2024運用記
天井山(後編)
福島県福島市・国見町、宮城県白石市


 【天井山より安達太良山】 





 <前編からのつづき>



いよいよ今回移動でのメイン目的、国見・白石エリアでの再々回折波の確認だ。この地区でのミッション5以下を再掲すると、次のようになる。


ミッション5:
 国見町(福島県)・白石市(宮城県)の県境地区に移動し、天井山エリアで電波が再々回折していると仮定した場合に、予め入感すると予測される地点で、本当に入感があるのかどうか確認する。

ミッション6:
 東北道国見サービスエリア(SA)近辺で、東京FMの入感状況を確認する。

ミッション7:
 「白石市内県境エリア」でのJ-WAVEの入感状況をできるだけ確認する。

ミッション8:
 白石市内に移動し、菓匠三全 白石本町店に立ち寄って、「萩の月」を買う(笑。

ミッション9:
 東北道白石ICから東北道(上り東京方向)に進入し、東北道上での前々回のJ-WAVEの入感状況を国見SAまでの区間で再確認する。

ミッション10:
 更に国見SAから東京向けで、東北道上の線移動で、他にJ-WAVEの入感ポイントがないか、確認する。



ミッションは達成したのか?


ミッションといっても、大した話ではあ~りませんが・・・以下は、ミッションの履行結果である。


ミッション5:

地図2が、このミッション5以下で対象となる、福島・宮城県境地区の地図である。

地図では「赤」エリアが多いが、これは天井山からの見通しを単純に示しているからで、天井山からの再々回折波?として期待できるのは主に地図上の「弁天山」地区から東のエリアだ。そこで主要確認ターゲットポイントとして、予めマークしていったのが、⑫~⑭及び⑯、⑰の丸数字のポイントである。弁天山は最も好都合なので、ぜひ確認してみたいところだが、「入感」はすべてカーラジオをレファレンスにしているので道路上でなければならない。しかも、確認という意味では、どちらかというと「赤」と「無色」の境界近辺の方が重要だ。⑫、⑭は山越えの峠なのである程度標高があるし、⑬、⑯、⑰は赤と無色の境目にある。

ターゲットをプロットした地図をみながら、順に回ってみる。なお、すべて「県境エリア」には違いないが、厳密にはポイント⑫は白石市と伊達市の境、⑬は伊達市内、⑭は白石市と丸森町の境(したがって完全に宮城県内)、⑯、⑰は国見町内である。

     地図2

まずは、ポイント⑫を宮城県の白石側(北側)から攻めてみる(笑。この白石側は、電波の到来方向からみると山の裏側になるので、入感などないだろうと、たかをくくりながら坂道を登っていく。すると、なんとずっと51程度で入感が続くではないか。いよいよ峠の上に定めたポイント⑫に近づいていく。⑫に到達するとRSは54程度だ。もっと強く入感すると思っていたが、少し期待外れだ。いわゆる回折波がガツンとくる感じではない。しかも峠の頂からほんの少し下ったところで最大になる。それにしても、山の裏側でも51ながら入感してくるのは驚きだ。

下りに入ってへアピンの手前の直線上で、早くも入感はなくなり、二つ目のへアピンを下った先で、100mぐらいに渡って52程度で入感するもののその後は0(ゼロ)だ。

なぜ山の裏側である北側斜面でも聞こえるのか?同じくらいの標高でも、山の北側では聞こえるのに、南側では聞こえないことになる。

車を停めて地図を眺めてみると、国見町・伊達市など福島側の平地面が標高50m~70mであるのに対し、白石側平地面は150m~160mあるようだ。山の裏側の坂道であっても、この平地面の高さの違いが影響していそうだ。(ポイント⑫の峠の頂上の標高は約237m)また、頂上から少し下ったところで最大になるのは、電波の到来方向と思われる、進行方向右斜め前にある丘が影響していそうな感じだ。

次にポイント⑬だ。ここだけ赤エリアが道路にかぶさる。実際に走ってみると、通過中に信号のような気配は感じるが、当局のS分類では0である。残念ながら入感はない。

続いて⑭に向かってみよう。

下写真、電柱のところを左に曲がって、坂道を登っていく。登った先が⑭だ。地図では道路の幅は分からないが、いかにも狭い(笑。私道的な細さだ。

坂道を登りながら、そろそろ強めに入ってくるはず、と思いきや、予想に反してずっと入感するかしないかのすれすれのレベルだ。民家を過ぎて、最も入感が期待できる⑭へ到達するが、頂上はS2程度。むしろ30mぐらい手前の方が入感は強い。それでもS3程度なので、このポイント⑭もある意味期待外れである。う~ん、なかなか今回は計算通りにはいかない(笑。

