2024運用記
天井山(前編)
福島県福島市・国見町、宮城県白石市


 【天井山より安達太良山】 





回折波の行く先へ



昨年の春オンでは、東京地区のFM局である東京FMとJ-WAVEの電波が、八溝山塊(茨城及び栃木と福島との県境エリア)での山岳回折でどのように飛ぶのかの確認を行っていた。八溝地域での回折ポイントを推定し、そこからの見通し範囲を特定することで、東京タワーから240㎞弱離れた福島県内のポイント(福島市・川俣町エリア)の電波の到達場所を予測し、実際に電波が想定した通りに飛んできているのか、無謀にも現地に行って確認するというものだった。

到達予想地点に実際に行って検分してみると、電波が飛んできている領域とそうでない領域の境界が、予想以上にはっきりと出て、仮定した通りに飛んできていたので、やっていても我ながら面白かったのだが(笑、このことで想定した回折ポイント付近での回折であることが、ある程度確からしいということは分かった。

その調査?に至る詳しい経緯と結果は、その昨年の春オン運用記を参照いただくとして、今回の移動は、前回驚きの59を記録した天井山のポイント(以下「59ポイント」)から、更に電波が到達するであろう先、具体的には、福島と宮城県の県境エリアでの再々回折波の「受け」(入感状況)を確認することが主目的である。

その動機のベースにあるのは、2018年の栗駒運用の帰りに国見町エリアで東京FMを確認している事や、前々回の2022年7月の運用で宮城県白石地区でJ-WAVEの入感を確認していることにある。J-WAVEの送信元である東京スカイツリーと天井山地区の延長上に、この国見町(福島県)と白石市(宮城県)の「県境エリア」があるのだ。天井山まで59で飛んでくるのだから、その先まで強く飛んでいるに違いない・・・というシロウトの浅はかな考えだ(笑。(今回の運用記では、「前々回」とは、2022年の屛風岳運用を、「前回」とは昨年(2023年)の春オンの運用を指す。また、FMのRSはすべて耳Sである。)

ということで、今回は東京FMではなくJ-WAVEにフォーカスした確認が主ということになるが、せっかく国見町まで足を延ばすので、国見町エリア(東北自動車道国見サービスエリア近辺)での東京FMの確認もやってみることにする。また、今回は天井山まで上がるので、ついでに?11mとLCRを運用しようという魂胆である。

なお、距離的には、スカイツリーから回折ポイント(エリア)と思しき八溝山塊のY地点までが約150Km、天井山までが約232Kmである。(Y地点については、前回使用した地図(下に再掲)を参照)



以上のことから、今回のミッションを予め下記のように整理した上で現地に赴いてみる。


ミッション1:
 前回東京FM等の入感を確認している、福島県内の国道349号線上のポイントでの入感を再確認する。

ミッション2:
 前回のJ-WAVEの「59ポイント」を含む、天井山界隈での入感状況を再確認する。

ミッション3:
 天井山で、11mを運用し、「こいつは、うっかりだぁ~」を発する。

ミッション4:
 前回、時間の関係上確認できなかった、千貫森での「赤地域」(=見通し範囲)と無色地域(見通し外)で、入感も本当にその通りの違いが出るのか、確認する。そのことにより、前回の仮説の妥当性を再確認する。

ミッション5:
 国見町(福島県)・白石市(宮城県)の県境地区に移動し、天井山エリアで電波が再々回折していると仮定した場合に、予め入感すると予測される地点で、本当に入感があるのかどうか確認する。

ミッション6:
 東北道国見サービスエリア(SA)近辺で、東京FMの入感状況を確認する。

ミッション7:
 「白石市内県境エリア」でのJ-WAVEの入感状況をできるだけ確認する。

ミッション8:
 白石市内に移動し、菓匠三全 白石本町店に立ち寄って、「萩の月」を買う(笑。

ミッション9:
 東北道白石ICから東北道(上り東京方向)に進入し、東北道上での前々回のJ-WAVEの入感状況を国見SAまでの区間で再確認する。

ミッション10:
 更に国見SAから東京向けで、東北道上の線移動で、他にJ-WAVEの入感ポイントがないか、確認する。



ミッションは達成したのか?


