[馬頭刈山頂:後ろは大岳山]
突風が吹く
馬頭刈山、「まずかりやま」と読む。なぜ、このような誰も知らない低山でCB運用なのか?それは、後述…。
今年はいつもの冬より降雪量が多いせいか、奥多摩の入り口である馬頭刈山(あきるの市)でも登山口からずっと雪道である。標高790m近辺の高明神社跡を過ぎ、最後の上りを登りにかかると山頂手前50m位の所に展望場所があり、富士山がよくみえる。左に目を転ずると、逆光を受けて湘南の海もきらきらと輝いている。その間には、丹沢から大山の姿も丸ごとよく見えていた。
気になる山頂の様子はどうか? 緩やかな上り坂を終えると初めての山頂の様子が見えてくる。表層を雪に覆われた山頂はどちらかというと広いほうだろうか。西から南西方向は木々に覆われて視界が効かないが、そのほかの方角は木が多いものの、密生していないので、この時期枝が冬枯れしていることもあり木々の隙間からは遠くをうかがうことができる。北側の大岳方面と南の大山方面は狭い角度ながら、遮蔽する木もなく視界が開けている。富士山方向は山頂からでは木の密生地帯と重なり視界は効かないようだ。
展望所から |
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きらきらと輝く湘南の海と三浦半島。その向こうには、房総半島も見える。 |
富士山山頂まで行くと、木々に阻まれて見えない。 |
イバラギRA136局(富津市鹿野山)と2ヶ月ぶり位の交信を終えると、強力というわけではないが、輪郭のはっきりした信号が聞こえてくる。とうきょうMF33局からのコールで、茨城県日立市から呼ばれているらしい。運用場所はタカスズ山と言われているようだが、初めて聞く名前で日立市のどのあたりだかよくは分からない。東京多摩地区のあきる野市と茨城の日立市というのも、ずいぶん珍しい場所同士でつながるものだと思うのだが、RSも52/52で信号もすっきりしており、相性もよいようである。もっとも、「珍しい」と言うより、単に当局の1エリアでの運用回数が少ないからだけかもしれない。
千葉県房総半島の太平洋側に面した勝浦市からは、チバZZ664局からコールをいただく。久々のQSOとなるチバTM42局に呼ばれたときに、重なってコールが聞こえていたと思われたが、こちらからお呼びするのが遅くなってしまった。奥多摩(の入り口)から勝浦市とつながるのも当局にとっては初めてだ。海外の邪魔もあるが、信号は51で入感してくる。山頂南側のポジションに移動すれば、もう少しレポートもよかったかもしれない。
昼を過ぎるとピュルルン系のノイズと、海外局がざわめきを増してくる。コンディションは上がり目なのだろうか。
山頂がやや広めのせいか、やはり真東から南方向に対しては、山頂の南側に移動するとかなり信号強度も上がるようである。陽の当たる、南の雪の上に移動したイスの上にしばし腰を下ろして運用してみる。707を膝においてCQを出してみると、横浜市緑区のヨコハマAC306局とつながる。306局の変調は、濃すぎず薄くなく・・・きれいに声だけ拾われているので、使われているリグが気にかかる。お尋ねすると、リグは707だが、外部マイク(ダイナミック型)を使われているとのこと。やはり音には気を使われているようである。当局も今日は707だが、わが身を振り返ると、当局の変調の方はお恥ずかしい限りである。
板橋RC
風は、昼を過ぎてからは、突風が吹いてもかなり勢いは弱くなり始めていた。山頂の南側は更に風が通りにくい分、しばらく運用していると体がポカポカと暖かくなってくる。
鎌倉市の大平山にはいつものカナガワOT207局が出てこられる。OT207局には、いつも、ほぼ平地に等しい東大和/東村山方面からつなげていただいているが、今日は当局も高い場所に居る分、さすがに59/59と強力だ。「そろそろいたばしロールコールが始まっている時間ですねぇ」などと言いながら、交信を中断し、特小を取り出し大山(神奈川県)からの信号をワッチしてみる。キー局である、いたばしAB303局さんのアナウンスを聞いていると、始まってまだしばらくのようで、無論M5で聞こえてくるものの、思ったほど信号は強くない。チェックインすると、キー局側で場所を微調整して頂いたようで、団子2つほどで聞こえてくる。さすがに少しは高いところにいるせいか、当局にも埼玉や立川方面の平地からのチェックイン局がかなり聞こえてくる。
正面の三角形が大山 |
