2016運用記
SV2016 蔵王熊野岳
山形県山形市・上山市



[夜と朝の間: 31日3:50分 蔵王熊野岳に朝が訪れ始める]




出木杉君の偶然

今年のSVは「なんとはなく東北で」、ということで、7/30(土)車を北に走らせてみる。特定の場所はどこと、予め決めているわけではないので、行き当たりばったりのQRVポイントということになる。ただ、SV本番(31日)は蔵王から出ることは決めているので、そこからあまり遠くない場所というのが唯一の条件である。

結果的にたどり着いた場所は、仙台空港サイドの「千年希望の丘」という復興公園だ。その名のとおり、「愛と希望の象徴として、そして復興のシンボルとして、今の想い、祈り、さまざまな教訓を、千年先の子供たちに伝えたい」という思いで、造られている公園らしい。公園の辺りは、ところどころに高さ11mほどの洪水時の避難丘が人工的に作られている。

公園の中には、津波に流される前、かつてあった集落の道路脇の塀や、祠のコンクリート柱などの遺構なども保存されている。公園の脇にはまだ、そこかしこの復興工事のためのダンプが行き交っており、果たしてこんな場所で無線などやっていてよいのかと若干後ろめたい気分ではあるが、あえてマイクを握らせていただくことにする。





朝7:30過ぎ、QRVほどなく北海道標津町移動のながおかHR420局のCQが入感しはじめる。抑揚に富んだいつものCQの調子は、これまたいつもの通りの元気の良さだ。SV前日ながら、朝早くから開局されたようだ。長めの周期のQSBだが、危うくなっても落ちきることはないようだ。3エリア移動のミエAA469局は、和歌山県移動だ。和歌山のどこから出られているのかはわからないが、おそらく海岸沿い移動で、非常に強力だ。QSBもほとんどなく、この後も午前中ずーっとFBに入感してくる。

それ以外の局は、やはり基本的にQSBが強い。一旦途切れて再び上がってくる山をうまく予想してQSOする必要がある。そんなテクニック、どれだけ役に立つのかわからないのだが・・・(笑。基本、1エリア、2エリアの入感だ。こちらには一瞬強く入感するが、こちらから呼びかけても、応答がない、もしくは聞こえないというパターンである。Esもほぼ8月になると、ガツンと来ることはなく、のらり、くらりといった感じだ。ミエAA469局の入感具合とは大違いである。

一体いつも不思議に思うのだが、ずっとFBに聞こえ続けている局とそうでない局とのロケの違いはなんなのか、ということだ。これは別に珍しい現象ではなく、特に和歌山の海岸べり(特に東側=三重県の下)というのは、当局の少ない実績からもそのようなロケである場合が多い。「東側」というのは主に1エリアで当局が運用しているかもしれないが・・・。三重県の四日市港なども、電離層でよく飛び受けする特異な場所であることは、すでに周知のとおりである。


 



昼を回ったころ、87Rに突然強力なCQが飛んでくる。これは近くにおられるに違いない。コールサインを聞いていると、なんとCQの主はおなじみのイバラギAA818局だ。7~8キロ?先の阿武隈川河口からQRVされているらしい。詳しく聞いてみると、おどろいたことに、そこは、今朝、当局が東京方面から常磐道に乗ってきて、高速を降りて真っ先に向かったQRV(検討)ポイントだ。しばらくうろうろして適当な場所を探そうとしたものの、海岸へのアクセスもできないようなので、場所を移したのが、現在のQRV場所である。あのまま、あそこで運用していたら、AA818局とばったり偶然アイボールしていたに違いない(笑。AA818局は、青森の六ヶ所村やら、新潟港やら、北海道の港などあらゆる場所でQRVされているが、まさか今日この近辺におられるとは夢にも思わずだ。しかもこの辺りには、相当回数来られているらしく、地理もおそらく地元の人間より詳しそうだ。