電柱のところを左折して坂を登るとポイント⑭。
本当に道があるのか?と思ったが(笑。


ここから先はもう、山の裏側(北側)に入るので、あとは下っていくだけ、もう入感はないだろう。道は山の中へと下っていく。信号も、もちろん完全なホワイトノイズ状態だ。

こんな山の中の狭い道はさっさと下りたいところだが、北側斜面だけあって、少し雪が残っており、道もところどころ凍結しているようだ。慎重に下っていく。

ここはもう完全に「山の中」、けものみちを車が通れるようにしただけのイメージじゃぁあ~りませんか・・・と思った瞬間・・・、なんといきなり58程度で入感してくる!!(笑。

まさか、こんな場所(=ポイント⑮、下写真参照)に入感してくるとは・・・、びっくり仰天だ。ついでに、黛英里佳さんもびっくり仰天だ。前回と違って、今回は東京一郎の出番はないが、やはり入感とラブ・ストーリーと辞令は突然だ(謎。

ここで停止してしばし観測。ここは道路上15mぐらいの範囲で、S8~S9の強力入感である。なんとこんな藪の中で入感があるとは・・・・それにしても電波はおそろしい(笑。いったいどんな飛び方をしたらこんなことになるのか???アンテナ指向性が相対的に弱いはずの、車の後ろから、しかも車の後ろは、うっそうとした山の下り斜面である。山陰などもろともしないのか???う~ん、よくわからない。


  ポイント⑮: こんなところで59???


車の中で頭を抱え込んでいても何の結論も出ないので、仕方ない、次なる確認エリア、弁天山の西面地区に移動だ。

ポイント⑯については、ここは地図ではゴルフ場となっているが、現在は太陽光発電所がある場所だ。入り口(門の前)のところは無色地帯となっており、行ってみると確かに入感はない。国道4号からこの門の前までの道路上では、ポイント⑰のみ確かにS2程度で入感があるが、これも「回折余波」的、弱い入感だ。


家に帰って、59で入感した⑮の「ため池上ポイント」と、東京スカイツリーを結んでみると、まったくの偶然だが、驚いたことにまさしく天井山山頂(本当の山頂の方)をどんぴしゃ通過する回線だった(爆。まあ、だからと言って山頂が再々回折に関与しているのかどうかは分かりませんが・・・。

(2024/03追記:上記ミッション5における入感信号はすべて、J-WAVEではなく、エフエム仙台の気仙沼中継所からの電波と思われる。「次の運用記」を参照。)



★ミッション6:

今度は、東京FMについて、東北自動車道国見SA近辺で確認するミッションだ。これは、2018年の栗駒運用の帰り他で、上り線SA入り口近辺の本線上で入感を確認しているからである。ただし、こちらの方は、東京から天井山方向へと続く「X-Y回線」とは別回線で、同じ八溝山塊でも栃木と福島の県境地区の、八溝山塊でも西地区での回折と思われる。

予めマークしていったのは、SA周辺の⑱や、白石側に回った⑲のポイントだ。東北道の本線上とは若干ずれるが、この程度のずれならいけるだろうと思っていたのだが・・・。

まずSA周辺を一回りしてみるが、⑱近辺を含め残念ながら入感はない。SA東側には集落があり、むしろこちらの集落の南側あたりに、51程度で超スポット的に入感する場所があるようだ。ただし、基本このあたりは「0」ということになる。

今度は白石側に回って、⑲周辺を確認してみる。こちらの方は、これまでに入感を確認している東北道上のポイントのほぼ延長上(東京から見て)にある場所だ。高さも東北道より若干高い。入感して当然と期待して行ってみると・・・、ほとんど入感してこない(笑。走行した道路上にはほんのところどころ、51~52程度の入感ポイントが見られるものの、どれも完全にスポット入感で、高速道上と同等のガツンとした入感を期待していた当局としては、これもかなり期待外れだ。

