2016運用記 | |||
福島県磐梯町・猪苗代町 |
酒は大七
小さいころの車での家族旅行。姉、兄の三人姉弟の末っ子である当局の特等席は後部座席の真ん中、運転席と助手席の肩に両手をかけ、身を乗り出すようにフロント硝子越しに飛び込んでくる風景を楽しんでいた。これは「気分はAlways三丁目の夕日」に記したとおりである。幼いころ、楽しい家族旅行にあっては車窓から飛び込んでくるすべてのものが興味の対象だ。
二泊三日程度で福島県を旅していると、妙に大きな看板がそこかしこに登場する。山の中腹であったり、丘の上であったり、田んぼの中?であったり、その字体も一種独特で子供心にも強く印象に残っている。「酒は大七」の看板である。縦数メートル、横十数メートルはあるだろうか、その看板がいたるところで目に飛び込んでくるのである。いくつ発見できるか、それも楽しみの一つだったが、二泊三日で裕に50はくだらなかったと思う。
今回磐梯山移動を計画するにあたり、改めて調べてみると、「大七」は二本松市の酒蔵のようで現在でもまだご清栄のようである。福島は米どころ、無論酒どころでもある。二本松の酒蔵と言えば高村智恵子の実家がすぐに思い浮かぶ(こちらは存命の時にすでに傾いてしまった)。そして最近印象深かったことといえば、ちょうど一年前、GWの一斉OADでふくしまFD55局が二本松市の麓山(はやま)からQRVされており、山梨県上野原市でQRVしていた当局とグランドウェーブでつながったことだ。FD55局とは今年もつながるのか・・・?
・・・とその前に・・・。
ビルゴ洋菓子店
本来移動運用記であるはずなのに、なぜこうもケーキが登場するのか???その理由は定かではない。
ビルゴ洋菓子店(猪苗代町)は、猪苗代湖畔北端から数キロ北上したところにある。地元のお客さんでにぎわっていて、当局が着いたのは午後3時過ぎだが、それでも5分程度待たされるほどだ。この時間になるとほとんどのケーキは売り切れ状態だが、売れ筋のケーキはその時間でもまだ増産しているようで、中の工房からは、作り立てのケーキがまだまだ出てくる。店内では食べるスペースはないので、湖畔に戻り、湖を眺めながらいただいてみることにする。コーヒーは淹れるのが面倒なので、セブンのコーヒーでがまんだ。
フロマージュ系、ベリー系、いずれもさっぱり系の味だが、さっぱりでありながらうまい味を出しているところが、なんとも言えず妙である。難しいことだと思うのだが、二律背反する要素がうまく調和している。見た目も美しい。外ではEsが盛り上がっているかもしれないし、グランドウェーブが飛び交っているかもしれない。そういえば、今日は福島向けに移動を開始してから一度もワッチしていない。でも、そんなことはどうでもよいのである(笑。
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OAD本番 |
当局の予想と天気予報が一致するのはそれほど多くはない。しかし、今日に関して言えば、完全一致だ。今回の天気図は外しようがない。朝、登山口駐車場は暴風雨状態だ。厳密にいうと暴風&小雨の嵐の状態である。本州北側の日本海上の低気圧から寒冷前線が本州を縦断しており、東に移動している(はずである)。前線の上空通過はおそらく11時ころ、念には念をいれて、10時ころ山頂到着の予定で出発する。目論見は、山頂到着と同時に雨が上がり、前線も通過、晴れ上がりの中でQRVする予定だ。それでも3時間ほどは運用できるはずである。普段なら5時前には出発するはずだが、今回はその分寝坊できたことになる(笑。
歩き始めると、登山道はほぼ小川になりつつある。久々のレインウェア&ザックカバー仕様で森林帯を抜けていく。森の中を歩いている限りは暴風は緩和されるので、問題はない。あるとすれば森林限界を超えるあたりからだ。
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左:暴風雨の中、登山口を出発。 右:八合目?から頂上までは登山道というより、こんな 雪面歩きの連続だ。 少しでも気を抜くとズボっと足の付け根まで はまり込んでしまう。(下山時撮影) |
何をこんな日に好き好んで山に登るのか?当局には全く理解できないが(笑、山頂に到着してみると、それでも気丈に二人の登山者がおられる。記念撮影を頼まれるものの、体が風で吹き飛ばされそうになるので、踏ん張る力と風の力の拮抗で体がゆらゆらと揺れる。全くフォーカスが定まらない(笑。手袋を外した手もすぐにかじかんでくる。視界もゼロだ。これは無線どころではない。それでも、まあ想定の範囲内ではある。直下の売店(というより単なる構築物)を風よけにして、前線が通り過ぎるのをひたすら待つしかない。
雨が一瞬、霧雨になった瞬間に87RでCQを出してみると、フクシマZR750局からのコールが入ってくる。猪苗代湖を挟んだ布引高原におられるようだが、風はもう「2、3m?の強さ」だといわれる。もう平地は平穏に戻りつつあるようだ。こちらは相変わらず暴風状態だ。気温はおそらく0℃くらいで、寒くはないはずだ。しかし、風よけの小屋はあまり役に立たず、暴風が容赦なく体温を奪う。ガタガタと震えがくる。こんな時こそ防水OKのDCRでお慰み!、とザックを探してみるが見つからない。おかしい!!バッテリーやアンテナ、ケーブルはちゃんとあるものの本体がいくら探しても見つからない・・・・オーマイゴッド、どうも本体を忘れてきたようだ。これでいよいよ、体を丸めてひたすら雨風をやり過ごすしかなくなってしまった。
