[切り株の上で]
風との闘い
常福寺の境内を抜けて山頂まで登ってくると、これまでは木々で遮られていた風がいっそう強く感じはじめる。というより、一層大きくなった、梢からの覆いかぶさるようなざわめきが、そのように感じさせるのかもしれない。昨年の4月に続いて、高水山での2回目の運用となる。スイッチオン後さっそく飛び込んできたサイタマUK691局のCQは、ナガノCW47局(相模原市城山湖)が呼ばれているのでしばらくワッチしていると、いかにも風の中でのしんどそうな雰囲気が伝わってきていた。
2009年2月8日、前日の土曜とは打って変わり、天気予報通り、強い風が吹き抜けていた。この強風の中、今日一日どこかまで持つのか、自分でも分からない。風は強いものの幸い気温はそれほど低くない。まあ、のんびりいこうかと、CQを出し始める。当局はと言えば、少しでも風を避けようと、山頂から2mほど下った、山の斜面におあつらえ向きに残っていた1.5m程の高さの木の切り株上にリグを設置して運用を始めていた。
物見山にはサイタマAB960局が移動されている。やはり、物見山の方でも強風が吹き荒れているようで、手で押さえていないと、展望台の手すりに置いたリグが時々飛ばされそうになると言われている。これは、今日一日寒さより風との闘いになりそうな雰囲気・・・。
所沢のぶどう峠(サイタマIEW39局)、八王子の長沼公園(トウキョウAB505局)といったおなじみの場所には、おなじみの局長さんが出ておられる。特にAB505局は59+と大変強力だ。
所沢からは、サイタマKM117局にコールを頂く。KM117局は当局の移動情報を見られたと言うことでこの強風の中わざわざ畑の真ん中から出ておられた。春一番以上の強風が巻き上げているだろう土ぼこりは想像に難くない。そんな中運用いただくのは申し訳ないことだ。KM117局TNX。
6ch?
一方、関東一円、どこでも風が強いだろうと思い込んでいたら、意外なことに千葉県鹿野山移動のチバAB31局の方では、そのポイントだけかもしれないが全く風がないとのことだった。??。
チャンネルを5chから6chに変更してCQを出していると、あきしま5211局にコールを頂く。「さっきと場所を変更しました?」と言われる、あきしま5211局は、5Ch送信時にも当局の信号を聞かれていたようで、5chで送信していたときに比べると当局の6chのSは3~4落ちるという。場所は変更どころか、リグも当局の体も微動だにしていなかった(笑)。果たしてリグのせいか?唯一可能性があるとすれば、イヤホーンコードだ。この日はリグを置いて少し歩き回れるぐらいの3mのイヤホンを使用していた。イヤホーンが飛び、受け(受け側S指示値)に影響するのは周知の事実で、丹念にイヤホーンの長さや這わせる位置を調整してこれを利用すれば、飛び受けで効能を発揮するのだろうが、少なくともそうしたやり方は不精者の当局向けではない(笑)。しかし、送信している側にはこういう事情は分からないので、このようなコメントをいただけるのは大変ありがたいことである。(TNXあきしま5211局)
しかし、そうは言っても現金なもので、6Chでの飛びが悪いとわかるとすかさず5Chに戻ってしまうところが何とも天邪鬼(あまのじゃく)というか、これぞCB魂というものか。(おそらく天邪鬼)
運用の合間に、木々の間に見える山を見ていると、山梨県側に大菩薩峠から連なる小金沢山・雁ヶ腹摺山と思しき一連のウエッジシェイプの山々が見える。一方、左下に目を転じ、足下の近場の下界に目を移すと多摩川のうねりと青梅二俣尾近辺の町並みの様子が目に入る。この近くには「宮本武蔵」の吉川英治の記念館がある。中里介山(青梅の近くの羽村生まれ)が著わさなかったら、全く無名の峠だったかもしれない大菩薩峠といい、このあたりは時代小説の大家と縁があるのかもしれない。時々山頂に戻って空を見上げると、いかにも冬らしい底の抜けるような青色とそこに木々の冬枯れた枝枝が広がっている。武蔵野生まれの当局にとっては、まさしく国木田独歩が描いたようなクヌギ林の冬の空のイメージと重なるものがあった。
特小の悩み
CBでとうきょうLM502局と話していると特小の2Chでも先ほどから運用されているとのことで、QSO終了後に特小でCQを出してみると、サイタマYM518局(鳩山町)とつながる。日野市のLM502局ともやはり見通しのようで、M5M5でクリアにつながる。
特小と言えば、多くの局が使用しているDJ-R20Dのあのフレキシブルアンテナは、引き出しでの保管中やザックにしまって移動する時のアンテナの変形がどうも以前から気にかかっていた。別に変形してもいいようにフレキシブルになっているのだから本来その目的上なんら心配は無用なのだが、どうも気にかかる。とうきょうLM502局と特小のことを話していると、はからずもこのことに言及されたので、同じようなことを思われている局がおられることが分かり、なぜか安心する(笑)。
鎌倉アルプス
鎌倉からは、カナガワOT207局が出ておられる。そういえばカナガワOT207局と初めてつながったのも昨年のこの高水山運用時だった。そんなことを脳裏に浮かべながら、QSOに入る。OT207局は、当局も昔よく歩き回った「鎌倉アルプス」の一角、半僧坊から出ておられた。「鎌倉アルプス」のハイキングコースは、当局の記憶の限りでは、どこも木々が生い茂っていて、余り見通しのよい場所がなかったような気もするが、なんと59+20dbで超強力に入感してくる。当局からも59+で飛んでいるようである。1月に御岳山にQRVした時も横須賀移動のいたばしAB303局と58で強力につながったが、高水山・御岳山周辺の奥多摩地区は三浦半島方面と相性がよいのだろうか。湘南平のカナガワAC288局もRS58での入感なので、三浦半島といわず南東方面への飛びがよいのかもしれない。
高水山からの風景 |
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切り株の上で | 小金沢山~雁ヶ腹摺山(山梨県) | 二俣尾~日向和田 | |||||||||
おあつらえ向きの切り株。山頂からの展望はよくない。 | 山の右端のさらに少し右に大菩薩峠がある。 | 戦時中、吉川英治が疎開していた。 |
午後からはずっと、なぜか全チャンネル、サーというノイズに覆われていてコンディションは今ひとつの状態が続いていた。山頂は昼過ぎくらいまでは、ボーイスカウトやら学校の部活の団体やらでにぎやかだったが14時を過ぎると、登ってくるハイカーもおらず、ひっそりとしていた。ここでイヤホーン運用から、スピーカー運用に切り替える。
運用データ |
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運用場所: 東京都青梅市高水山山頂(標高759m) 時間: 2009年2月8日11:15~14:50 使用リグ: ICB-707、 DJ-R20D(特小機) |
1月 | 2月 | ||||
'09/02/08 |