う~む、東京FMのこの回線もなかなか再現がむずかしい。ここから、更に西に6Km程度ずれた、小坂峠(最高点約438m)でも東京FMは確認しているので、東京タワーからこちら方向の回線は基本的にある程度高さ(地上高)が必要なのかもしれない。したがって、この東北道上の波については、変則的に強く飛んできているのかもしれない。

そこで、この回線にできるだけ近い場所で、高さのある場所を見つけて行ってみる。国見SAの南南西側には、厚樫山(あつかしやま、標高288.9m)という山(=ポイント22)があるようで、ある程度の高さまで車で行けそうだ。実際行ってみると、うまいことに頂上直下まで車で行ける。おまけに頂上には展望台まであった(笑。

頂上直下の駐車スペース(標高約283m)では、東京FMは52~53程度での入感で際立った効果はなかったが、代わりにJ-WAVEは55~56と比較的ガツンとくる入感だ。いずれにしても、こちらの回線は高さがある程度必要なのかもしれない。

折角なので、ここでは87RでCQを飛ばしてみるが、ノーメリットだ(笑。

 左)ポイント⑲の白石側から、東北道。写真撮影場所では51程度で入感。
 中)厚樫山展望台から、国見SA(左側、枝の陰)。丘陵の一番低い部分(正面高架の部分)を、
   東北道、JR東北本線、国道4号線が通る。左写真はこの部分を反対側から写したもの。
 右)同展望台より、国見町方向。道路は東北自動車道。



★ミッション7:

「白石市内県境エリア」とは、地図に示した通り、東北道やJR東北本線、国道4号線などが国見町側から県境を越えて入った、白石市側にある盆地の部分を便宜的に指している。この部分は前述の通り、県境の山脈(丘陵地帯)を越えるものの、越えた後は手前の国見側の平野より高度的には70~80mほど高い盆地ということになる。稲作が中心のようで、かなりの面積を田んぼが占めている。

できるだけ走り回ってみるが、走り回った道路の限りでは、ほとんどの場所で、51~52程度、強い場所では54程度でJ-WAVEが入感する。

そして59で入感するポイントも見つかった(笑。「盆地」のはずれになるが、中在家と呼ばれる場所の近くだ。(=ポイント23。下写真参照)

あまりの入感の良さに、しばし停車してJ-WAVEに聞き入っていると、折しも森七菜さんがラジオに出演されていて、ご当人が唄われた映画『Last Letter』のエンディング曲もかかってくる(笑。何たる偶然。『Last Letter』については、「前々回」の運用記でコメントしたとおりだ。白石市と少なからず因縁を感じる。

帰宅してから確認してみると、この59の場所とスカイツリーを結ぶ回線については、天井山の「59ポイント」のやや西側を通過する回線のようだ。適当に走り回っただけでも59に出くわしたので、おそらくつぶさに見れば、この盆地内、他にも59のポイントは出てくるのかもしれない。

 ポイント23: ラジオからは、「Last Letter」のエンディング曲がFBに流れている。
         右写真正面に見える壁は、東北自動車道。

(2024/03追記:上記ミッション7における入感信号はすべて、J-WAVEではなく、エフエム仙台の気仙沼中継所からの電波と思われる。「次の運用記」を参照。)



★ミッション8、9、10

仙台銘菓といえばあまりに有名な萩の月、宮城県内では実際の店舗で買えるのはこの白石本町店が南限のようだ。萩の月を調達して、東北道に乗るべく、白石市内を走っていると、点けっぱなしのエアバンドレシーバーから、「東京コントロール、ラジャー」と聞こえてくる。思わず「東京コントロールラジャーか」、とこちらも頭の中で復唱してしまったが、ハタと気づいた。これって聞こえてきたのは航空機側ではなく管制側だ。こんな地上で管制側が聞こえてくるのか??

