2020運用記
ツツジ山・顔振峠
埼玉県ときがわ町・飯能市



[顔振茶屋]





世の中謎ばかり??

「妖怪しました。」、「溶解しました。」、「揚海しました。」・・・。「招致しました。」、「オリンピック招致しました。」・・・。

「了解しました」、「承知しました」、はビジネスメール(社内を含む)の世界ではなくてはならない用語だ。メールを送られると、とりあえずは何か返さないと失礼にあたるのではないか、と心遣いをする日本人にとっては、必須なのである。ちなみに「了解しました」は、英語では“understood”、その代わりに“gasoline-stood”だ。もともとgasoline-standというのは完全な和製英語なので、gasoline-stoodなど最初から有り得るはずがない。

「溶解しました」、そして何か合点がいった時にはさらに変化して「氷解しました」とくるのだから何のことだかさっぱりわからない。「妖怪」、「氷解」、「招致」、“gasoline-stood”・・・さすがに当局も社外に対しては使えていないが、そんな凍りつきそうなジョーク?に、いつもメールで付き合わされている同僚や部下の方はたまったものではないだろう。部下に対しては、新手のパワハラか?

そもそもなぜ「ようかい~」なのか?それは、「お~うかい~」、という、あのダミ声の違法局の表現方法からきている。しかし、違法局はなぜ「おうかい」、なのか。「r」の音が入ると明瞭度が落ちるせいからか?それと以前から気になっているのが、なんとか観光さ~ん、と呼びかけでよく聞かれるハンドルネームだ。「○×観光」というのはあやしい、特にビジネスの領収書の世界では、「○×興業」と同様にかなり怪しい・・・(笑。それにしても交信相手をちゃんと「さん」付けで呼んでいるのだから、違法局の方が我々よりよほど紳士的ということかもしれない。

年末になると、いつも思い出すのが、芥川龍之介の短編「年末の一日」だ。といっても毎年頭に浮かんでくるのはタイトルばかりで、内容の方はいくら思い出そうとしても、一向に思い出せない。その繰り返しが当局のいつもの年末である(笑。今年は新型コロナでさんざんな一年だったので、あえて暗い話題を振り返る必要はないだろう。当局的に明るい話題の筆頭は、はやぶさ2が、無事小惑星リュウグウのサンプルを届けて帰還したことだ。数多くの課題の難易度に鑑みれば、世界の宇宙開発の歴史全体をみても、これほど完璧なまでにミッションをやり遂げたプロジェクトはおそらく他にないだろう。5.4g以上と見積もられるその貴重なサンプルは、太陽系の起源や進化の謎の解明にきっと役立ってくれるに違いない。そしてエクストラのミッションを背負って、はやぶさ2はさらにはるかな旅路へと旅立って行った。

無線界の一大事は、長年大きな謎だった「チュークワ」の秘密が、現地での検証を以て解明されたことだろうか。チュークワとはチューク・グアムのことで、グアムに在住しているチューク人が、チューク諸島の人々に交信を呼びかけている合図らしいが、一方で新たな疑問が・・・。チュークワは、例えて言うなら台湾に在住している日本人が、日本にむかって、「ニッポン・タイワン」、「ニッポン・タイワン」・・・とエコーをバリバリに効かせて連呼しているようなものだ。ここからどうやって交信が成立するのか??さらなる謎の解明が期待されるところだ(笑。





[墨絵のように・・・。ツツジ山山頂より]




ツツジ山

そんな、太陽系の起源やチュークワ、「おうかい~~」の謎とは全く関係なしに(笑、年末の一日、ツツジ山にQRVしてみる。といっても今日の主目的は、運用というより、1年ぶりに顔振峠(かあぶりとうげ)の顔振茶屋に行ってご主人の様子などを伺ってみることだ。きっと今日も元気に活躍されていることだろう。

今日の作戦としては、朝食抜きでお腹をすかせてお昼までQRV、その後顔振茶屋まで移動し、ご主人の元気な様子を拝見しながら、昨年は実現しなかった猪鍋を一人でいただくというものだ。もちろん、味噌おでんもいただくことは言うまでもない。

