[富士見台より西方向]


オレンジ色のニクイやつ

「オレンジ色のニクイやつ」というのは、当局とナガノNP152局さんとの合言葉だ。SONYのICB-610Tに対するものである。もちろんこの「合言葉」は、もともとは「夕刊フジ」(産経新聞社のタブロイド版夕刊紙)のキャッチコピーである。このコピーは今はもう使われてはいないようだが、ご記憶の方もあるかもしれない。「夕刊フジ」では、一面のロゴの部分にオレンジ色が使われていたので、この愛称が使われていたのだと思われるが、もちろん、ICB-610Tとは何ら関係は無い(笑。

CB機の宣伝コピーといえば、「ラジオの中から友が呼ぶ」という、ICB-R5の名コピーが余りに有名だが、ナガノNP152局さんによると、他の目立たない機種でもいろいろとキャッチコピーが存在したようだ。例えばRJ-450は『小型軽量のハンサムフェイス』、ICB-660Tは『スリムなボディの2ch・500mW機。ヘビーデューティーなミドル級の実力機』、ということらしい。(=ナガノNP152局のブログによる)

今日は、この「オレンジ色のニクイやつ」を久しぶりに稼動させてみる。100mW機、2チャンネル仕様で、本機は、7/8Ch仕様である。7/8Ch仕様の100mW機は意外と少なく、探すのは実は難しい。本機も、実は以前NP152局に頂いたものである。610Tはデザイン的には500mW/2チャンネル機、「ヘビーデューティーなミドル級の実力機」である660Tの瓜二つの弟分だが、660Tのように、LED式のSメータは存在しない。そこが唯一?違うところだ。610Tの他には同じ100mW機という意味で、今日はRJ‐270Dも用意、こちらは5/6Ch仕様だ。





みかも山


今日のロケは栃木県佐野市のみかも山である。みかも山については、前回の秋オンの運用記でくどくどと書いているが、そもそもここは、さいたまBB85局さんと初めてQSOして以来、QSOのたびに「是非一度行って見たいですね~」、と言っていた場所である。もちろん、ずっと本気で来るつもりでいたのだが、結果的にはこれまで空手形になっていたので、ようやく移動が実現した形だ。BB85局さんは、ほぼ毎週のようにここ、みかも山からオンエアされているので、当局が1エリアで運用する際は、殆どの場合交信させていただいており、おそらく当局の運用記への登場回数は最も多いのではないかと思われる(笑。ただしBB85局さんとは、これまで一度も連絡はとりあったことはない。お空の上でのQSOがすべてだ。しかし、今日も必ずや現れるに違いなく(笑、そうなれば、初めてのアイボールということになる。

前日が雨だったせいもあり、水蒸気が上がっているのか、どこまでもくっきりと、とはいかないが、さっぱりとした秋晴れだ。運用場所は、正確には「みかも山公園」内、富士見台展望台だ(佐野市/栃木市境)。一口にみかも山といっても、南北に丘陵上に長く、富士見台はその南端側に位置する。展望台からは、西から南、東にかけて、真平らな地平線が広がっている。とても190m足らずの標高とは思えない展望の良さだ。北海道の大地か何かと見まがうほどである。関東平野の北端に位置するわけだが、前回の運用記に記しているように、この場所が異様に飛び受けが良いのは、この景色を眺めただけである程度納得できてしまうほどFBだ。東、西方向も物理的に何かあるわけではなく、木々で視界が邪魔されている程度である。北側はすぐそばに東北自動車道の佐野サービスエリアがあり、平野はここで終わり、基本的に北方向は山岳域ということになる。


富士見台


展望台へ
南駐車場からは舗装路をジグザクに。
富士見台より南方向
関東平野の地平線が広がる。
北方向
壁の向こう、すぐ近くには東北道佐野
サービスエリアがみえる。



