厚い雲が解け、一瞬日が差し始める。雨の合間を縫って、山頂へ向かう(7/30土曜日)


雨の合間に

最近のSVはいつもナガノNP152局さんと仙丈ヶ岳で合同運用だったが、今年はNP152局のご都合もあり、単独運用となる。予報で注目していた空模様は一週間前から雨マークがちらちら、予想通り、2,500m付近から雨が降り始める。2,900m付近にある仙丈小屋に着いてビールを飲みながらひと段落していると、窓外は土砂降りに変わる(笑。ん~、13時から、この時間はまだ自由に動けるふもとのNP152局とスケジュールQSOを予定しているが大丈夫だろうか?

雨は強く降ったり、小降りになったりしていたが、幸い13時過ぎには一旦上がる。87Rで山小屋前の広場からCQを出してみると、NP152局より応答がある。下のほうは蒸し暑いようだ。北安曇郡のながのBC11局とQSO、そして再びNP152局と100mWでQSOしていると、NP152局さんは晴れ男なのか(笑、あれだけ暗く分厚かった雲とガスが切れ、時々視界が利き始める。もともと午後イチで山頂まで足を延ばす予定だったのをあきらめていたのだが、これならいけそうか?とはいえ、コロコロと変わる今日の気象状況では、再びいつ豪雨になるかわからない。

悩んだ末、一か八か、広場に出た足でそのまま山頂へ移動をかけてみる。明日はもっと豪雨になるかもしれない。どうせ登るなら今のうちである。といっても、いつでも引き返せるように、雲の様子を見ながら、所々でQRVしながらの移動だ。

今年は天気のせいで移動局が少ないのか、山小屋前では、つながったのはわずかに2局だけだが、2エリア方面に開けた山頂尾根まで上がると、テンリMH784/2局やミエAC129局などの四日市港移動局(三重県)とつながる。さすがに四日市港は海抜0mでも良くつながる。中央アルプスを挟んで反対側の御嶽中腹(長野県大滝村)にはギフTY32/0局も移動されている。今日は御嶽には常連局を含めて5~6局くらい集結、宴会になる?ようだ。

尾根まで上がると今にも雨が滴りそうだった雲が切れ、再び視界が開ける。今まで全く見えなかった甲斐駒も姿を現し、通常の美しい高山の景色が一瞬拡がるが、それもつかの間、すぐにガスで視界は閉ざされる。なんとかだましだまし、山頂に着くと、山小屋前でも聞こえていた北海道帯広移動のトカチRJ310局がより一層強く入感してくる。山頂は通常Esには弱いイメージがあるが、仙丈に関してはその逆で、中腹や平地より強く入感するようである。しかし山頂では10分も経たないうちに、雨がポツリポツリと落ち始め、あわてて山小屋へと逃げ帰る。

天気を見ながら山頂へ

雲は切れるが・・・
上から下から、時々刻々と雲の動きが
変わる。
山頂尾根
所々でQRVしながら山頂まで。
尾根まで出ると2エリアとも良くつながる。
定番写真
今年は270Dも添えて。
山頂では10分もしないうちに雨が降り始める。


小屋に戻ってもまだ15:30。戻ってからすぐに雨が本格的に降り出し、時に土砂降りになって小屋の屋根を強くたたく。退屈しのぎに布団に横になって携帯ラジオを聴いていると、不思議と山にいる割にはFM各局が強力入感してくる。AMよりもFMの方が受信がFBだ。終わったはず?の低チャンネルアナログテレビ周波数まで音声が聞こえてくる。ニュースでは新潟・福島地方の未曾有の豪雨による被害を伝えている。

17時の夕食前に再びNP152局とQSOを予定していたがこれでは不可能だ。時々強雨になる雨は夕食後も降り止むことはなかった。明日も一日雨なのか?



