2013運用記
御岳山'13
東京都青梅市



[御岳山展望台にて]



GT-06をテストする

12月の3連休、もう2013年の年末も押し迫った。秋口に腰を痛めたせいもあり、10月以降は回数的にも気分的にもなかなか移動運用できる状態ではなかったが、今回は天気も良さそうなので、思い切って(笑、運用に出かけてみることにする。ただし、場所は、(腰を痛めているので)ほとんど歩かずに登れる御岳山(東京都青梅市)だ。御岳は電車、バス、ケーブルカー、リフト??を乗り継げば900m近くまで簡単に上がることができる。もともと御岳山は年越し運用に使っている場所でもあるので、今年は一週間早めの運用ということにもなる。

本日のメインテーマは学研のトランシーバーGT-06のフルテスト?である。このトランシーバーはピカピカの新品(長期在庫品)で、8月に某ナガノ局にいただいたものだが、なかなかテストするチャンスがなかった。

GT-06はいわゆる玩トラ(玩具トランシーバー)としては珍しい、技適機で、100mWの3Ch(27.040MHz)仕様である。学研は数々の玩具トランシーバーを出している(出していた)が、当局らが小学生の頃のトランシーバーと言えば、これらの玩具トランシーバーによる「トランシーバーごっこ」がメインで、現在我々が使っている検定や技適を受けたCB機はいわば本格的な「大人の無線機」で別世界のものだった。実際CB機は、後に中高生に幅広く使われるようになったものの、元々は登山やレジャー、イベント会場、工事現場、工場等の連絡用が主な使われ方である。したがって、「技適を取得している玩トラ」というのは極めて異色だ。はたしてこの「100mW技適機」はどのような飛び方をするのか?

11時過ぎ、ケーブル駅横の御岳平から最後に100mにも満たない?リフトに乗り継ぎ、展望食堂を兼ねた終点を降りるとそこが展望台だ。辺りや山の斜面には今週降った雪がまだ一面に残って、光を明るく反射させている。

とにかく空は青い。展望台の柵に体を乗り出して、奥多摩から秩父の山岳方向を眺めると、山の稜線がくっきりとしている。雪を残した白い斜面の山々と、空の青とが対照的に目に映る。都心方向はほんの幽かにガスがかかっているようにも見えるが、いつものように、日の出山の左肩越し、はるか彼方にはスカイツリーや新宿の高層ビル群が肉眼で容易に確認できる。距離がそこそこ遠くなるとくっきりとまではいかないが、それでもまだ午前中の光は筑波山の山容全体の影形をすっかり映し出している。展望台は雪がまだだいぶ残っており、一部が露出した地面は解け始めた雪のせいでぐちゃぐちゃの泥んこ状態だ。

 
左:100mにも満たない?リフト。乗降客はほとんどなく、人件費と電気代の方が高くつきそう。
中:展望台と日の出山方向。
右:右下手前(茶色い細長い部分)=米軍横田基地、左手前=西武ドームと多摩湖、中央左=池袋高層ビル群、中央右=新宿高層ビル群。中央のスカイツリーまではちょうど60Km。
 



さっそくGT-06のスイッチをオン。「パシっ」と、スイッチ一体式のボリュームをひねると、やや甲高いが、しかし大人しめの受信音がスピーカーから漏れ出てくる。低周波出力は小さめのようで、ボリュームを真ん中ぐらいまで回してちょうどよいくらいだ。今日はGT-06のテストがメインなので、極力87RではCQを出さずにまずGT-06の波をピックアップしていただける局があるのかどうかに拘ることにする。仮にノーQSOに終わったとしても、あくまでGT-06でのCQからの交信に拘ろうという寸法だ。

今日のコンディションは比較的静かなのか?しばらくワッチしてみるが、GT-06からはザーというノイズが時々途切れながら聞こえてくるだけで、海外も違法も変調らしき信号は聞こえてこない。チャンネルチェックをかけて波を飛ばしてみる。スピーカー変調なので、自然とスピーカーにがなり立てるような感じだ。・・・・・ん~~・・。応答はない(笑。果たしてどこまで電波は飛んでいるのか?というより、「どこまで」という以前に、ちゃんと電波が出ているのかどうか心配だ。

しかし、しばらくCQを続けていると、瑞穂町移動のねりまTN39局より応答がある。11m掲示板の書き込みを見られたようで、当局の電波を探されていたようだ。RS54/32。GT-06にはSメータはないので、当局側はもちろん耳Sだ。TN39局のレポートを伺ってみると、こちらの変調音はかなり聞き取りづらいようである。海外ノイズのせいもありそうだが、どうも変調が浅いようである。ただし、おそらく20kmもない距離だが、キャリア自体はしっかり飛んでいるようではある。ポイントは変調か?


運用局は少ない?

5分おきぐらいにGT-06でのCQを続けるが、TN39局以降は応答がない。この寒い時期にCBの移動運用でもないのかもしれない。運用局が少ないのか??それとも電波が飛んでいないのか??87Rはじっと我慢で封印したまま、GT-06でのワッチ&CQを続行する。

一方デジ簡の方は封印したわけではないので(笑、CQを出せば、すぐに誰かにピックアップしていただけるような状態だ。デジ簡は固定局があるのもしかりだが、車の中から運用できるのもこういう冬の日にはメリットなのかもしれない。デジ簡では、久しぶりにサイタマAB960局にピックアップしていただく。いつもの吉見町からの運用のようだが、下界はかなり風が強いようで、屋外での運用は結構つらいとのこと。こちらは空気は引き締まった冷たさがあるもののほとんど無風状態。黒いダウンを着込んでいるせいもあるが、日差しを背に受け、どちらかというとポカポカ運用である。通常は山岳域の方が風が強いはずだが、今日ばかりは逆のようである。ただ、AB960局がおられるロケからも、所々雪をかぶった、奥多摩や秩父の山々が、ハッキリと青空の下に明るく映えているようである。

QRV開始から1時間半ほど経過するが、相変わらずGT-06でのCQには応答はない。飛んでくる合法局の信号も皆無だ。そこで、いよいよ念のため87RのスイッチをOn、電波状態を確認してみる。CQも飛ばしてみるが、やはり応答局はない(笑。3Chだけでなく、6Chや5Chにも応答がないので、どうやらGT-06のせいではなく、やはり移動局が少ないのは確かなようだ。これではあまりリグのテストにはならないか???