劇的before after
雨が上がり始めたのは11:30を過ぎてからだ。予想より一時間以上遅れている。最も想定外だったのは、雨が上がってくると同時に風がやむはず、と思っていたのが全く弱まらないことだ。平地はもう収まっているはずだが、磐梯山は孤峰に近いせいか余計に風当たりは強いのかもしれない。707もあるがこの状況では87R一丁で勝負だ。
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before & after | before & after |
山頂の石塔に体を隠して運用するもののアンテナがしなることこの上ない(笑。精神衛生上よくないが、しかし悠長なことは言っていられない。時間があまりないのでCQを畳みかける。ふくしまAJ32局が二本松市の麓山から出られており強力に入感してくる。麓山といえば去年FD55局が運用されていた場所だ。行ったこともない場所だが、交信していても妙な親近感を覚える。
強風の風切り音の中、ボリュームを8くらいまで上げてワッチに回ると、か細いながら輪郭のはっきりした信号をピックアップできる。海外ノイズもだんだんと乗ってくる。コンディションは上がり目のようだ。信号はニイガタHR731局のCQで弥彦山からQRVされているようだ。同じく新潟方面からは、妙高高原移動のスギナミAA530局からコールをいただく。標高2,000mに満たない磐梯山だが、妙高高原まで届くということはやはりそこそこ飛び受けはよいようである。
12時を過ぎるといよいよ雲が切れて晴れ上がってくる。待望の青空だ。まるでさっきまでのうっそうとした、重苦しい真冬の嵐は幻だったのではないかと思えるほど、山頂には別世界が広がる。山頂の視界は360°開けており山の北側には、檜原湖、五色沼、秋元湖などがモザイクのように手に取るように広がり始めた。しかも湖を包む新緑の緑が美しい。南側は猪苗代湖が全景を惜しげもなく披露してくれる。こちらも、「ふっ」と手を伸ばせば掴めるかのようである。初めてくる場所、しかもさっきまで何一つ見えなかったのだからこの感動は大きい。「いないないばあ」を喜ぶ赤ん坊と同じ気持ちかも知れない(笑。
海外ノイズが元気なところからして、Fも上がっているようではある。かごしまNB79局も先ほどからローカルのように聞こえている。同じく九州移動のイワテB73局ともコール一発でつながる。沖縄には、ながおかHR420局が移動されているようで、適当に出していたCQに応答をいただく。イベントデーでは相変わらず2エリア局がDX移動でご活躍のようでうれしい限りだ。
猪苗代近辺では、GW中の旅行なのか、東山温泉からとちぎJT310局のCQが聞こえてくる。山頂滞在すでに2時間半、午前中の嵐を経てきた当局としては「温泉」という言葉が妙にうらやましく響く(笑。福島・茨城県境の八溝山にはサイタマAD966局が移動されている。OAD前に拝見したブログでは、確か八溝山も移動先として可能性ありといったことを書かれていたので、磐梯山移動を決めていた当局としてはひょっとして、という期待もあったがその通りになったようである。八溝山も天気は朝から大荒れだったようで、なかなか車から外に出られなかったようである。しかし、やはりロケとしてはすばらしく、58で超強力入感である。
最後にコールをいただいたのは、なんと、ふくしまFD55局だ。今回は麓山ではなく、いわき市のキットヤ山(=屹兎屋山)という山から出られているらしい。何でも、いわき市では最高峰のようだ。次はどんな場所から出られるのか・・・。
今回は高速道路移動だったせいか、残念ながら「酒は大七」は発見できなかった。一人なので無論よそ見もできない。しかし、いつかどこかですぐに出くわすはずである。 各局TNX!!
('16/5)
運用データ |
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■運用日時・運用場所: ・2016年5月4日(日) 10:40(実質11:40)~13:30 ・福島県磐梯町・猪苗代町 磐梯山 山頂(標高1,816m) ■使用&装備リグ: CB : ICB-87R(SONY)、ICB-707(SONY) 特小: DJ-R20D(アルインコ) ■使用電源 ・乾電池 ←先ほどまであの頂にいました(笑。 (磐越自動車道 磐梯山SAより) |
5月4日(水) 10:40(実質11:40)~13:30 | |||
フクシマZR750/福島県郡山市布引高原 | 58/M5 | ふくしまAJ32/福島県二本松市麓山 | 56/57 |
いわてC9/九州 | 51/51 | ニイガタHR731/新潟県弥彦山 | 51/52 |
スギナミAA530/新潟県妙高高原 | 41/51 | ふくしまMX25/福島県伊達市 | 56/33 |
イワテB73/九州 | 53/52 | ながおかHR420/沖縄県 | 52/51 |
トチギJT310/福島県会津若松市 | 53/51 | フクシマSP302/福島県田村市片曽根山 | 56/58 |
いばらきTK911/茨城県常陸太田市 | 53/54 | トチギSA41/栃木県大田原市 | 53/54 |
サイタマAD966/福島県棚倉町八溝山 | 58/58 | ふくしまFD55/福島県いわき市屹兎屋山 | 55/53 |