 山頂にて
運用場所自体は、いつもの顔振峠(雨乞い塚)では面白くないので、少し離れた、ツツジ山(標高879.1m)ということになる。山の名前を書くと、さも山登りでもしたかのように思われるが、車で行ける刈場坂峠(かばさかとうげ)から5分ほど歩いて上がった場所である。刈場坂峠(標高818m)自体は埼玉北部や栃木方面には視界が良く開けており、無線でもよく使われる場所だが、都心方向は望むことができない。しかし、ツツジ山まで登れば都心方向に視界が開けるのである。

今日は、ぐんまAD17局さんの手になる新技適機、87R改を持参しているが、まずはNTS115でQRV開始だ。

バンド内をワッチしてみると、どうやらノイズが非常に少ない。グランドウェーブがどこまでも伸びていきそうなダイナミックレンジ感だ。実に気持ち良い。年末の一日なので、運用局は少ないだろうと思いきや、さっそくCQに応答がある。一発目はスイタIN046局、志木市のソラ友会場かららしい。続いて、「水戸の隠居」ミトBB501局は尺丈山(茨城県常陸大宮市)の駐車場からだ。とうきょうE50局は、今日は和光市の荒川河川敷からだ。まだ朝9時だというのに、すでに結構運用局がでられているようだ。その後もイベントデーのようによくつながるが、RJ-410使用局も多いようなので、散歩の途中ででられている局長さんも多いのかもしれない。

山頂からは、東京湾もきらきらと見えている。目の前にはススキの穂が白く輝く。水平線から30度くらいまでは雲が出ているが、これから晴れてきそうな気配だ。その東京湾の向こう側、木更津港ではチバKF728局が運用されている。気温はこちらも向こうも低いのだが、海際もこちら同様、風がほとんどなく余り寒くはないようだ。

ちばMR21局は、今日も袖ケ浦海浜公園からQRVされている。いつもMR21局さんのQSOを聞きながら思うのだが、海抜0mながら、このロケは非常に飛び受けが良い場所のようだ。聞くたびに思うのは、交信のためにわざわざ高い場所などに上がる必要などないのではないかと思えてくるのである。

年末とあってか、山岳移動局は武甲山のギフAB168/1局ぐらいで、ほとんどが平地の移動局である。こちらが高い場所にいるせいか、NTS115の飛びは快調だ。「変調も良くて力強く飛んで来てますよ」、というコメントが多い。ノイズレベルが低いので、交信していても、こちらにもAM特有の各局の変調音が心地よく聞こえてくる。


NTS115無線機風仕様Ⅱ

今日のNTS115は、前回の予告通り?フロントガードハンドル・無線機風仕様Ⅱだ。といってもたいそうな話ではないが、前回の「無線機風仕様Ⅰ」との違いは、ボリュームつまみ、チャンネルセレクターつまみ、フロントガードハンドルの変更である。秋冬モードは黒が基調になるのだが、それ以前に、基本的に無線機には圧倒的に色が足りないような?一般のアマチュア無線機、特に据え置き型が代表的だが、ほとんどのリグが黒一色で面白味が全くない。もう少し斬新な色使いのデザインがあってもよいのではないか、と思っているのは当局だけだろうか?NTS115については最終的には「ミキシングコンソール風仕様」に落ち着きそうな気がするのだが、既にもう一つ、「オーディオアンプ風仕様」というのも用意してある(笑。そちらはまた次回か???

