[結城農場にて(茨城県結城市)]



秒速30万キロメートル

『秒速30万キロメートルの出会い』、というのは、当局がまだ2エリアにいた頃、ミエAA469局が開設されていたブログだ。ずいぶんしゃれた名前を付けられるものだと当時は感心したものである。秒速30万キロというのは、言うまでもなく真空中における光の速さ、すなわち電波の速さである。秒速30万キロという一瞬のイメージと、そんなスピードの先につながる永続的な人と人との出会いという対照性を、無線の世界が持つ特性の一つとして端的に表現したものかもしれない。

4月16日、岩船山にQRVしてみる。岩船山は、栃木県栃木市岩舟町にある、標高170mほどの低山で、山上には高勝寺という開山は西暦763年という古刹がある。このお寺は立派な仁王門や本堂、江戸時代に建立された見事な三重塔もある大きなお寺である。岩舟町は現在は栃木市と合併されて「栃木市岩舟町」となっているが、2014年に合併される前までは、単独の岩舟町だった。2015年にQRVした三毳山(みかもやま)はすぐ目と鼻の先のロケーションである。

 中:向こう側に見えるのは三毳山

木漏れ日の中、三重塔の奥へ階段を昇り詰めていくと少し広場になった「山頂」とおぼしき場所に出る。この広場のスペースには祠と、運用におあつらえ向きのベンチがある。南西側に開けた崖の上からは、170mとは思えない標高感で近くの田園や山々が広がる。

早速テーブルにSR-01を取り出し、セッティングにかかる。天気は晴れ、春を通り越し、4月とは思えないほど気温もぐんぐんと上がっている。それでいて木々の枝枝はまだ所々桜の花を残しており、その白い点々を揺らしながら少し強めの風が行ったり来たりと、気持ちよく吹き抜けている。絶好の無線日和だ。

アンテナを展開して、スイッチを入れてみる。その瞬間、沖縄のうらそえVX124局のCQがふわりふわりと入感してくる。チャンネル位置を見ると4Ch、普段は縁の薄い4Chなのだが、たまたまチャンネルがドンピシャだったようだ。信号は春の風に漂うように弱弱しい。ダメもと、というより、完全にダメだろうと思いつつ呼んでみると、それでも驚いたことにVX124局から応答が返ってくる。51/51、信号を確認するとすぐにフェードアウトしていった。これもひとつの秒速30万キロメートルの出会いか?(笑。それでもVX124局と、久々にQSO?できたのは思いがけない収穫だ。

好天を反映してか、チャンネル内すでに結構QRV局がおられる。標高170mという「低さ」の割には、良く入感している。QSOを聞いていると、春の陽気に誘われて、みなさんテンションも高めのようだ。足利市の大岩山にも5~6局が合同運用されているようで、グンマRY28局よりお声がけをいただく。

5Chでは三毳山の主、さいたまBB85局がQSOされており、今日もいつもの通りお元気だ。3Chにチャンネルを捻ると、トウキョウAB505局のCQが聞こえてくる。今日は奥武蔵の弓立山におられるようで、AB505局も2局で合同運用のようである。RSは57でこちらには強力に入感してくるが、向こうにもS9で飛んでいるらしい。570で運用されているとのことで、「この570、Sメータの針は軽いようです、マイナス2くらいでちょうどいいかな」、と言った感じらしい。AB505局はさすがに百戦錬磨の局長さんで、「この変調音はSR-01ではないですか?」、と当局が使用しているリグを見事に言い当ててくれた(笑。

8ChはEs用にオープン、4、5、6も比較的使われているので、1Ch でCQだ。低い場所からのCQ、それも1Chなので全く期待はしていないのだが、それでもコールが入ってくる。サイタマAD966局だ。今日は関八州見晴台に移動されているようだ。RS54で聞こえてくるが、しかし、QSOに入った途端海外のホニャラ系のノイズが強力に覆いかぶさる。陽気のせいか、海外勢もしぶとく、AD966局からの信号をほとんどマスクしてしまう。2ChにQSYしてもらうがほとんど状況は同じで、残念ながらショートQSOだ。AD966局はその後、4ChでCQを出されてQSOされているのが良く聞こえてくる。ロケがいいこともあるが、東京、埼玉、神奈川方面から絶え間なくコールを受けており、やはり今日はかなりの局が運用されているようだ。

さいたまBB85局から再びお声がかかる。BB85局はこれからみかも山を下りられて、大岩山の合同運用局に合流されるという。当局もお誘いを受けるが、残念ながら帰りに寄る所があるので次回のチャンスだ。その後大岩山では7~8局のフリラーで大いに盛り上がっていたに違いない。



