に雲海も広がっている。

立ち止まっては再び歩き出しながら、3年前の秋オンで、同じように緩く赤い朝日を背中に浴びながら火打山に登っていたのを思い起こしていた。今朝もあの時と同様に、快晴、無風だ。気温は0℃とのことだが、手袋は要らないくらいに暖かい。

今年の秋オンは、北アルプスの乗鞍だ。標高は3,000m超だが、畳平と呼ばれるバスターミナルから乗鞍頂上の剣ヶ峰(標高3,026m)までは、わずかに歩いて1時間ちょっと。しかもその1/3以上はほとんどフラットな道のりと、ハイキングにも満たないお散歩コースである。高所でありながら、その手軽さゆえ、CB無線を含め、無線運用には比較的よく使われる場所である。しかし当局としては、乗鞍での運用は初めて。少しでも運動にと、畳平からではなく少し下の、肩の小屋登山口から歩いてみる。5:30前、ようようと太陽が顔をのぞかせ始めた。清々しい朝だ。今日も1日中快晴であってほしい・・・。

乗鞍山頂剣ヶ峰には小さな神社もあり、まだ朝早いというのにもう神主さんが常駐しておられる。しばらく朝の空気を吸って、ボケーとしながら、気持ち良く山の頂の雰囲気を味わってみる。天空には白い月が残り、目の前には木曽御嶽も綺麗に全体の山容を見せている。緑の大地が、空の青とは対照的だ。

しかし、「お手軽3,000m超」だけあって、次から次へと、やってくる人の数が半端でない。山頂は岩場で、広くはない。のんびりと悠長なことは言わずに、運用スペースがあるうちに確保しておいたほうが良さそうである。さっそく山頂の碑の下の崖っぷちに580Dを設置、イヤホンでの運用に入ってみる。人が多く密度が高いので、今日は久しぶりにイヤホン運用である。



激しい海外ノイズ

はやる心を抑えつつイヤホンを耳にあてがってみる。「・・・・ん~、なんじゃこれ」、と思うほどに海外局がうるさい(笑。全チャンネル海外信号のオンパレードだ。しかもオンエアデーだというのに、海外ノイズに圧倒されたかのように、どこからもCQが全く聞こえてこない。まあ、最近のOADのパターンとしては理解できなくもありませんが・・・。最近は3~4年前のOADと比べると、運用局が少なく感じるからだ。いや、数が少なくなったというより、みなさんあまり昔ほどギラギラとしなくなったというべきかもしれない。

しからばと、こちらから積極的にCQを出してみる。8Chは意味不明の無変調ノイズがS3位振ってくる。狙い目は3~6Chだ。しかしそれにしても見事にどのチャンネルも海外ノイズが異様にうるさい。今日はFが絶好調なのか?相対的にうるさくないチャンネルをピックアップして運用する以外にない。

聞こえてこなくても、やはりみなさん待機中なのか、不思議とこちらからのCQにはすぐに応答がある。しかも交信が終わるたびに数局が呼んでこられる。久々のパイルアップだ(爆。一発目のQSOはお馴染みのサイタマAB960局だ。今日のOADは堂平山(埼玉県)からの運用のようである。信号は41と決して強くはないが、海外ノイズをうまくすり抜けて飛んでくる。ノイズが高くても要はタイミングの問題だ。高烏谷山(駒ケ根市)からは、こちらもお馴染みのナガノNP152局からコールが入ってくる。今日も早朝運用のようで、まだ7時なのに、もういったん引っ込まれる時間だといわれる(笑。石川県七尾市の別所岳では合同運用が行われているようで、いしかわ4137局、ミエAA469局などにお声掛けを頂く。木曽駒ヶ岳にはながおかHR420局が、女子高生CBerであるギフYN104局とともに登られているようだ。YN104局とは、沖縄久米島以来のQSOだ。さすがに、お互い高所同士とあって、59+で女子高生の声がガンガンに入感してくる(笑。(当局とのQSOの模様は、ながおかHR420局の「ももチャンネル」でたまたま紹介されている模様。)一方、神奈川の丹沢蛭ヶ岳には、よこはまUQ3局が運用されており、丹沢とは相性がいいのか、こちらも超強力入感してくる。