左、中: フロントガードハンドル・無線機風仕様Ⅱ(今回)。
右: 無線機風仕様Ⅰ(前回、各オン時)。

今日は大岩山(栃木県足利市)には、とちぎ4862局さんが出られている。10月の金山運用ではアイボールもしていただき、87R改の件では、大変お世話になった局長さんだ。今日はR-5をお使いとのことで、SONY独特のしっかり落ち着いた、渋い変調音だ。

87R改   
交信が一段落したところで、その87R改の試運用である。受信の方はオリジナルと全く変わりはなく、Sメーター、特にS5以上は軽い。ゴールデンウイークのレポートの通り、NTS115に比べるとS2~3高めにでる。耳Sでは信号強度はほぼ一緒なのだが、87R改の方が聞きやすい分、心なしか、ごくわずかに強く感じる。送信の方はどうか?リグチェンジ後、交信では使用リグを聞かれるまでずっと黙って使っていたのだが、まことにありがたいことに、「87R 改使用」の当局の言葉を聞きつけて、すでに交信を終えていたさいたまCY55局さんが、慌てて?レポートを送ってくれる。ずっとワッチをされていたようで、「NTS115よりかなりガツンと飛んで来てますよ」、ということらしい。CY55局さんもびっくりされたようだが、これには当局もびっくりだ。CY55局さんには、大変貴重なリポートに感謝だ。



顔振茶屋

席に着くとお茶とお茶うけの漬物がだされる。顔振茶屋の席はベランダ状に半屋外になっているので、今日のような風もなく穏やかな日は、のんびりゆったりするにはうってつけだ。テーブルには午後の柔らかい日差しが斜めに射し込んで来る。もちろん、相変わらずご主人は元気いっぱいだ。
「外国人の方がねぇ、わざわざこの猪鍋を食べに来るんですよ。」 (ご主人)
どうやら、猪鍋は外国人にも人気らしい。当局が席に着くのと同時に出ていった、隣のテーブル席も、夫が西欧系外国人の日本人家族だった。見ると、確かにその家族も猪鍋を食べられていたようだ。
別にそこら辺で獲れたわけでもなんでもない、猪肉だろうが、食べてみると、妙な言い方だが「肉の味がする」。最近は、形だけは魚や肉の形はしていても、魚や肉の味がしないものが多い。この肉は違うようだ。

 
左:味噌おでんも忘れずに・・・。
中:猪鍋、調理中!
右:最後は雑炊で。これもまた美味しい。
 


2021年は良い年にならんことを


顔振茶屋でボケーっとしながら、来年のことを考えてみる。
前述のように、はやぶさ2が元気に地球に帰還したことは、暗い話題が多かった今年一年の中にあって、当局的には大いに元気づけられた。

今回、ウーメラ砂漠でのサンプル回収のためにJAXAのメンバーが搭乗した飛行機のフライト番号はJAL8823便だった。日本航空の粋な心遣いが話題になったが、それだけこのプロジェクトの完遂には多くのサポーターがいて、元気をもらっているということだろう。サンプルカプセルが大気圏に突入して、火球となってオーストラリアの夜空を駆けていく映像は、夜中のライブ映像はもとより、その後も何度も繰り返し見ている。何がこれほどまでに感動させるのかと思うと、そのひたむきさ、けなげな姿ではないだろうかと思えてくる。10年前、初代はやぶさは満身創痍で地球に戻ってきた。七転び八起きで苦労しながら戻ってきた地球で、最後は自ら大きな火球となって大気圏で燃え尽きたその姿に多くの人が感動した。海外からは、日本人はモノを擬人化するのが得意だとか揶揄されたりするが、擬人化というより、山や森、湖や川のみならず、モノや機械、探査機にも魂が宿っていると我々は考え、であるからこそそのけなげなひたむきさ、まじめさに感動を覚えるのではないだろうか。ひたむきに努力して何かを達成しようとする姿に価値を置くことは、特に我々日本人の共通の美意識であるように思われる。初代はやぶさには、燃え尽きる前に、最後に苦労して戻ってきたふるさと地球の姿を見せてあげようと、JAXAは計画外の姿勢制御をおこなって最後に地球の写真を撮影させた。今回はやぶさ2は、その完璧さゆえ燃え尽きることなく、サンプルを分離すると地球の重力圏を離脱し、新たに11年にも及ぶ小惑星への旅へと出発していった。コロナ禍にあえいでいる今であるからこそ、はやぶさ2が届けたサンプルカプセルの、その大きな流れ星のような火球の放った光の筋が、来年に向けてのまさしく明るい一条の光になってほしいと願ってやまない。


39QSO、各局TNX!!