9:30、まずは707で小手調べにワッチに入る。7Chだけはやはり意味不明の無変調信号が強力に入っており、ここでも使い物にはなりそうもない。というよりおそらく日本全国、7Chをまともに使える場所の方が極めて珍しいと言うことかもしれない。全般的には特段海外局がうるさいといったわけでもなく、可もなく不可もなくといった感じだ。休日とはいえ、曜日的には月曜日なので移動局が少ないのか?メインChでCQも出してみるが応答は無い。

デジ簡はどうか?さすがに堂平山(埼玉県比企郡)には移動局がでているようで、サイタマAB960局に応答をいただく。富士山の太郎坊ではヨコハマKZ123局さんらが数局で合同運用されているようだ。

いよいよ今日のメインテーマである、「オレンジ色のニクイやつ」にチェンジ、入感を探る。といっても2チャンネルだけ(実質1チャンネルだけ)なので、ひたすら待機だ。707も平行ワッチで、8Chに入感があれば、入感状況を比較しながら、610Tで応答してみるというパターンだ。

100mW運用は、基本的に707と平行ワッチ。

さすがはメインの8Ch、しばらくすると、先ほどデジ簡でQSOを終えているサイタマAB960局のCQが入感してくる。耳Sで52くらいか。しかし堂平山にしては、意外に入感が弱い。とても絶賛しているみかも山の実力とも思えない。しかし・・・、である。610T片手に場所を移動してみると、一気にRSは57くらいに跳ね上がる。わずか2、3mずれただけだ。どうも同じ展望台平面でも、少しずれただけで大きく信号強度が変わるようだ。どうも、地面や、展望台周りでの回折が影響しているようだ。特に地面との高さの関係性に、このロケの秘密がありそうな感じだ。

610Tの受信能力はどうか?707との受信比較では、弱い信号入力時でも、全く遜色が無い。これはいい意味で意外だ。ただし、シングルスーパーのせいか、音量としては極めて小さいながら時々放送波を復調してしまうようだ。近くに中継設備でもあるのか?(デジタルはあるようだが。)

秩父の二本木峠からはサイタマFL20局が入感してくる。M5/53だ。Sメータがないので「M5」だが、耳Sでは57程度である。念のため707で測ってみると、S8である。FL20局に610T運用であることを伝えると、FL20局も100mW機をいろいろお持ちのようで、100mW談義に花が咲く。本機を運用するのは久しぶりだが、変調等も確認してみると、こちらからの信号は全く問題なく飛んでいるようである。その後イバラギSO47局(茨城県桜川市足尾山)ともつながるが、707での飛び56に対し610Tで53と、Sはマイナス3程度で、やはり送信も問題なさそうである。


さいたまBB85局


今日はRJ-270Dも持ち込んでいるので実験はまだまだこれからだ。ひと息つこうと、コーヒーの準備にとりかかろうとしたその時、「こんにちは!コールは何ですか?」といきなり話しかけてこられる方が居られる。展望台に上がってこられるなり、勢いが良い(笑。みかも山の主、さいたまBB85局さんである。当局は展望台で、707やら610T、デジ簡など派手に広げているので一見してCBerであることは自明だ。

「あ~~、なごやYK221局さん」と、コールを聞くなり妙に納得!?されておられる。いままで「行きたい」ということを何度も宣言していたせいかもしれない。いや、それとも、QSOで想像していた人物像とは、かけ離れていたと言うことかもしれない(笑。真相は不明である(笑。
「いや~ずっと、行きたい行きたいと言っておきながら、未だ来られていなかったので、今日漸くやってきましたよ。いままでずっと空手形でしたからね~」と、当局も言い訳を付け加える。
「『行きたい』と言われる局はこれまでたくさんいましたが、実際に来られた局は5局以下ですかね~」、と笑いながら明るくおっしゃる。