AA818局は午後用事があるらしく、当局ももう一つ「重要なミッション」を抱えていたので、お互い夕方にアイボールすることにする。それにしても偶然とは恐ろしいものである。

いよいよ明日は、SV本番だ。   ・・・とその前に・・・。

 
 

ラ・ポルト


本来移動運用記であるはずなのに、なぜこうもケーキが登場するのか???その理由は「今回も」定かではない(笑。

ラ・ポルトは仙台の南15キロほどにある、岩沼市の岩沼駅前にある。「メジャー」なパティスリーは仙台市内近郊にいくつかあるようだが、ここは何の変哲もない地元のパティスリーだ。午後は翌日のSV本番に備えて、のんびりと過ごすことにする。そう、ほかでもない、「重要なミッション」とはこのことだ。一見したところ、岩沼は、仙台のベッドタウンのようになっているようで、新興住宅地なども結構見受けられる。小さなお子さんを抱えた家族の、御用達なのかもしれない。




SV2016 本番





夜明け前、馬の背から熊野岳山頂へ向かうと、東の空に見事なグラデーションが映し出される(=冒頭写真)。自然が描き出す、最上の美かもしれない。漆黒から濃紺、青、そして橙へと至る。ちょうど夜と朝の間の刹那に、まだ三日月も輝いている。下に眼を転ずると、蔵王のお釜もうっすらながらその水面が見える。

今日も快晴のようだ。朝の空はまだ赤みをはらんだ雲を残す。そして地面のように横たわる雲海の向こうに、ようようと朝陽が上がってくる。山頂から見る快晴の日の出はいつ見ても清々しい。移動開始前、熊野岳からこんな美しい日の出が見られるとは思ってもいなかった。

蔵王連峰は山形、宮城にまたがる山域だ。そのうち最高峰となる、熊野岳(山形県)は標高2,000mに満たないながら、今日は雲海を下に携えて、それ以上の標高感を味わわせてくれる。もっとも最高峰と言っても山頂直下まで車で上がれる刈田岳(宮城県)と100mも標高差はない。



日の出前
まだ隠れている朝陽が雲を茜色に染め
もう一人
山頂には、遠く離れた避難小屋の方に
もう一人のみだ
雲海を従えて
朝陽が顔を出す




人気の山の割には、山頂はこの時間、当局一人のみだ。イベントデーの早朝の時間帯は、最も?グランドウェーブが伸びる時間帯だ。期待も大きい。4:50分、少しだけ?ワクワク感を覚えながら707のスイッチを入れてみる。サーというかすかな音が漏れ聞こえてくる。11mはまだQRV局はおられないようだ。

DCRは久々に1/2λのハンディホイップだ。だからというわけではないが、珍しく朝一からDCRを発砲してみる。まだ5時ちょうどだが、昨日の夕方11mで交信していただいたミヤギNE410局にさっそくピックアップいただく。これからQRVロケの白坂山というところに向かわれるところらしい。栃木県の御亭山からは、とちぎSA41局からも応答をいただく。


 雲海の向こうに雪の残る月山が浮かび
 上がる

岩手各局も負けてはいない。11mに戻ると、イワテRK109局、イワテTK174局からすぐさま応答が返ってくる。種山高原(岩手県奥州市・遠野市)移動のようだ。阿原山高原(岩手県遠野市)には、いわてDE69局が移動されており、岩手各局も朝早くからFBにQRVされている。DE69局とは久々のQSOだ。5年前の早池峰山からのQSO、3年前の沖縄多良間島からのQSOが脳裏に蘇る。特に多良間島からのQSOはグレーライン爆発の前兆となるものだった。あの時DE69局のCQが風に乗って聞こえてこなかったら、珍しいチャンスを逃していたかもしれない。

