2020運用記
浦倉山 (秋オン)
群馬県嬬恋村



[浦倉山:夏から秋へ。]





リストの中から・・・

秋オンの天気はどうも今イチっぽい。天気予報をチェックしていると、どうも太平洋側に前線が停滞するようで、関東地区は雨予報だ。日光の山地での軽いハイク&運用を計画していたのだが、これではダメだ。もっとも、お盆明けに3回目の(笑)ぎっくり腰による腰の激痛でこの一か月間、まともに体を動かせない状態だった。無線機を3台もリュックにぶち込んで、4~5時間歩くというのはまだやめておきなさい、ということかもしれない(笑。

天気予報では、長野、新潟方面へと日本海側に向かうにしたがって天気は「悪くはなさそう」で、長野で「くもり」、新潟で「晴れのち曇り」といった感じだ。ちなみに高崎・前橋ぐらいまでは一日中雨予報だ。

ということで、今回の運用地は群馬県嬬恋村浦倉山(標高2,091m)だ。当局的には、雨予報時用などのために、「歩き時間が最も少なくても済む運用場所リスト」を以前から作成しているのだが、その中から今回の予報に合わせて選んだ場所だ。もちろんこのリストにあるロケは例によってどれもマイナーな場所だらけで、基本片道1時間以内のロケである。その中でもこの浦倉山は歩行時間の短さでは最上位の部類で、なんと7~8分である。7~8分というのは「歩く」とは言い難い距離だが、まだ腰・腿には痛みとしびれが残る。今回は最軽量装備だが、一応リグは2台、水は2L、外部スピーカー、カメラ、バッテリー、昼食、その他雨具・防寒具等を考えるとこのぐらいの歩行時間?にとどめておいた方がよさそうだ。痛みが元に戻ってしまっては意味がない。水は2Lも要らないのだが、癖なので仕方ない(笑。

このロケは、山の上までゴンドラで行けるのが特徴だ。パルコール嬬恋スキー場のゴンドラで、例年、夏場は土日を中心に運行している。このゴンドラ降り場からは、百名山である四阿山にも手軽に行けるため、夏場は四阿山山頂も込み合う、と言われるぐらいだ。

ゴンドラを降りて、分岐で浦倉山方向へ向かおうとすると、10mくらい先を行くハイカーも同じ方向だ。むむ?普通のハイカーは反対方向の四阿山方向ではないのか?腰を気遣いながら付かず離れず歩いていくと、なんとそのハイカーも浦倉山山頂で荷物を下ろすではないか(笑。こんな名も知れない山を目指してくる奇特な人間はいない、もしや?と思っていると、やはり荷物を広げだした。シートの上には小気味よく、同軸やらアンテナ類がならべられていく(笑。アマチュア局のようで、ここから運用されるらしい。ご挨拶をしていろいろ話を伺ってみる。今日は6mと2mのSSBを運用されるようで、リグは最新鋭のIC-705、6mは伸縮式ポール持参のダイポール仕様だ。SOTAをやられているわけではないようだが、山ランでこの山頂で運用することで、1山頂分稼げるようだ。

こちらはSOTAも山ランも関係ない、単なる腰痛&天気対策による11m運用だ(笑。はからずも、こんな無名の山頂に2局開局という豪勢な?状況だ。

 左:ゴンドラ降り場。それにしてもこの天気、先が思いやられます。
 中:山頂標もご機嫌斜め?
 右:やはりアマチュア局でした(笑。山頂で2局で運用を開始。


9エリアと4局

8時40分さっそく波を飛ばしてみる。1stは、かながわCE47局さん(神奈川県城山湖)だ。当局が運用時にいつも1番手になっていただくことが多い局長さんで、いつも感謝だ。さらにCQを飛ばしてみると、ナガノAA601局からコールをいただくが、その裏で「ポータブル9」の局長さんからのコールも聞こえてくる。AA601局との交信後にQSOに移ってみると、石川県七尾市別所岳移動のぐんまXT59局だ。こんなところからポータブル9か?? 間には北アルプスが連なるので間違いなく山岳回折だ。それにしても北アのどこらあたりで回折しているのか?別所岳からは後から、いしかわMB51局ともつながる。さらに石川県からは、金沢市医王山のしずおかAB77局、富山県からは小矢部市稲葉山のイシカワJCS23局などからもコールをいただく。後で調べてみると、小矢部市は富山県でも西端、金沢市にもほど近い場所だ。そちら方向の角度のみの回折波なのか、石川方面全般に広がる回折波なのか、興味が尽きない北ア回折である。