7月31日(OAD 本番)

[s山頂に着いた10分間だけ富士山が顔を出す。7/31(日)OAD本番 4:36分


天気はどうか?
朝3時過ぎに起きて、恐る恐る外に出てみると、雨は止んでいる。薄く霧が出ているのかもしれないが、ラッキーなことに空には雲の合間から星もいくつか見えている。早立ちを決意し、朝食を取らずに山頂を目指すことにする。昨日のラジオでは、今日は午後には平地でも天気が崩れるとの予報だった。山間部なら崩れ始めるのは時間の問題で、できるだけQRV時間を稼がねばならない。

雨はまだ降ってはいないが、レインウェア、レインカバーの雨天仕様で小屋を出る。頂上に近づき、明るくなり始めると、どんよりと厚い灰色の雲が様々な形相で渦巻いている。4:30過ぎに山頂に到達すると、ガスは薄く意外と視界が利く。富士山も一応形が分かるが、甲斐駒や周囲の山々は、ガスや雲の動きで一秒ごとに景色が変化していた。雨が降り出さないうちにと、87R一丁を手にQRVを開始する。今回はCB機3台と、パソ機(PR-6)、特小(DJ-R20D)を持ち込んでいたが、今にも降り出しそうな雨に備え、87R以外余計なものはすべてリュックにしまったままだ。ザックもレインカバーで深々と覆い、CB機一台だけの勝負だ(笑。

4:45分、8ChのCQに今日一局目となる、おおさと59局/美ヶ原のコールが返ってくる。SVの割には、今日は運用局が少ないようだ、といわれている。確かに、いつもならこの時間なら既にチャンネルはフルに使われていてもおかしくないが、ガラガラだ。ポータブル1の群馬県渋峠からは、YLステーションよりコールがある。ながのK2局だ。山がお好きなのだろうか、コールサインの由来が気にかかる(笑。9エリアからは、いしかわ4137局(石川県羽咋郡宝達山)より、2エリアからは、ミエAC130局(三重県員弁郡石榑峠)よりコールを頂く。AC130局はRS55と強力だ。

日差し

山頂到着時
残念ながら日出は写せなかったようです。
6:00
山頂到着時に雲が切れた、この方たちは
ラッキーです(笑。
一瞬差した日に、ブロッケン現象のように
山頂の影と虹が映る。


3&5エリア

いつもの六甲山にはおなじみの局長さんが運用されている。えひめCA34局がQSO中の5Chに割り込んでしまったようで、「後から3Chでよろしく~」と他局とQSO中のCA34局からメッセージが返ってくる。3Chで待機していると、CA34局のCQが入感してくる。六甲ではミヤギFS43/3局、ひょうご3946局といった、3エリアのおなじみの面々が運用されているようで、連続してQSOしていただく。まだ5:30過ぎだが、皆さん朝早くから元気だ(笑。

6時を過ぎると電離層も動き出したようだ。5Chではハワイ方面からか、さかんに海外のCB局が聞こえてくる。

すでにQSOを終えていた京都府深山移動のヒョウゴAB245局のQSOを聞いていると、5エリアのトクシマMN72局と交信されている。MN72局は耳S52くらいで聞こえてくる。幸いチャンネルはMN72局が持っているようなので、オオサカHNC24局との交信終了後にお声掛けする。聞いてみると剣山に移動されているようだが、山頂ではなくまだ登山口におられ、これから山頂に向かわれるところと言われている。標高はまだ低いはずなのだが、入感がFBなのにはびっくりだ。これまでの経験からも、南アルプス~富士山地域は、不思議と5エリアが良く聞こえるようである。
MN72局との交信を終えるや否や、北海道稚内移動のながおかHR420/8局よりコールがかかる。MN72局のチャンネルだったので、一瞬52と言ってしまったが、メータを良く見るとS5まで振っている(笑。HR420局はその後もずっと55~56でローカル以上に超強力安定入感していた。