キー局の303局が運用されている大山とは全くの見通し、現にこちらからは裾野のほうまでよく見えている。本来特小でももう少し強力に聞こえてもよさそうなのだが、大山も山頂は広いようなので、意外と微妙に何かの物陰になったりしているのかもしれない。その後のCBでのロールコールでは、期待に違わずガツンと、こぶしを食らうように59+で信号が入感してくる。それにしてもチェックイン局を聞いていると、風が強いにもかかわらず、普段と同じくらいの移動局がでているようである。
CBでは最後にサイタマKM117局(所沢市)とつながる。KM117局も馬頭刈山での運用を計画されていたようで、お聞きすると、いつも御岳山や日の出山から運用されると南側につっかかるようにこの山があるので、以前から気になっていたとのことである。確かにこちらからも、御岳山の奥の院や御岳山、日の出山の姿がよ~く見えている。向こうからこちらを見れば、南方向はこの山が確かに少し邪魔に見えるかもしれない。
馬頭刈山
ところで、なぜ馬頭刈山なのか?無名の低山でCB運用? しかし、KM117局がいわれるように、当局にとっては別の意味で「気になる」山なのである。実は、都心方面から奥多摩の方を眺めると(もちろん視界のよい場所)、大岳山から、向かって左に延びる稜線を追っていくと、ぴょこんぴょこんと駱駝のこぶのような山が続くのが見える。そこから一気に稜線は急角度で下り、山襞を形成する部分がある。この「ぴょこんぴょこん」の左側の山が馬頭刈山である。ここから落ちていく稜線の形はある種美的?でもある。落ちた先には街道があり、檜原村へとつづく道が走る。なるほど山域の奥へと通ずる街道というのはこういうところにできるものなのか、ということが地図と照らし合わせるとよくわかる。山には別に登ったところで何もないのだが、その場所はどうなっているのか、という興味ぐらいである。
なぜCBなのかといえば、日の出山同様、奥多摩の最も東縁に位置し、その分北と南に電波の飛びが良いと思われるからである。奥に入ってしまうと、更に高い山々に阻まれてこの程度の標高では「お手軽運用」はできない。もっとも、実際にはそのように気にするほど差はないのだろうが...。
帰り際山頂から50mほど下った展望所から富士を拝むと、その姿は逆光に、半ばシルエットになって浮かび上がっていた。
('10/02)
多摩湖畔(東京都東大和市)より馬頭刈山 |
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稜線正面、大岳山から、左の稜線。駱駝のこぶ、左側が馬頭刈山。そこから稜線は急降下する。 |
馬頭刈山(中央左側、ズームにて)稜線が下りた先に、檜原村(東京都)への道が走る。右後ろに三頭山。その向こうにはウェッジシェイプの小金沢連嶺(山梨県)が見える。 |
運用データ |
ICB-707、DJ-R20D |
運用日: 2010年02月7日 運用場所・時間: 馬頭刈山 (標高884m、東京都あきる野市) 10:35~15:10 |
かながわCE47/神奈川県相模原市城山湖 | 53/53 | サイタマAB960/埼玉県吉見町 | 51/52 |
まちだSG26/東京都町田市 | 52/53 | サイタマAD966/埼玉県越谷市 | 51/52 |
トウキョウAB505/神奈川県相模原市城山湖 | 54/54 | カナガワAC288/神奈川県相模原市城山湖 | 56/56 |
スギナミMH1212/埼玉県和光市 | 51/52 | ふくおか8774/東京都立川市 | 55/55 |
イバラギRA136/千葉県富津市鹿野山 | 52/52 | とうきょうMF33/茨城県日立市 | 52/52 |
ちばTM42/千葉県千葉市美浜区 | 52/53 | ちばZZ664/千葉県勝浦市 | 51/52 |
チバJI927/千葉県千葉市美浜区 | 51/53 | とうきょうMS25/東京都立川市 | 56/55 |
とうきょう13924/東京都八王子市 | 55/52.5 | ヨコハマAC306/神奈川県横浜市緑区 | 56/57 |
カナガワOT207/神奈川県鎌倉市 | 59/59 | かながわUA66/千葉県南房総市 | 56/54 |
トウキョウLM502/東京都立川市 | 56/53 | いたばしAB303/神奈川県伊勢原市 | 59+/59+ |
サイタマKM117/埼玉県所沢市 | 57/57 | いたばしAB303/神奈川県伊勢原市* | M5/M5 |
'10/02/07 東京都あきる野市 |