山頂は20mぐらいまでは視界が効くものの、その先は全く見えないガスの世界だ。雨が落ちてこないだけでも幸いだが、いつ降り出してもおかしくない空模様だ。山頂は笹薮に覆われているので、風は防いでくれるのだが、真上は結構な風のようだ。アマ局のダイポールがすぐに意図せぬ方向に向いてしまう。当局もNTS115は地面に設置したままの運用である。

今日も皇鈴山(埼玉県東秩父村)では、トウキョウAB505局さんが運用されている。使われているリグの特性からか、今日はいつもよりやや明るめの(高め)の変調音だ。やはり埼玉地区は雨のようで、東屋に引っ込んだりしながら運用されているようだ。お盆の時の毛無峠の運用記も読んでいただいたようで、「好き勝手に書かせてもらってすみません」と謝罪すると、有難いことに「どんどん使ってもらって結構です」、とのお許しを頂戴したので、今回も好き勝手書かせてもらおう(笑。その毛無峠は、単なる偶然だがこの山筋の稜線上を更に北に7、8キロ進んだ場所である。


試作第2弾?

NTS115は外部スピーカーが欠かせないが、今回持ち込んだのは、時間がある時にちょこっと作成した試作第2弾のスピーカーである。毛無峠に持ち込んだ第1弾はさすがに大きすぎるので、音質に我慢できる範囲で小型化を図ったものだ。口径は10㎝から6.4㎝にサイズダウン。エンクロージャーはウォ―ルナット、スピーカユニットには240g程度の錘を付加、今回も密閉型だが、オーディオ用のパワーアンプでそこそこの入力を入れてもビリついたり、音が軽薄になったりすることはない。ユニットはもっと重くしたいところだが、エンクロージャーの内容積が圧迫されるのでこの程度が限界だ。ユニットの口径からくる振動板の可動特性とエンクロージャ容積から、低音の周波数の再生限界は物理的に限られるが、ユニットがボーカル領域が比較的太いせいか、オーディオもそこそこ聞ける。もっとも、無線用途ではそんな性能はいらないので、全くの無駄な努力ではある(笑。

今回のコンセプトは、ユニットをエンクロージャー外周ぎりぎりにして、縦置き、横置きの二つを常用可能にすることで、聴感上の周波数特性を変化させようというものだ。中低域側を強調したいときは横置きで、置いてある面の反射を利用する。縦置きでは低域は下に回り込むので、相対的に中域側が強調されることになる。つまり、QSO時にDXなどで明瞭度を高めたいときは縦置きに、ラグチューなどまったり聞きたいときは横置きといった感じだ。(なお、本来エンクロージャーの縦横の長さを同じにするのは基本的にはタブーである・・・念のため。内部で特定の周波数が強調されるからである。)

山頂の標識板の下に、おあつらえ向きの板が転がっていたので、それを利用させてもらおう。しかしなぜ、こんなドンピシャ適切な板が転がっていたのか、全く不明だが(笑)、まさしく当局の目的にぴったりだ。


 左:縦置き。中:横置き。横置きの写真は撮影用にリグの横に置いているが、実際にはこのような長い板の場合は、
   スピーカーを遠くに置くことで反射がより有効になる。また、遠くに置くとケーブルのアース効果により、
   NTS115の送信時の電力効率がLED2個分程度上昇する。
   (まあ、それによる飛びの差はないとは思いますが(笑。)
 右:製作中の写真。錘を付けるのは、反作用を少なくして、振動板のエネルギーロスを少なくするためだ。
   例えば口径18㎝クラスでは1㎏程度の錘を付ける(当局の場合)。それだけで、低域の出方に明確な差が出る。



完全に晴れ上がりました

 
関東平野は雨天のせいか、ほとんど電波が飛んでこない。飛んでくるのは長野・新潟方面からがほとんどである。ロケの集中現象もおこっているようで、長野と群馬の境の横手山・渋峠地区には7~8局が運用されているようだ。しかも、全部合同運用かと思いきや、別々に運用されているらしい。美ヶ原も7局程度が運用中だ。木曽御嶽中腹にはいつものなごやCE79局さんら少なくとも3局、9合目からは超久しぶりのQSOとなる、ギフTY290局が運用中である。