ミッションといっても、大した話ではあ~りませんが・・・以下は、ミッションの履行結果である。

ミッション1:

まずは、前回と同様福島県の旧船引町方向から、国道349号線を北上しながら、東京FM等の入感を再確認してみる。前回は、福島市の天井森地区に至るまでに、この国道(及び114号線)上では、①(株)ミツバ福島工場の入り口手前、②(株)久野製作所入り口手前、および③二本松市役所東和支所の手前、あたりで東京FM等の入感を確認している。(住所は前回運用記に記している通り。)果たして再確認できるのか??(って普通出来ると思いますが)

まず、①については、工場入り口手前250mほどのポイントから50m手前ぐらいまでの200mほどの区間でRS52~55、②については、50m程度手前から入り口ぐらいまでRS51~52、③については、「安達地方広域行政組合消防本部 北消防署東和出張所」の手前100mぐらいから二本松市役所東和支所の手前ぐらいまでの間RS52~53、で入感してくるのを再確認できる。③については、東京FMとJ-WAVEの両方が可能だ。ついでに言うと、前回は記さなかったが、「口太山トンネル」の手前でも入感してくる。

① の入感レベルは三つの中では強い方だが、いずれにしても、56とか57以上の、ガツンとした入感ではないので、どちらかというとどれもカツカツ系の回折波だ。つまり、回折波がモロにかぶってきているという印象ではなく、「回折余波」が飛んできているようなイメージだ。(=そんな用語はありません、念のため)言い換えると、二頂点間を経由した回折波の場合、理論的には、二頂点を結んだ直線上の回折波が最も強くなるわけだが、その直線上にはないような波といった印象である(あくまでイメージの世界)。



★ミッション2:

次なるミッションは、天井山地区でのJ-WAVEの入感状況の再確認と、山頂での11m、LCRの運用である。まずは、入感状況の再確認だ。

下の地図1が前回使用した地図(Y地点界隈からの電波到達予想図)拡大版で、図表1がその時実地検分した入感状況を再掲したものだ。前回の「59ポイント」は、地図1の④の地点で、道路が左側(西側)にくねった部分だ。繰り返しになるが、この地図は、回折波の到達可能性予想範囲を、赤エリア(=Y地点からの見通し範囲)で示すものだ。(=無色部分には原則到達しないと予想される、というもの)。

前回は、⑨の「無感」予想ポイントや、⑩の赤エリアとの境界などが、意外とはっきりと出てきた。

     地図1        図表1



そして今回の目玉は、59ポイントから天井山山頂方向に向かっての入感状況の確認だ。前回この部分は、59ポイントでの入感具合に満足してしまって、計測し損ねてしまった部分である。

確認しながら走っていくと、後述する場所を除いては、山頂に向かって、ずっと入感は濃く続いていく。当然山頂自体も59程度で入感する。ただし、なぜか、若干標高が低い「59ポイント」の方が強いように感じられる。これは周囲の地形が関係しているのかもしれないし、八溝側回折エリアでの地形の関係かもしれないし、山頂は山の上なので届く限界点(=赤エリアの最も端)なのに対し、「59ポイント」は赤エリアのど真ん中(=周囲360°がすべて電波到達範囲)にあるからかもしれない。いずれにしろ、これだけでは材料が少ないのでわからない。


   図表2
右の図表2が、前回の調査エリアを含む今回の再確認結果だ。当然だが、今回の再検分でも、⑨や⑩などの無色エリア(=Y地点からの見通し外)で、ほとんど入感がなくなるというのは同じだった。

また、59ポイントと山頂間にわずかにある、⑪などの無色エリア部分のみ電波が弱くなるという計測結果が出てきたのは事実だ。ということは、やはり八溝のY地点周辺が回折に関与していそうなことは事実のようではある。

なお、S値については、前回もコメントしたようにカーラジオのフィンアンテナには若干指向性が見られるようなので、同じ道を逆方向からも走行して、アンテナの指向面が揃う方向でのS感度に数字を揃えている。(前回は、S強度の強いほうの数字を採用。今回のSはJ-WAVE のみ)

指向性については、車の進行方向(前半分)から到来する電波に指向性があるようで、後ろ半分から到来する電波は相対的に弱いようである。

また、この運用記では、11mとLCRの運用を行った、車で行ける最も高い場所を「天井山山頂」と便宜的に称するが、三角点がある本当の山頂自体は、そこから数百メートル東側に離れた場所にある。本当の山頂の標高が532.0m、「天井山山頂」が約505mである。ちなみに、59ポイントの標高は436mである。天井山山頂より70m程度低いが、地形的には山頂からこのポイントまで、そしてそこから更に西側に延びるように、山稜を形成している形だ。

