南大東島運用記おまけ編



7月2日:この日は、晴れといいつつ、時折雲が太陽を遮るように通過していった。光の加減で、水の色合いが、ころころと変わる。手をそっと入れると、どろりと固形感があるようにすら感じられる、深い色合いだ。


出発。雷雨で、宮古島往きは1時間以上の遅れ、久米島往きも飛ぶのかどうか不明という。
飛行機も気になるが、カウンターのお姉さんも気になる。ついつい、無理やり、カメラのフレームに入れてしまう(笑)。


荷物をチェックインし、行き先のテープを貼られると、いっそう旅の気分も高潮する。
精密機械とあるのは、中にトランシーバーが入っているため。

4月も終わりに近づいたとある頃、そろそろ沖縄運用の行き先を決定しなければいけない時期になってきていた。「さて、今年はもう一度与那国島にしようか、南大東島にしようか」と悩んでいたが、静岡の某DD23局に話をすると、「南大東島でお願いします。」とあっさり言われ、この一言で南大東島に即決(笑)。
7月の航空券販売が始まる5月1日は、アサイチからパソコンと格闘し、JALのサーバーが時々ダウンするなか、なんとか早割りチケットを確保。しかし、那覇-南大東島の往復運賃は、羽田-那覇の往復よりはるかに高かった(爆)。


車は借りるといっても、面倒な手続きは一切なし。住所、名前、電話番号、免許証番号の4点を、いかにもワープロお手製の用紙に記入するだけ。書き終わってボケッとしてると、「もう乗っていっていいですよ」と1分もかからず終了。こんなんでいいのか?と思いつつ、アルトを発進させる。車を返すときは、返すときで、精算が終わると、「これから空港行くんでしょ?」という。もちろんそうだが、「車乗っていっていいですよ」、という。空港の駐車場にカギをつけたまま、乗り捨てておいてくれればいいという。島の人はとてもおおらかだ。
岸壁で夜、となりに釣りをしにきた若いオニイサンのことを本編に書いたが、どうも都会?に住んでるわれわれ(当局?)は、人をみたら悪人というか、まず警戒するという悪い習性が知らぬ間に身に染みついてしまっていることを、島の人々に接していて大いに思い知らされた。

この日はたまたま「だいとう」が北港に寄港していた。桟橋はなく、乗船客もかごにのって、クレーンで吊り上げられるのが、大東島名物になっている。手前左のかごがそれか?島には港が三つあるが、いわゆる防波堤がなく、船は岸壁に着けるだけなので、気象条件によって入港する直前にならないと、どの港に着くのか分からないという。月に6~7回、寄港する「だいとう」は基本的には貨物船だが、人も乗らせてもらえる(那覇から15時間)。船内は食事設備はなく、飲み物とカップ麺の自販機があるだけという。(ちなみに、すべて、移動前に勉強した付け焼刃の知識です。)


南大東漁港は、北港より2~3キロ西にある。漁港といっても写っているものがすべて(左から2枚目)。ここは入り江のようになっているが、海岸の丘をくり貫いて、深く掘り下げたものであることが、一見してわかる。地形の一部を爆破してとってしまうのだから半端ではない。10年?がかり以上の大事業だったようだ。
ここでもQRVするが、ノーメリット。傾きだした西の陽に、海がきらきらと輝いていた。


夕方5時を過ぎると、島の人が、釣りをしにやってくる。皆、思い思いに釣り糸をたらしていた。仕事を終えてからやってくるのだろうか?遠くから来た傍観者にとっては、そんな時間の使い方が羨ましくも感じられる。


内地から入感がないことを良いことに、ついつい沈む夕日にシャッターを何枚もきってしまう(笑)。
3日間いる内に、本当は海に昇る朝日もとりたかったのだが、そんな時間に起きられるはずもなかった。それでもちゃんと、毎日6時前には起きていたが・・・。


スコールを車の後部座席でやり過ごしながら、「黄シャツ」、「赤シャツ」の釣り人を眺めていると、ザーザー降りだというのに、見事にその一挙手一挙動が、雨が降ってないときと全く変わりがない。(残念ながら写真には写っていない)トランシーバーはもちろんルーフから避難したが、よくみると岸壁のすぐ手前に置き忘れた折りたたみ椅子がびしょ濡れになっていた。


7月3日10:49分、北港の岸壁で運用していると、どこからかプロペラ音が聞こえてくる。見上げると、北大東島との海峡の上を東に飛んでいたDHC-8が、右旋回に入ったところだった。昨日当局が飛んできたコース。時間も定刻通りだ。


「大東そば」は、おばあさんが切り盛りしていた。11時過ぎ、その外見からなかなか入りずらそうな店に意を決して入ってみると(笑)、ぽつねんと一人、おばあさんがすわっている。「いいですか?」、「いいよ。」の二言で会話は成立する。しかし「メニューそこにあるから」、といわれて見た壁には、メニューとしっしょに、「昼食11:45」からの札が下がっていた・・・。


ざわわ・・・ざわわ・・・
まさに島中、サトウキビ畑の広大な風景。これも、あれも・・・。
みなさんも、ぜひ大東島に出かけましょう。 
  ('10/8)



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