11時過ぎ、いばらきNT23局とつながる。茨城県桜川市の足尾山で運用を開始されたところのようだが、大粒の雨が降っているという。関東平野はまだ雨が降り続いているようだ。こちらは、結局雨粒がおちてくることもなく、ずっと持ちこたえていたが、逆に11時半を過ぎると雲が切れ始め空模様はみるみるうちに回復してくる。30分もしないうちに、完全に青空が広がった。隣で運用されていたアマチュア局は2時間ほどで引き上げられていったので、この夏のような秋のような、すがすがしい青空を味わうことなく下山されていったことになる。

もっとも最後の20分ぐらいは当局とIC-705を前に無線談議に花を咲かせていたので、実質の運用時間は1時間半ほどだ。撤収を終えて引き上げる際に「まだやられるんですか?」と、いつも聞かれるセリフとともに、当局のリグの前にやってこられる。
「これ、西無線研究所ですよね~。このほかに、もっと小さいやつも出してますよね。」
「あ、NTS111ですね。ご存知ですか?」
「最近、新技適、新技適と騒がれているもんで・・・」
西無線研究所のWEBサイトはよくご覧になられているらしい。そもそも西無線研究所は2m、6mのハンディリグを製造されているので、NTS115もその手のアマ局には認知された存在のようだ。

すっかり晴れ上がった空の下、心地よく運用を続けていると、苗場山山頂からサイタマMS118局の声が聞こえてくる。MS118局はいつもFBなロケから出られる局長さんだが、今日は天気予報を見ながら比較的天気が持つと思われる新潟方面の山を選ばれたらしい。当局と同じ考えだ。


それにしても、朝ここに来たときはどうなるかと思ったが、結果的には途中から快適な無線運用だった。さあ、各オンはどこから出るか?腰を完治させてからだが・・・(笑。

34QSO TNX!!

(´20/9/24)

  山頂にて




運用データ


 ■運用日時・運用場所:

 
  ・2020年9月20日(日) 8:40~13:50 
      群馬県嬬恋村 
      浦倉山 山頂 (標高2,091m)

 ■使用&装備リグ:
   CB : NTS115 (西無線研究所)
        ICB-87R (SONY)
 ■使用電源
   リチウムイオンポリマー電池11.1V/3.0Ah
   ・リチウムイオン電池10.8V/3.4Ah
   
←ゴンドラ降り場直上の展望所。


QSO局
34QSO TNX!!  
(敬称略)

2020年9月20日(日) 8:40~13:50 曇りのち晴  
かながわCE47/神奈川県相模原市城山湖 51/51 ナガノAA601/長野県上田市美ヶ原 53/53
ぐんまXT59/石川県七尾市別所岳 51/51 サイタマUJ120/長野県上田市美ヶ原 53/52
しずおかAB77/石川県金沢市医王山 51/52 ねりまTN39/群馬県渋峠国道最高地点 56/59
ニイガタAA462/新潟県佐渡島ドンデン山 53/54 アイチAE114/長野県王滝村三笠山 51/52
イシカワJCS23/富山県小矢部市稲葉山 51/51  なごやCE79/長野県王滝村御嶽中腹 56/55
ながおかHR420/長野県横手山  59/57  ナガノMA205/長野県渋峠  56/54 
トウキョウMT106/長野県上田市美ヶ原  53/55  とうきょうE50/埼玉県堂平山  54/57 
マツモトTK304/長野県岩菅山  58/57  ちばBK61/茨城県筑波山子授け地蔵  51/53 
ニイガタHR660/長野県横手山  59/59  ニイガタEJ206/長野県上田市美ヶ原  53/54 
トウキョウAB505/埼玉県東秩父村皇鈴山  52/52  とうきょうP55/長野県横手山  56/55 
チバYS729/新潟県信濃町黒姫高原  54/51  アイチBS105/長野県王滝村田の原  53/55 
いばらきNT23/茨城県桜川市足尾山  52/54  ギフTY290/長野県御嶽山9合目 51/51
ヨコハマKR251/埼玉県堂平山  58/56  サイタマMS118/新潟県苗場山山頂  53/53 
スイタIN046/長野県上田市美ヶ原  56/56  いしかわMB51/石川県七尾市別所岳  51/M5 
いばらきAY48/茨城県筑波山中腹  55/56  グンマTK429/群馬県伊勢崎市利根川河川敷  51/53 
アイチAD714/長野県野麦峠  53/54  ながのBN6/長野県上田市美ヶ原  54/55 
サイタマAD421/埼玉県東秩父村皇鈴山  55/53  ナガノFT110/長野県長野市字附山  59/59 
*QSOはすべてNTS115で実施。


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