 左)「天井山山頂」より、回折場所である八溝山塊。右)カシミールによる展望シミュレーション。
衝立状の八溝山塊との間は、小さな起伏はあるものの、マクロにはどちらかというと平坦で、いかにも、あそこから回折波がまっすぐ飛んできそうな雰囲気だ(笑。



★ミッション3:

山頂は電波塔があるのみで、北東側を除き低木すらなく、車も何台もとめられるほど、広々としている。素晴らしく爽快な景色だ。(=冒頭写真)松本清張さんとは全く関係ないし、荒野でも何でもないが、「球形の荒野」的雰囲気か???(謎。地球が丸く見えるといった方が良いかもしれない。目の前には安達太良山もどで~んと展開している。

頂上までやってくると、この山頂からまさしく出ていこうとする一台の車がある。山頂は広いものの、道は車一台がやっとだ。出ていこうとする車がいったんバックして道を譲ってくれる。

ハザードランプや短いクラクションで謝意を示すのは日本人の特徴だが、当局は古い人間なので、片手を上げてあいさつだ。車はそそくさとでていったが、モービルアンテナがついているようなので、ひょっとして無線関係者か???・・・これには、あとでびっくりする展開が待っていた(笑。

関東各局のFM波の入感確認もそこそこに、さっそく運用開始だ。ちなみに、山頂ではJ-WAVE、東京FMはもちろんだが、千葉のFM局、bay FM(78.0MHz)とNHK FM千葉(80.7MHz)も、ともに53程度の同じレベルで入感する。両局は、送信場所(船橋市三山)も、出力(5KW)も同じなので、当然の結果かもしれない。

    天井山より、回折波の到来方向と、千貫森(手前の山)



天気は快晴とはいえ、土曜日の寒い朝なので、屋外運用が厳しい11m運用局などいるはずないだろう。したがって、まずはLCRでCQだ。

早速、ふくしまFD55局から応答が返ってくる。こんな朝から運用されているとは・・・思いもせず。FD55局は、いつも麓山(二本松市)などからつなげていただいているアクティブな局長さんだ。当局が平穏な土曜の朝に、突然福島地区に出現したので、びっくりされたようだ。もっとも、CQのコールで、いつもの癖で、誤って「・・・ポータブル1」と言ってしまったせいもあるかもしれない(笑。

伊達市内の阿武隈川沿いにおられるようで、距離は14kmとでてくる。「天井山」など知らないだろうと思って、「今日は『天井山という山』からQRVしてます」と伝えると、何やら、天井山と聞いて更にびっくりされたような感覚が電波から伝わってくる。「今日はそこにはフクシマYN104局が運用されているはずですが、いませんか?」と言われる。なんと、ご存じないどころか、運用場所としてはかなり知られた場所のようだ(笑。知らなかったのは当局だけか。

それにしても、山頂は今当局一人のみ、誰もいない。そこでピンときたのが、当局と入れ違いで出ていったあの車だ。ピンときても、もちろん110番することはないが、あのアンテナが生えた車がYN104局だったに違いない。

あ~、そういうことか。それにしても、あの時時間はまだ9時ちょっと過ぎ、撤収する時間としては、いかにも早すぎるのだが・・・。

次に11mの運用だ。

今年は全般的に暖冬で、どこも雪が少ない。最近雲取山の登りの出だしで、「雪がありま千円」と発していたらしいのは某KM117局だが、当局も今日もどうしても、「こいつはうっかりだぁ~」を発してみたい(謎。

そこで、確信犯的にまっさきに8ChでCQを出してみる。間違っても、グランドウェーブを待っている局長さんなどどこにもいるはずもないが、8ChならEsを待っている局長さんがいてもおかしくない。

・・・・やはり、一発で応答がある。しかし59+、超強力入感だ。あまりの強さについ気を取られて、「こいつはうっかりだぁ~」を発し損ねてしまった。こいつは、うっかりだぁ~。

いったいどこにおられるのか???この局長さんこそ、YN104局だった(笑。聞くところによると、天井山山頂は冷たい風が強くて、いたたまれないので、山頂運用を諦めて千貫森に移動されたらしい。

