SV2008 (2008/07/27)

5:04分、陽が昇り始める。

大台ケ原 日出ヶ岳

SV2008は、いつもの奈良県大台ケ原日出ヶ岳山頂から運用する。
4:20分、まだ暗闇の中を駐車場からスタートする。あたりが明るくなり始める頃から、写真を撮りながらゆっくりと、頂上展望台に近づいていくと、既に何人かがデッキの上で動いているのが見える。
展望台に登ってみると、日の出を撮ろうというカメラマンが既に5~6人三脚を構えて陽が昇ってくるのを待っていた。大台ケ原といえば悪天候の時が多いが、この日は風も無く水平線上にわずかに湧き出た雲の間から、赤い陽が顔をだしてきた。

写真撮影もそこそこに、ICB-707をセッティング、オンエアを開始すると、さっそく、えひめCA34局/六甲山にお声がけをもらう。まだ5時10分過ぎだ。つづいて意外にも?、アイチAE126局/伊吹山からコールをいただく。前夜からBBQをやっていた(はずの)わりには、寝坊もせずに妙に早起きだなぁ~と感心するが、暑くならないうちに、早めに撤収すると言う。今日の天気からするとそれは正解かもしれない。あっという間に明るくなっていた周囲に、空を見上げると、そこには快晴の兆ししかなかった。


朝早くからバンド内は賑やかだった。朝5時台でありながら、7局とつながる。ん~これは皆さん早起きだ!トウキョウEH101局とは山梨側富士山頂から、53/53でFBにQSOいただく。距離は280Kmくらいだろうか。EH101局は、相変わらず事も無げに、日本最高峰の山頂に立っておられた。
ならAN78局/京田辺市はこの時間から、トランシーバー片手に散歩中(移動計画がつぶれた)、公園のすべり台の上から(笑)と言われている。長野県御嶽移動隊のなごやCE79/0局も朝早くからCQを出されており応答する。御嶽山中腹の高所(2,200mくらい?)でありながら、高原に期待していたほど涼しくはないようである。標高1,700mの当局の温度計は21℃~22℃ほどを指していたので、「涼しくない」とは言え、それでも御嶽山は15℃~16℃くらいだろうか?

展望台への最後の登り
未だ日の出前。もう空は明るい。
山頂から
展望台では既に5、6人のカメラマンが構えていた。


Esもお目覚め
6時からも続々と各局とつながる。兵庫/鳥取県境の氷ノ山移動のきょうとR27局とつながるが、暴風と雨でいったんテントに退避しているという。マイクを通じてバックノイズが物凄い。朝一でつながった、六甲山のCA34 局も雨で580が水浸しといわれていた。西日本方面の山岳地域は天候がかなり不安定に思われた。しかし、6:45には、鳥取県大山移動のひろしまDM11局とつながる。

7時を回るとEsもお目覚めか、8エリアから、いしかりAG11局が入感してくる。各局が呼ばれている。電波がどのような降り方をするのか? 2、3エリア見通しの当局は、しばらくワッチを続ける。SVのようなイベントでは、文字通りそこかしこに移動局が出ており、当局は山の上にいるので、多数の局の応答の仕方をみながら、電波がどのような落ち方をするのか見るのには絶好のチャンスである。また、高所にいるので下手に呼ぶと、多数の局に迷惑がかかる。

それにしても、QSOをずっと聞いていると、いしかりAG11局は、Esというごく限られた1局あたりのQSO時間内に、しかも瞬間のコンディションを見ながら、それでも手短に気の利いたコメントを挟まれており、見事なオペレーションが印象的である。
電波の落ち方を一通り観察したところで一発必中で呼ぶと、一発で応答を頂いた。