それでも相変わらず海外ノイズがひどいのには変わりがない。5Chでは例によって英語局が騒いでいるし、6Chなどではホニャラもいつになく強力だ。弱めの信号の局を拾うのはなかなか大変だ。ながのYS21局(長野県駒ケ根市高烏谷山)や、フクイKR210局(福井県小浜市)などは、何度も呼んでいただいてやり取りをするのだが、ノイズに邪魔されてコールサインがフルコピーできない。(コールサインは後になってのQSOで判明)



久々の特小稼働


余りに海外が激しいので、CBは一旦QRT、DCRに変更してみる。CBは今日は580Dを使用しているせいか、ノイズが一層激しく感じる。DCRの運用中に海外ノイズも少しは鎮まるかもしれない。

待機に入るとすぐに呼び出しチャンネルに入感がある。かながわCE47局だ。三重県の伊勢志摩スカイラインを車で移動中のようだが、停車されて1/4λホイップで出られているようである。感覚的には距離は200km程度だろうか?1Wとのことだが、良く入感してくる。今度はこちらからCQを出してみると、兵庫県六甲山移動のひょうご3946局よりコールが入ってくる。CBでも強力入感だったが、DCRでも1Wで全く問題ない。オンエアデーの六甲山といえば3~4局による合同運用が常だが、今日は珍しく、まだ3946局お一人での運用らしい。こちらは快晴、気温も3,000m峰のこの時期としては暖かいのだが、六甲ではガスっているらしく気温も低めでなかなか心地よい運用とはいかないようだ。

乗鞍はもともと西向きに強いロケで、四国ともQSO可能な場所である。今日は四国ではないが、鳥取との県境に近い兵庫県鉢伏山から、FBに信号が入感してくる。ヒョウゴTF246局で、CBでもDCRでも300km近い距離を全く感じさせない。DCRでは、TF246局が鉢伏山に登っている途中のモービルからも当局の波は聞こえていたとのことである。

 正面向こう側左から蓼科山~八ヶ岳、右端左から甲斐駒ヶ岳~仙丈ケ岳&南アルプス。富士山の山頂のみが少しだけ見える。



山頂は相変わらず、秋の日差しが心地よい。9時を過ぎると長野県側の下界にはガスが湧き上がり始めてくるが、それでも山頂はお構いなしで、青空が遠くまで広がっている。時間の経過とともに山頂にやってくる人も増え始め、碑の前での記念撮影が渋滞の行列待ちだ(笑。

今回は久しぶりに特小も持参している。DJ-R20Dをリュックの上に設置、CBを運用しながら待機モードに入っていると、誰かのCQが入感してくる。デジ簡を持ち始めてからは、特小はほとんど持ち歩かないし、持って行っても運用することもなかったのだが、こうして久々にDJ-R20Dからこぼれてくる再生音を聞いていると、妙に無線機っぽく懐かしく感じられる。特小を盛んにやっていたところは、どこか安っぽく、あまりお気に入りの音ではなかったのだが、最近はデジ簡の音に慣れてしまったせいか、DJ-R20Dの音が無線機らしく感じるから不思議だ。デジ簡と違って音に強弱があり途切れそうで途切れないような時のFM音が妙に無線機らしく感じさせるのかもしれない。

特小のCQは三重県菰野町御在所岳のミエAC129局だった。久々の特小運用、何も期待しないで適当につけているレジャー3Chに、何も期待しないCQが、しかも10mWで御在所からFBに入感してくるのだから、特小のQSOもまだまだ捨てたものではない(笑。


GT-06出動!!


御在所岳では、みえYF27局も運用されており、CB3Chで盛んに交信されている。しめしめ、と思ったのは当局だけか?(だけでしょう。)なぜなら今日は学研の玩トラ、GT-06を持参しているのである。GT-06は3Chのチャンネル一つのみ、しかも三重県御在所というのは、実験するにはちょうどうってつけの距離だ(笑。500mWでお声掛けしてから切り替えたのでは面白くないので、そのままGT-06で呼びかけてみることにする。しかし、その前にまずは87Rと受信側の比較実験である。GT-06の再生音は中高音側が目立つので、海外ノイズをよく拾ってくる。うるささは、高音側をどちらかというと殺し気味にするSONY系リグ共通の特徴を持つ87Rよりは、際立ってくる感じだ。しかし、同様にYF27局の変調音も、中高域が優っているせいか、87Rよりむしろ聞き取りやすいのではないかと思えるくらいよく聞こえてくる。87Rでのメーター読みはS3、GT-06は耳S52 といったところだ。(GT-06にはもちろん、Sメーターは無い。)

