サイクル24とジュグラーの法則
2008年1月、米国での住宅バブル崩壊に端を発した'07年のサブプライムローン問題により、シティバンク他米国の有数金融機関が大打撃を受け、これに従い日本経済全体の評価もダウン、全面的な株安傾向となった。
一方、昨年から無線家の皆さんが注視している太陽の黒点数だが、ここのところ相変わらずゼロ行進の日々が続いており、そろそろサイクル24が立ち上がってきていてもおかしくない時期にもかかわらず、一向にその気配は見えてこない。
経済活動を超マクロでみた時の景気循環サイクルの一つに、約11年周期のジュグラーサイクルと呼ばれるモデルがある。11年周期というのは、黒点の周期と同じだが、一説によると太陽の活動(=黒点数)が活発なときは経済活動も活発になり景気が向上するという。太陽活動の活発度=黒点数と仮におくと、1900年以降の黒点数の増減サイクルとおおまかな経済活動の盛衰(景気指数の推移)はおおむね一致しており、統計上相関関係があるといえる、という。(ピタリ一致しているという人もいる)
景気循環サイクルと、太陽活動の相関に対する考え方(仮説)としては、太陽の活動が活発になると、地磁気の影響でかなりの部分を水分から構成される生物としての人間の活動自体も影響を受け、行動が活発になるからだ、という考え方や、農作物が豊作になりこれによる景気循環により経済活動全体が上向くという考え方、太陽活動の活発化により地球の系全体の熱効率が変化し経済活動に影響するといったようなエントロピーからの考え方等いろいろあるらしい。人間の活動が活発になるというのは、例えば、それに伴い、企業等の設備投資活動が勢いを増すということだが、学術的にどれほど確立された根拠であろうか。景気循環サイクルのモデルとしては、これとは他に、コンドラチェフの法則やキチンサイクルというのが知られている。
‘08はサイクル24の立ち上がり時期となっており、更に、今回のサイクルは「大山」が期待されているので、経済活動の方もそろそろ向上してきて、好景気を期待させる事象がでてきてもよさそうなものだが、現在の黒点数同様、'08/1月の現時点では全くパッとしない。少なくとも、現在の局面だけは、景気循環サイクルは実際の黒点現象と合致している。
サイクル22のピークは、80年代終わりの日本のバブルとは偶然にも?合致するが、サイクル23は、米国における'00年ごろのITバブルの崩壊、’01年の同時多発テロ、'03~'06の住宅バブル、それに伴うサブプライムローン問題に起因する金融崩壊、その後の株価低落の一連の動き等等、一筋縄ではいかない。
サイクル24とともに、景気も浮揚するのか?
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Data Source: NOAA
MUFは...
黒点のサイクルは通常11年前後であるから、今から立ち上がるサイクル24は2012年頃にピークを迎えることになる。太陽活動が活発になれば、電離層の電離度も上昇するので、電離層反射伝播におけるMUFが上昇するのは周知の通りである。サイクルピーク時には6mでも、欧米とHFのようなF層反射でのQSOが可能になるかも知れない。過去の統計データでは、例えば6月の東京南方2,000Km回線のMUFは、昼間12時から16時をとってみると、黒点数100では、21MHzから24MHzの間、黒点が150まであがれば、最高27MHz程度まで上昇する(現在は黒点数ゼロ)。サイクルピーク時の夏場のこの時間には、Esに頼らなくても11mでも日常的に本州から沖縄等とのDXが可能になるかもしれない。
景気と黒点、いずれも一刻も早い回復が望まれる。
('08/1)
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