東京ACCの東北セクター(118.9MHz)のRCAG(遠隔対空送受信サイト)は石巻市の上品山と仙台空港のはず。いくら近い方の仙台空港でも、向こうも、こちらも高さはない。橋の上で突然聞こえてきたようだ。(それまで航空機側しか聞こえてこなかった)橋の上なので下がないので、フレネルゾーンが広がって飛んでくるのかもしれないが、白石川の上では不思議と聞こえてくるスポットがあるようだ。

白石ICで東北道に乗って東京方面へ南下する。エアバンドのボリュームを絞って、J-WAVEに集中だ。前々回の運用で確認した通り、ところどころでほとんど入感がなくなる場所があるものの、基本的には高速に乗ってからずっと51~52程度で聞こえてくる。しかし、これといって強くなる場所もない。先ほど59で受信出来た場所(ポイント23)のすぐ近くも通っているはずだが、特に強まる場所はない。しかし、途切れることがないので「白石市内県境エリア」全般に電波が飛んできていることは間違いないようだ。このままの状態で国見SAを通過する。

(2024/03追記:上記東北道上の入感信号は、J-WAVEではなく、エフエム仙台の気仙沼中継所からの電波と思われる。「次の運用記」を参照。)


東北道上でさらに観測を続けると、いくつか特徴的に強く入感する場所がある。一つは、①国見ICの「出口」の看板のところ、二つ目は②郡山中央IC付近、そして③須賀川IC手前2Kmぐらいの、東北新幹線とクロスしている高架のすぐ手前あたりだ。後で調べてみると、面白いことに①と東京スカイツリーを結んだ線上にどんぴしゃ③があるようだ(笑。



残されたのは第2弾?


以上が今回の結果となるが、今回は(今回も)ミッションの結果から特段何かを期待しようというものではない。そもそも回折波といったところで、あちこちに飛んでいるわけで、それを一つ一つ追っかけてもあまり意味はない。実際、受信するだけなら例えば宮城県内でも蔵王まで上がれば、関東のFM局はいくつもガンガンに入感してくる。

しかし、高い場所ではなく、どれだけ低い低地及び地上高で、予想した回折波をキャッチできるのかということに、ついつい興味がいってしまうのは、出力500mW、内蔵ロッドアンテナのみでDXをやろうという、すべてのことにおいて自虐的なCBerの特性かもしれない。

ところで、ポイント⑮だが、山奥の狭い山間の、いかにも飛び受けゼロのロケの固定から、V/Uの5エレの2スタックぐらいで、常識ではあり得ない飛び受けをする、といった話はアマの世界では時々聞いた話だ。しかし、そういう場合は、たいてい谷の沢沿い方向に飛び受けするといった場合が多く、目の前の斜面方向に向かって飛び受けするというのはあまり聞いたことがない。

まあ、⑮の場合は、山陰とはいえ比較的ピークには近い場所であることが「受け」の要因かもしれないが、なぜ59なのか??というのはいかにも不思議な疑問だ。「9」という数字は50Km、100Km圏内の普通の平地の場所の数字だ。なぜ255Km離れた見通し外の山中の山陰で、しかも仮に聞こえたとしても、なぜ3や4ではないのか???当局のようなシロウトが暇つぶしの頭の体操をするにはちょうど良いかもしれない。とはいえ、いくら体操してもたぶんわからないだろうから、その時は「全国おとな電話相談室」に電話して、無着茶先生に聞くしかない。きっと、ムチャクチャな答えが返ってくるに違いない。

(2024/03追記:ミッション5に追記の通り、⑮の入感信号はJ-WAVEではなく、エフエム仙台の気仙沼中継所からの電波と思われる。)


最後に残されたのは、東京FMの仙台ヒルズゴルフクラブ近郊との回線の再確認だ。もっともこちらの方は、受信ポイントは全くのうろ覚えなのであてにはならない。ただし「第二弾」(今回は一応「第一弾」)として、計画中ではある。実現は、いつになるかはわかないが(笑。

3QSO、各局TNX (2024/03/05)



運用データ


 
■運用日時・場所:
 
  ・2024年2月23日(土) 
    9:30~10:45 福島県福島市「天井山山頂」

 ■使用&装備リグ:
   CB : ICB-87R (SONY/ラジックス改新技適)
   LCR: DJ-PV1D (アルインコ) + SRH140D (第一電波)
 ■使用&装備電源(CB機)
    リチウムイオンポリマー電池:
     11.1V/1.5Ah

 




QSO局
3QSO TNX!!
  
(敬称略)

2024年2月24日(土) 快晴     
ふくしまFD55/福島県伊達市(14Km) 56/55 フクシマYN104/福島県福島市千貫森 59/59
フクシマYS950/福島県郡山市 53/55
   
注: 距離表示があるのはデジコミ(LCR)による交信






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