一通り受信側をチェックしたところで、いよいよ送信だ。GT-06は昨年12月にも試験運用しており(というほど大げさではないが)、変調が薄目であるらしいことは確認している(もっとも、これは個体差かもしれない)。もとよりスピーカー変調であるので、今日はより大きな声で、スピーカーに語り掛けてみることにする(笑・・・。「え~なごやYK221局~」と、YF27局からは一応一発で応答がある。玩トラながら御在所まではちゃんと電波は届いているようで、まずは成功だ。海外ノイズが相変わらず激しいので、「変調はどうですか~」と直接尋ねることはしないが、ノイズに関わらずやはりどうも少し聞き取りづらそうな感じではある。交換したRSは一応51/51だが、本来は52だったので、52/51が正解である。QSO終了後は、GT-06で積極的にCQを出してみるが、ノーメリットだ。次回はさらに遠距離でGT-06どうしで実験してみたいところだ。


バッテリーは意外と長持ち?!

DCR(IC-DPR5)は今回久々に付属のバッテリーパックを使用してみた。購入以来付属バッテリーを使用するのは2~3回目である。山岳でもどこでもいつも外部電源を使用しているからだ。今回も6.8Ah+6.2Ahの計13Ah分を持ち込んでいたが、結局最後までわずかに「1.85Ah」の容量しかない付属バッテリーで事足りてしまった(笑。よく考えてみると、どうせすぐになくなるだろうと、付属バッテリーは最後まで(なくなるまで)使用した試しはなかった(笑。今まで使ったのはせいぜい20分程度である。今回の基本運用パターンは、呼び出しチャンネルで5WでCQ、交信チャンネルにQSYして5WでCQ、入感局の状況を見て、1Wにパワーダウンという使い方だ。実際にはほとんどのQSOが1Wで事足りるのだが、今回は結果的に運用5時間、14QSOで最後までバッテリーレベルはフル点灯だ(送信時は一目盛りダウン)。正直これほど持つとは思っていなかった。(知らなかったのは当局だけか?)家に帰って実測すると、7.56Vで、さらに待機状態で放置すると警告音を発して機能しなくなる7.0Vまで約9時間近く連続して動き(待機し)続けた(笑。これだったら予備バッテリーがもう一個あれば、ほとんどのOADはこなせそうな感じではある。後継機のDPR6などは、待機時消費電流はDPR5の半分程度だし、5W出力時の消費電流も少ない設計なので、バッテリーは更にもつはずだ。

付属バッテリーは5W出力時(定格最大2.2A)でもびくともしない(=送信時にバッテリレベルインジケーターが下がることがない)のでかなり内部抵抗は低い。相当素性のいいリチウムイオンバッテリーを選別して使用しているはずで、スペアバッテリーが高価なのは理解はできる。ここらあたりの設計思想は、過剰品質ともいわれかねないが、いかにも「日本のメーカー」らしい。いずれにせよ、付属のバッテリーパック使用時は、負荷の観点から5Wは極力避けて、1Wで使い続けるというのが長時間運用の秘訣のようである。バッテリーにとっては、5Wと1W というのは想像以上に大きな違いである。

最近は、DCRからフリラにデビューされる局も多い。今日もDCRを聞いていると「開局したばかりです~」という局長さんもちらほらあり、最近のOADではDCRは全く欠かせないものとなってしまった。DCRは現行機、CB機は今のところオークション等でしか手に入らないので、DCRを入り口として、11mの運用局も増えていくことを期待したいものである。

乗鞍は最後まで晴れ!無線運用としては、超お手軽な3,000m超スポットということで、どなたかやってくるかと思い名刺も用意していたが、結局最後まで当局一人の運用となった。各局TNX!!