強雨
6時過ぎには、それまで閉ざされていた視界が再び開き始め、ひょっとして天気も回復するのではないか、と淡い期待を持たせたが、続いたのは20分ほど。その時間を除き仙丈もずっと霧の中である。御嶽中腹移動のギフTY290局によれば、御嶽はすでに雨が降り始めたようで、各局山頂移動は断念されたようである。途中、ながおかHR420局に応答する、きょうとKP127局の声もFBに聞こえていたがタイミングが合わない。東京、埼玉、神奈川の平地方面も移動局がないのか、CQにも全く応答がない。

7:20分過ぎには、とうとう雨がぱちぱちとレインウェアをたたき始めた。リグの防水パック仕様は持ってきているので、雨中のQRVは可能だ。しかし、視界が閉ざされた強雨の中で運用していてもあまり面白くはない。雨が降りしきる中、しばし考えながら佇んでいると、「今日はずっとこんな感じですね」、と山頂にもう一人だけ残っていた登山者が声をかけてくる。一昨年のように強風ではないが、潔く?撤収を決意。7:30前に下山を開始する。

山頂からの美しい眺めは、また次回に期待しよう。

各局TNX!      ('11/08)


この日2回だけ見えた日差しに、甲斐駒もためらいがちに顔を覗かせる。




運用データ

運用日時・運用場所:
  2011年7月30日(土) 
    13:00~13:50:仙丈小屋前 (標高2,890m)
    14:00~14:50:仙丈ヶ岳山頂尾根
    14:55~15:05:仙丈ヶ岳山頂 (標高3,033m)
  2011年7月31日(日) 
    4:40~7:20:仙丈ヶ岳山頂 (標高3,033m)

主要装備:
  CB
   ・ICB-87R (ソニー)
   ・ICB-707 (ソニー)
   ・RJ-270D (ナショナル)
  パーソナル無線
   ・PR-6 (信和)
  特小
   ・DJ-R20D (アルインコ)

電源:
  ・Li-ion 2.1Ah×1、1.6Ah×2、1.4Ah×1、乾電池多数

    

QSO局
CB
(敬称略)

7/30:仙丈小屋前
ナガノNP152/長野県伊那市 57/57 ながのBC11/長野県北安曇郡松川村 51/57
ナガノNP152/長野県伊那市 (当局100mW) 52/53
7/30:仙丈ヶ岳山頂尾根
ミエAC129/三重県四日市港 51/52 テンリMH784/2/三重県四日市港 51/52
ミエAC130/三重県四日市港 52/52 ギフTY32/0/長野県御嶽中腹 57/53
7/30:仙丈ヶ岳山頂
ヤマナシK610/山梨県北杜市 52/53 トカチRJ310/北海道帯広市 52/52
ギフTY290/長野県大滝村御嶽中腹 57/53
7/31:仙丈ヶ岳山頂
おおさと59/長野県上田市美ヶ原 57/56 ナガノAA601/長野県上田市美ヶ原 57/56
チバHI429/長野県長和町 56/59+ ながのK2/1/群馬県渋峠 52/52
いしかわ4137/富山県羽咋郡宝達山 51/52 ミエAC130/三重県石 55/55
サイタマHK123/2/愛知県日進市愛知池 52/52 えひめCA34/3/兵庫県六甲山 51/51
ミヤギFS43/3/兵庫県六甲山 51/51 ひょうご3946/兵庫県六甲山 51/51
アイチAE114/長野県大滝村御嶽中腹 53/54 グンマAA661/長野県上田市美ヶ原 58/53
ながのSQ21/1/群馬県渋峠 53/53 ヒョウゴAB245/京都府南丹市深山 51/51
アイチFT60/愛知県小牧市白山峠 55/53 オオサカHNC24/和歌山県田辺市護摩壇山 52/51
ながのBC11/群馬県渋峠 56/55 なごやCE79/長野県大滝村御嶽中腹 58/55
トクシマMN72/徳島県美馬市見ノ越峠 51/51 ながおかHR420/8/北海道稚内市 52/55
ミエAC130/三重県石榑峠 51/M5 ギフTY290/長野県大滝村御嶽中腹 56/57


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