AA818局@赤城山

今日の移動の目的は実はもうひとつあった。イバラギAA818局との交信である。朝でがけに、AA818局に移動運用の連絡を入れてみると、最近当局と交信していないので、わざわざ茨城から赤城山に移動してくれるというのである。到着予定は14時過ぎだ。赤城山と言っても、山頂ではなく中腹なのでQSOできるのかどうか一抹の不安があったが、14:10分、当局を呼ぶAA818局の信号が87Rに無事入感してくる。RS53。海外が異様にうるさいが、耳Sはメータ以上に強く、完全に打ち勝っておりQSOは全く問題ない。途中、さいたまBB85局からのブレークをはさみ、結局1時間近くQSOさせていただく(TNX!! AA818局)。実はAA818局には、12月の初旬にもわざわざ赤城山まで移動していただいたのだが、このときは当局側は2階のベランダと、高さが足りずにQSOできずにいたのである。

考えてみれば(考えなくてもすぐに分かるはずだが)、赤城山のAA818局をお相手にGT-06のテストをしてみればよかった、とQSOを終えてから気づいた(笑。


GT-06でチェックイン!

今日は日曜日なので、いたばしAB303局さんによる、いたばしロールコールが行なわれる。今日のロケは当初予定の甲斐駒から変更になり、神奈川県の八州ケ峰からのようである。AA818局とのQSOを終了してしばらくすると、3ChでCBの部のロールコールが始まったようである。3Chとはラッキーで、GT-06でもチェックイン可能な周波数だ。ロールコールをしばらくワッチしていると、バンド内は今までとは打って変わってチェックイン局が輻輳するほどの賑わいぶりだ(笑。これだけの局が一体今までどこに潜んでいたのか(爆?まずは87RとGT-06でキー局を並行ワッチしながら入感の違いをチェック、合わせてコールのタイミングを見計らう。RSは87Rで57、GT-06では耳S56ほどである。入感の仕方は悪くない。やや軽薄なAF音の出方は致し方ないが、極めてまともな聞こえ方だ。「これなら問題なし・・・」と、そのままGT-06でコールに入る。AB303局さんに、チェックインコールはすんなり取っていただいたのは良かったのだが、どうもこちらからの了解度がイマイチの雰囲気で、「学研GT-06からのチェックイン!!!」と何度か叫んだものの、こちらの送信内容を掴みきるのに結構苦労されているようだ。当局的には無事チェックインできたのだからOKだが、ただでさえ一秒でも時間が欲しいロールコールの最中に、内容を確認いただくのにお手間をとらせてしまい、AB303局さんには大変申し訳ないことをしてしまった。

足立区の舎人公園から必死に?チェックインコールされていたおおたY16 局をAB303局にQSPしてCBの部のロールコールはほぼ終了だ。DCRの部もチェックインしたいところだが、帰りのスケジュールもあり、どうもチェックインはかないそうにない。夕闇迫り、既にリフトは停止、帰りはわずかな道のりをケーブル駅まで、腰をかばいながら下ることになる。

GT-06はフルにテストできたとは言えない。特に変調の関係はもう少し調べてみる必要がありそうだ。また次回の楽しみとしておこう。



各局thanks!

                                            ('14/01)





運用データ
■運用日時・運用場所:
 
 2013年12月22日(日) 11:15~15:45
    
 東京都青梅市御岳山展望台(標高約872m)
  

■使用&装備リグ:
  CB: GT-06(学研)、ICB-87R(SONY)
  DCR351(デジタル簡易無線):
      IC-DPR5 (ICOM)+1/4λホイップ (第一電波)

■使用電源(予備含む)
  ・乾電池
  ・Li-ion: 7.4V/6.8Ah×1(DCR)、11.1V/2.6Ah×1 (87R)
        

←ケーブル駅横の「御岳平」(標高831m)


QSO局 14QSO TNX!!  
(敬称略)

12月22日(日)   
ねりまTN39/東京都瑞穂町 54/32* ねりまTN39/東京都瑞穂町(DCR) M5/M5
あみ101/茨城県稲敷郡阿見町(DCR) M5/M5 サイタマAB960/埼玉県吉見町(DCR) M5/M5
トウキョウAA909/茨城県守谷市(DCR) M5/M5 トウキョウAB923/東京都足立区(DCR) M5/M5
とうきょうSS44/東京都福生市 51/51 とうきょうHM61/東京都福生市(DCR) M5/M5
ヨコハマKZ123/神奈川県横浜市保土ヶ谷区(DCR) M5/M5 とうきょうSS44/東京都福生市(DCR) M5/M5
イバラギAA818/群馬県赤城山中腹  53/53  さいたまBB85/栃木県佐野市三毳山  54/58 
ヨコハマAC306/神奈川県横浜市旭区  53/55  いたばしAB303/神奈川県愛川町八州ヶ峰  56/54* 
DCR:デジタル簡易無線 *:GT-06によるQSO



ひとつ前の運用記 次の運用記  TOP


© Nagoya YK221