ブロッケン現象
2エリアからは、帰省中?のアイチAC623局/西尾市とつながる。57と大変強力だ。アイチAC623局とは、数年前にここ大台ケ原から、碧南市におられた623局とつながったのが最初だが、今でもそのときのQSOは鮮明に覚えている。運用後には、「碧南から大台ケ原とつながるなんて昔では考えられなかった」と言われていた。
今年のゴールデンウイークに、当局も1エリアに戻った時にAC623局/千葉市とQSOしていただいているが、青梅市高水山から同じような思いを抱いた。623局は、今日は午後には新幹線で1エリアに戻られると言う。
5エリアからは、徳島県剣山山頂移動のとくしまMX21局のCQが聞こえてくる。当局との間には大峰山系の山々が立ちはだかるが、お互い山の上にいるせいかよく飛んでくる。さすがに、大阪方面には更に強力に飛んでいるようだった。
岐阜県乗鞍岳剣ヶ峰移動のサイタマMS118/2局は、登山途中から電波をキャッチしていたが、タイミングが合わず、QSOできたのは10時半を回っていた。
MS118局と、87Rで立ったままQSOをしていると、晴れ上がった空ながら、薄い霧が山頂にかかり始める。見ると、当局の影でブロッケン現象がおきている。QSO中ながらウェイストバッグからカメラを取り出し撮影する。長く延びた当局の影の周りにサークル状にできた虹色の光の散乱が、一服の清涼剤になる。清涼剤と言えば、今年もトンボがリグのアンテナと戯れている。昨年('07)より多い数が、青空を背に飽きることなく舞っていた。


707のアンテナと
途中から707はほったらかして、87Rを使い始めたので、トンボのいい遊び場になっていた。
アンテナのてっぺんで
トンボは何を思う?

武奈ヶ嶽
残る楽しみの一つはきょうとKP127局がどこから運用されるかだが、さっきから会話はよく聞こえているものの、CQ局がそのままチャンネルを使われるので、タイミングだけは如何ともしがたい。QSOできた時には、移動場所や運用状況は完全にコピーできていた。(笑) 移動場所は大津市のブナガタケで、当局も琵琶湖西岸で運用を計画したことがあるので、漢字は思い出せないが場所は大体分かる。大津市といってもかなり北の方のはずだ。やはり良いロケを選ばれているようで、58で強力に入感してくる。早朝から登山を開始、最初の登りが結構きつかったと言われているが、良いロケを求める執念には、頭が下がる。

特小は、定期的に展望台に上がって、富士山頂レピータへのアクセスを試みていたが、ピピッと、反応があったのは一回だけ、しかも変調は全く乗らない状況だった。真上は良く晴れあがっていたものの、中・遠距離には厚そうな雲がかかっていたので、つながりそうもない予測はしていたが、それでも12時15分過ぎには、きょうとYM39局のダウンリンクをM5でキャッチする。移動場所はアナウンスされていないのでどこから運用されているかは分からない。受信できたのは展望台の階段脇の隅っこの場所で、壁か何かの反射が電界強度を強めているのだろうが、そのようなポイントからは当然こちらからのRPTアクセスは不可能である。


淹れたてのコーヒーが...
結果的には、午前中にはほとんどのQSOを完了していたことになるが、午後もEsは元気だった。8エリア、しりべしQ20局、しりべしR85局とも一発必中のコールでつながる。

今日こそは雨にやられることはないだろうと思っていたが、その想定は甘かった。14時、撤収前に、コーヒーを沸かしてのんびりしていると、にわかに大粒の雨が落ちてくる。中距離の雲にさっきから怪しい気配を感じてはいたが、未だ大丈夫だろうと踏んでいた。たちまち風雨になり、あらかじめ用意していた防水パックを取り出す間もなく、リグがびしょぬれになる。リグもさることながら、「せっかくの淹れたてのコーヒーが...」と心の中でつぶやくが、未だ空の読み方が甘かったようだ。

今年のSVは、山頂移動局が目立った。富士山頂、乗鞍岳、御嶽山、西穂高、西日本二番目の高さの徳島県剣山、氷ノ山...さすがはSVだ。
更に北は7、8エリア、南はJR6移動のイワテB73局もかなりの時間に渡って聞こえていた。当局の気のせいかもしれないが、地球温暖化のせいか?昔に比べると、Esの出る期間が徐々に延びてきているような気もする。良いことなのか、悪いことなのか?やがて時が判断してくれるのかも知れない。

                                                  ('08/7)



運用データ
運用場所:
  大台ケ原日出ヶ岳山頂(標高1,695m)
  奈良県上北山村(三重県大台町境)  http://map.livedoor.com/map/scroll?MAP=E136.6.46.9N34.10.54.5&ZM=3

時間:
  2008年7月27日 5:10~14:20
使用リグ:
  ICB-707
  ICB-87R
  PR-900(パーソナル機)
  DJ-R20D(特小機)


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