('20/12/29)


本日のパティスリー: 
帰りがけ、飯能にあるポム・ドゥ・テールに寄ってみる。チーズケーキは確かにチーズケーキだが、プディン系?の味わいか?シャルムはビターチョコレートがアクセントに引き立つ味わいだ。




運用データ


 ■運用日時・運用場所:

 
  ・2020年12月27日(日)
    ①8:50~12:40、②14:50~15:00 
      ①ときがわ町 ツツジ山 山頂 (標高879.1m)
      ②飯能市 顔振峠雨乞い塚 (標高574m)

 ■使用&装備リグ:
   CB : NTS115 (西無線研究所)
        ICB-87R改 (S Denki)
 ■使用電源
   リチウムイオンポリマー電池11.1V/3.0Ah
   ・リチウムイオン電池10.8V/3.4Ah
   ・乾電池



QSO局
39QSO TNX!!  
(敬称略)

2020年12月27日(日) 晴れ ツツジ山:8:50~12:40 顔振峠:14:50~15:00  
スイタIN046/埼玉県志木市 55/55 ミトBB501/茨城県常陸大宮市尺丈山駐車場 55/56
とうきょうE50/埼玉県和光市荒川河川敷 51/55 グンマTK429/群馬県太田市金山 58/58
トウキョウAA909/東京都江戸川区新中川河川敷 56/56 ギフAB168/埼玉県横瀬町武甲山 58/M5
チバKF728/千葉県木更津市木更津港 57/54 とうきょうMS25/東京都立川市昭和記念公園 55/55
チバKS165/千葉県木更津市木更津港  53/51  サイタマOS321/埼玉県行田市  52/M5 
よこはまA29/神奈川県横浜市青葉区花桃の丘  52/M5  ヨコハマAM56/神奈川県横浜市青葉区花桃の丘  41/M5 
とうきょう13131/東京都八王子市初沢山  55/55  ぐんまXT59/栃木県栃木市渡良瀬遊水地  56/56 
アイチAC884/神奈川県横浜市青葉区花桃の丘  54/55  サイタマAB960/埼玉県吉見町  56/54 
ちばBK61/千葉県流山市江戸川河川敷 52/54 おおさと59/埼玉県吉見町 55/56
さいたまFL20/埼玉県嵐山町 54/55 さいたまCY55/埼玉県嵐山町 55/55
とちぎ4862/栃木県足利市大岩山 55/55 しぶや4989/埼玉県所沢市ぶどう峠 54/58
トウキョウTK205/東京都多摩市桜ケ丘公園 56/57 ヨコハマJA298/神奈川県横浜市保土ヶ谷区 51/52
ちばMR21/千葉県袖ケ浦市袖ケ浦海浜公園 54/55 さいたまKS73/埼玉県羽生市 52/M5
さいたまUG100/東京都東大和市多摩湖畔  59+/58 トウキョウAR705/東京都八王子市長沼公園  57/57
さいたまUG100/東大和市多摩湖畔(2回目)  57.5/59+  サイタマHK118/埼玉県春日部市  52/54 
サイタマYM518/埼玉県吉見町  55/58  トウキョウKC603/  51/53 
チバAC532/千葉県我孫子市  52/54  さいたまCY55(2回目)  57/56 
いばらきNT23/茨城県桜川市富谷山  55/54  つくばGT38/茨城県筑波山子授け地蔵  58/58 
サイタマEP227/埼玉県さいたま市  54/54  つくばA3/茨城県筑波山つつじヶ丘  55/59 
カナガワAA281/神奈川県相模原市城山湖 *# 58/P57     
       
:当局リグはICB-87R改 (その他はNTS115)
:AA281局のみ、ロケは顔振峠雨乞い塚


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