仔細を照合してみると、やはり山頂で入れ違ったのはYN104局で間違いない。この山頂、YN104局がよく使われるロケらしい。アマ局が時たま現れるものの、普段は誰も来ずに、いつもYN104局の貸し切り状態らしい。今日は朝から、しかもアンテナも付けていない車がやってきたので、不思議に思っていたようだ。

YN104局には寒さがこたえたようだが、こちらは完全武装で来ているので、2~3時間はこのまま外にいても問題ない。それに、ここからの壮大な景色を眺めていると、寒さなど吹っ飛んでしまう。むしろ、冷たい空気と透き通った風が、青い空と大地の透明感をより引き立てているように感じられる。

8Chでワッチを続けていると、やがて南国石垣島のとうきょう13131局の信号が入り始める。Esが入りだしたので、当局は8Chを離脱、3Chのワッチ&CQに切り替えだ。

しばらく3Chで待機していると、なんとグランドウェーブでCQが飛んでくるではないか。フクシマYS950局で、郡山からだ。同局にも、「移動地は天井山」で一発で通じたので、やはりこの地域のCBerにはよく知られた運用ロケのようだ。


   【天井山より福島市中心部方向】



★ミッション4:

天井山での運用は早々に切り上げ、今度は、いよいよ国見・白石エリアに移動だ。その前に、前回確認しそこなった、千貫森での「赤」と「無色」エリアでの入感の違いを確認してみる。

  地図1再掲
千貫森は、名前に「山」は付いてはいないが、すり鉢をひっくり返したような見事に均整の取れた円錐状の山だ。(標高462.1m) 山の下の部分を国道114号線が走っているのだが、この部分は「無色」エリア、すなわち入感はないはず。一方、少し離れただけの千貫森の中腹には、地図1には記載はないが、黒い実線の道(以下「黒実線道路」)と並行するように、下側に道路が走っている。この道路は「赤」エリアのほぼ境界上を回り込むように走っているので、入感が期待できる。(黒実線道路は車で走れるのかどうか不明)

この道路沿い、つまり、千貫森の中腹にはUFOに纏わるさまざまな展示を行っている「UFOふれあい館」と、道路を挟んで食堂兼土産物売り場の「UFO物産館」がある。

福島市のこの地域(旧飯野町)ではUFOによる町おこしも狙っているようで、千貫森の頂上には「UFOコンタクトデッキ」もあるようである。UFOが「出現」する地域としては、全国区では、北海道の八雲町や石川県の羽咋市が有名だが、恥ずかしながら、千貫森地区にこのような施設があることは、昨年運用を計画中に気付くまで当局も知らなかった。ぜひ立ち寄りたいところだが、午後は国見・白石地区での調査が待っているので、残念だが今回も立ち寄っている余裕はない。

話は少々逸れるが、このような均整の取れた図形の地形(千貫森の場合は山)の近所では、よくUFOが出現するとされる場所が多いようだ。盛岡市近郊の南昌山も、特徴的な円錐形だが、南昌山もよくUFOが目撃される場所として有名だ。

電波到達が予想されない「無色」地域である、千貫森下の国道114号線については、前回既に確認済みだ(J-WAVE)。前回確認したところでは、この国道上ではスポット的に、41から51程度でかすってくる場所がところどころあるものの、基本的には0(ゼロ)、入感なしで、想定した通りであった。今日は、前回確認できなかった、山腹の道路を、東側から西側へと走行しながら確認してみる。この道路は「赤」エリアのちょうど境界上にあるので、電波は受かるはずだ。

東側から進入していくと、道路は一旦少し北側に回り、そこから山の南側斜面へと折り返すように回り込んでいる。北側から南側にターンして直線になり始めると、電波が入感しだす。入感し始めてから徐々に強くなり、南側正面(=地図記号神社のあたり)を周り、UFOふれあい館を過ぎるまで、ずっと、52(最小)~57(最大)程度で入感してくる(J-WAVE)。下の国道のゼロとは大違いである。

東京FMについては、スポットでの確認になるが、UFO物産館下の駐車場内では58を振ってくる。かなりの強力入感だ。予想以上に「赤」と「無色」の差が出た感じだ。(昨年やっておけばよかったが(笑。)

次はミッション5。今度こそ、国見・白石エリアに移動開始だ。

左)千貫森中腹の道路。
右)UFOふれあい館。道路を挟んだ画面左側に、UFO物産館がある。


   「後編」につづく>





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