                            ('14/09)



運用データ
■運用日時・運用場所:
 
 2014年9月14日(日) 6:45~13:00
    
 長野県松本市・岐阜県高山市乗鞍岳剣ヶ峰(標高3,026m)
  
■使用&装備リグ:
  CB: RJ-580D(National)、ICB-87R(SONY)、GT-06(学研)
  DCR: IC-DPR5(ICOM)+1/4λホイップ
  特小: DJ-R20D

■使用電源
  ・乾電池、リチウムイオン電池(ICB-87R)


QSO局 60QSO TNX!!  
(敬称略)

9月14日(日)   
サイタマAB960/埼玉県堂平山 41/41
イバラキAB399/茨城県常陸大宮市  52/51   イシカワJCS23/石川県河北郡 53/51
ナガノNP152/長野県駒ケ根市高烏谷山 59/55 いしかわ4137/石川県七尾市別所岳 59/58
いしかわQA34/石川県碁石ヶ峰 52/54 ぐんまXT59/石川県輪島市高洲山 59/57
ながおかHR420/長野県木曽駒ヶ岳 59/59 アイチHZ76/静岡県浜松市 51/51
ミエAA469/石川県七尾市別所岳  59/55 アイチJH316/長野県木曽御嶽中腹  55/52 
ながのDF73/長野県駒ケ根市  51/51  とうきょうGV9/静岡県鳴沢村富士山4合目駐車場  54/52 
ながのW18/長野県松本市  55/56  ちばCH47/長野県白馬村白馬岳 59/55
フクイKR210/福井県小浜市  51/51  ひょうご3946/兵庫県六甲山  59/52 
よこはまUQ3/神奈川県丹沢蛭ケ岳  59/54  とうきょうSS44/山梨県北奥千丈岳  58/57 
ギフYN104/長野県木曽駒ヶ岳  59+/57  かながわCE47/三重県伊勢志摩スカイライン(DCR)  M5/M5 
ひょうご3946/兵庫県六甲山(DCR)  M5/M5  とやまHT27/石川県七尾市別所岳(DCR)  M5/M5 
オオサカKM309/大阪府河内長野市岩湧山  51/51  ひょうごCY15/京都府舞鶴市空山  52/52 
アイチAE126/長野県木曽御嶽中腹  53/54  ながのKM55/長野県松本市  55/54 
ナガノAA601/長野県美ヶ原  51/53  かながわCE47/三重県伊勢志摩スカイライン展望台  51/52 
とうきょうSS44/山梨県北奥千丈岳(DCR)  M5/M5  せたがやR28/岐阜県恵那山  52/56 
ギフYN104/長野県木曽駒ヶ岳(DCR)  M5/M5  アイチAE114/長野県木曽御嶽山頂  59+/59+ 
きょうとKP127/京都府福知山市大江山  51/51  きょうとON36/京都府舞鶴市空山   51/51 
ひょうごCY15/京都府舞鶴市空山(DCR)   M5/M5  きょうとON36/京都府舞鶴市空山 (DCR)  M5/M5 
きょうとKP127/京都府福知山市大江山(DCR)  M5/M5  しずおかDD23/静岡県鳴沢村  53/52 
とうきょうCT73/長野県美ヶ原  54/54  ヒョウゴTF246/兵庫県養父市鉢伏山(DCR)  M5/M5 
ミエAU925/三重県菰野町(DCR)  M5/M5  ミエAC129/三重県御在所岳(特小)  M5/M5 
ヒダタカヤマKO105/岐阜県高山市船山(特小)  M5/M5  ながのW18/長野県松本市松本空港北  54/57 
ヒダタカヤマKO105/岐阜県高山市船山  59+/57  ヒダタカヤマKO105/岐阜県高山市船山(DCR)  M5/M5 
ながのYS21/長野県駒ケ根市高烏谷山(DCR)  M5/M5  ヒョウゴTF246/兵庫県養父市鉢伏山  51/53 
いしかわAS36/石川県金沢市  51/52  ながのYS21/長野県駒ケ根市高烏谷山  51/51 
きょうとBH27/京都府相楽郡鷲峰山  51/51  ミエAC129/三重県御在所岳  51/52 
みえYF27/三重県御在所岳  52/52  みえYF27/三重県御在所岳(GT-06)  51/51 
かながわZX9/長野県北穂高岳  57/52  セタガヤCBR250/山梨県大菩薩  55/52 
ヨコハマFUR98/長野県野辺山高原(DCR)  M5/M5  アイチAE114/長野県木曽御嶽山頂(特小)  M5/M5 
ながのK2/長野県志賀高原高天原(DCR)  M5/M5     



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