岩船山と岩舟駅(JR両毛線):
QRVポイントは左端の崖の上あたりになる


秒速5センチメートル

「ねえ、秒速5センチなんだって」・・・「桜の花の落ちるスピード」、明星(あかり)は貴樹(たかき)に言った。二人は学校帰り、まだ小学生だが、お互い淡い恋心を浮かべている。秒速5センチメートルとは、30万キロメートルとはえらい違いだ(笑。しかしながら、そこにも出会いと別れが隠されている。

中学1年になった貴樹は春先の雪の舞い降りる中、東京から電車を乗り継ぎ、明星が待つ岩舟駅へと向かう。転校で離れ離れになってしまった明星との約束の待ち合わせの時間は3月4日午後7時。会うのは一年ぶり、文通での約束の時間だ。雪の影響でどんどんと遅れていく列車。貴樹が岩舟駅になんとかしてたどり着いた時、時計は既に23時を回っていた。しかも外には雪が降り積もっている。何もない真っ暗な片田舎の駅の23時過ぎ、絶望しながら貴樹は改札口の引き戸を開けて待合室に出る。果たして初恋同士のふたりは会うことができるのか?新海監督作品のアニメーション映画「秒速5センチメートル」の第一話「桜花抄」の世界だ。なぜ岩舟駅なのかは、横に置いておくことにしよう(笑。

「左カーブ」の先:
岩船山を東側から見た形になる
昨年8月に公開された新海監督の「君の名は。」は記録的なヒットで、8か月経った現在でもロングランを続けている。日本の映画では興行収入歴代2位、すでに240億円を超えている。若い男女の体が入れ替わるという古典的なシナリオにどんなものか?と少々疑問に思っていた当局が初めて観たのは既に11月にはいってからだ。その時点でもうすでに大ヒットになっていたわけだが、「君の名は。」の大ヒットとともに、再び脚光を浴びたのが、2007年公開作品「秒速5センチメートル」で、今では各地でリバイバル公開も行われているようである。

新海監督は、CGを駆使して、時に実写と見まがうような緻密な映像の世界を紡ぎだす。それが新海作品の特徴だ。

「桜花抄」の最後のシーン、岩舟駅。永遠に二人の関係は続くと信じて貴樹は列車に乗り込む。駅を出て左カーブの先、両毛線の電車が走るシーンの背景に浮かび上がるのが岩船山でもある。

「君の名は。」と「秒速5センチメートル」、少なくとも二つの作品に共通しているのは、出会いとすれ違い、そして宇宙のスケール感だ。そして決別の象徴として二つの作品で共通に表現されるのが、キラリと光って見せる女性の薬指にはまった指輪だ。

果たして、出会いは永遠なのか、刹那なのか・・・。30万キロメートルの先にも、その答えはないのかも知れない。


12QSO TNX!!             ('17/4)



明星と貴樹が現れそう(笑:
運用前に結城市(栃木市の隣の隣)にある結城農場に立ち寄ってみる。ここでは様々な種類の桜が育てられている。(ちなみに映画のモデルとなった桜は代々木公園の桜らしい)





Patisserieエド オータヤ
岩舟駅は、駅前には店一軒何もないローカル線の駅だが、こんなところにもパティスリーがあるのは驚きだ。
映画のシーンでいくと、ホームから見て線路が左カーブに入る直前の右側にある。
レアチーズケーキはお勧め(笑。



運用データ

■運用日時・運用場所:
 
 ・2017年4月16日(日) 11:50~14:45 
  ・栃木県栃木市岩舟町岩船山
  

■使用&装備リグ:
  CB : SR-01(サイエンテックス)、ICB-87R(SONY)
  DCR: IC-DPR5(ICOM)+1/4λホイップ
  
■使用電源
  ・リチウムイオン電池10.8V/3.2Ahほか



QSO局
12QSO TNX!!  
(敬称略)

4月16日(日) 11:50~14:45  
うらそえVX124/沖縄県 51/51 ぐんまRY28/栃木県足利市大岩山 57/58
トウキョウAB505/埼玉県ときがわ町弓立山 57/59 さいたまBB85/栃木県栃木市三毳山 55/59
いばらきSO47/茨城県筑波山中腹 52/53 サイタマAD966/埼玉県飯能市関八州見晴台 54/54
いばらきSO47/茨城県筑波山中腹(2回目) ぐんまSK21/栃木県足利市大岩山 56/57
トチギAB315/栃木県小山市渡良瀬遊水地 55/59  ぐんまRY28/栃木県足利市大岩山(DCR)  B3/B3 
いばらき609/茨城県常陸太田市(DCR)  B2/B3 ぐんまRB32/栃木県栃木市三毳山 58/59
※DCRのBは傘マーク+バーの数


ひとつ前の運用記 次の運用記  HOME


© Nagoya YK221

2017運用記
岩船山
栃木県栃木市岩舟町