今から遡ること8年前、当局が初めて沖縄県の波照間島から運用を行なった時、唯一QSOニアミスまでいけた局長さんがBB85局だ。今では信じられないが、当時は移動・固定とも沖縄の運用局はなく、いくらEsとはいえ沖縄などから交信ができるのかどうかというのは、誰しも半信半疑だった。しかも波照間島は日本の最南端で、沖縄本島から更に400Km以上離れているのである。そこまでわざわざCB無線のためだけに出かけていくというのは、我ながら無謀な試みだった。ところがそこにBB85局/みかも山移動の信号が入感してくる。必死によびかけたもののBB85局とは結局「交信」まで辿り着けなかったが、このときの感動は今でも忘れない。


赤い糸

BB85局は常に、さまざまなアイテムを運用場所に持ってこられているようだ。今までにアイボールされた局の名刺、これまで販売されたいろいろなCB機の説明書のコピーなどだ。

当局が最も驚き、かつ、うれしく思ったのは、BB85局の地図だ。テーブルに広げないと見られないような、大きな日本全図である。展望台での運用中には、たくさんの人が展望にやってくる。どこまで飛ぶのか、とか、どちらの方向になにが見えるのかといったことを、良く聞かれ、説明されるのだそうだ。「富士山今日は見えないねぇ~」といった声を聞けば、「はい、富士山は、ちょうどあの倉庫のような建物の上に普段は見えますよー、今日は残念ですが見えませんねー、」といったことまで、他の方角の解説も交えていちいち説明されているのである。その話術は極めて巧みで、公園常駐のボランティア案内人と間違われるほどだ。

その大きな日本全図は、展望台にある長いすに広げられる。驚いたことにそこには、みかも山を中心に、日本全国の主だったQSOポイントと赤い太い実線で結ばれている。今までどのあたりと交信できているか一目瞭然だ。そしてその一本が沖縄の波照間島に延びているのである。しかもその線の横には、「こちらから飛んだのみ」といった趣旨の注記がなされているのである。そう、その線は2007年の波照間島の当局とのニアミスQSOを再現したものなのである。

BB85局さんは、今後もこの赤い糸を日本全国各地と増やされ続けるに違いない。

今日、さいたまBB85局さんは、やはりやってこられた。当局には確信に満ちたものがあったので、全くの想定通りだったが、実は一つだけ失態を犯していた。その確信に基づき、実は手土産を持参するつもりでいたのだが、連休に入る前に買い忘れてしまったのである(笑。次回は必ず持参しますよ、BB85番局!。


各局TNX!!
                                               ('15/10)




運用データ


空にはグライダーが舞う。
■運用日時・運用場所:
 
 ・2015年10月12日(月、祝) 9:30~14:20 
            (運用は実質11:00まで(笑。)
  ・みかも山公園富士見台(標高約190m)
  
 栃木県佐野市・栃木市境

■使用&装備リグ:
  CB : ICB-610T(SONY)、ICB-707(SONY)、
       ICB-87R(SONY)、RJ-270D(National)
  DCR: IC-DPR5(ICOM)+1/4λホイップ

■使用電源
  ・乾電池、リチウムイオン電池10.8V/2.4Ahほか


QSO局
10QSO TNX!!  
(敬称略)

10月12日(月、祝)   
サイタマAB960/埼玉県比企郡堂平山(DCR) M5/M5 ヨコハマKZ123/富士山太郎坊(DCR) M5/M5
トシマAB134/埼玉県飯能市多峯主山(DCR) M5/M5 トチギYA306/群馬県赤城山 56/56
とちぎ4862/栃木県足利市(RJ-270D) 52/52 ミトBB501/茨城県城里町高取山(RJ-270D) 51/51
さいたまFL20/埼玉県皆野町二本木峠(ICB-610T) M5/53 いばらぎSO47/茨城県桜川市足尾山(ICB-610T) M5/53
イワテB73/東北道佐野近辺M(DCR)  M5/M5  さいたまTM20/埼玉県加須市道の駅おおとね(DCR)  M5/M5 



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