時間はまだ5時半過ぎだ。待機中のDCRに岩木山(青森県弘前市)からアオモリAA113局のCQが飛んでくる。すかさずコールバック、距離はそこそこありそうで(約280㎞)、直感的に見通しとも思われないが、アンテナマーク2本を振ってくる。1Wでも余裕のQSOだ。お互い久々のQSOを喜ぶのもつかの間、AA113局はすぐさまCBも試されてみたいと言われる。11mに移行、CBも51/51で問題なくQSOできる。つづいておおさと59局からもコールがかかる???どうやら、おおさと59局も岩木山でAA113局と合同運用のようだ。おおさと59局もSVとあって、かなり遠くまで遠征されているようだ。

AA113局とは引き続き特小でのトライだ。AA113局側の信号はかすかにそれらしきものをとらえられる時があるが、復調はできない。今度はしばらく当局側から発砲してみるが残念ながら応答はない。岩木山側は、細かい霧雨が降っているとのことで、コンディションがよければ特小でもQSO可能なのかもしれない。

Esはどうか?開けてきたのは8時を過ぎてからだ。ホロホロとCQを出していると、種子島移動のカゴシマSS167局からコールが入ってくる。やまぐちAN77局も九州地区に移動されているようだ。6エリアとともに、8エリアのHR420局も入感し始める。今日は昨日に比べて比較的強力で、53程度でずーっと聞こえてくる。一方、かみかわEF35局は、QSBというより、強くなったり弱くなったりが激しい。HR420局とはかなりの違いだが、大雑把に8エリアでひとくくりにしてはいけないのだろう。





恐るべきラシーバ子機


遠野市の寺沢高原には、いわてDS94局が移動されており、CQを出しているとガツンと入感がある。聞いてみると何やら、ラシーバの子機からのQSOだという。これにはびっくりだ。ラシーバと言えば50mW機である。通常50mW機は入力レベルも低いので、再生される変調音も浅めになるのが普通だ。ところが、変調も深くて大変聞きやすい。信号もS2位振ってくるのだから当然かもしれない。500mW機と何ら変わるところはないではないか。恐るべきラシーバ子機。

当局もラシーバは持っているが、本体の方だけだ。本体は50mW機としてはそこそこの実力があったが、子機の方はどうせ大したことないだろうと高をくくっていた。(したがって使ったことはない)しかし本体以上のその実力には驚かされる。DS94局のブログで交信の模様の動画も拝見したが、向こう側での再生音も立派なものだ。DS94局とは、今日二回目の交信で、前回はRJ-16(100mW機)からのコールだった。ちょうどいろいろなリグの実験をするには、蔵王は手ごろな高さと距離なのかもしれない。(笑

しかし、みやぎKK33局とのQSOはその上を行く。(笑

KK33局とは結果的に4回つながるが、KK33局もいろいろなリグを試されていたようだ。最初は500mW機、特小・・・ここまでは普通の2バンドQSO、そしてヘリカル機(ICB-66H)、最後はICB-170だ。KK33局は別に当局相手に立て続けに実験をされていたのではなく、QSOも時間を空けての偶然のものだ。ロケは「大崎市とのことで当局的には宮城県のどの辺りなのかさっぱりわからないが、ロケはかなりよさげな感じである。

CQの最中に「ヘリカル機から」、とか、「100mW機から」とか言わるとついつい、お声がけをしたくなってしまう(笑。KK33局、どのリグもちゃんと立派に生きてますよ!。

今回は諸般の事情により、無線的にもメジャーな場所からの運用となってしまった。しかし、熊野岳は360°視界を遮るものもなく、FBな運用ロケであることには間違いない。


 各局TNX!!
                                               ('16/8)


   
      
夏模様



運用データ


■運用日時・運用場所:

 
 ・2016年7月30日(土) 宮城県仙台空港サイド 
  ・2016年7月31日(日) 4:50~11:50 
     
山形県山形市・上山市 蔵王熊野岳
山頂(標高1,841m) 
  

■使用&装備リグ:
  CB : ICB-87R(SONY)、ICB-707(SONY)、ICB-R5(SONY)
  DCR: IC-DPR5(ICOM)+1/2λホイップ(ダイヤモンド)
  特小: DJ-R20D(アルインコ)
  
■使用電源
  ・リチウムイオン電池、乾電池





QSO局
59QSO TNX!!  
(敬称略)

7月30日(土)   
ながおかHR420/北海道標津町 51/52 ミエAA469/和歌山県 53/53
よこはまUQ3/1 52/52 シズオカAR530/ 51/51
ねやがわCZ18/3 51/52 やまぐちLX16/6 51/52
イワテB73/8 53/55 やまぐちYN24/ 52/52
イバラギAA818/宮城県岩沼市 ミヤギNE410/宮城県仙台市宮城野区  51/51 
7月31日(日)
ミヤギNE410/M (DCR) M5/M5 とちぎSA41/栃木県大田原市御亭山 (DCR) M5/M5 
イワテRK109/岩手県奥州市・遠野市種山高原  52/53  イワテTK174/岩手県奥州市・遠野市種山高原  53/53 
いわてDE69/岩手県奥州市阿原山高原  54/55  イワテGS320/岩手県遠野市寺沢高原  57/M5 
アオモリAA113/青森県岩木山(DCR)  M5/M5   アオモリAA113/青森県岩木山  51/51 
ふくしまAJ32/福島県麓山(DCR)  M5/M5  ミヤギNE410/宮城県松島町白坂山  54/54 
ふくしまFD55/福島県伊達郡川俣町花塚山  51/51  チバHI429/山形県米沢市  53/55 
アキタAO899/秋田県男鹿市寒風山  51/51  ニイガタJH94/宮城県蔵王エコーライン  58/58 
いわてDE69/岩手県奥州市阿原山高原 (DCR)  M5/M5  みやぎIT03/宮城県石巻市上品山 (DCR) M5/M5 
いわてDE69/岩手県奥州市阿原山高原 (特小)   M5/M5  チバTS106/福島県磐梯山  52/51 
ちばCH47/栃木県日光白根山  52/53  みやぎCW50/宮城県仙台市若林区  52/55 
ミヤギKK33/宮城県大崎市切伏沼  51/51  いわてDS94/岩手県遠野市寺沢高原 (his RJ-16)  51/M5 
フクシマHO723/福島県本宮市高松山  51/51  カゴシマSS167/鹿児島県種子島 51/51 
ながおかHR420/8  53/54  みやぎAZ17/宮城県栗原市  51/51 
やまぐちAN77/6  51/51  さいたまMK2/新潟県佐渡島どんでん山  52/52 
アキタAO899/秋田県男鹿市寒風山 (DCR)  M5/M5  ミヤギHJ106/宮城県登米市  51/52 
みやぎRN34/宮城県大崎市加護坊山 (特小)  M5/M5  ミヤギKK33/宮城県大崎市切伏沼 (特小)  M5/M5 
かみかわEF35/8  52/53  みやぎHO40/宮城県大崎市加護坊山  52/M5 
みやぎKM06/宮城県大崎市加護坊山  57/59  みやぎFW30/  52/55 
やまがたAT73/  52/55  いわてCY16/岩手県遠野市荒川高原  51/52 
いわてDS94/遠野市寺沢高原 (his ラシーバ子機))  52/M5  おおたY16/秋田県男鹿市寒風山   51/51 
フクシマSP302/福島県磐梯山  51/51  ミヤギKK33/宮城県大崎市切伏沼(his ICB-66H)  51/51 
ミヤギCW50/宮城県仙台市若林区  53/55  オカザキKK295/岩手県住田町五葉山 (特小)  M5/M5 
ミヤギKK33/宮城県大崎市切伏沼 (his ICB-170) 51/51  センダイSD550/宮城県泉区泉ヶ岳 (DCR)  M5/M5 
サイタマYB101/宮城県塩釜港  51/51  サイタマYB101/宮城県塩釜港 (DCR)  M5/M5 
おおさと59/青森県岩木山  51/51     
       



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